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職業執行者の俺、 天使と悪魔と契約して異世界を生き抜く!!(旧題: 漆黒の執行者)

サクえもん

第五十三話 顔合わせ

 「久しぶりに城に来たわけだけど相変わらずここは大きいわね……」
 

 ルーは前にも一度来たことがあったため城に対してそれほど興味を示していなかったが、 ミカはルーとは対照的に城の中をキョロキョロしていた。
 

 「二人ともこっちに来てくれ」


 俺がそう二人に声をかけると二人は一斉に俺の方を向き、 どこか焦った様子でこちらに全力で走ってきた。


 「ゆ……」
 「バカ! ここでは俺がなんのために偽名を使ってると思ってるんだ!」
 「そんな事よりもなんで片腕ないのよ!」
 「ファントム。 誰がそれをやったのか教えて」
 

 二人はそう言いながら俺の服の襟をつかみ、 思いっきり揺らしてきた。


 「お、 落ち着け! それ以上揺らすな!」
 「おい! ファントムが困っているだろうが!」
 「やめろアリシア! 今お前が出ると……」


 アリシアが話しかけたせいで二人は見てしまった。
 アリシアの握っている剣が俺の血で濡れていることに。
 ルーに関しては、 アリシアを傷つけることを俺が良しとしていないことを知っていたので、 直接的な行動まではしなかったがミカは違った。
 ミカはアリシアが俺の腕を切り落とした犯人だと知った瞬間に、 魔力で作られた剣を瞬時に作りアリシアの首目掛けて射出した。
 

 「ヤバい!」


 おれはこのことに気づくと自分も剣を作り、 ミカの剣をなんとか相殺しきった。
 殺されかけたアリシアはと言うと、 俺たちの攻撃モーションがあまりにも早すぎたため、 それを知り目を丸くしていた。


 「なんで邪魔するの?」
 「それは俺が望んでアリシアに腕を切り落とされたからだ。 それに俺は腕を引っ付ければもとに……」
 「そう言う問題じゃない」
 「ねぇファントム。 貴方はもっと自分の身を大事にして。 じゃないといつか本当に私の前から消えてしまいそうで不安なの……」
 

 そう言う二人の表情はとても辛そうだった。


 「わかったこれからはこういったことはしないと約束する」
 「その言葉本当よね?」
 「もし嘘ついたら……」
 「その時はお前たちのお願いなんでも聞いてやるよ」


 俺のその言葉に二人は安どした様子を見せた。
 俺はその様子を見て、 無意識に二人の頭を交互に撫でていた。


 「おい。 いつまでイチャついているんだ?」
 「別にイチャついては……」
 「それよりもファントム。 切り落とされた方の腕をだしなさい」
 「あ、 ああ……」 


 俺はルーに腕をだすとルーは、 手に持っていた俺の腕と接着し始めた。


 「なんかグロいですね……」
 「リーゼ見るのが辛いなら、 別に見なくても……」
 「いえそう言うわけにはいきません。 ファントム様はもし大きな怪我をしたと治療できる知識は必要ですから」
 「はい終わり。 神経は無事繋がってる?」


 俺はそう言われ切り落とされた腕の方の手を何度も閉じたり、 開いたりした。


 「どうやら大丈夫そうだ」
 「さてファントム。 いい加減紹介してもらおうか?」
 「そうだな。 まず初めに悪魔のルーから紹介するな。 ルー。 本来の姿を二人に見せてやってくれないか?」
 「了解よ」


 ルーはそう言うと普段隠している羽を角を見せてくれた。


 「久しぶりにルーの羽と角を見た気がするな」
 「こ、 これが六枚羽の悪魔……」
 「ファントム。 お前よくこんな化け物じみた奴と契約できたな」
 「まあそれは俺にも秘策があったからな」
 「ファントムが勝ったのってほとんどまぐれじゃない」
 「まあな。 それでこいつの名前だがルーだ。 俺があの時二人に見せた契約紋はルーのものだな」
 「でもルー様の羽は天使の羽とすごく似ていますよね?」
 「言われてみればそうだな」
 「だってこいつは元々天使だからな。 それでその天使が堕天して悪魔になった存在がルーと言うわけだ。 まあ以上がルーに関する紹介ってとこだな」
 「ねぇファントム。 一つ重要なことを紹介し忘れているんじゃない?」
 「何かあったか?」
 「私がファントムの“妻”であるってことよ!」


 ルーはとても大きな声でそう言った。
 実は俺はルーが自身の妻であることを忘れていたのではない。
 わざと紹介しなかったのだ。
 理由としてはほぼ100%面倒ごとになると感じていたからだ。
 俺の予想は見事当たっており今アリシアの顔は、 相当引きつっていた。


