異世界を楽しみたい転生者

Gai

第127話少年期[119]余力を残すって重要だよな

オークキングが放ったグランドブラスト・・・・・・岩の破城槌とゼルートの岩の拳が激突した。

それにより周りにまで衝撃の波が響いた。

そして衝撃により砂が舞い、オークキングとゼルートの姿が見えなくなった。

ぶつかり合った結果は引き分けと言ってもいいだろう。

オークキングが放った岩の破城槌は、粉々に砕け散ったがゼルートの岩の拳は大きく抉れ、使い物にならなくなっていた。

この一撃は確かに引き分けと言えるだろう。

だが勝負の行方はまた別だ。

オークキングにとっては、自分の力をほぼ限界まで振り絞って放った最後の一撃だった。
僅かに残したのは逃げる体力だけだった。
岩の鎧もそう長く維持は出来ない。

対してゼルートは違った。

ゼルートには力を抑えていたからというのもあるが、十分に余力は残っていた。
自我を持った時から、地道に上げていた魔力量はまだまだ大量にあった。

ゼルートとしてはもっと。魔力を使った一撃を使っても良かったかと思っていたが、父の冒険者時代の話を聞いていた時に、何時も最悪の事態を常に想定して行動しろよ、と言われていたゼルートはそれをしなかった。

そしてまだまだ動けるゼルートは砂煙で周りが見えない中、気配察知のスキルでオークキングの場所をしっかりと確認し走り出した。

そして長剣をアイテムリングにしまい、子供の頃に手に入れた魔剣フロストグレイブを取り出した。

オークキングは接近してきたゼルートに気づき、大剣を構えようとしたが、先程の技による疲労感により反応が遅れてしまった。

ほんの少し時間だがゼルートにとっては訳なかった。

「すげぇ楽しめたぞオークキング。そして最後の一撃はマジで良かった。でも、これで終わりだ・・・・・・氷結斬」

ゼルートはオークキングの横を通り過ぎる瞬間、オークキングの腹を大きく斬り裂いた。

ゼルートの一撃は、オークキングが纏っていた岩の鎧を簡単に斬り裂き、オークキングの命を絶った。

斬り裂かれたオークキングの腹は、フロストグレイブの効果により凍っており血が流れていなかった。

これだけ見ればもしかしたらまだ動き出すのでは? と思うがオークキングの口から血が流れていて反応がないので、間違いなく死んでいるだろう。

オークキングの死を確認したゼルート大きくため息を吐いた。

「はぁ~~~、オークキングの最後の一撃はちょっと焦ったな。ありゃ槍って言うよりは破城槌だ。マジで城の城壁壊せそうだったしな。さて、戦利品の魔剣を回収するか」

ゼルートはオークキングが使っていた魔剣に近づき待ちあげると、魔剣が徐々に縮始めゼルートの体格に似あう大剣の大きさになった。

そのことにゼルートは驚いた・・・・・・というか疑問に思った。

「・・・・・・そういえば父さんの話の中にこんな話があったな。だけど、なんでサイズが人族様になるんだ? 鑑定眼で見たときは、持ち主によってサイズが変化するとかはなかったんだけどな・・・・・・まいっか。悩んだところでどうにかなる話でもないしな」

ゼルートが一人で自己完結しているところにゲイル達が集まってきた。

「随分と楽しめたみたいですねゼルート様」

「は~~~、私もオークキングと戦ってみたかったな・・・・・・ゼルート、今度強敵と出会ったら私と戦わせてもらうぞ」

「お疲れさまゼルート。最後の一撃は見事だったわ」

三者三様にゼルートに言葉を掛け、ゼルートも三人に返事を返した。

「ああ、今回の戦いはなかなか楽しめたよ。でも、それはゲイルだってそうだろ。あと、ルウナ、それはしっかりと覚えておくよ。今度希少種とか上位種、キング種とかが現れたらルウナに譲るよ。
ありがとなアレナ。でも、あれは魔剣の力があったからで、俺に力って訳じゃないよ」

その後少し会話をしてから拠点地に戻った。

ちなみにアレナからオークキングの肉がどれだけ美味いかを聞かされ、皆少し涎をたらしてしまった。

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