少年期［２４５］もっと心を抉る内容にした方が・・・・・・

「・・・・・・さて、そろそろ終わりにするか」

終わりにするというゼルートの言葉を聞いて、三人は安堵の表情を浮かべる。
そんな三人の表情が理解出来ないゼルートはこれから行う事を伝え三人に伝えた。

「お前ら・・・・・・なんでそんな安心した表情をしてるんだ？　別にこれから首を斬り落として終了って意味の終わりじゃないぞ。次にするのが最後に下す罰って意味の終わりだ」

自身達が考えていたラストとは全く違うと分かった三人は再び震え出し、表情が一気に転落する。
次はどこを斬られるのか、焼かれるのか、抉られるのか。恐怖で心が潰されそうになる。

震える三人の気持ちをゼルートはほんの少しだけ理解出来なくもなかったが、同情する気には全くなれなかった。

「ある意味安心してもいいぞ。傷つくのは体じゃなくて・・・・・・心だからな」

ゼルートの言葉の意味を三人は直ぐに理解出来なかった。
しかし三人が理解する前にゼルートは魔法を発動させる。

「闇魔法・・・・・・ヘル・ナイトメア、ソウルクラッシュ」

「「「・・・・・・う、うわああああああああああ！！！！！」」」

ゼルートが魔法を唱え終えると、三人は頭を抱え込んで悲鳴を上げ始める。
体に傷は刻まれていないのにも関わらず、三人は悲鳴を上げ続ける。体は何かから逃げようとしている。
それでも逃げる事が出来ないのか、悲鳴が・・・・・・叫びが止まらない。

「まぁ・・・・・・そういう反応になるよな。俺だって喰らったら耐えられるな気が全くしない」

体の頑丈さは関係ない。耐えられるかどうかは心の強さで変わる。
ただ、幾ら心が強くても・・・・・・そういう事に関して抵抗できるマジックアイテムを持っていたとしても耐えきれない体験を、ゼルートは三人に刻み込んだ。

「どうよ、本当のフルコースの味は・・・・・・って聞こえてる訳ないか。まぁ、安心しろ。傷つけられるのは体じゃなくて心・・・・・・精神だ。自我が崩壊しない限り無限ループ出来る」

自身の声が聞こえていれば、三人が絶叫して必死で謝罪を繰り返す様子がゼルートは容易に想像出来た。

「ただ、俺も閻魔大王って訳じゃないからそうだな・・・・・・これから三十分の間、お前たちをフルコースを味わい続ける。それに耐える事が出来たら首を切断して終わらせてやるよ。まっ・・・・・・先に自我が崩壊する方が先かもしれないけどな」

ゼルートは風の魔力で周りだけでなく、自身にも三人の悲鳴を聞こえないようにして暇を潰しながら時間が経つの待った。


そして三十分後・・・・・・三人は時間内に自我が崩壊するだろうと思っていたゼルートの予想を裏切って見事・・・・・・否、不幸にも三十分間地獄のフルコースを耐えきった。

「へぇ～～・・・・・・やるな。フルコース四回分くらい喰らったのにまだ廃人にならないんだ。悪い事ばかりしていたらメンタルも強くなるのか？　取りあえず見事俺の予想を裏切った、おめでとう」

ゼルートは少し驚きながら三人へ拍手を送る。

(・・・・・・少し内容が緩かったかもしれないな。今度からはもっとこう・・・・・・現実では出来ない、心を抉る内容にした方が良いのかもしれないな)

サラッと恐ろしい事を考えながらゼルートは三人へ目を向ける。

「死んではいないし、自我は崩壊していない。ただ、完全に白目になって失禁・・・・・・糞まで漏らした奴もいるな」

ゼルートは自身と三人との間に生み出していた風の壁を解除しているため、思わず糞の匂いに対して鼻を塞ぐ。
そして風の刃を一つ生み出し、三人へ向かって放つ。

「今度は死んで本当の地獄へ行ってこい」