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転生した先はダンジョンのラスボスだったけどとりあえず放棄する

ノベルバユーザー278774

ダンジョンの主

  少年―――現在見た目が十代後半位になったので少年改め青年は、今、冒険者達と対峙していた。
「......................」
「......................」
「......................」
「......................」
  冒険者は全部で3人。一人は男の15才位の剣士、もう一人は同い年位の魔法使いの格好をした女性、そして大柄な三十代後半位の格闘家っぽい厳つい男だった。
  恐らく、格闘家はベテランだが、残り二人はまだ新米で、格闘家が二人をサポートしているということなのだろう。
「...........ひ、人...?」
最初に声を発したのは若い剣士だった。ただ、目の前の光景に戸惑っているようだった。
  それもそのはず。ダンジョンの最下層とおぼしき場所までついてその目の前現れたのはとてもモンスターには見えない、ただのボロボロの人間なのだ。
  青年は元のこの肉体の持ち主がこの姿で助かった、と少し安心していた。
  しかし、魔法使いと格闘家の存在は青年から『戦わない』という選択肢を奪っていった。
「待って、でもあの人、普通の魔物より強い魔力を発してるわ!」
「ほう、ってことはアイツがこのダンジョンの主か。人間に化けて俺らを油断させようって魂胆か?」
(魔力って普段漏れてるものなの!?)
  正体がばれたことよりそちらの方が驚きだったが、それどころではない、もう既に3人ともそれぞれの構えをとってしまっている。青年も臨戦態勢をとる。
ただ、その時に違和感に襲われた。この肉体の持ち主戦いの中での癖の様なものなのだろうか。頭で考えるより先に体は既に姿勢を低くし、腕は頭と体を守れるように構えられていた。
  どうやら、この体には記憶は無いが知識は残っているらしい。
  そんなことを考えていると。
「火炎の柱(フレイム・オブ・ピラー)!」
  早速魔法使いがそれらしい魔法を使ってきた。ただ、魔法の名前を言ったはいいが、特に何も見えない。
  不発だろうか、と考えていると。
  (...!?)
  とてつもなく嫌な予感がした。それと同時に、今立っている場から離れなければという命令が反射的に青年を突き動かした。
  すぐにその場から身を引くと、さっきまで立っていたところに火の柱が飛び出した。
(避けられた...)
  この体、基礎的なステータスが人の手には余るほど高く、青年の思考は体の動きに追い付くのが精一杯だった。
  それでも、冒険者達は攻撃の手は緩めない。そして、この冒険者達、素晴らしいコンビネーション持っていた。
  剣の攻撃を避けると格闘家が懐に潜り込み拳を、拳を回避すれば魔法使いの魔法が、魔法を避ければ剣士の一閃が襲ってきた。
   青年は人数の多さに圧倒され、かなりダメージを受けた。
  動けなくはないが、動く度に傷口から血が溢れ出た。
「これで...トドメだぁ!」
   声の方向を見据えると、剣士は剣を振りかざし青年へと走り出していた。
  早くも終わりだろうか。などと虚ろな頭で思いながらも、このまま抗わないのも個人的に後味が悪いものがあったので、青年は立ちあがり、持てる全ての力で左ストレートを剣士の腹部に―――――――――
「がッ...!?」
  当たった。
  剣士の腹部に命中した拳はそのまま腹に沈み、そのまま腕が伸ばされ切ると剣士は20メートルほど飛んでいった。
  剣士の口からは咳と共に赤い液体が漏れていた。
(一体何が...)
  青年は剣士を吹っ飛ばした腕を見た。
  すると、そこにあったのは、人の腕ではなかった。
  その腕と手は、人間などより数倍は大きく、爪は鋭く尖り、髪の毛と同じくすんだ銀の毛を纏っていた。
  それはもはや人間ではなく――――――――
(...狼!?)
  まさか。と思い青年は全身を触って確かめる。
  大きな口、自らを覆う毛、犬や鳥のような逆関節の足、そして先ほどより高い位置に感じる視点......
(...........まさか)
  つまるところ、このダンジョンの主の正体は。
   いわゆる。
――――――――――魔獣であった。

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