動物ブリーダーの僕が異世界でモンスターブリーダーとして活躍してるんだけど。

マナマナ

十九話 異世界に来てようやくらしくなってきました。

クリステラ森林。この異世界の中でも、No. 1を誇る大きさらしく迷った瞬間に出られなくなるらしい。モンスターもなかなかに強く腕利きの冒険者じゃなきゃ立ち入りは禁止されている危険区域だ。そんな大森林の中にぼくたち4人は優雅に探索していた。

「主〜。ここに美味しそうな木の実があるよ〜。」

「主よ。そこにいた猛獣はなかなかに珍味でな。我が狩ってきてもいいか?」

「ご主人様。歩き疲れてはないですか?私がおんぶして差し上げましょうか?」

「あのさー、君たち?ちょっと自由過ぎないかな?ここって結構危険区域なんだよね?」

「ん〜?ここら辺の猛獣さん弱いんだも〜ん。さっき遊ぼ〜って話しかけてたら逃げられちゃった。」

「主よ?我は天空の支配者だぞ。ここら一帯の猛獣に遅れをとることはまずありえない。」

「大丈夫です。私がご主人様をお守りしますので。どうかごゆっくりと。」

いや、頼もしいのか頼もしくないのかよくわからなくなってきな。てか、全然違うことしてるよね。人探しだよね。もうそろそろ夜になっちゃうよ。っとこんな感じで優雅?に冒険をしていたせいで日が暮れてしまったのであった。

「そろそろご飯にしようか。」

「はい。私が軽く空間魔法で寝床を確保してきますので、皆様方は食料を調達してきては貰えませんか?」

「任せて〜。匂いがするところに走って持ってくる〜。僕は木の実担当するね〜。」

「では、我は猛獣たちを狩ってくるか。久しぶりに体を動かしたいしな。」

「僕のすることがないな。リーエさん。空間魔法の使い方学びたいので一緒に仕事してもいいですか?」

「はい。よろしいですよ。」

「ありがとう。じゃー、仕事に取り掛かろう!」

「「「おー!」」」

僕とリーエさんは寝床作り、コロとデュポーンさんは食料調達に向かった。

「では、まず空間魔法の基礎をお教えしますね。空間魔法というのは一言で言うとゴムです。」

「ゴム?」

「はい。まず私がお手本を見せますね。」

するとリーエさんは手で大きな円を空気に描いた。

「私が今行ったのはある一定の空間を指定する動作です。私が今なぞった円に集中して魔力を注ぎ込みます。すると、魔力の波長が合わなくなり空間が歪み出します。これが空間魔法です。」

リーエさんが説明しながらした行為は簡単そうに見えたがやってみるととても難しかった。物体に魔力を注ぎ込むのは簡単だが、空間魔法は空気中に魔力を流し込むことになる。つまり、他のとこに流れてしまうと波長をうまくずらせなくなったりして、コントロールが難しいのだ。そうこうしてる間にリーエさんはモンスターファームから取り出したテントを約6畳半くらいの空間を一人で作り上げていた。

「簡易的な物なので物も何もありませんけど、雨風はしのげます。」

「十分すぎるよ。ありがとうリーエさん。」

「主〜、取ってきたよ〜。」

「我も狩ってきたぞ。」

丁度みんな終わったみたいだ。ご飯にするか。

「ご飯は僕とリーエさんに任しておいて。作ってくるから。そこにリーエさんが空間魔法で広げてくれたテントがあるからそこでみんな待っててね。」

「わかった〜。」
「わかった。」

コロとデュポーンさんはそう言って空間の中に消えていった。てか、本当に見えないんだな、外から。

「じゃー、作りますか。リーエさんは料理できますよね?」

「家事全般ならなんなく。」

「了解です。では、そこにデュポーンさんのとってきた猪がいるのでそれを捌いてくれませんか?」

「仰せのままに。」

すると、リーエさんの腕はいきなり機械音を発して、手がナイフになった。説明が下手だって?いや、だって表現難しいんだよ。だってそのまんまなんだもん。

「リーエさん、本当に機械なんだね。」

「はい。そうですが?」

猪の返り血でめちゃくちゃ怖いから。そんな浮かない顔しながらさばかないで。僕もさばかれそうな気がするからー!もういいや。気にしないでおこう。早く準備するか。どうしようかな。てか、炎魔法とか使えないから火も出せないしな。スキルポイントで買うか。んー。この生活魔法とかも良さそうだよな。初級魔法一式と生活魔法とっとこうかな。ポチッと。

