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職業執行者の俺、 天使と悪魔と契約して異世界を生き抜く!!(旧題: 漆黒の執行者)

サクえもん

第二十二話 二つ名

 優は部屋の前につくと部屋の前の扉でノックをした。
 するとすぐさま雪の返事が聞こえ、 優は部屋の中にゆったりとした足取りで入室した。 
 

 「おはよう雪」
 「おはよう優君」
 「姉さん達は、 まだ寝てるのか?」
 「ううん。 もう起きてるよ。 それよりも一つ気になることがあるのだけれど……」
 「もしかして俺臭い?」
 「うん。 でも臭いとは言っても体臭じゃなくて血生臭いってだけだから」
 「え、 嘘だろ?」


 確かに優には、 ルーの血が多少付着はしたがそれはごくわずかなものでありとても匂いだけでは判別できるものではない。
 その為優は顔から冷や汗を流さずにはいられなかった。


 「う~ん。 どうやら私の気のせいだったみたいだからあまり気にしないで」
 「あ、 ああ」


 優はこの時内心安堵し、 今後はもっと注意して行動しようと心に誓った。


 「あ、 お兄ちゃん!」
 

 胡桃は優を見かけると一目散に優の元へ駆け寄った。


 「おはよう胡桃」
 「おはよう! 今日も頑張ろうね!」
 「ああ」


 優がそのまま自然な仕草で胡桃の頭を撫でようとした瞬間詩織とシアが声を掛けてきた。
 

 「おはようございます。 優さん」
 「おはよう優ちゃん」
 「お、 おう。 二人ともおはよう……」
 「ねえ優ちゃん今何しようとしていたの?」
 「何って胡桃の頭を撫でようと……」
 「優さん。 頭を撫でたいなら奴隷である私の頭を撫でればいいじゃないですか」
 「あ、 ずるいわよ!」


 そう言うと詩織とシアは優に向かって頭を差し出し、 自身の頭を撫でるよう何度も催促してきた。
 優はその二人の様子に呆れるほかなかった。


~~~~~~~~~~~~~~~


 あれから優たちは食事をとった後、 今日は全員で冒険者ギルドで働こうという話に落ち着いた。
 その際優は他の面々と階級が違う為別行動をするといったことも取り決めていた。


 「おい! 純白のバーサーカーが来たぞ!」
 「今日は、 四人も女を連れてるぞ!」
 「リアルハーレム野郎なんて死んじまえ!」
 「ウホッ、 いい男!」


 -うわ~やっぱりこうなったか……
 優はかなりのイレギュラーが重なり、 昇格した人間である。
 その為元々注目されるとは予想してはいたのだがまさかギルド全員の人間に注目されるとは予測しきれなかった。


 「てか純白のバーサーカーってなんだよ完全に中二病患者じゃないか……」
 「あ、 ユウさんおはようございます」
 「おはようリサ。 それで一つ聞きたいんだが俺の事を見て皆変な名前で呼ぶんだがあれって何?」
 「それはきっと二つ名の事ですね」
 「二つ名?」
 「はい。 冒険者は、 A級以上になると二つ名がもらえるんです。 例えばS級冒険者のシュバルツさんは、 その戦闘スタイルから“雷光”なんて二つ名がついてるくらいですから。 あと言っておきますけど二つ名を持っている冒険者はとても光栄なことなんですよ? 何せそれだけ実力を認められているってことですから」


 リサは無い胸を張りながら自身ありげにそう言った。


 「へぇ。 それでなんで俺の二つ名が“純白のバーサーカー”なんだ?」
 「それはですね。 昨日優さんが起こした騒ぎが原因ですよ。 ユウさんって顔だけ見ると大人しそうですし、 それに力も全然なさそうじゃないですか」
 「お前なかなか失礼なこと言ってる自覚ある?」
 「まあまあそれぐらいで怒らないでくださいよ」
 「いや。 怒ってはないが……」
 「それぐらいわかってますよ。 だって怒ったときのユウさんめちゃくちゃ豹変するじゃないですか」
 「あ、 なるほど。 それでバーサーカーか」
 「流石優さん物分かりがいいですね」
 「あいつ今度は受付嬢を口説いてるぞ!」
 「あんな美人を沢山連れておいてリサちゃんまで口説くなんて最低な奴だ!」
 

 -人の事好き勝手言いやがって!
 ただこの程度で怒っていては大人気ないと優は分かっているので優は必死の作り笑顔でその場を乗り越えようとした。
 

 「そ、 それで俺の二つ名を決めたのは誰なんだ?」
 「ユウさん! 顔! 顔が怖いです!」
 「あはは! 気のせいだよリサちゃん」
 「いや絶対怒ってますよね!」
 「怒ってないって。 だから早く俺の二つ名をつけた奴を言いやがれこの野郎」
 「あのえと優さんの二つ名をつけたのはですね……」
 「それはこの俺だ! “純白のバーサーカー”君!」
 

 アレックスは優を馬鹿にしたような態度でそう言った。
 そんなアレックスの様子に優は等々我慢しきれず、 怒りを爆発させた。


 「犯人は、 貴様か!」


 優は自身の渾身の力を秘めた拳をアレックスの腹めがけ放った。


 「グハッ!」


 優の放った拳は見事アレックスの溝内を捉え、 アッレクスは痛みのあまり地面に崩れ落ちた。


 「ふ~。 すっきりした」
 「相変わらずギルドマスターに対して容赦ないですね」
 「まあな。 この爺案外タフだからサンドバックにちょうどいいんだよ」
 「そんな理由で、 俺を殴るんじゃない!」
 「お、 なんだ。 もう回復したのか」
 「なんだよその嫌そうな顔は!」
 「別に。 それでギルドマスター様が一体俺に何の用だ? まさかただ俺に対する嫌がらせだけで来たわけじゃないだろう?」
 「当たり前だ。 今日は、 お前が指導するやつを紹介しようと思ってな」
 「なんだ。 そんなことか。 それで俺が指導するやつは、 どこにいるんだ?」
 「そこだ」


 アレックスが指さした先には、 十歳ぐらいの子供が二人いた。


 「まさか俺が指導するのってあの子供達のことか?」
 「そのまさかだ。 彼らの名前は、 ヤマトとサクラ。 どうやらここから東に行ったほうにある町出身の子でな。 名前がお前と似たようなこともあり、 お前に是非指導をお願いしたい」
 「あいつら、 あの年で冒険者になるって何か事情でもあるのか?」
 「その辺は、 俺からは言えん。 知りたかったら本人たちから聞くんだな」
 「わかったよ。 じゃあ今からあいつらと接触してくるわ。 それとリサ。 あそこに座っている俺の連れ四人におすすめのクエストを紹介してやってくれ」
 「わかりました!」
 

