異世界を楽しみたい転生者
第94話少年期[84]決着
ゼルートとセイルの決闘が始まってから十分程が経っていた。だが、決着はまだついていないが。
「はぁ、はぁ、はぁ、ぐぅ、・・・・・・くそ! まだだ!!」
「・・・・・・」
息を切らし最初より剣の速度が遅くなっているセイル。方や汗一つかかずに余裕の表情を浮かべているゼルート。
もはやどちらが勝つかは明白だった。
最初の内はゼルートとセイルの実力の差が分からない冒険者達は、攻め続けているセイルとセイルの攻撃を避けるか、剣で受けるかという行動をとっているゼルートを見て盛り上がっていたが、次第に今に至るまでの二人の決闘の内容から、ゼルートがわざと攻撃を行わずに防御に徹しているのに気が付いた。
その様子を見ているアレナとルウナの気持ちはほぼ一緒だった。
「まぁ、なんというか予想どうりと言うか、決闘とすら呼べない戦いね」
「そうだな・・・・・・。正直なところ可哀想とすら思えるな。力の差は赤子と大人ほど離れていると言ってもいいだろう」
「確かに彼にとっては信じたくない事実かもしれないけどそのとおりね。でも自分の力を過信している低ランクの冒険者には、こういった体験は必要と言えば必要なのよね。そこから立ち直れるかは彼次第だけれど」
「確かにアレナの考えに一理あるな。中途半端に力を持ち、調子に乗っている奴程早死にしやすいからな」
アレナとルウナ以外も、ゼルートとセイルの決闘に話し合っている冒険者がいた。
意見は様々だった。所詮は冒険者になりたての奴らならこんなもんだろうという意見や、ドウガンに鍛えられているくせにセイルが弱すぎるんじゃないかという意見等があった。
今もセイルは滝のような汗を流しながらも果敢に攻め続けている。
だが、いまだにゼルートに一撃も入れることが出来ていない。
「はぁ、はあ、ちっ! ちょこまかと逃げ回って・・・・・・どうやら逃げ回るだけしか能がないみたいだな」
どう考えても今のセイルが言うセリフではないのに、セイルのプライドがそうさせているのか、自分は必ず勝つという姿勢を崩していない。そればかりかゼルートを挑発までしている。
それを見ているゼルートは心底呆れていた。
(こいつ・・・・・・本当に道化だな。全部自分の妄想通りに動くと思っているのか、それとも自分が納得いかない出来事は認めたくないとか、そんな性格なんだろうな。正直俺が造ったゴーレムのポーンより弱いだろうな。
まぁ、今はそんなことよりちゃっちゃとこの茶番を終わらせるとするか)
「お前本当に馬鹿だな。俺がわざと攻撃せずに防御だけしてるってことに気づいてないんだろ」
「なっ、ふざけたこというな! 嘘をつくならもっとまっしな嘘をつけ」
「嘘かどうかは周りのギャラリーが、お前をどんな目で見ているか確認するんだな」
セイルはゼルートの言葉にまさかと思い、周りを見渡した。
そこにある自分を見る冒険者たちの目は様々だったが、どれも自分を見下すものや嘲笑するような物ばかりだった。中には過去にセイルと似たような体験をしセイルを憐れむ様に見る者もいたが、それはごく少数だった。
「っ! ・・・・・・くそ、くそ! くそおおおおぉぉおおおおおおおお!!!!」
セイルがゼルートに火炎斬を放た。
ゼルートはため息を吐きながら、同じ技でセイルの剣を弾き飛ばした。
「火炎斬」
俺の放った火炎斬とセイルの放った火炎斬がぶつかりその衝撃でセイルの剣が弾けた。
「はぁ、はぁ、はぁ、ぐぅ、・・・・・・くそ! まだだ!!」
「・・・・・・」
息を切らし最初より剣の速度が遅くなっているセイル。方や汗一つかかずに余裕の表情を浮かべているゼルート。
もはやどちらが勝つかは明白だった。
最初の内はゼルートとセイルの実力の差が分からない冒険者達は、攻め続けているセイルとセイルの攻撃を避けるか、剣で受けるかという行動をとっているゼルートを見て盛り上がっていたが、次第に今に至るまでの二人の決闘の内容から、ゼルートがわざと攻撃を行わずに防御に徹しているのに気が付いた。
その様子を見ているアレナとルウナの気持ちはほぼ一緒だった。
「まぁ、なんというか予想どうりと言うか、決闘とすら呼べない戦いね」
「そうだな・・・・・・。正直なところ可哀想とすら思えるな。力の差は赤子と大人ほど離れていると言ってもいいだろう」
「確かに彼にとっては信じたくない事実かもしれないけどそのとおりね。でも自分の力を過信している低ランクの冒険者には、こういった体験は必要と言えば必要なのよね。そこから立ち直れるかは彼次第だけれど」
「確かにアレナの考えに一理あるな。中途半端に力を持ち、調子に乗っている奴程早死にしやすいからな」
アレナとルウナ以外も、ゼルートとセイルの決闘に話し合っている冒険者がいた。
意見は様々だった。所詮は冒険者になりたての奴らならこんなもんだろうという意見や、ドウガンに鍛えられているくせにセイルが弱すぎるんじゃないかという意見等があった。
今もセイルは滝のような汗を流しながらも果敢に攻め続けている。
だが、いまだにゼルートに一撃も入れることが出来ていない。
「はぁ、はあ、ちっ! ちょこまかと逃げ回って・・・・・・どうやら逃げ回るだけしか能がないみたいだな」
どう考えても今のセイルが言うセリフではないのに、セイルのプライドがそうさせているのか、自分は必ず勝つという姿勢を崩していない。そればかりかゼルートを挑発までしている。
それを見ているゼルートは心底呆れていた。
(こいつ・・・・・・本当に道化だな。全部自分の妄想通りに動くと思っているのか、それとも自分が納得いかない出来事は認めたくないとか、そんな性格なんだろうな。正直俺が造ったゴーレムのポーンより弱いだろうな。
まぁ、今はそんなことよりちゃっちゃとこの茶番を終わらせるとするか)
「お前本当に馬鹿だな。俺がわざと攻撃せずに防御だけしてるってことに気づいてないんだろ」
「なっ、ふざけたこというな! 嘘をつくならもっとまっしな嘘をつけ」
「嘘かどうかは周りのギャラリーが、お前をどんな目で見ているか確認するんだな」
セイルはゼルートの言葉にまさかと思い、周りを見渡した。
そこにある自分を見る冒険者たちの目は様々だったが、どれも自分を見下すものや嘲笑するような物ばかりだった。中には過去にセイルと似たような体験をしセイルを憐れむ様に見る者もいたが、それはごく少数だった。
「っ! ・・・・・・くそ、くそ! くそおおおおぉぉおおおおおおおお!!!!」
セイルがゼルートに火炎斬を放た。
ゼルートはため息を吐きながら、同じ技でセイルの剣を弾き飛ばした。
「火炎斬」
俺の放った火炎斬とセイルの放った火炎斬がぶつかりその衝撃でセイルの剣が弾けた。
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