スキル「初級魔法」「生活魔法」を取得しました。

とりあえず魔法覚えちゃったけどまだ空間魔法覚えてないからこのことは内緒にしておこう。てか、初級魔法だからな。覚えてないのと同じだ。軽く使ってみるか。たぶん魔法をイメージすれば出ると思うんだよね。

「小さな火をつけたい。ファイヤ。」

ボゥっと僕の指から小さな火が出てきた。暑くない。僕が出しているからかな?
とりあえず初めての魔法だ。軽く他のも試してみるか。

「少量の水を。ウォーター。」

チョロチョロっと水が出てきた。完璧だな。これで水にも火にも困らないぞ。ま、練習がてらリーエさんの猪解体がおわったら使いながら料理してみるか。

「ご主人様ただいま終わりました。」

「ありがとうございます。血を拭いてくださいね。後は僕に任せて大丈夫だから。」

人殺したみたいになってるよ。まじで。結構怖いから。 

「分かりました。私も血を拭いた後はテントで待っていますね。」

そう言ってリーエさんは「近くに川があるので水浴びしてきますねー。」と言って森の中に入っていった。

「よーし、僕も頑張るか。まずは軽く木とかを集めようか。」

炎は出せるようになった。後はそれを灯し続けられるものが必要だ。だが、ここは森だ。そこらへんの木や草を集めるのには造作もなかった。

「火を灯せ。ファイヤ。」

僕は集めた草木に向かって火をつけた。後は簡単だ。用意してあった、フライパンを温めてその上に猪肉を乗せる。軽く表面を炙り調理する前に作っておいた、木のみのソースをかけてさらに炙る。丁度いい感じになったら皿に焼いた肉を乗せて完成。これを後三回繰り返すだけである。

「やっぱ素材がないから簡易的なものしか作れないけどないよりはマシだろう。」

僕は数分でこの作業を全て終わらせてテントの中にいるみんなに持っていった。

「お待たせー。こんなもんでいいかな?」

「うん。いい匂い〜。美味しそうだよ〜主〜。」

「主、料理もできるんだな。見直したぞ。」

「素晴らしい出来栄えです。ご主人様。」

めちゃくちゃ絶賛された。

「ま、まだ味の問題もあるし。たぶん大丈夫だけど。じゃー、いただきますするか。

「いただきます?」

リーエさんがなんだそれといった感じで頭をひねっている。

「そういえばリーエさんは初めてでしたね。僕は異世界から来た住人なんですけど、そこではご飯を食べるときにいただきますって言うんです。」

「主が異世界から来たのはなんとなくわかっておりました。雰囲気がここの世界のものとは違ったので。いただきます...覚えておきます。」

「じゃー、手を合わせて。いただきます。」

「「「いただきます。」」」

さあ、猪肉はどんな味がするかな?木のみの酸味と合わなければまずくなってるかもなー。上手くいってることを願いたい。

「美味しい〜。」

「ほう。美味いな。このソースがたまらん。」

「とても美味しゅうございます。ご主人様。」

「うん、美味しい。上手くいってよかったー。」

僕が作った木のみのソースは少し独特な猪肉の臭みをカバーして、とてもいい感じにマッチングしていた。なかなかにいい出来栄えで自分自信もとても嬉しかった。
みんなで食事を軽く済ませてあと、今日はもう寝ようっということになった。テントの中はリーエさんが広げてくれたおかげでとても広い。みんなが余裕で寝れるスペースは確保してあった。

「では、皆さん。明日も頑張って行きましょうね。おやすみなさい。」

「うん。明日も頑張ろ〜ね〜。おやすみ〜。」

「ああ。明日は見つけるぞ。あの大熊を。おやすみなさい主。」

「おやすみなさいませ。ご主人様。明日も頑張りましょう。」

「うん。みんなおやすみ。」

僕はそう言って目を閉じた。


「ん、ふぁ〜。やべ、トイレ行きたい。」

3時間は寝ただろうか。いきなり尿意が襲ってきたので起きてしまった。みんなはぐっすりと眠っている。
僕はテントから出て少し森の中に入ったところでトイレをすることにした。

「ふぁ〜。スッキリ〜。やっぱ森の中は涼しいな。少し肌寒いけど。」

「誰だ?」

僕がトイレをし終わったあと、誰かに声をかけられたような気がした。
日常のような一日を過ごしていたこの探索だったが本当の冒険が始まったのは、ここからだった。






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