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職業執行者の俺、 天使と悪魔と契約して異世界を生き抜く!!(旧題: 漆黒の執行者)

サクえもん

第五十四話 語らい

 「そう言えばこの部屋に来るのも久しぶりだな」
 「そんなことよりファントム。 私は今から風呂に入ってくる。 その間お前は酒でも飲んでていて待っていてくれ」
 「ん? なんでこのタイミングで風呂なんだ?」
 「いいからお前は黙って待っていろ!」
 「わ、 わかった」
 「いいな! 絶対に待っているんだぞ!」
 

 やっぱりさっきからアリシアの様子が変だな。


 「まあいいか。 それよりも酒だ」


 最近ストレスが溜まってたからちょうど飲みたい気分だったんだよな。
 

 「どうやら今日は白ワインのようだな」


 まずは一口。


 「お、 これは……」


 かなりおいしい。
 俺が前回城で飲んだのは赤ワインだったのだが、 それに比べて渋みがなくとても飲みやすかった。
 そこから俺はアリシアが風呂にあがるまで、 酒を飲みながら夜空を眺めていた。


 「待たせたな」
 「ああ、 別にそれほど……」


 俺は風呂上がりのアリシアの様子を見て口に含んでいたワインを危うく噴き出すところだった。


 「お前その恰好……」


 今のアリシアは黒色のネグリジェを着ていた。


 「ど、 どうだ? お、 おかしくないか?」
 「いや、 むしろ似合っていると思う」
 「興奮したか?」
 「興奮して今にも襲いそうだよ」
 「そ、 そうか」


 アリシアは俺の言葉が恥ずかしかったのか顔を真紅に染めていた。


 「それよりも俺の仕事だが……」
 「わ、 分かっている! ファントムちょっとこっちにこい!」
 「いきなり何を……」


 アリシアが急に俺の手をひぱったせいで俺は手に持っていたグラスを落としてしまった。
 そして俺はそのままアリシアにベットに押し倒された。


 「これは一体どういうつもりだ?」
 「どういうつもりもこれがお前のやるべき仕事だ」
 「は? まるで意味が分からんぞ?」
 「この状況でやることと言ったら一つしかないだろ馬鹿!」
 「ま、 まさか……」
 「そうだ! お前の残された仕事とは王族の世継ぎを作ることだ!」
 「ははは……」
 

 俺はその言葉を聞き乾いた笑顔しかできなかった。


 「お前とて子供の作り方ぐらいはしっているだろう?」
 「コウノトリさんが運んでくるんだろ?」


 俺がそう言うとアリシアはジト目で俺を見てきた。


 「冗談だよ冗談。 だからそんな目で俺を見るなよ」
 「ふん!」
 「それよりもアリシア。 お前はその、 俺とそういうことをしたいのか?」
 「そんなこと恥ずかしくて言えるわけないだろ!」
 「まあそうだよな。 なぁアリシア。 世継ぎって養子じゃ……」
 「ダメだ」
 「デ、 デスヨネー」


 そうなるとこの状況本格的に不味いぞ。
 もしここで俺がアリシアと行為をしてしまったら、 まず間違いなくルーとミカがキレる。
 だがもしここでアリシアを拒絶すれば確実にアリシアはまた暴走する。
 

 「クッソ……俺はどうすればいいんだ……」
 「お前今私以外の女のこと考えただろ?」


 アリシアはそう言うと俺の頭を両手で掴み、 俺とアリシアは互いに見つめ合う状態になった。


 「ファントム。 今ここにいるのは私だ。 だから他の女の事は考えるな。 それともお前は私として何か後ろめたいことがあるのか?」
 「な、 ないが……」
 「それならやっぱりさっきの言葉は……」
 「それだけは嘘じゃない!」
 「だったら……」
 「お前が俺の事を愛しているからこそこういうことをしたいと言っていることは俺もわかっているんだ。 だから……」


 こうなったら俺も覚悟を決めるしかない。
 

 「それならいい。 なあファントム。 お前はこういうことをするのは初めてなのか?」
 「いや違う」
 

 アリシアはそう言うと露骨に不機嫌そうな顔をした。


 「それじゃあお前の初めての相手は……」
 「ルーだよ」
 「あの金髪の……」
 「そう言うアリシアは……」
 「私がそんな女に見えるか?」
 「見えないな。 それじゃあ俺がリードしなくちゃいけないのか」
 「た、 頼む。 それと……」
 「大丈夫。 優しくするから」
 



 そこから俺は自分の時間の許す限りアリシアと交わった。
 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 「ふふふ、 昨日は上手だったぞファントム……」
 「それはどうもありがとよ……」
 「これでやっと私はお前の女になれたのだな」
 「そういういい方はやめてくれ……」


