異世界を楽しみたい転生者
第106話少年期[95]貴族だろうがなんだろうが敵は敵だ
ゼルートはグレイス達にアレナとの出会いを話した。
といってもゼルート全てをそのまま話した訳ではない。
アレナを買えるだけのお金をどうやって手に入れたのか、ミーユの事を伏せて話した。
ゼルートの話を聞き終わったグレイスが優しい目をしながらアレナとルウナに声をかけた。
「なるほどな。いや~~~、二人ともゼルートが主で良かったな。ルウナちゃんの場合はまだまともな奴に出会えたかもしれないが、アレナちゃんの場合だと、ゼルートがいなかったら絶対にその豚貴族に買われてただろうからな」
グレイスの言葉に二人とも頷いていた。
「ええ、これ以上ない最高の主に買われたと思っています」
「ああ、私もアレナと同意見だ。ゼルートは私たちを奴隷としてではなく、仲間として接してくれるからな」
二人の言葉にゼルートは少し照れてしまったが、真面目な顔で自分の考えを言った。
「そんなこと当たり前だろ。俺はお前たちの事を奴隷だと思った事なんてない。一応立場が奴隷ってだけでお前達は俺の仲間だ。それは何があっても変わらない事実だ」
ゼルートは正直奴隷だから、自分とは違う種族だからといって差別したり物みたいに扱う理由、考えや思想が全くわからなかった。
相手が自分勝手な理由で犯罪を犯した者などは話が別だが、そうでないならどんな相手でもゼルートは普通に接しようと思っている。
すると、ゼルートの考えを聞いたコーネリアさんが、懐かしいものを見るような目で俺を見ていた。
「ふふ、やっぱりあの二人の子供ね。でも・・・・・・なんというか、ゼルート君はいつか貴族とぶつかりそうな気がしますね」
「くくくく、確かにそうかもしれないな。そうだな・・・・・・ゼルート。もし高位の貴族がアレナちゃんとルウナちゃんを奪おうとして来たらどうする。やっぱりぶっ飛ばしちまうか?」
そう笑いながらグレイスはゼルートに尋ねた。グレイスは冗談で聞いたが、ゼルートは至って真面目に答えた。
「もちろんぶっ飛ばしますよ。というか今後絶対に俺に関わる気がなくなるようにボロボロにします。もしそれでも俺のアレナとルウナを奪おうとするなら・・・・・・殺します」
その言葉を聞いたグレイスとコーネリアは僅かにに震えた。
殺す。 冒険者としてはいたってよく聞く単語。その単語自体に二人は震えた訳ではない。
どんな荒くれな冒険者でも、高位の貴族には逆らおうとは思わない。どんなに仲間思いな奴でも高位の貴族に冒険者を無理やり奪われても、取り返そうとは思わない。
自分達はゼルートと同じように取り返すつもりだが、それはいままで冒険者として集めた有力者のパイプを使ってだ。
真っ向から取り返そうとは思わない。
だがゼルートの目が語っていた。自分の力で取り返すと、どんな貴族であろうと必ず潰すと。
ゼルートの言葉を冗談だと思ったダンはゼルートをバカにした。
ただし体は震えていた。
「は、はは。ば、バカだろお前。そんな冗談全然面白くないぞ。冗談を言うならもっと面白いこと言え」
ダンは面白い事を言えよと言おうとしたが、その言葉はゼルートによって遮られた。
「冗談なんかじゃない」
「―――――――っ! そ、そのせいで家族に危険が及んだらどうするんだよ!!」
ダンの言っていることは確かに正しい。貴族には権力がある。自分に歯向かった平民や位の低い貴族を潰すくらいわけはない。それくらいはゼルートも分かっている。それでもゼルートは自分の考えは曲げなかった。
「・・・・・・お前バカだろ」
「なっ、どういうこと」
「俺はさっき場合によっては殺すって言っただろ。殺せば俺の家族に何も出来ないだろ」
ダンはゼルートが本気で言っているのだと今の言葉でわかった。
自分の見栄を張るために、俺に逆らう奴は貴族でも殺してやるなど言っている者はいる。だが、そういう奴にかぎって貴族にへこへこ頭を下げる奴が多い。
でもゼルートがそんな奴らとは違うと分かり、固まって何も言えなくなってしまった。
ゼルートとダンの会話を聞き終わると急に笑い出した。
「ぷっ、ははははははは。そうか、そうだよな。お前の性格ならそうなるか」
「・・・・・・ああ、そういうことですね。それなら納得できますね」
グレイスはゼルートが高位の貴族に決闘をふっかけ、恥をかかせたうえで勝ったことを思い出した。
コーネリアもいきなり笑い出す夫に一瞬どうしたのかと思ったが、直ぐに夫の考えが分かり直ぐに納得した。
ミルシェとダンはそのことを知らないので、なぜ父と母が勝手に納得しているのかが分からず困惑していた。
「お前の考え・・・・・・というか覚悟は良く分かった。でも、お前が傷つくことによって悲しむ人がいるのを忘れるなよ」
グレイスは真剣な顔でゼルートに伝えた。
ゼルートもそれに頷いた。
すると外から笛の音が聞こえた。
「お、今日はここまでみたいだな。よし、野営の準備をするぞ」
勢いよく降りていくグレイスとコーネリアだが、子供の二人はまだ少し混乱していた。
