職業執行者の俺、 天使と悪魔と契約して異世界を生き抜く!!(旧題: 漆黒の執行者)

サクえもん

第三十三話 結婚式

 (優。 今教会の中にある控え室にいるんだけど、 そろそろ入れ替われない?)
 (わかった。 なら俺が指示する場所にワープの魔法を使って、 穴を開いてくれ)


 「優ちゃんどうしたの?」
 「わ、 悪い。 ちょっとお腹の調子が悪いから姉さんは、 ここで待っててくれ」
 「別にいいけどなるべく早く戻ってきてね」


 悪い姉さん。
 姉さんがこの時間をどれだけ楽しみにしていたかわかっているんだが、 今のタイミングで入れ替わらないと大変なことになる予感がするんだ。
 だから許してくれ。
 俺は、 その後男子トイレに入りルーにワープを使ってもらい入れ替わった。
 そしてルーたちの今の状況も聞いた。
 ルーが言うには、 今アリシアは、 ウエディングドレスに着替えているらしい。
 そして俺も純白のタキシードに着替えなくてはいけないらしい。
 俺は、 その話を聞いた後こちらの事情についても話した。


 「じゃあ、 ルー。 姉さんのことは、 頼む。 姉さんも勘がいいからボロが出ないように気おつけろよ?」
 「うへへへ。 優が着てた服だ! 優の匂いがすごいする!」
 「おい! 匂いを嗅ぐな! そんなことより本当に頼んだぞ!」


 俺は、 そう言いながら、 ワープで作られた穴へと入り教会についた。
 そして俺は、 用意されていたタキシードに急いで着替えた。


 「よし。 これで準備は完了だ」


 俺が、 そう言うと部屋がノックされた。


 「ファントム様。 着替えは、 おすみでしょうか」
 「ええ、 大丈夫です」
 「そうですか。 なら部屋からでて私についてきてください」
 

 俺は、 そう係の人間に言われ部屋を出てついって行った。
 教会の中は、 とても広く、 ステンドグラスがとても綺麗だった。
 そして俺は、 神父の前までたどり着いた瞬間、 教会の入り口が開きウエディングドレスを着たアリシアが入ってきた。
 アリシアのウエディングドレス姿は、 アリシアの赤色の髪を白色のウエディングドレスが引き立たせていて、 とても似合っていった。
 「よくお似合いですよアリシア」
 「そ、 そうか! それならよかった!」
 

 そう言った後、 神父が言葉を言い始めた。


 「汝ファントムは、この女アリシアを妻とし、 良き時も悪き時も、 富める時も貧しき時も、 病める時も健やかなる時も、 共に歩み、 他の者に依らず、 死が二人を分かつまで、 愛を誓い、 妻を想い、妻のみに添うことを、 神聖なる婚姻の契約のもとに、 誓いますか?」
 「誓います」
 「汝アリシアは、この男ファントムを夫とし、 良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、 病める時も健やかなる時も、共に歩み、 他の者に依らず、死が二人を分かつまで、 愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを、 神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」
 「誓おう」
 「皆さん、お二人の上に神の祝福を願い、 結婚の絆によって結ばれたこのお二人を神が慈しみ深く守り、 助けてくださるよう祈りましょう。宇宙万物の造り主である父よ、 あなたはご自分にかたどって人を造り、  夫婦の愛を祝福してくださいました。 今日結婚の誓いをかわした二人の上に、 満ちあふれる祝福を注いでください。 二人が愛に生き、健全な家庭を造りますように。  喜びにつけ悲しみにつけ信頼と感謝を忘れず、 あなたに支えられて仕事に励み、 困難にあっては慰めを見いだすことができますように。
また多くの友に恵まれ、結婚がもたらす恵みによって成長し、実り豊かな生活を送ることができますように」


 どうやら結婚式の時の神父が言う言葉は、 俺達の世界のものと同じらしい。
 その後俺たちは、 誓いのキスをすませ、 指輪の交換をすませ、  俺たちは、 城へと馬車に乗って戻っていった。
 俺は、 城に戻るまでの間にルーに姉さんとは、 うまくやれたのか聞いた。
 結果から言うと正体はバレなかったにしてもかなり疑わしそうな眼をされたが、 最後まで何とかなったと聞き、 ホッとした。
 また、 その時についでに今日は帰れないとも伝えた。
 それを聞いたルーは、少々寂しそうな声をだしていたが、 許可はしてくれた。  
 そして、 俺は、 城につくと夕食をとった後、 部屋に案内された。


 「なあ、 部屋に案内されたのは、 いいんだがなんでお前もいるんだアリシア?」
 「そんなの決まっているだろ。 ここが私とお前二人で使う部屋だからだ。 それに私たちは、 夫婦なのだから別に問題は、 ないだろ?」
 「まあ、 それはそうだが」
 「そんなことよりお前私との約束を破っただろう?」
 「な、 何のことだ?」
 「朝ここに来た人物。 あれは、 見た目こそお前だが中身は別人だっただろ? あれは、 一体どういうつもりだ?」
 「な、 何を言ってるんだ? 俺は朝からお前の隣にいたじゃないか」
 「嘘をつくな。 あれは、 絶対にお前じゃない」
 「なぜそう言いきれるんだ?」
 「理由か? 理由は、 私がお前に話しかけた時、 少々棘のある言い返しをしてきたからだ。 それと私のことをまるで親の仇のような目で見てきたからな」
 

