転移したらダンジョンの下層だった

Gai

七十六話女じゃなく、男に後ろから刺されるかもな

ガキ大将冒険者達がギルドから出て行くと、ギルドにいた他の冒険者やギルド職員からソウスケへ拍手が送られた。拍手の中にはソウスケへの称賛の声もあった。

突然の自分への拍手にどうしていいか分からず、ソウスケは取りあえず周りにペコペコと頭を下げていた。

(いや、ただ降りかかった火の粉を振り払っただけなんだけどな。まさか拍手される事になるなんてな。まぁ、それ自体は良いんだけどな)

ダレかに拍手を送られ、称賛の言葉を貰う事自体は全く嫌ではなく、寧ろ嬉しかったのでソウスケとしては照れてしまうが、気分は良かった。
ただ、一つだけソウスケの心の中で不安が残っていた。

(ここで追っ払ったのは良かったけど、あの人達がこれから俺にどう対応を取るのか少し気になるな。結構大勢の前で恥をかかせたからな、もしかしたら夜道に奇襲を仕掛けて来て俺を半殺しに・・・・・・もしくは殺しに来るのもない事はないだろうな。無駄にプライドがありそうだし)

自分自身に攻撃を仕掛けてくるなら金玉を二つとも潰して、一生女を抱けなくするぐらいで済まそうとソウスケは思ったが、もしセーレやメイに手を出して自分を呼び出し、何かしようとするなら殺しはしないが色々と公開させてやろうと考えた。

(流石にギルドの受付嬢に危害を加えるって事は、ギルドに喧嘩を売るってことに近い事ぐらいあいつ等も分かるとは思うけど・・・・・・ヤバい。俺の今の考えって、中々フラグ的なものじゃないか? ・・・・・・はぁ~~、取りあえず面倒な事にだけならないといいな)

拍手の嵐を受けながらソウスケとセーレとメイはギルドを出て、セーレの家へと向かった。
ソウスケは気づかなかったが、セーレとメイはギルドの受付嬢の中でもトップレベルで頭が良い。そして冒険者の中でもルーキー、ベテラン問わず二人も自分の彼女、または嫁に考えている者は多い。
それ故ソウスケが二人から身の程をわきまえないガキ大将冒険者達を追い払ったとしても、二人と一緒に夕食を食べるソウスケは嫉妬の対象には変わりなかった。

結果、ソウスケはガキ大将冒険者達だけでなく他の冒険者達に対しても気を付けなければならくなった。


「先程は本当に助かりました。もう一度礼を言わせてください、本当に有難う御座います」

「わ、私もソウスケ君が助けに来てくれて本当に嬉しかったよ! 本当にありがとね」

セーレとメイに改めて礼を言われたソウスケは二人の笑顔に照れながらも、そんな大した事じゃないですよと謙遜しながら眼を晒していた。
特に動くたびにタプタプと揺れるメイの巨乳ならぬ魔乳から。

(っ~~~~~、なんでこうもメイさんは無防備なんだろうな。恐らくだけどメイさん今までにたくさんの人を勘違いさせてきたんだろうな)

ソウスケは頬を赤らめながら二人に言葉を返した。

「と、取りあえず二人に何も怪我とかが無くて良かったです」

「そうですね。私は元冒険者なので何とかなりますが、メイはこれといって戦闘系のスキルや魔法は持っていませんからね」

「うっ! す、すみません。私は冒険者上がりの受付嬢ないのでそういった事にはと疎くて」

セーレから受け取り方を変えれば、あなたがいなければ私だけで何とか出来ましたというセリフに、メイはガックリと肩を落としながら落ち込んだ。

「・・・・・・やっぱり少しはそういった技能を身に付けた方がいいんでしょうか?」

「私は受付嬢としての仕事があって時間が自由な時間がそこまでないのは分かりますけど、少しは自衛の術があった方が絶対に良いと思いますね。ソウスケ君はどう思いますか」

話を振られたソウスケはう~~~んと唸りながら、五秒程考え込み答えを出した。

「俺は、セーレさんと同じ考えですね。世の中何が起こるか分からない、絶対なんて事はない。なのでやはり自衛の術はあった方が良いと思いますね」

何時か聞いた漫画の言葉をそのままパクって自分の考えをメイに伝えた。
自分がこの世界に転移する前に住んでいた日本ならば、正直護身術とかは身に付ける必要はあまりないだろうが、今ソウスケがいる世界は命の重さが日本・・・・・・地球より軽く、簡単に人が死ぬため護衛の術は覚えておいて損は無かった。

二人の意見を聞いたメイは二人の考えが正しいという事は分かるが、セーレの言うように仕事がない短い自由時間でどう護衛の術を覚えたらいいのかが分からなかった。

「確かに二人の言う通り、何かしらの護衛の術を覚えた方が良いかもしれないですね・・・・・・それはそうとして、ソウスケさんってあんなに強かったんですね」

メイの無理やり変えた話の話題に、喉元に針が突きつけられている様な気分になった。

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