転移したらダンジョンの下層だった

Gai

百二十九話実験成功

「さて、戦い方を変えて遠距離戦といこうか」

試してみた事を思いついた為、ソウスケは作戦を変えてクイーンスナイプビーからつに二距離を取る事にした。

「試す前に死んでくれるなよクイーンスナイプビー」

先に動いたのはソウスケだった。先程までと同じように双剣から風の刃を放ち胸部は狙わず、頭部と腹部に当たる様に攻撃をした。

放たれた風の刃の速度はナイトスナイプビーの時と変わっていないため、ナイトスナイプビーより速さが上のクイーンスナイプビーは難なくとはいかないが、攻撃を掠る事無く避けていた。

ソウスケから放たれる風の刃が途切れ次第、クイーンスナイプビーは攻撃に転じようと考えていた。
いくらクイーンスナイプビーがナイトスナイプビーより速いとはいえ、自分に向かってくる全ての風の刃を避けて無傷でソウスケに攻撃する事はリスクが高かった。

クイーンスナイプビーは少しの間、攻撃に移るチャンスを待っていた。
だが、風の刃は中々途切れなかった。

ソウスケの魔力の量は確かに多いが無尽蔵という訳では無いが多い方だ。だからと言って永遠に風の刃を放ち続けられる訳では無い。
その事はソウスケも理解しているため、風の刃に少しだけ工夫をした。

風の刃は基本的に殺傷能力が高いが横幅の攻撃範囲が狭い。向かって来る線させ ←??気を付け、ある程度の動体視力と速さがあれば避ける事が出来た。

その事もソウスケは承知しているため、ただでさえ攻撃範囲が狭い風の刃の横幅を更に狭めた。
ただそれだけの事だが消費する魔力は三分の一程まで減り、魔力の消費を気にする事無く乱射する事が出来た。

風の刃が途切れない事に対してクイーンスナイプビーは焦る事なく作戦を変えた。

「ッ!! なるほど。取りあえず俺と同じ戦法で戦うつもりか」

ソウスケは根競べになるかもなと思いながら休まず風の刃を放った。

クイーンスナイプビーは自身の針を使い、ソウスケと同じく風の刃を放ち始めた。今この場でソウスケの技を真似たのか、そもそも元から風の矢を放つ事が出来たのか。おそらくソウスケの魔力の消費を抑えられていないため後者の筈だが、ソウスケの攻撃を避けながら攻撃を放つ様子にぎこちなさは一切無く、スムーズな動きでソウスケに風の刃を放っている。

お互いに風の刃を放ち風の刃を躱す攻防の中、ソウスケは新しく試してみたい内容が頭の中に浮かんだ。

(・・・・上手い事決まれば、もしかしたら一撃で勝負が決まるかもしれないな。でも、それだと俺が試したいことが事が出来なくなるんだよな~~~・・・・今回はやめておこう)

ソウスケはお互いの攻撃により視界が悪くなったことを利用して試してみたかった事を行動に移した。

遠距離攻撃の方法を風の刃ではなく風による突きに変えた。

攻撃範囲が風の刃と比べ圧倒的に狭くなったが、速さは風の突き・・・・弾丸の方が一段上で魔力の消費量も低く連射の速度が上がった。

クイーンスナイプビーは自身の風の斬撃をソウスケへの攻撃から、風の弾丸へ相殺に変えたが全てを避けることは出来ずに少しずつだが傷が増え始めていた。

ただ、ソウスケもただ双剣の刃先から風の弾丸を出しているのでは無く、腕を前に突き出して放っているため疲労感が無い訳では無かった。

それから数分間同じ状況が繰り返される中、片方に異変が起きた。

それは外から見ているミレアナも気づくのが遅れる程僅かな物だった。

「・・・・・・クイーンスナイプビーの動きが遅くなって来ていますね。体力削られて・・・・という考えはあり得ないですね」

人やその他の種族と比べ、圧倒的なまでの体力を持つモンスターに体力切れは考えられず、ミレアナは一人と一体の戦いの最中に気づいた異変が原因なのではと思った。

二人が風の魔力しか使っていないため、他の属性魔力を使えば少量であってもどの属性までは分からずとも、他の魔力を使っている事には気が付く。
クイーンスナイプビーの状態からミレアナはソウスケが相手にどんな攻撃を仕掛けたのかある程度予測がついた。

「おそらくクイーンスナイプビーと同じように毒の様ですね。麻痺の効果が付いていれば目に見えて隙が出来る。でもそうでなく、徐々に動きが悪くなっているところを見るとどうやらクイーンスナイプビーの針と同じく、毒を使ったみたいですね」

ミレアナの考えは正しく、ソウスケは双剣の握り方を少し変えて指先から少量の毒を飛ばしていた。
全て喰らったわけでなく、量も少量ずつという事で直ぐに効果は出なかったが効果は確実に表れ始めていた。

自分の試した事が上手くいった事を確認できたソウスケの口端は吊り上がり、良い笑みを浮かべていた。

「目には目を、歯には歯を、風には風を、毒には毒ってな」

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