異世界を楽しみたい転生者

Gai

第89話少年期[79]盗賊の宝の配分

ゼルート達とルウナ達は合流し、盗賊のアジトの出口に集まっていた。

「ルウナ、盗賊達が貯めていたお宝はどうだった?」

ルウナは盗賊達が貯めこんでいた宝石やマジックアイテムなどを思い浮かべながら考えた。

「そうだな・・・・・・マジックアイテムの中に魔法武器が少々あったから、もしかしたらゼルートが欲しいと思う物があるかもしれないな」

「そうか、なら帰ってからの楽しみとしておくか。そういえばお前たちは何が欲しいんだ?」

ゼルートはローク達の方に顔を向けながら聞いた。

「い、いや。僕はそんなの貰えませんよ。特にこれといった活躍をしたわけでもないので」

「私も今回の昇格試験でこれといったことは出来たわけでもないから、遠慮しておくわ」

「わ、私もラナと同じで何か出来たわけでもないので、盗賊が貯めていた物から何かを貰うのは遠慮しておきます」

ローク、ラナ、ミールは三人とも今回の昇格試験でそこまで自分が役に立たなかったと思い、盗賊が貯めていた宝石などから分け前を貰うのを拒否した。

だがゼルートはそんなの関係ないとばかり、その場で思いついたことをローク達に言った。

「そうだな・・・・・・なら今回のことは儲け物だと思っておけ。ロークにしてもラナやミールにしても何かと依頼を受けるのに準備は必要だろ。
予備の剣、杖、短剣。それに俺達と違ってそれほど依頼を受けるに行くための費用や、普段の生活に余裕があるわけじゃないだろ」

「「「・・・・・・」」」

三人はゼルートの言葉に反論することが出来なかった。

実際、田舎から出てきた四人にはそこまで余裕がなかったが、最近こそドウガンに教えられたことが身についてきて結果が少しずつだが出ていた。

だが、だからと言ってお金や武器などに関して、そこまで余裕があるわけでもなかった。

「俺達は別に金に困っているわけではい。何か貰うにしても、そんなにたくさんはいらないからな。
アレナとルウナはどうだ」

ゼルートに訊かれた少し悩んでから答えた。

「そうね・・・・・・私は宝石を二、三個もらえればそれでいいわ」

「私もそこまで目を引く業物や冒険者として生活していくのに役に立ちそうなマジックアイテムなどもそこまでなかったからな。私は何もいらないな」

「ということらしいから別に遠慮する必要はない。まぁ、ギルドに着くまでゆっくり考えておけよ」

ゼルート達の言葉にローク達は申し訳なさそうにしながら頷いた。

そこでガンツがタイミングを見計らったかのように声を掛けてきた。

「おう、みんなよくやったな。と言いたいところだがいろいろ帰ってから今回の試験について合否の結果もそうだが、その詳細についても話さなきゃならねぇ。そんでお前たちが救出した奴隷たちなんだが・・・・・・」

ガンツは頬をかきながら、ばつが悪そうに眉をひそめながら言葉を濁した。

「どうやって移動するかを悩んでいるんだろ」

「まぁ、そういうことなんだが・・・・・・お前のその言い方から察するに何か案があるのか?」

ゼルートはお前何にも覚えていないんだなと、若干馬鹿にするような感じでガンツに案を出した。

「行く前に俺が見せた魔法を忘れたのか」

ゼルートは来る途中に使った魔法を無詠唱で発動し、岩で出来た簡易の大きな車を造った。

「ああ~~~~~。この常識外れの魔法か」

「・・・・・・そこはせめて移動に便利な魔法とかにしろよ。お前だけ乗せずに帰るぞ」

ゼルートの言葉にガンツが慌てて謝り始めた。

「ちょ、ちょっと待て! わ、悪かった。俺が悪かったからそれは勘弁してくれ」

ガンツもCランクの冒険者なのでここからドーウルスまで帰ることは訳わないが、やはり一人だと何かあった時の対処が遅れるので出来ればゼルート達と帰りたかった。

が、本音はゼルートのアイテムバックに入っている温かい飯と酒が欲しかったからだ。

その後少しの間盗賊の討伐も終わったということで、みんな自由に話し合っていた。

ロークはゼルートにこの先どうすれば冒険者として成長できるのかアドバイスを貰ったり、ラナとミールはアレナとルウナに後衛の職でも自衛出来る手段を教わったりしていた。

それから一時間ほどが経ちみんなが食事も終わりテントに入って寝ようとしたとき、盗賊のリーダーに勝手に突っ込んで行った阿保がようやく起きた。

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