 「お、 落ち着けアリシア」
 「なあファントム。 お前が前言っていた妻とはこいつの事なのか?」
 「そ、 そうだが……」
 「私はあんたみたいにファントムと契約で繋がっているだけの関係じゃなくて、 本当に互いに愛し合っているんだから! それが分かったら金輪際ファントムに近寄らないでくれるかしら?」
 

 止めろ! これ以上火に油を注ぐんじゃない!
 リーゼもその空気を察したのか急いで話題を変えようとしてくれた。


 「ファントム様! そろそろ次の方を紹介してくださいませんか!」
 「そ、 そうだな。 それじゃあミカ」
 「わかった」


 ミカはそう言うと本来の姿を見せてくれた。


 「さてこいつが俺が今回のダンジョンで契約した天使のミカだ」
 「天使の羽ってとっても綺麗ですね」
 「それは俺も思った。 だけどこいつ初めて会ったときは……」
 「ファントム。 それ以上は言わないで欲しい。 私だって反省している」
 「わかったよ。 それでこいつの名前はミカだ。 ちなみにルーとミカは双子の姉妹だ」
 「だから顔が似ていたんですね!」
 「ファントム。 私からも言いたいことがある」
 「ん? 何をだ?」
 「そこの金髪と赤髪」
 「何!」
 「何の用だ白髪!」
 「ファントムの妻は私だけ」
 「まだあんたそんなこと言ってたのね。 これは修正してあげなくちゃね……」
 「望むところ」


 2人はその後いつものように殺しあいを始めてしまった。
 本当にこの姉妹は……


 「ふふふ……ファントム。 お前は私がお前の代わりの仕事をしている間に女を口説いていたのだな……」
 

 アリシアは目元を前髪で隠しながらこちらにゆっくり歩いてきた。
 

 「ア、 アリシア落ち着け! リーゼ! 何とかしてくれ!」
 「無理です」
 「ファントム……」
 

 アリシアはそう言うと俺の両肩をを掴み思い切り揺らしてきた。


 「お前には私がいるじゃないか! それなのになんで他の女にばかり尻を振るんだ! そんなに私には魅力がないか!」


 ア、 アリシアが壊れた。


 「私だってわかっているんだ! こんな男っぽい女が魅力的じゃないことぐらいな!」
 「お、 落ち着け!」
 「でもどうしようもないじゃないか! 私は子供の頃から訓練ばかりで何一つ普通の女の子がするようなことをしてきてないんだから!」
 「いいから落ち着け!」


 俺がそう怒鳴るとやっとアリシアの暴走は止まった。
 今のアリシアの顔は涙でグチャグチャだった。


 「アリシアよく聞け。 お前は十分魅力的な女性だ」
 「だ、 だが……」
 「確かにお前は男っぽい女性かもしれない。 でも俺はそんなアリシアの事が好きなんだよ。 逆に女らしいお前は気持ち悪い」
 「き、 気持ち悪い……」


 俺がそう言うとアリシアはまた暴走しだしそうだった。


 「ええいまどろっこしい! 俺がここで言いたいことはたった一つだ! よく聞け!」


 俺は大きく深呼吸をし、 次の言葉を言った。


 「俺は今のままのアリシアがいいんだ! いつも凛としていてブレないお前が!」
 「今のままでいいのか?」
 「ああ、 今のままでいいんだよ」
 「そうか……」


 アリシアは小さくそうつぶやくと俺の目を真直ぐ見てきた。
 

 「すまないファントム。 色々取り乱した」
 「気にするな。 何せ俺はお前の一応は夫なんだからな」
 「一応ではない!」
 「そ、 そうか」
 「なあファントム。 実はお前にはもう一つだけ仕事があるんだ」
 「そうなのか? それは早く片付けなくちゃな」
 「そ、 そうだな。 それじゃあ今からするから私の部屋にき、 来てくれ!」
 「あ、 ああ……」


 アリシアは俺の返事を聞くと急いで部屋から出て行ってしまった。 
 さっきのアリシア声が上ずってたし、 どうかしたのか?
 そんな事よりもルーとミカは……


 「いい加減消えなさい!」
 「そっちこそ」
 

 あ~まだやってる。


 「リーゼ。 俺は今から……」
 「わかりました。 お二方には私の方から伝えておきますね」
 「ありがとう」
 「それとファントム様。 お仕事頑張ってくださいね」
 

 そう言ったリーゼは何処か黒い笑みを浮かべていた。
 俺はリーゼの笑みの意味を考えながらアリシアの部屋へと向かった。   



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