 ~~~~~~~~~~~~~~


 「おい、 お前達がヤマトとサクラか?」
 「なんだよ? あんた? 俺は、 俺たちの指導してくれる人を待ってんだよ。 要件がないなら話しかけんじゃねぇよ」


 -中々生意気そうなガキじゃないか
 ユウは別に子供が嫌いというわけではない。
 むしろ好きな部類と言ってもいい。
 その為これほど生意気な口を言われてもたいして怒りを感じることはなかった。
 

 「ちょ、 ちょっとヤマト君……」


 -ふむ。 こいつがサクラか……
 サクラと思われる少女はヤマトの後ろに隠れており、 気がいかにも弱そうな少女であった。


 「なぁヤマト。 もしも俺がお前らを指導する人だと言ったら?」
 「は? 馬鹿言うんじゃねぇよ。 あんた見るからに弱そうじゃないか」


 優はヤマトのその言葉に挑戦的な笑みを浮かべた。


 「なら試してみるか?」
 「試すってどうやって?」
 「ルールは至ってシンプル。 今から俺はお前に向かって一撃拳を放つ。 たったそんだけだ」
 「は? そんだけか?」
 「ああ。 それで多分お前は俺の実力を理解できる」
 「その言葉本当だろうな?」
 「もちろん」
 「わかった。 そこまで言うならあんたの条件飲んでやるよ」
 「よしそれじゃあ構えろ。 それから防御系の魔法が使えるなら全力で使え」
 「なんでだ?」
 「なに、 単純なことだよ」
 

 次の瞬間ヤマトは壁まで吹っ飛んでいった。


 「ヤ、 ヤマト君!」
 「いててて……一体何が……」
 「意識はあると。 うん。 お前かなり優秀だな」


 優が今したのただ拳を全力で放っただけである。
 ただその拳はヤマトには当たっておらず、 ヤマトは優の拳を放つ際に生じた拳圧のみで吹っ飛んだのだ。


 「おい。 大丈夫か?」
 「ああ。 それよりも! あんた俺に何したんだ!」
 「年長者に対して“あんた”は少し失礼じゃないのか? 俺の名前はユウだ。 これからはそう呼べ」
 「ああ、 わかったよユウさん。 それでいったい何を知ったのか教えてくれないか?」


 ーおっとコイツ自身の認めた相手にはちゃんと礼儀を払えるのか。 それは感心だな
 優はこの時ヤマトの評価を上げた。
 

 「俺がしたことなんてただお前に向かって全力で拳を放っただけだよ。 でも拳本体は当たってないけどな」
 「なるほど。 全然わからん」
 「まあ普通はそうだわな。 てかそんなことより俺の実力についての方はちゃんと理解できたのか?」
 「当然。 ユウさんの言っていることが本当で、 これから俺たちのことを指導してくれる“純白のバーサーカー”だってことはよくわかったよ」
 「ならいい。 それと俺のことを二度とその名で呼ぶな。 次その名で呼んだらお前を殺すからな?」


 優は本気の殺気を込めヤマトの事を睨んだ。


 「わ、 わかりました……」
 「よろしい。 それでお前の隣にいるのがサクラでいいんだよな?」
 「は、 はい。 サクラと言います」
 「そうか。 よろしくな。 さてとりあえず今から、 お前らには俺とモンスターを狩りに行ってもらおうと思う」
 「狩るって何をですか?」
 「ゴブリンだよ。 どうせお前らまだ生物の命すらとったことないんだろ? それならまずゴブリンを狩って慣れないとな。 ちなみに俺も最初は、 ゴブリンを狩っていた。 さて余分な話は終わりだ。 さっさと行くぞ」


 それから優は、 ヤマトとサクラを連れ冒険者ギルドを後にした。



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