職業執行者の俺、 天使と悪魔と契約して異世界を生き抜く!!(旧題: 漆黒の執行者)

サクえもん

第四十九話 VSファフニール

 やはり反逆シリーズとそよ風シリーズでは、 装備のスペックが相当違う。
 俺が全力で走るとそよ風シリーズだと周りのモンスターたちも気づくようだが、 反逆シリーズを着た俺は、 早すぎて視認すらできないようだ。
 だが俺の存在に気づくモンスターも一体だけいた。
 そのモンスターは、 ファフニールである。
 しかも奴は、 かなりの巨体のくせに俺とほとんど同じスピードで飛行している。
 そして奴は、 今まさに俺に向かって口から何かを吐こうとしている。


 「やはり俺の予想は、 当たっていたようだな。 いいだろう。 とことんお前に付き合ってやる!」


 俺は、 走るのを止めた。
 ファフニールの奴は、 そんな俺をかもだと思ったのか口から火の玉を吐き出してきた。
 俺は、 それに対し二本の直剣を作り出した。
 そのうち一本のデザインは、 赤と黒がを基調としたもの。
 もう一本のデザインは、 白と青が基調としたもの。
 この二本の剣は、 俺たちの世界で魔剣と呼ばれているグラムとバルムンクだ。
 この二つの剣は、 当然俺の世界の物と同じものではなく、 完全に俺のイメージで強く作られているものだ。
 俺は、 どうやら創造魔術の効果を説明を呼んだだけで理解しているつもりでいた。
 しかし、 この魔術の本当の強さとは、 イメージに依存するものでありそのイメージがより強固であればたとえ実在しないものであってもその伝説の剣と同じ効果を得られるのだと俺は、 最近になり気づいた。
 そして、 今回は相手が竜といこともあり竜殺しの魔剣を選択した。
 しかし、 自分のイメージによって伝説の武器を作るということは、 神と同じことをしているも同義のため、 並大抵のステータスでは可能ではなく、 反逆シリーズを着ていないとこの剣たちは作ることはできない。


 「そんな火の玉くらうかよ!」
 

 俺は、 右手に握っていたグラムを使い奴の火の玉を切り裂いた。
 どうやら奴は、 その火の玉に相当な自信をもっていたようで、 切り裂かれたことにかなり警戒し地面に降りてきた。


 「どうしたトカゲ野郎それで終わりか? それなら次は、 こちらから行くぞ!」


 俺は、 そう言った後、奴の正面へと突っ込んでいった。
 奴は、 それに対し口から何度も火の玉を吐いたがすべて俺に切り裂かれ、 俺はアクセルを使いさらに加速した後奴の翼を二枚とも切り落とした。


 「グォォォォォォォォォォ!」
 「どうやら竜殺しの魔剣と言うだけあって相当なダメージのようだな」


 ファフニールは、 今は俺に自慢の翼を切り落とされ、 相当怒り暴れている。
 しかしそれと同時に奴の口からすごい熱量が集まるのを感じた。
 多分奴は、 ブレスを俺に向かって使うつもりなのだろう。
 普通のドラゴンでさえ相当な威力を持つブレス。
 そんなのを測定不能のモンスターであるファフニールが放てば相当な威力であろう。
 しかも奴は、 巨体のため相当な範囲に広がる今の俺には、 回避は不可能だろう。
 

 「まあ、 あくまで回避が無理なだけなんだけどな」


 俺は、 そう言った後両手に持っていたグラムとバルムンクを合体させ両刃剣にした。
 この世界では、 両刃剣と呼ばれる武器は、 ないため当然適正なども存在しない。
 だが俺は、 今までありとあらゆる武器を使ってきた。
 その時にしみ込んだ技術があれば、 今の俺なら使いこなせると思い俺は、 この機構をグラムとバルムンクに組み込んだ。
 そして俺は、 剣を両手を使い回転させた。


 「いいぜ! どっちが勝つか最終決戦と行こうじゃないか!」


  ファフニールの奴もブレスのチャージが終わったようで、 俺に向けてブレスを放ってきた。


 「ウォォォォォォォォォォォォォ!」


 俺は、 叫びながら必死に剣を回転させ続け自分の正面に来るブレスを自分に届かないようにした。
 そんなことを数分し続けたら、 体がきしむような音がし始めた。
 やはり奴のブレスの威力は、 それだけ強力なのであろう。


