旅からの学び

RYO

〜旅立ちの時編〜3話

旅からの学び(たびまな)  旅立ちの時編  3話


  朝、目覚めると空は青く快晴。空気は、澄みきっていて気持ちよかった。キトも目を覚ました。


「キュルー?」


  まだ、少し寝ぼけているようだ。僕は、荷物を持ち母さんと父さんの所に行った。キトは、後ろから走ってきて僕の肩に乗った。


「もう行くのか?」


「うん。行ってくるよ!」


  父さんは、僕の目を見て言った。  母さんは、寂しそうに笑いながら僕の方を見ている。


「リード。無理しないでね。」


  涙ぐみながら、母さんは言った。涙で、目が少し赤くなっている。


「母さん。父さん。今まで本当にありがとう!これからは、多くの人のために頑張るよ。」


  僕は、感謝の気持ちを伝えると玄関の扉を開けキトと一緒に家を後にした。


「キュルーーーー!」


  キトも母さんと父さんにお礼を言っていた。僕の目は、キリッと前を向き振り返らなかった。振り返ってしまったら悲しくなるからだ。ただ、前を向いて歩いた。


  待ち合わせ場所につくと、みんながいた。


「みんな、旅の始まりだ。行くぞ!」


  みんな頷き、前を見て歩き出した。みんなの目は、赤くなっていた。


  リード・パーソン
  アクシス・スマート
  リラ・ラックス
  ムド・ブリット


  この4人での旅が今始まる。


  僕たちは、隣の島に移動して、そこから船に乗る。隣の島に行く途中にある橋『旅立ちの橋』を渡らなければならない。この橋は、一度渡れば戻ることができない決まりになっている。戻れる時は、旅の終わりを迎えた時のみだ。


  僕たちは、息を呑みその橋を渡った。すると、大きな門が現れた。隣の島への唯一の入り口だ。


「遂に、来たな!リード。」


  アクシスが、僕の肩を叩きながら言った。


「みんなで頑張ろうね!」


  リラが、杖を強く握りながら言った。ムドは、大きなあくびをして両手を上げていた。マイペースなのか、朝が早いから眠たいのか分からないが、ムドはいつも通りだったので安心した。あくびの後の眼差しは鋭かったように見えた。


  僕たちは、門を潜った。すると、そこには商店街があり、奥には船着場があった。大きな島ではないが、すごく綺麗なところだった。入り口の大きな門から、降る様な地形になっており、奥まで見渡すことができる。


「わぁ〜!すごい綺麗な景色だね。海がキラキラしてるね。」


  リラが、感動していた。アクシスとムドも、この景色に目を奪われていた。僕も同じだ。


  僕たちは、旅の準備を整えていたので船着場に直行した。


「旅の方々かい?どこに行きやすか?」


独特な話し方だな。気にはなったが、僕たちは行き先を告げた。


「情報の館に行きたい。」


「旅の方々が良く行くところだね。了解!」


  『情報の館』は、この世界の重要なすべての情報が管理されている。まずは、そこに行きこの世界には何があるのかを調べたいのだ。


  僕の夢は、国をつくることだが、実はもう1つ気になることがある。それは、『ディース』(時渡りの魔物)とは、どんな魔物なのかを知りたいのだ。


  僕たちは、船に乗り『情報の館』に向かった。




つづく。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品