動物ブリーダーの僕が異世界でモンスターブリーダーとして活躍してるんだけど。

マナマナ

三話 ドラゴンから力を貰いました。

異世界。漫画やアニメの中で最近よく見る名前だ。現実には絶対にないし、そんなところ行くことはないだろうと思っていたが、僕は本当に異世界にきてしまったらしい。

「私の名は、デュポーン。人間たちからは、空の使者「烈空」と言われているらしい。お前のその珍しい力とその犬に興味を持った。お前に力を与えよう。」

「力?ですか?」

僕は早く帰りたいんだけどな〜。まあ、このデュポーンとかいうドラゴンさんは帰らせるつもりはないらしい。
「お前に一番合う能力だ。存分に扱え。」
デュポーンがそういうと、僕の下の地面からいきなり光が溢れ出し、僕を包み込んだ。数秒たっただろうか。光は僕の中に入っていき、頭の中にアナウンスのようなものが流れた。

特性を会得しました。
特性「  絶対の使役者   」
全ての動物を使役することができる。使役する方法は、使い魔の能力を使い相手を弱らせることなど様々。
スキル  「   絶対の使役者   」を取得したことにより、職業が使役者になりました。

絶対の使役者?なにそれ。カッコいい。

「お前に与えたその能力は昔魔王が使っていたスキルに似ている。お前は動物に好かれる体質をしているため、精霊に好かれやすいらしい。自分の能力を見てみろ。精霊の力で底上げされているはずだ。
まあざっと勇者や大賢者並みだろうな。」
いや、流石にそこまではないだろう。ステータスはどうやって見るのだろうか。言葉にして言ってみよう。

「ステータス」

すると僕の前にステータスが書かれた、板が浮かび上がってきた。

「それがステータスボードだ。レベルを上げれば、もちろんのことステータスは上がる。さらにレベルを上げるとポイントがもらえるのだ。それでスキルのレベルを上げたりスキルを取得することができるぞ。」

なるほど。どれどれ僕のステータスは、

使役者   レベル1
HP   150/150  +10000
MP   50/50    +10000
力  10   +1000
速さ   10   +1000

精霊の加護によりステータス上昇。

特性
絶対の使役者  レベル1
精霊の加護   レベル5
洞穴の迷い子

なんじゃこりゃ。まだこの世界の基準は分からない。だけど、初期値の10とかを見るに高くて1000越えのステータスを持つものは数少ないだろうという印象を受けた。

「この世界のステータスの基準ってどのくらいなのですか?」

「この世界の住民は、レベル100越えでステータスが高くてと500くらいだ。だが勇者たちは違う。初期値が500以上あり、さらにそこから強すぎるスキルで能力を底上げされている。到底今のお前じゃ太刀打ちできない。だが、それは勇者たちと戦った時の場合だ。そこら辺の魔物には到底苦労することもないだろうな。」

おいおい。チートすぎじゃねーか。元の世界に長らく戻れないんだったら強いことに越したことはない。だが、自分にはまだ使い魔がいない。使い魔ってどうやって作るんだろう?

「使い魔についてですが、どうやって契約とかすればいいんですかね?」

デュポーンは、何かおかしなものを見るような目でコロの方を見た。

「そこにいるだろ。あの犬は、ムーンウルフ。最強の狼だ。まだ力に目覚めてないらしいがな。」

え?コロって柴犬じゃないの?ちょっともふもふしすぎだなとは思っていたが、まさか魔獣だったとは。

「そいつとどこで出会ったのだ?」

「僕が雨の中散歩してるときに、雨に濡れてる犬が倒れていたので、家に連れて帰ったのが出会いです。」

「なるほどな。その犬はな、自分に主ができるとその主を洞穴の迷い子として異世界に呼び寄せる力があるのだ。その分、犬も体力を使うし、転移した後は死ぬものも多いと聞くがこの犬は多分ムーンウルフの中でも珍しい上位種だろーな。我が力を目覚めさせてもいいが、そのうち目覚めるであろう。」

ムーンウルフ。それがコロの本当の姿だそうだ。僕をここまで連れてきた可愛い僕の家族。コロの方を見るとまだ無邪気に遊んでいる。コロにどれだけの力があるのかは分からない。でも、ここに連れてこられたということは、必ず意味があるということだ。それを僕は探さなければならない。この大きくて怖そうだけど親切なドラゴン、デュポーンさんにもらった力で。

「僕は、何をすればいいのかがわかりません。ですが、ここにきたという意味をコロと一緒に探そうと思います。」

デュポーンさんは、とても和らいだ顔で僕とコロを見た。

「それでいい。お前はもっと強くなれ。その犬と一緒に。我はいつでもお前たちの近くにいる。そうだな。このままついていくのもアリかもしれない。どうだ?私と契約をしてみないか?お前が主で我が使い魔だ。我を使役することができたらどんなものでも、使役することは可能であろう。練習もかねて、我を使役するのだ。」

「わかりました。異世界は知らないことだらけです。デュポーンさんがいた方が心強いです。」

「決まりだな。我を使役する方法だが、我の体に手をやり、魔力を存分に注ぎ込め。そうすれば、私の体に紋章がつくはずだ。それが、お前との主従契約の証だ。」

「わかりました。では、いきますね。」

デュポーンさんの体に手をつけた。とても鱗がすべすべで気持ちがいい。

「おい、あんまり触るな。そわそわするだろうが。」

「あ、すいません。では、改めて。」

僕は思いっきりデュポーンさんに魔力を注ぎ込んだ。自分のなかの魔力のタンクみたいなものからどんどん魔力が無くなるのがわかる。

「あと少しだ。気を引きしめろ。」

あと少しだ。いける。最後の力を振り絞り、魔力が尽きると、デュポーンさんの体から光が溢れ出た。

「契約成功だ。よくやった主よ。」

そこにいたのは、大きくて怖そうなドラゴンではなく、とても綺麗な白髪の女の子だった。

「どちら様でしょうか?」

これから始まる物語は、伝説のドラゴンと最強の狼を使役した一人の男の日常を描いた物語である。

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