転移したらダンジョンの下層だった

Gai

百八話周囲への配慮も

「・・・・・・ソウスケさん、魔力の扱いがとても上手ですね」

「そうか? まぁ、こういった魔力の使い方でこんなのも作ったからな」

一旦作業をしている手を止め、アイテムボックスから木で作られたゴブリンにウッドモンキーとリザードマンのフィギュアを取り出した。

「どうだ? 俺的には中々の力作だと思うんだけどな」

「お、おぉ~~~~~!!! と、とっっっても凄いですよソウスケさん!!! こ、このゴブリンやリザードマンの木の人形も今と同じように風の魔力を使って作ったんですか!?」

ミレアナはソウスケの作品のあまりのリアリティーに、思わず感嘆の声を上げた。
そして先程までと同じように、ソウスケの指先に集まっている風の魔力に注目していた。

「お、おう。危ないからあまり顔を近づけるなよ」

ソウスケの指先には電動ノコギリの様に回転しており、魔力を一定量以上の消費をせずに動き続けている。

「このフィギュア・・・・・・人形にも色を塗りたいから白に黒と茶だけじゃなくて、いろんな色を買っておくか」

アイテムボックスにフィギュアをしまったソウスケは再び作業を再開し、集中し始めた。
その横でミレアナは飽きる事無く、ソウスケの作業を見続けた。


「よし、終わった終わった。数は多かったけど形はやっぱりチェスと比べて複雑じゃないから楽だったな」

モンスター、チェスの駒と複雑な形を作って来た事でソウスケの工作のレベルも上がり、魔力操作等の慣れもあり二十分程で縦横八マスの計六十四マスのボードと六十四個のメダルが完成した。

「このたくさんのメダルで挟んで 遊ぶんですか?」

ミレアナはソウスケの言葉通り二つのメダルの間に一つのメダルを挟み、これの何が遊びなのかが全く分からず首を傾げていた。
そんなミレアナの天然な様子にソウスケは少し吹き出してしまった。

「ぷっ、はっはっは。そういう挟むって意味じゃないぞ。本当はこのメダルにも片方に黒、もう片方には白の塗料を塗るんだ」

そう言うとソウスケは三枚のメダルをボードのマス目に置いた。

「まず二つのメダルがある。左が白で右が黒だ。自分のターンの時に白の隣に黒を置く。そうすると白のメダルが二つの黒のメダルに挟まれている状態になるだろ。こうなると真ん中の白のメダルが裏返り黒になるんだ。ちなみに最初にどちらが黒が白を使うかを決めるんだ。それで最終的にメダルが多い方が勝ちって事になるんだ。細かいのは・・・・・・また後で教えるよ」

メダルを一か所にまとめたソウスケはチラッと窓を見て、まだ日が沈んでいない事を確認した。

(まだ晩飯までには時間が掛かりそうだな・・・・・・よし、まだ木で作れそうな娯楽を考えるか)

そこで自分が作れる可能性がある娯楽の道具を作るのに時間を費やしていたら、ミレアナが完全に暇だろうと思い、余っている木をミレアナに渡した。

いきなりソウスケから木を渡されたミレアナは訳が分からず、首を傾げ困っていた。

「俺は晩飯の時間になるまでもう少し自分で作れそうな娯楽を考えるから、その木で俺と同じことをやってみたらどうだ? 魔力操作の良い鍛錬になると思うぞ」

「わ、分かりました!! 是非挑戦してみます!!!」

ミレアナは嬉しそうに顔を緩ませながら、早速指先に風の魔力を集中させてソウスケの様に刃状にして回転させ始めた。
そしてソウスケは眼を瞑り、自分で作れそうな娯楽を考え始めた。

(何があるのか・・・・・・ジェンガは出来そうだな。オセロと一緒で大きさを均等に切っていけばいいだけだからな)

案としてまずジェンガが出てきたが、崩れた時の音の大きさからしてソウスケはセルガ―に提供すべき娯楽かどうか悩んだ。

(ジェンガ崩れる音と、喘ぎ声プラスベットが軋む音・・・・・・どっちがうるさいんだろうな。というかそもそもやる部屋と、リフレの部屋はしっかりと場所が分けてあるのか?  だとすればあまりそこら辺は気にしなくていいのかもしれないな。まぁ、そこら辺は今度会った時に全て聞いておくか)

再び自分が作れる娯楽について考え始めたソウスケが次に思いついたのはすごろくだった。

(すごろくなら音とかは気にしなくて良さそうだな。必要なのはボードとサイコロが一個づつとコマが二個。マス目の内容を考えるのは面白そうだから楽しく作れそうだな)

作る物が少なく内容を考えるのが楽しいため、ソウスケの中ですごろくを作る事が即決された。

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