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職業執行者の俺、 天使と悪魔と契約して異世界を生き抜く!!(旧題: 漆黒の執行者)

サクえもん

第二十五話 革命軍side アリシア・アーククラフト

 アーククラフト国の第一王女であるアリシア・アーククラフトが国王への反逆を決意した理由は、 偏に自身の妹に対する周りの扱いの酷さが原因である。
彼女が八歳になるころアリシアは初めて自分の妹と遭遇した。
彼女が初めて妹に会ったとき得た感情は恐怖であった。
何せユリシアは、 無表情で花を引っこ抜いていたのだ。
その様子を目撃したアリシアは、 自身の正義感からその行いを止めるよう妹に注意をした。
だが妹の目を見た瞬間アリシアは、 想像を絶するほどの恐怖を感じた。
ユリシアの目からはおよそ感情というものが読み取れず、 絶望しきった表情をしていたのだ。
アリシアは昔から父親に大変可愛がられながら育った娘である。
その為人間の黒い部分とは無縁の人生を過ごしてきたのだ。
そんなアリシアの人生とは対照的にユリシアは、 昔から大人たちから道具として利用され続け、 成長した今となっては道具としての価値もなくなった唯の化け物と蔑まされるだけの存在である。
そんな絶望しきった妹の様子を見てアリシアは、 逃げ部屋の中に引きこもってしまった。
だが引きこもっても尚アリシアはあの目を忘れることはできなかった。
そしてこのままではいけない思ったアリシアは、 自身の父親に昨日自身に起こった体験を話した。
すると王は、 顔を青ざめ二度とその少女に近づかぬようアリシアに言いつけた。
そんな父の様子にアリシアは、 疑問に思い理由を尋ねると王は、 あの少女が自身の妹であり、 化け物であると昨日会った少女の事を酷く罵り始めた。
 この瞬間アリシアは、 初めて大人の醜さや自身の愚かしさを知り、 今まで好きだった王に対し、 酷い嫌悪の感情を向けるようになった。
 ただし表面上では父の事が大好きな可愛らしい娘を演じていた。
 そんな自分に嫌気がさしている時アリシアは、 剣神ジーク・シュタインと出会った。
 ジークは一目見ただけでアリシアの演技を見抜き指摘した。
 アリシアは、 自身の演技にかなりの自信を持っていたがそれをあっさり看破されたことに驚きを隠せなかった。
 そして自分が何故このようなことをしているかを包み隠さず彼に話した。
 アリシアの話を聞き終えるとジークは、 静かに何度も頷き、 自身も同じ気持ちであると語った。
 そんな彼の言葉を信じることにしたアリシアは、 どのようにしたら妹を救えるのか彼に尋ねた。
 するとジークは困ったような顔をしながらも一つだけ解決策を提示した。
 その解決策とはアリシアが次期国王になることであった。
 それからアリシアは必死に努力をした。
 勉強に、 剣、 貴族社会で生きる上の作法などありとあらゆるものを身に着け、 いつしかアリシアは、 周りの人間から“姫騎士”などと呼ばれ慕われており、 次期国王に選ばれるのも夢ではないと言われていた。
 だがそんな彼女が次期国王に選ばれることはなかった。
 次期国王に選ばれたのは、 アリシアの二歳年上の兄であった。
 国王は、 王子のことを酷く溺愛していたのだ。
 当然そんな理由で納得できなかったアリシアは、 王に抗議した。
 だが“次期国王が女性だと反感を買いやすい”というただそれだけの理由でアリシアは、 選ぶことはできないという言葉が返ってきた。
 これによりアリシアの感情は嫌悪から憎悪に変わった。
 アリシアの父である王は、 国民に法外な税金をかけ、 私腹を肥やしていると国民からの悪評が凄まじかった。
 その噂を聞いたアリシアは、 国民の中から武闘派の者を集め革命軍なるものを組織した。
 革命軍には、 城の内部でも元々現国王に反対派であった剣神ジークや騎士団副団長であるシリウスなどの実力者も集めることに成功していた。
 そして今この瞬間反撃の狼煙は、 あげられた。


 「姫様。 皆準備できております。 この兵力なら王派の騎士たちにも勝てると思われます」


 ジークは、 アリシアの前で跪きながら反乱の準備が整ったことを伝えた。


 「わかった。  皆攻めるぞ! そして王を打ち取りこの国を変えるのだ!」
 「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」」」」」」」


 アリシアのその叫びに革命軍の面々も呼応するかのように大声を上げながら正面の門から突入した。
 そこからはしばらくは、 王派の騎士達と膠着状態が続いたものの見事攻め落とすことに成功し、 城の中に潜入することができた。
 だがアリシア達が城の中に入ると人の気配を感じることができず、 不気味な空気が漂っていた。


