動物ブリーダーの僕が異世界でモンスターブリーダーとして活躍してるんだけど。

マナマナ

十三話 適当に都内を回ろう

コリンさんが装備を作っている間、僕たちはご飯を食べに行くことにした。

「お腹すいたな。なに食べたい?みんなわ?」

「我は肉じゃな。久しぶりに。」

「僕もお肉がいい〜。」

「じゃーお肉にするか。どこがいいかな〜。」

「その前に主よ。お金はあるのか?」

そうでした。

「あ、忘れてた。どうしよう。」

「ふふ、主らしいな。そんなことだろうとギィルティから貰っておいたんだ。前借金だ。クエスト報酬の一部だとさ。ほれ。」

そういうと、デュポーンさんは布袋を僕に投げた。

「おーとっと。ありがとうございます。そういえば、あの小さなドラゴンの姿には戻らないんですか?」

「そういえば忘れてたな。ギィルティのところで人間の姿のまま出てきてしまった。後でドラゴンにでもなるよ。」

「デュポーンさんも、うっかりなところあるんですね。」

「う、うるさい。我にでもうっかりすることぐらいある。あまり言わないでくれ。」

ちょっと恥ずかしそうだな。頰を染めながらそっぽを向いてデュポーンさんはそういった。

「主〜。あそことかどう?」

コロが言った先にはとてもいい匂いが漂ってきた。

「いいな!あそこにしよう。デュポーンさんもあそこでいいですか?」

「ああ。いいぞ。」

「じゃー行きましょうか。」

コロが見つけた店はこれまたTHE異世界なお店だった。酒場というのが正しいだろうか。お酒を飲んだりご飯を食べたりしている。とても美味しそうだ。僕たちは近くの席に座ると女の店員さんが訪ねてきた。

「いらっしゃい!何食べる?」

「えーっとお肉が食べたいんですけど、オススメとかありませんか?」

「オススメね。分かったわ。じゃー、このサリラワニのステーキとかはどう?結構安いし、美味しいですよ?」

ワニ肉かー。元の世界では食べたことないなー。話によると、鶏肉みたいな味がするらしいが。せっかくだ。食べてみよう。

「じゃー、それを三つ頼めますか?」

「わかりました。お持ちしますね。」

ニコッと笑いそういうと店員さんは帰っていった。

デュポーンさんは顔には出てないけど足でリズムを取っている。楽しみなのだろう。
コロは鼻歌を歌いながらニコニコして待っている。(ニコニコしてるかはわかんないけど雰囲気で)

「僕もこの世界にきて初めてのご飯だ。どんな料理なんだろう。」

「うむ。今頼んだサリラワニの肉はとても絶品だ。魔獣の中でも特に美味しい方だと思うぞ。」

サリラワニって魔獣なのか。てか、この世界に魔獣じゃなくて普通の大人しい動物はいないのだろうか。そこらへんはまだわかんないな。

「お肉楽しみだね〜、主〜。」

「そうだな。早くたべたいよ。」

雑談をしているとお肉を持ったさっきの女の店員さんがきた。

「お待たせしました。サリラワニのステーキです。」

「おぉ!めちゃくちゃいい匂い!」

サリラワニのステーキは肉汁がジュワーっとでてとても美味しそうだ。そしてとても香りがいい。久しぶりのお肉だ。楽しもう。

「よし。じゃーいただきます。」

「いただきま〜す。」

「ん?主よ。いただきます?とはなんだ?」

「あれ、この世界にはいただきますって言う習慣ないの?」

「聞いたことないな。」

そうなのか。異世界にはいただきますはないんだ。

「いただきますっていうのはこの食材に対して感謝して食べるって意味だよ。命をありがとうって最初に言ってから僕たちの世界はご飯を食べてたんだ。てか、コロも言ってたんだね。」

「主の真似してたの〜。前から〜。」

「なるほど、分かったぞ主よ。いただきます。これでいいのだな。」

「うん。そうだよ。両手を胸元で合わせるのも忘れずにね。」

「了解した主。にしても、主がいた世界の人間はとても面白いことを考えるのだな。」

「どうしてですか?」

「この世界は残酷だ。弱いものが食われ強いものが食う。それが当たり前なのだ。いちいち礼なんてしてるとキリがないからな。」

「そうですね。僕たちの世界ではそう言った争い事があまりなかったから、命に対してはとても深く考えていたんだと思います。ま、そんなことよりお肉食べましょ。冷めちゃいますよ。」

「そうだな。いただきます。」

デュポーンさんは慣れなそうに手を合わせて合掌した。

「よし、じゃー僕も。あらためていただきます。」

「いただきま〜す。」

「「「  ガブッ  」」」

「「「  美味しい !! 」」」

サリラワニのお肉はとても柔らかく口の中でとろけていった。合わせてあるソースとも相性バッチリでうまさを引き立てている。僕たちは久しぶりのご飯を楽しみながら食べた。

「ぷはー。食った食った。ごちそうさまでした。」

「ごちそうさま〜。美味しかったね〜主〜。」

「ごちそうさま。終わりの挨拶もあるのだな。覚えておこう。」

「この世界の料理がこんなに美味いとは思わなかったよ。正直びっくりした。」

「ふふ。まあ、今のも美味いがもっと美味いのはたくさんあるからな。このサリラワニもそこらへんの川にでも行けば取れるし。」

ワニいんの?川に?アマゾンかよ。

「そ、そうなんですか。じゃー、野宿するときの食料には困らなそうですね。」

「そうだな。まあ、結構強いから気をつけないとな。そいつに食われて死んだ初心者の冒険者は沢山いる。だが、手順を踏めば余裕だ。」

「今度狩りに言ってみましょうね。もう一回食べたいし。」

「そうだな。森の探索が終わったら我がスポットに連れて行ってやろう。クエストクリアの宴をしようではないか。」

「いいですね。そうしましょう。」

「お肉ならなんでもオッケ〜。」

僕たちは軽く雑談をしてから店員さんにお金を渡し宿屋に行くことにした。

「宿屋はギィルティが用意してくれている。名前は空の落し物というところらしい。」

ギィルティさん優しすぎ。あの人オネエだけどほんとにいい人だな。

「どこにあるんだろう。まあ、買い物もしないとだし、探しながら行きましょうか。」

そうして、僕たちはクエストに必要なポーションなどを買い揃えながら宿屋を探すのだった。



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