動物ブリーダーの僕が異世界でモンスターブリーダーとして活躍してるんだけど。

マナマナ

七話 世界を回る旅に出よう!

「デュポーンさーん。」
木陰で休んでいるデュポーンさんと今後について話そうと声をかけた。

「なんだい、主よ?」

「この後のことなんだけど、どこに行けばいいですかね。僕は街とかに行ってみたいんですけど。」

街には屋台も泊まるところもある。お金はないけど、ギルドみたいなのがあれば、そこでお金を稼げばいい。まずは、先に進まないと。

「そうだな。街に行くのは賛成だ。街に行き、お金を稼ごう。そうしなければ、食べるものもなければ、主の寝床がない。それじゃ困るからな。」

デュポーンさんも賛成らしい。街か。はやく行きたいな。

「あ、あと一つ主に頼みたいことがある。」

「なんでしょう?」

「我とあそこの犬が神話に乗っている魔物だということは言ったな。公には我と犬しか載ってないのだが、本当は我らを含め、5体の魔物がいるのだ。」

「え?5体の魔物ってデュポーンさんたちと同じくらいの強さを持ってる、神話の魔物ですか?」

「そうだ。そいつらは主が来る一昔前に戦争があってな、それぞれの場所を治めていたのだが、ある事件があり、他のところに飛ばされてしまったのだよ。それで、飛ばされなかったのが我だけ。あの犬の親がその一人だったがそいつは死んでいた。その犬も異世界を彷徨ってたらしいしな。」

「あの、ある事件ってなんなんですか?」

「魔王の仕業だ。」

「魔王…てことは、魔王軍の襲来みたいなやつですかね?」

「まあ、そんなところなのだが。魔王は、人間は知らないだろうが二人いるのだ。一人は、魔神王。これが本来人間たちが言っている魔王のことだ。温和な性格な魔物たちでも簡単に操り、悪行をする悪だ。もう一人は、我の知り合いでな。とてもいい奴だ。名を、クレアという。そいつは、魔物を行き道へ統一させる役割でな、魔神王と対の存在になり、魔物の暴走を止めていたのだが。ある事件が起こったのだ。それはな、勇者の企みだったのだ。あいつだけは、魔王が二人いるのは知っていた。勇者は、魔物と戦うのは好まん奴だったからな。それを聞いたクレアは、勇者と契約しようとしたのだ。魔物はあなた達を傷つけない。それでよければ、あなた達は私たちとも戦わないでほしいと。その時の勇者は、人間の王の娘の婿になっていてな、その年にちょうど王がなくなり勇者が王になっていた。だから、権力もある。勇者が承諾すればそこで決まったようなものだ。結局勇者は、クレアに会うことにした。そこからだ、問題が起こったのは。勇者は、クレアに剣を向けたのだ。クレアはとても優しい性格で我らと同じくらいの力を持っているのだが、他人を傷つけることなどできもしないのだ。何も逆らうこともせず斬られ重傷をおった。クレアが弱ってしまうと、魔神王の力を緩和できなくなる。そうすると分かっている通り魔物は暴走してしまうのだ。」

「なんで勇者はクレアさんを傷つけたんですか?」

「魔神王と接触していた。」

「え?魔神王と?」

勇者が魔神王と接触していた?しかも、勇者はこの国の人間の王だ。そんな奴が魔神王なんかと接触するなど許されないことだ。

「勇者はな、隠していたのだ本性を。最初の方は、自分の力を使って世界の平和を保っていた。だが、ある日あいつは変わった。あの日はたしか、魔神王の城に攻め込んだ時だったか。あいつは一人で進んだ。幹部が何人もいる中で、そいつらをなぎ倒し、魔神王までたどり着いた。そこまでは良かった。勇者は3日たちようやく帰ってきたと思えば、すぐにまた魔神王の城まで行ってしまったのだ。そこから街には帰ってこなかった。我は人間の姿で街に入って、勇者と共に戦っていた時期があったからな。そのことはとてもよく覚えている。勇者は強い。多分我よりも遥かに強いだろう。そんなに強い男が、街を出てすぐクレアに剣を向けた。無防備なクレアは致命傷を受け力を失った。クレアの次は我の母だった。」