 「姫様。 何か城の様子が妙です。 人が一人もおりません」
 「ここは、 怪しんでも仕方がない。 ここは、 進むしかないだろう」
 「わかりました」


 今のアリシアはあまり冷静な状態ではなかった。
 それも当然である。
 昔からの自分の願いが今この瞬間にも叶おうとしているのだ。
 だがアリシアはすぐに冷静さを取り戻すこととなった。


 「な、 なんだこれは……」
 

 城の中は、 血の匂いは酷く、 至る所に人間の生首と胴体が転がっており、 一面血の海であった。


 「まさか私達より先に城に潜入したものがいるとでもいうのか?」
 「それは、 わかりません。 今はとにかく前に進むのが賢明かと思われます」


 ジークは、 この惨状を目撃しても尚動揺を見せることはなく、 いつもの自然体であった。
 そのおかげでアリシアも冷静さを取り戻すことができ、 周囲を警戒しながら前に進んだ。


~~~~~~~~~~~~~~


 あれから何事もなくアリシア達は、 城の中を進み、玉座の間の前にたどり着いたのだがその瞬間ジークから静止の声がかかった。


 「姫様。 この部屋の中から、 二つほど人の気配がします。 入る時は、 くれぐれも慎重にお願いします。 きっとこの部屋にいる二人がこの城の中の状況を作り出したと思われますので」
 「わかった」
 

 アリシアは、 首筋に多少の冷や汗をかきながらも扉の前に立ち、 ゆっくりと扉を開いた。
 するとそこには二組の男女がおり、 一人は自身の友人でもあるリーゼロッテ・ブリュンヒルドであった。
だがその隣には仮面をつけ、 全身黒色の装備を着こんだ怪しげな男性が立っていた。


 「やっと来ましたか。 少々時間がかかりすぎなのではないでしょうか?」


 男性は、 うんざりしたような声をあげたのだがそれがアリシアには腹立たしく、 怒ったような声を上げていた。


 「貴様何者だ?」
 「私の名前は、 ファントムと申します。 この国の第一王女様」


 ファントムは明らかに敬意の欠片も感じられないといった雑な礼をアリシアに対し行った。


 「さてまず初めに皆様にはこれをプレゼントしましょう」


 すると男は二つの無残な死体をアリシア達全員に見える位置に向かって投げた。


 「こ、 これは……」


 アリシアは当初その死体の正体が理解できなかったがそこは肉親と言うべきかよく見るとその死体が自身の父と兄であることが理解できた。


 「き、 貴様ぁぁぁ!」
 「おや? 元々あなた達も彼らを殺すつもりだったのでしょう? それをただ私が代わりにやっただけに過ぎないだけですよね? それでなぜ怒るのですか?」


 ファントムは、 心底不思議といった声を上げ、 首を傾げた。


 「貴様がやったのは、 人間の道理を完全に逸脱している!」
 「ふふふふふ、 あはははは!」


 アリシアのその言葉があまりにも可笑しかったのか男は大声で笑い始めた。


 「何がおかしい!」
 「これは失礼しました。 何せ人の道理を外れているといったあなた様の言葉があまりにも可笑しかったもので、 つい笑ってしまいました」
 「この惨状を人の道理が外れていると言わずしてなんというんだ!」
 「黙れよ。 小娘」


 その瞬間ファントムから凄まじい殺気が放たれジーク以外の全ての人間が地面に跪いていた。


 「一つ教えてあげましょう。 人を殺すことに道理を持ち出しては、 いけませんよ。 姫様。 何せ人殺しという行為自体人の道理から外れている行為なんですから。 そんな事に気づけないとは、 あなたはやはり王の器を持った人間じゃありませんね」
 「貴様ぁぁぁぁぁぁぁ!」


 アリシアは、 自身の事を馬鹿にされたことに耐え切れなくなり、 腰にさげていた剣を引き抜きファントムに向け正面から切りかかった。
 だがそのような読みやすい攻撃は、 当然通じるわけなく剣をあっさりはじかれてた。


 「はあ……あなたには少々期待していたのですが、 どうやら期待外れのようですね。 たかが少し自分の言い分を否定されただけで怒るなんて、 これではただの子供じゃないですか。 まあしかしそのほうが可愛げは、 あるのでよしとしましょう」
 

 アリシアは、 この時自身の生き方そのものを否定されたようで悔しさを感じられずはいられなかった。
 

 「さて姫様。 ここらで私の目的を明かしておきましょうか。 私の目的はですね。 姫様。 あなたを妻に欲しいのです。 要は求婚に来たのですよ」
 「は?」


 アリシアは、 ファントムの言った言葉の意味は頭では理解してはいるもののあまりの予想外の出来事につい間抜けな声を漏らしてしまった。

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