といってもゼルート全てをそのまま話した訳ではない。
アレナを買えるだけのお金をどうやって手に入れたのか、ミーユの事を伏せて話した。
ゼルートの話を聞き終わったグレイスが優しい目をしながらアレナとルウナに声をかけた。
「なるほどな。いや~~~、二人ともゼルートが主で良かったな。ルウナちゃんの場合はまだまともな奴に出会えたかもしれないが、アレナちゃんの場合だと、ゼルートがいなかったら絶対にその豚貴族に買われてただろうからな」
グレイスの言葉に二人とも頷いていた。
「ええ、これ以上ない最高の主に買われたと思っています」
「ああ、私もアレナと同意見だ。ゼルートは私たちを奴隷としてではなく、仲間として接してくれるからな」
二人の言葉にゼルートは少し照れてしまったが、真面目な顔で自分の考えを言った。
「そんなこと当たり前だろ。俺はお前たちの事を奴隷だと思った事なんてない。一応立場が奴隷ってだけでお前達は俺の仲間だ。それは何があっても変わらない事実だ」
ゼルートは正直奴隷だから、自分とは違う種族だからといって差別したり物みたいに扱う理由、考えや思想が全くわからなかった。
相手が自分勝手な理由で犯罪を犯した者などは話が別だが、そうでないならどんな相手でもゼルートは普通に接しようと思っている。
すると、ゼルートの考えを聞いたコーネリアさんが、懐かしいものを見るような目で俺を見ていた。
「ふふ、やっぱりあの二人の子供ね。でも・・・・・・なんというか、ゼルート君はいつか貴族とぶつかりそうな気がしますね」
「くくくく、確かにそうかもしれないな。そうだな・・・・・・ゼルート。もし高位の貴族がアレナちゃんとルウナちゃんを奪おうとして来たらどうする。やっぱりぶっ飛ばしちまうか?」
そう笑いながらグレイスはゼルートに尋ねた。グレイスは冗談で聞いたが、ゼルートは至って真面目に答えた。
「もちろんぶっ飛ばしますよ。というか今後絶対に俺に関わる気がなくなるようにボロボロにします。もしそれでも俺のアレナとルウナを奪おうとするなら・・・・・・殺します」
その言葉を聞いたグレイスとコーネリアは僅かにに震えた。
殺す。 冒険者としてはいたってよく聞く単語。その単語自体に二人は震えた訳ではない。
どんな荒くれな冒険者でも、高位の貴族には逆らおうとは思わない。どんなに仲間思いな奴でも高位の貴族に冒険者を無理やり奪われても、取り返そうとは思わない。
自分達はゼルートと同じように取り返すつもりだが、それはいままで冒険者として集めた有力者のパイプを使ってだ。
真っ向から取り返そうとは思わない。
だがゼルートの目が語っていた。自分の力で取り返すと、どんな貴族であろうと必ず潰すと。
ゼルートの言葉を冗談だと思ったダンはゼルートをバカにした。
ただし体は震えていた。
「は、はは。ば、バカだろお前。そんな冗談全然面白くないぞ。冗談を言うならもっと面白いこと言え」
ダンは面白い事を言えよと言おうとしたが、その言葉はゼルートによって遮られた。
「冗談なんかじゃない」
「―――――――っ! そ、そのせいで家族に危険が及んだらどうするんだよ!!」
ダンの言っていることは確かに正しい。貴族には権力がある。自分に歯向かった平民や位の低い貴族を潰すくらいわけはない。それくらいはゼルートも分かっている。それでもゼルートは自分の考えは曲げなかった。
「・・・・・・お前バカだろ」
「なっ、どういうこと」
「俺はさっき場合によっては殺すって言っただろ。殺せば俺の家族に何も出来ないだろ」
ダンはゼルートが本気で言っているのだと今の言葉でわかった。
自分の見栄を張るために、俺に逆らう奴は貴族でも殺してやるなど言っている者はいる。だが、そういう奴にかぎって貴族にへこへこ頭を下げる奴が多い。
でもゼルートがそんな奴らとは違うと分かり、固まって何も言えなくなってしまった。
ゼルートとダンの会話を聞き終わると急に笑い出した。
「ぷっ、ははははははは。そうか、そうだよな。お前の性格ならそうなるか」
「・・・・・・ああ、そういうことですね。それなら納得できますね」
グレイスはゼルートが高位の貴族に決闘をふっかけ、恥をかかせたうえで勝ったことを思い出した。
コーネリアもいきなり笑い出す夫に一瞬どうしたのかと思ったが、直ぐに夫の考えが分かり直ぐに納得した。
ミルシェとダンはそのことを知らないので、なぜ父と母が勝手に納得しているのかが分からず困惑していた。
「お前の考え・・・・・・というか覚悟は良く分かった。でも、お前が傷つくことによって悲しむ人がいるのを忘れるなよ」
グレイスは真剣な顔でゼルートに伝えた。
ゼルートもそれに頷いた。
すると外から笛の音が聞こえた。
「お、今日はここまでみたいだな。よし、野営の準備をするぞ」
勢いよく降りていくグレイスとコーネリアだが、子供の二人はまだ少し混乱していた。
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