動物ブリーダーの僕が異世界でモンスターブリーダーとして活躍してるんだけど。

マナマナ

十一話 僕の過去


「僕は親から捨てられたんです。」

「「え?」」

デュポーンさんとギィルティさんは僕がそういうと固まってしまった。

「ま、待て主よ。捨てられたというのはどういう意味だ?」

「その言葉の通りです。幸せだったはずの家庭が父の会社が倒産して、僕だけ家に残して両親は僕を捨ててどこかに消えてしまったのです。」

「とうさん?っていうのはよく分からないが、子を捨てるなど親にはあってはならないことだ!」

そういえばここ異世界だから倒産とかそういう言葉はないのかもしれない。分かりやすく話すか。

「僕がいなければお金が足りたんでしょうね。お前はいらない存在だ!そう言われた時に自分の名前が頭の中で消えてしまったんです。僕は森の中の一軒家で寂しく死にそうな思いをして暮らしていました。だけどひとりぼっちだったのを救ってくれたのがコロだったんです。」

僕の隣で遊んでいたコロが不思議そうな顔でこちらを見た。

「僕?なんもしてないよ?」

「孤独だった時にコロの存在はとても暖かくて生きる希望を沸かしてくれました。コロと出会ってなかったらそのまま腐っていたでしょう。」

「そうだったのね、ぼうや。名前はいいわ。デュポーンちゃんとそこのコロちゃん?だっけ。一緒に仲良く旅をしなさい。デュポーンちゃんが選んだ人なんですもの。きっとあなたたちの目標は達成できると思うわ。私も微力だけど手伝ってあげる。」

「ありがとうございます!ギィルティさん。」

「んふ。いいってことよ。ちなみにぼうや。そこのコロちゃんだけど、どういう存在かは分かっているのよね?」

「はい。最強の狼の息子だと聞きました。」

「そうよ。勇者に殺された狼の唯一の子供。それがこのコロちゃんなの。まだ、見た感じ能力を解放できてないようだけど、すごい力を持ってるわ。」

ギィルティさんはコロの能力を見ているのだろう。驚いた表情をしている。そしてなんか嬉しそうだ。

「最強の狼の子供のコロちゃんと天空の支配者デュポーンちゃんを従えている洞穴の迷い子ね。んふふ。楽しみだわ。試しにあなた達にクエストを依頼するわ。たぶんあなた達の旅にも関係することだと思うことだけど、受ける気はない?」

「僕たちに関係?どんな依頼なんですか?」

「この街の近くの大森林。クリステラ森林の探索よ。探して欲しい人がいるの。」

「ギィルティよ。そのものとは、あの大熊のことだな。」

「あら、よく分かったわね。そうよ。伝説の中の一つ。森の支配者 グルートちゃんがたぶんどこかに潜んで暮らしているはずなの。探してきてくれるかしら。たぶんそろそろ力を借りることが来るかもしれないから。」

「わかりました!グルートさんを探してきます。僕達もそのグルートさんを探しにきたので。」

「やっぱりそうだったのね。グルートちゃんは優しいからたぶん話を聞いてくれると思うけど、食事だけは邪魔しちゃダメよ。あの人怒るとすっごい怖いから。私とデュポーンちゃんが一緒に本気で止めないと止まらないからね!」

「僕その中にいたら死んでますね。それだけは注意しておきます。」

「んふ。分かったのならよろしい。じゃ、クエスト受けるってことでいいわね?」

「はい!大丈夫です!」

「分かったわ。よろしく頼むわね。」

こうして僕たちは、はじめてのクエストをこなすことになった。

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