 本当自分がまさかここまで屑だとは思わなかった。
 アリシアと行為をしているときも自分への嫌気が凄まじかった。


 「ファントム。 お前私としたこと後悔しているのか?」
 「後悔はしていない。 ただ自分に嫌気がさしているだけだ」
 「そのすまない……」
 「アリシアは悪くない。 悪いのは俺だ」
 「私はお前がそう言うやつだと知っていたのに……」
 「なぁアリシア。 風呂に入ろうか」
 「む? 何故急に風呂なんだ?」
 「それは気分転換の為かな。 それに今の俺達って汗まみれだし、 アリシアに関しては……」
 「それ以上言わなくていい」
 「そうか。 そう言えばこの布団とシーツどうすればいいんだ?」
 「それはメイドたちに処理させるから問題ない」
 「なんかそれはそれで恥ずかしいな。 いっそ俺のスキルを使って……」
 「そんなことにスキルを使うんじゃない」
 「それもそうか」


 俺はそう思うと風呂に汚れを落としに向かった。


 「ふ~やっぱり風呂に入るとすっきりするな~」
 「そうだな」


 今の俺たちの体勢だが俺は足を延ばして浴槽の中に使っているのだが、 アリシアは何故か俺の上に座って離れようとしない。


 「なぁこの体勢何とかならないのか?」
 「別にいいではないか。 何せ私たちは“夫婦”なのだからな」


 そう言われると反論できない。


 「それにしても私たちの初めの出合いは最悪だったな」
 「そうか?」
 「そうだ。 何せいきなり私はお前に人生を否定されたんだからな」


 そう言うアリシアは方向を九十度転換し、 俺の顔に触れてきた。


 「なぁファントム。 お前は何故力を求めるんだ?」
 「大事な者を全て守るためだ」
 「本当にそれだけか?」
 

 アリシアは俺を見定めるような目でこちらを見てきた。


 「全くお前にはかなわないな」
 「そう言うということは他にもあるのか」
 「ああ。 お前は俺が人殺しを好まないことは前も話したから知っているよな?」
 「無論だ。 それがお前が力を欲するのと関係しているのか?」
 「そうだ。 人間とは強大な力に恐怖する生き物だ。 だから俺は敵にとって抑止力的な存在になりたいと思ているんだ」
 「……」


 アリシアは俺の事言葉に対して何も言わなかった。
 

 「もしかして俺の事を甘ちゃんだと思ったか? その考えは正しいと思うし、 本来敵に情けをかけてはいけないと頭では俺も理解しているんだ。 だから王派の連中を殺す時俺は無慈悲な機械のように作業的に彼らを殺した。 だけど俺は……」
  「もう何も言うな」


 アリシアはそのまま俺の事を優しく抱きしめてくれた。


 「前にも言っただろ? 私がお前の支えになってやる」
 「そうだったな……」
 「辛いのなら泣いてもいいんだ。 それが人間と言うものだ」
 「ハッ、 俺は人間じゃない。 俺は唯の化け物だよ。 それに俺にそんな資格はない」


 俺は自嘲気味にそう言った。
 だがそんな俺をアリシアは優しく抱きしめてくれた。
 その間アリシアは俺の耳元で何度も


 「お前は化け物なんかじゃない」


 と優しい声音で言い続けた。
 

 「全く俺はつくづく愚かな奴だよ。 それとアリシア俺はもう大丈夫だよ」
 「そうか」
 「それと一つ質問なんだが、 お前は俺の素顔見たいか?」
 「見たい」
 「わかった。 それなら……」
 「なあお前の仮面。 私がとってもいいか?」
 「別に構わない」


 俺がそう許可をだすとアリシアは俺の仮面にゆっくり手を伸ばし外した。


 「どうだ俺の素顔は?」
 「なんか普通の顔だな」
 「期待外れか?」
 「いや、 お前は私の予想通り優しい顔つきをしていたんだなと一人納得していて嬉しく思っただけだ」
 「俺ってそんな顔しているのか?」
 「しているとも。 その点は私が保証しよう」
 「そうか」


 優しい顔つきか。


 「さてとそろそろあがるか。 仮面返してくれるか?」
 「断る!」
 「おいおい」
 「ふふふ、 冗談だ」
 

 俺はアリシアから仮面を受け取り再びつけると、 風呂から上がり着替えた。


 「さてと今から玉座の間に行くとするか」
 「待て」
 

 アリシアは俺に近づくと腕を組んで歩くよう催促してきた。
 俺はそれにたいして黙って従うことにした。


 「よし。 それじゃあ行くぞ」
 「了解」


 俺がそう言うと俺達は歩き出した。
 




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