転移したらダンジョンの下層だった

Gai

三十七話アガレス達の先輩

自分の方に向かって歩いて来る四人組に、ソウスケは少し警戒態勢を取った。


(男二人と女二人。ロングソードと片手剣の前衛、弓と杖・・・・・・魔法の後衛か。バランスの良いパーティーではあるな。アガレス達を一回り二回り強くした感じだな。さて、俺はこの街に来てからの知り合いはアガレス達四人と、受付嬢のメイさんとセーレさん。そんで解体士のガンディスさんぐらいなんだけどな・・・・・・別に恨みを買うようなことも、してない筈だし)


警戒態勢を取りながらも、ソウスケの頭の中は困惑だらけだった。


「えっと、そんなに警戒しないでくれると嬉しいな。アガレス達の先輩冒険者って言えばいいかな。アガレス達をボルトの上位種から助けてくれたことの、お礼を言いたくてね」


アガレス達の先輩冒険者という言葉の時点では、まだ目の前の四人の事を信用していなかったが、アガレス達を襲っていたモンスターの名前を知っているので、ソウスケは警戒を解いた。


「そうですか。まぁ、その事はあまり気にしないでください。俺がたまたま通りかかっただけなんで。あっ、アガレス達から聞いているかもしれないですけど初めまして、ソウスケって言います。冒険者のランクはHです。数日前に冒険者になったばかりです。よろしくお願いします」


ソウスケが自己紹介をしたことで、四人組の冒険者も自己紹介をした。


「僕の名前はライガンって言うんだ。冒険者のランクはDだよ。こちらこそよろしく」


「俺はガインって名前だ。アガレス達を助けてくれてありがとな、ソウスケ」


「私の名前はマーサよ。エルミ達を助けてくれてありがとね」


「私はニーナ。ケイは特に重傷だったて聞いた。ケイ達を助けてくれて本当に有難う。そして君の魔法に着いて質問がしたい」


ズイっと、杖を持った背が小さいニーナが、いきなりソウスケに詰め寄ったことで、ソウスケはどうしたらいいのか全く分からなかった。


「えっと、あの・・・・・・どうしたら良いんですか?」


「ああ、すまないね。ニーナは見た目通り魔法使いなんだ。だからアガレス達に聞いた、ソウスケ君とコボルトの上位種達が戦ってる様子を聞いて、ソウスケ君本人に聞きたい事か出来たらしいんだ。というかニーナ、僕達とソウスケ君はあくまで初対面なんだから、その態度は失礼だろ」


「む、確かに良くなかった。ごめんなさい」


「あ、いえ。どうも」


素直に引いたニーナを見て、常識はある人なんだなとソウスケは思った。


「だから、後で教えてほしいことがある」


(前言撤回、この人多分、自分が知りたいことを聞けるまで諦めないタイプの人だ。悪気はないんだろうけど・・・・・・ちょっと苦手なタイプの人だな)


もう一度ソウスケに、魔法についての情報を求めるニーナを、身長百八十センチほどあるガインが、ローブの首の根っこを掴み、後ろにどかした。


「だ・か・ら。俺達はソウスケにお礼をしに来たんだぞ。それは一旦置いとけっつの」


「・・・・・・ガインだって、モンスターとの戦いのときは、たまにマーサの言う事を聞かずに、一人で突っ込むくせに」


「阿保か! それとこれでは話が別だ。それに俺に場合は、いけるとおもっと時しか突っ込んでねぇよ!」


ガインとニーナ。二人の口喧嘩が始まりそうになった時、後ろからマーサが二人にチョップを決めた。


「あんた達、口喧嘩するのは別に構わないけど、それは後にしなさい。それで、お礼の事なんだけど、私達と一緒にこれから夕食を食べない?」


マーサの提案に、今日の夕食を驕ってくれるのがお礼と分かったソウスケは、特に断る理由は無いので、ライガン達の後に着いて行った。
そして、ギルドから十分程離れた距離にある料理店に、ソウスケ達は入った。
中の様子はこれから夕食時と言う事もあり、かなり賑わっている。


「よし、席はここにしよう。ソウスケ君、今日は僕たちの驕りだから好きなものを食べてくれ」


「分かりました。お言葉に甘えさせてもらいます」


ソウスケはメニューが書いてある紙を見て、主食二つと飲み物を頼んだ。
その後、ライガン達も、モンスターのステーキやシチューにサラダ、スープと各自で頼んだ。


そして注文が届くと、夕食を食べながら会話へと入った。


「もぐもぐもぐもぐ、うぐ。・・・・・・それで早速聞きたい。ソウスケはどうやって並列詠唱をその若さで出来る様になったの?」


「それは私も気になっていたわ。内容は正直半信半疑だけど、覚え方が本当に効果があるなら、ニーナの戦力アップにも繋がるしね」


ニーナの早速の質問に、ソウスケはどう答えようか迷った。というか困った。

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