 ルーさん。
 思いっきりボロだしてんじゃん。


 「だが、 今回は許そう。 何せ結婚式のときには、 ちゃんと帰ってきてくれたわけだしな。 まあ、 もし結婚式の時も帰ってこなかったら、 お前を肉片にしてやろうかと思ってたのだがな」
 

 そう言うアリシアは、 一切冗談を言っていない顔だった。
 やはり俺の予感は、 あたっていたようだ。


 「そう言えばこの部屋には、 風呂があるんだ。 お前も入ってきたらどうだ?」
 

 風呂があるのか! 最近風呂に入ってなかったから正直かなり嬉しい。


 「そうなのか。 じゃあお言葉に甘えて風呂に入らせてもらうよ」
 

 俺が、 そう言うとアリシアは、 何か企んでいるような顔をした。
 あれ? なんか前もこんなことあったような。
 まあ、 今は気にしても仕方ないか。
 風呂は、 俺が城に住んでた頃入っていた風呂よりさらに大きかった。


 「へえ。 こんなに大きいのか。 これは嬉しい誤算だな」
 「そうか。 それは、 よかった」


 あれ? 今ここには俺しかいないはずだよな。
 なのになぜアリシアの声がするんだ?


 「おい。 寒いだろ。 早く風呂に入らないか?」
 

 アリシアは、 一糸まとわぬ姿で俺の隣に立っていた。


 「おい。 なぜお前がここにいるんだ?」
 「別にいいだろう。 私だって今日は、 色々疲れたんだ。 だから風呂に入ってゆっくりしたい」
 「いや。 お前が風呂に入るのは、 別にいいんだが、 なぜ俺が入る時と一緒に入るんだよ」
 「ん? 別にいいではないかそんなこと。 それより背中を流してやるからそこに座れ」
 「だが……」
 「いいから黙って座れ。 男がいつまでもグダグダ言うんじゃない」
 「はい……」


 これなんてデジャブ?
 てかなんでこの姉妹は、 考えることが全く一緒なんだ?


 「そう言えばお前は、 風呂に入る時もその仮面を外さないのか?」
 「ああ。 俺の素顔は、 絶対に知られたくないからな」
 「それは、 私にもなのか?」
 「ああ」
 「そうか。 それは、 まるで私の事を信用されていないようで悲しいな」


 そう言ってアリシアは、 本当に悲しそうな顔をした。


 「悪いな。 俺は、 絶対に素顔を知られるわけにはいかないんだ」
 「そうか。 それで話は変わるのだが朝お前に化けていたのは誰なんだ?」
 「ああ、 それは俺の嫁だ」


 俺がそう言うとアリシアは、 俺の体を洗う手を止めた。


 「ん? どうした?」
 「おい。 私は、 お前から私以外に妻がいるなんて聞いてないぞ?」
 

 そう言うアリシアは、 かなり怒っていた。


 「いや、 だってお前の場合契約でつながっているだけのようなものだし、 それにお前俺のこと好きじゃないだろ? 」
 「ほう。 一つお前は、 勘違いしている。 お前は私がお前のことを好きじゃないと思っているようだがそれは、 大きな間違いだ」
 「は? じゃあ、 大嫌いか?」
 「お前は、 アホか! 好きでもない相手にこんなことをするか!」
 「ええと、 つまりお前って俺のこと好きなの?」
 「そ、 そうだ! そんなこともわからんのかこのアホが!」
 「ええ~だってお前が俺に惚れる理由が、 一切ない気がするし」
 「いや、 お前は、 私のことを思って本気で叱ってくれた。 そんな人間私には今までいなかったんだ。 お前の怒りには、 私の事を酷く行っている部分もあったが、 そんな怒りの中にも私は、 お前が私の事を大事に思って言ってくれたのだと感じた。 そして、 もし私が周りの人間に嫌われても一生愛してくれると言った。 私は、 そんなお前の優しさに惚れたのだ」
 「まじかよ。 お前って案外チョロイな」
 「チョロイだと! それでは、 私がまるで誰にでも股を開く尻軽女みたいではないか!」
 「実際そうじゃないのか?」
 「違う! それに男性に素肌をさらすのはお前が初めてだ! 正直かなり恥ずかしんだぞ!」
 「そうか」
 「む。 そんなことよりお前に私以外の妻がいたことのほうが重要だ! そしてそいつに今度会わせろ!」
 「なんでだ?」
 「どっちがお前の妻なのか身をもってわからせてやる!」
 「やめとけ。 何せ俺の嫁さんは、 六枚羽の悪魔だぞ? そんな奴にお前がかなうわけないだろう」
 「たとえかなわないと知っていてもこれだけは、引くわけにはいかないんだ!」


 正直こいつが、 ここまで一途に俺のことを思ってくれているとは、 予想外だったな。


 「何をニヤニヤしている?」
 「いや、 何。 お前が俺のことを愛してくれていると知って嬉しく思っただけだ。 俺は、 結構お前にひどいことを言ったと自覚しているからな。 てっきり嫌われているものだと思っていたよ」
 「お前は、 本当に女心というものがよくわかっていないのだな」
 「いやいや。 お前が特殊なんだよ」


 俺たちは、 その後たわいない話をした後、 風呂からでた。

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