「そうか。デュポーンさんのお母さんも魔神王とつながった後の勇者にやられたのか。」

「ああ。その時は、まだ母が天空を支配していたのだ。勇者とは仲が良くてな1週間に一回は会って話をしていたよ。そのせいで、私の母は油断していたのだろうな。母は我よりも強くその頃では多分一番強かったと思う。だが、油断をすれば同等の力を持つ勇者なら致命傷を与えられる。そこを狙われ母は勇者に斬られてしまった。」

「そうだったのか。なんで勇者はそんなことしたんだろう。地位と名誉、財産は持っていたはずなのに。何がそこまで勇者を動かしたのか。魔神王と何があったんだろう?」

勇者というだけあって魔神王に操られたとかはないだろう。と、考えるとやっぱりクズ野郎だったのだろうか。

「勇者には強すぎるスキルがありふれるほどあったがその中に「全能支配」というスキルがあった。」

「全能支配?どんな効果なんですか?」

「全能支配。自分以外の相手の脳内を上書きできるスキルだ。今の魔神王ではなく、先代の魔神王が持っていたスキルだ。」

「先代の魔神王が持っていたスキルをなぜ勇者が?」

「勇者は貰ったのだ力を。魔神王に。魔神王と組むことで。」

「では、なぜデュポーンさんたちは上書きされてないんですか?」

「私やこんな話をしているのにそこで呑気に走り回っている犬、そして我と同等の存在は、大体加護を持っている。主、お前も持っているはずだ。私を使役したなら、「竜王の加護」を持っているはずだぞ。」

「はい、さっき見たときに見つけました。」

「その効果はな、相手から干渉されなくなるという効果なのだ。相手からの威圧も効かなければ、体内の干渉もされなくなる。そして、自分より格下の生物に威圧を放つことができるのだ。」

「なるほど。だから、何人かの人たちや魔物は、勇者の干渉が効かなかったのか。」

「しかし、他の奴らは脳内を上書きされ、魔物たちはそこを支配していた我らの仲間を追放し、暴走した。人間は勇者のことをさらに慕いおかしくなってしまった。我は、おかしいと思い、母のいる巣へと戻った。帰ったら母は沢山の血を流して死んでいた。勇者の指示だろう。あまりにも無残だった。我は復讐を誓った。我が母の後を継ぎ勇者と魔神王を倒すと。だが、我だけでは到底かなわない。だから主。お前を待っていたのだ。」

「僕を?僕なんてデュポーンさんの足元にも及ばないし。」

「いいや、それはステータス上での話だ。
我が授けたスキル。あれはランダムなのだよ。その人物にあったスキルが得られるという、我の能力で与えたスキルは我の待ち望んでいたスキルだったから。しかも、最強の狼を連れた洞穴の迷い子だったから!
我は運命を感じたのだ。主となら魔神王、そして勇者を倒せると。この世界は少々狂っている。我はこの世界が嫌いだ。母親を殺し、友を傷つけた勇者が嫌いだ。だから、倒さないといけない。だから、主。こんな欲望だらけの我のたった一つの願いじゃ。我と一緒に冒険をしてほしい。この世界を周り同胞を見つける旅に一緒にいってくれないだろうか。」

デュポーンさんに初めて頼まれた。合ってからまだ1日もたってない。だけどこんなに強い人がこんなにも一生懸命僕に頼み込んでいるのだ。それ以上に危険で過酷な冒険になるということだろう。だけど、僕の答えは最初から決まっていた。

「デュポーンさん。あなたを使役してるのは僕なんですよ?あなたの行くとこなら行かないといけない、それが使役主の役目でしょう?行きましょう。デュポーンさん達の同胞探しに!」

大丈夫だよ、デュポーンさん。僕とコロが一緒なら絶対大丈夫だから。絶対にデュポーンさんのために頑張るから。

僕はそう心に強く誓った。

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