 「まだまだぁぁぁぁ!」


 俺は、 そんな軋む体を無視し続け、 剣を回し続けた。
 そして、 ブレスは、 俺の体が壊れるギリギリのタイミングでやんだ。


 「今だぁぁぁぁぁ!」


 俺は、 そう叫びながら今まで回転させ続けた両刃剣をファフニールに向かって投げ付けた。
 そして、 俺の投げた剣は、 奴の首を切り落とし、 絶命させた。


 「よしゃぁぁぁ!」


 俺は、 柄にもなく歓喜のあまり叫んでしまった。
 まさか測定不能クラスの敵が、 ここまで強いなんて完全に想定外であったからである。
 ファフニールを倒してからしばらくすると俺の目に前に魔法でできたような階段が出てきた。
 どうやらこの階は、 特別で奴を倒さないと上に上がれないのだろう。
 さすがレベル100のダンジョン。
 正直もっと楽にクリアできると思っていたのだが、 ここまでてこずらされるとは思いもしなかった。


 「だがこれでやっと天使長ミカエルに挑めるわけか」


 多分ミカエルは、 ルーよりも強い。
 だが今の俺は、 神聖な攻撃を無効にできる反逆シリーズを着ている。
 そのためかなり慢心していた。
 自分が天使に負けるわけはなく、 ファフニールよりもあっさり勝てるのだろうと調子に乗っていた。
 そのツケは、 すぐに払うことになるとも知らずに。
 ダンジョン主がいる扉は、 俺たちが前クリアした者とは、 全く異なっており、 かなり派手なつくりだった。
 そして、 扉に入る前から俺の直感スキルがこの部屋には入るなとずっと警告している。


 「直感スキルがここまで反応するなんて今まで知らないが、 だがここで入らないわけにはいかない。 何せ俺には、 もっと力がいる。 そのことは、 今回のダンジョン攻略で改めて強く感じられたからな」


 俺は、 意を決し扉を開いた。
 扉は、 とても重くて普通の人なら開くことは何人いようができないだろう。
 部屋の中も前の物と違いまるで空の上にいるかのような場所だった。
 そして、 部屋の真ん中にルーにとても似た見た目をした銀髪の美女がいた。


 「お前が天使長ミカエルか?」
 

 俺が、 そう銀髪の美女に向かって声をかけると奴は、 こちらに向いた。
 だが俺を見たとき銀髪の美女は、 とても驚いており目を見開き固まってしまった。


 「おい。 俺の質問に答えろ。 お前がミカエルなのか?」


 俺は、 そう苛立たし気に言うと銀髪の美女は口を開いた。


 「ああ、 やっと迎えに来てくれた。 今度は絶対に離さない」


 銀髪の美女は、 そう言いながら顔から涙を流していた。
 迎えに来た?
 それは一体どいうことだ?
 俺とこいつは、 初対面のはずだろ?
 それになぜ奴は、 泣いている?


 「俺が迎えに来たということはそう言うことだ?」
 「今度は、 ずっと一緒にいてもらうんだ。 そのためには四肢を切り落とさないと。 ああ、 それに私に今まで寂しい思いをさせてきた罰も与えないと」
 「さっきからお前は何を言っている!」
 「ケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタ」


 彼女は、 そう壊れたように笑った。
 俺は、この時理解した。
 彼女は、 壊れていると。
 何故そうなったのかは、 わからない。
 だが今の状態なら禁呪を一発撃ちこんだだけで契約できると理解した俺は、 銃のホルダーへと手を伸ばそうとした。
 だが俺はその行動は、 できなかった。
 何故なら俺の腕は、 自分が気づいたときには、 宙を舞っていた。


 「グッ!」


 俺は、 叫ぶのを我慢し今切り落とされた腕を拾い急いでその場を離れた。
 そして、 その瞬間俺のいた場所には、 透明な剣と思わしきものが何本も刺さっていた。


 「おいおい。 これは、 相当やばいんじゃないのか?」
 「ケタケタケタケタケタケタケタケタ」


 奴は、 相変わらず壊れたような笑顔をしていて、 それが俺にとってはこの世界に来てから初めて感じた恐怖だった。



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