異世界を楽しみたい転生者

Gai

少年期[278]他の街と比べて

「・・・・・・バーコスの街程じゃないけど、結構活気があるな」

「そうね。ドーウルスの街から結構離れているけど、冒険者の数もそこそこいるわね」

ゼルート達が訪れた街は少し前に護衛依頼の為に向かった街バーコスと、拠点にしている街のドーウルスと比べれば特に特筆すべきところは無いが、それでも一般的な街に比べれば多くの物が揃っており住人の数も遥かに多い。

「ゼルート様達はもしかしてバーコスの街にあるダンジョンに挑まれていたのですか?」

「まぁ・・・・・・そうですね。挑んでいたって訳じゃ無いですけど、似たようなものですね」

事実は挑んだのではなく、依頼主のサポートをしていたのだが本当の事を言う必要は無い。
尋ねて来た兵士もゼルートが本当の事を言っていないと解ったが、無理に真相を聞こうとはしなかった。
というよりも、客人であり自身の主から絶対に刺激してはならないと言われているので、聞きたくても聞けないのが本音。

「冒険者の数はまだそんなにこの街を散策していないので大まかな数もいまいち分かりませんが、ダンジョンがあ目指し他の街からてやってくる冒険者も含めるとバーコスの方が多いですね」

「なるほど・・・・・・やはりダンジョンがある街は羨ましいですね」

ダンジョンから手に入る魔物の魔石や素材、宝箱から手に入る財貨やマジックアイテムの事を言っているのかゼルートには解らなかった。

(両方の可能性が高いな。わざわざ外に出なくても魔物と戦う事が出来る。あまり外に出て魔物と戦わない兵士にとっては体が鈍らない良い環境ではあるな)

ゼルートは父親からダンジョンを複数所有するダンジョン都市と呼ばれている街があると言われた事を思い出し、つい先日ダンジョンに潜っていたのにも関わらずもう一度ダンジョンを探索したいという思いが溢れ出す。

(まぁ、そういった街に行くのもありだと思うけど、一回バーコスのダンジョンで発見した隠し部屋を確認しておきたいんだよな)

前回護衛依頼の途中という事もあり、入るのを断念したがもう一度行く機会があればゼルートは是非隠し部屋に入ってみたいと思った。

「確かにそうかもしれませんね。でもダンジョン内で殺人行為が起こった場合、死体はダンジョンに吸収されるか魔物に食べられてしまうのでかなり厄介な面倒事になりますよ」

「それは考えていませんでしたね。そうなってしまうと街の評判を落とす原因になりかねませんね・・・・・・ゼルート様の言う通り良い事だけではありませんね」

「いえいえ、半分ぐらいは父さんからの受け売りなんで。それと・・・・・・一番訊いておきたい事があるんですけど良いですか」

領主の住む館に向かうまでにゼルートは兵士に一つ訊きたい事がある。

「私が話せる内容であれば答えますよ」

「有難うございます。えっと・・・・・・自分の従魔、ゲイルを自身の護衛にしたいと言っている娘さんはいきなり自分に襲い掛かって来たりしませんよね」

ゼルートにとっては重要な問題であるのだが、兵士にとっては予想外の質問だったため思わず笑ってしまった。

「・・・・・・ははははははは、安心してくださいゼルート様。確かにゲイル殿に固執しているお嬢様はゼルート様に敵意を抱いているかもしれませんが、いきなり襲い掛かるような方ではありません。ただ少し我儘なところがあるためゼルート様には非常識に思えるかもしれませんが」

兵士の答えにソウスケは図星を突かれて苦笑いになってしまう。
後ろにいるアレナとルウナも同じような事を考えていたため、反射的に顔を横に向けて誤魔化そうとする。

その後も会話を続ける事約三十分、ようやく領主の館に辿り着いた。

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