漆黒王の英雄譚

黒鉄やまと

第31話 勧誘


「なんでしょう?第四騎士団長殿」

クロードに案内させ、俺は第四騎士団長ステラ・ツーベルクの元へ来た。

「やぁ、こうしてちゃんと話すのは初めてだね、英雄君。第四騎士団長ステラ・ツーベルクだよ」

「英雄はやめてください。」

「まあまあ、いいじゃないか。」

「というか!なんて格好してるんですか?!」

ステラの現在の格好はオレンジ色のボサボサの髪を適当に伸ばし、赤い情熱的な下着だけをつけてソファにだらしなく座っている。さらにステラの身体はかなりセクシーな部類に入るので、姿勢や姿も合わさりかなりエロく見えてしまう。

「なんだ?気になるのか?お前もお年頃だなぁ」

「ち、ちがいますよ!」

正直いち騎士団長がこんなんでいいんだろうか··········

「それよりも!なんのようです?突然呼び出すなんて」

「まあ、色々と話を飛ばして、だ。アルベルト君、第四騎士団に入らないかい?」

「第四騎士団にですか?」

「ああ、知っていると思うが、第四ウチは特殊な能力をもったやつを多く集めててな。まあ、無理強いはしないが、うちにどうかと思ってな?」

「お断りさせてもらいます。俺は縛られるのは嫌なんでね。」

「そうか。それは残念だ。」

予想とは裏腹にステラは直ぐに引き下がった。

「意外と簡単に引き下がるんですね」

「まあね、エルヴィンにも一応聞いておいたんだよ。あいつも断るだろうって言ってたから予想はしてたんだ。」

「そうですか。親父のやつステラ団長に鼻のして伸ばしてませんでしたか?」

「おう、もうのびのびだぜ。お前の鼻の下はどこまで長いんだってくらいな。」

「やっぱり·····」

先程とは違い予想通りの答えにため息をつかざるを得ない。

「全く、前ちょっとだけ触られたからのしてやったら、今度は全然近づかなくなりやがったよ。」

「なるほど、これは母さんたちに報告しておきます。」

「あはっはっはっ!エルヴィンは嫁だけじゃなくて息子にも尻に敷かれてるのか!」

「はぁ」

ため息が止まらない。

「あ、けど一応フォローしておくとな。あいつはすごいやつだぞ。普通騎士団に所属していたり、王城なんかで働いてる貴族当主は領地を持たない貴族なんだ」

「そうなんですか?けど、親父は領地貴族でもありますよ?」

「そう、そこだ。お前の親父は騎士団の、それも第一騎士団の副団長まで務めながら領地貴族もやってるんだ。自分の領地、王都、戦場。その3つを駆け回りながら仕事をこなしてるやつはあいつぐらいじゃないのか?それに休暇も何週間か1回取ってるらしいな。どんな仕事処理速度してんだ?」

「そう言われるとちょっと考えさせられますね。」

「たまには労わってやれよ?あそこは嫁さん3人とも厳しいらしいしな」

「そうしますか。」

「まあ?お前はその前に自分のことをどうにかしないとな?」

「え?」

ステラ団長がそう言うと部屋にクロードが入ってきた。

「アルベルト様、国王陛下がお呼びですよ?」

「俺を?」

「ええ、事情は知りませんが」

「あ〜、うん。わかった。これから行く」

何となくアシュレイ達のことではないかと予想が着くので急ぐことにする。

「というわけで俺はもう行きます。」

「ちょっと待て、私も行く。」

「はい?なんでです?あ、そういえば今会議中ですよね?ステラ団長は騎士団長なのに行かなくていいんですか?」

「今うちの団のやつら遊びに言ってて王都にいないんだよ。部下のいない騎士団長呼んだところでどうなるってんだ?」

「遊びって·····前から思ってましたけどこの国の騎士団大丈夫なんですか?」

「うちの団ぐらいだろうよ。それよりも早く行こうぜぇ」

「はいはい」

ステラは既に騎士団の制服に着替えており、直ぐに国王の元へ向かった。

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