漆黒王の英雄譚
第13話 約束
アルトは王城から馬車には乗らず徒歩で帰っていた。もう少しで日が落ちて街のあかりが着く頃だ。お店などは出していたものをしまって店じまいをしている。
アルトは大通りの端を歩いていた。
「人に頼れ・・・か。はぁ、あいつ5年間で頭良くなりやがって。いや、昔からあんなんだったか?うん、あんなんだったな」
アルトは頭の後ろに手を回し空を見る。
太陽がほとんど沈んでいて反対側からは月が出始めている。
アルトは道の裏に入って魔力を練って飛行魔法を発動して空に浮かんだ。
「俺はこの手で守りたいだけなんだ。この世界を、どこにいても直ぐに助けられるくらい強くなって、どんな敵でも倒せるくらい強くなって・・・・・・間違ってると思うか?」
「それは人に聞くべきことではないと思います。ただ私でしたらこう思いますね。ああ、この人はなんて傲慢なんだ・・・と」
俺の独り言のようなつぶやきに答えた声があった。それは【絶剣】のメンバーの《支配》のアドミレアだ。
「お前がそんなことを思うとはな。」
「あれだけ個性豊かな人々の中にいれば私だって感情が芽生えます。」
「ほほう、その感情に聞きたい。俺はどうしたらいい?」
「私に聞かないでください。それはマスターの考えることでは?」
「はは、それもそうか。」
「ええ、」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
沈黙が訪れる。最初に沈黙を破ったのはアルトだった。
「アドミレア、あいつらに連絡してくれ。明後日には行く。準備をしておいてくれってな」
「了解しました。彼らはどうしますか?」
「今は自分のことで忙しい。各自で判断してくれ。」
「分かりました。失礼します」
そう言うとアドミレアはその場から転移して消えた。
「俺が悪いことはわかってる。けど他にどうすりゃいんだよ。」
アルトは考えるが月が頭の上に登ってきても答えは出てこなかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
結局アルトが帰ってきたのは日が昇ってすぐだった。アルトが屋敷の扉を開けるとリリスが迎えてくれた。
「お帰りなさいませ。アルト様」
「ああ、ただいま。ごめん待ってたか?」
「いえ、アドミレアさんからお話を伺っていたので大丈夫です。それよりもどうなされますか?朝ご飯にしますか?」
「ああ、準備をお願いできるか?風呂に入ってくるよ」
「かしこまりました」
リリスが去っていくのを見て俺は自分の部屋に戻る。
「・・・・・・行ってみるか」
アルトは部屋を出てアシュレイの部屋に向かった。アシュレイの部屋はすぐ近くで数十秒で着いた。
「ふぅ・・・アシュレイいるか?」
ノックをしてみるが反応はない。しかし気配はある。
「勝手だと思うが聞いて欲しい。まずは謝らせてくれ。済まなかった。俺は何も考えてなかった。そのせいでアシュレイ達を傷つけていた。本当にごめん。それと今日の会議で俺達がガムスタシアに乗り込むことが決まった。これも勝手にやってしまったことだ。本当に済まなかった。ハドルフさん達も無理やり納得させて事実から逃げていた。けど一日考えて思ったんだ。このまま俺が一人でやって行ってもいつかは絶対に躓いていたと思う。アシュレイに昨日言われて、ハドラーにも言われて思ったんだ。俺は傲慢だったんだ。5年前勝手に出ていって全部勝手にやって一人出来るから俺は特別な存在だ、俺にできないことは無い、俺さえ行動をすればみんなが幸せになる、俺が全員を幸せに出来るんだって。そう思っていたんだ。けどそれは違った、アシュレイのことを泣かせてしまっているし、みんなに心配を掛けていた。そして多分これからも同じことを繰り返してしまうかもしれない。だからお願いがあるんだ。もし俺が同じようなことをしてしようとした時は殴ってでも止めて欲しい。俺は一人じゃ生きていけない。こんな言葉もアシュレイにとって気休めにもならないかもしれない。けど聞いて欲しいんだ。本当に済まなかった」
俺は頭を下げた。アシュレイは聞いていないかもしれない。頭を下げているのも知らないかもしれない。けどそれでも言わなきゃ行けないと思ったから。
しばらくしてもアシュレイは出てこなかった。
「・・・やっぱり・・・ダメだよな・・・・・・」
俺が立ち去ろうとしたその時扉が開いた。
「アシュレイ・・・」
「・・・繰り返しちゃうかもじゃなくてもうこんなことはしないって誓って。」
「あ、ああ!俺は誓う!神に、アシュレイに、自分自身に!自分勝手なことはしない!大事なことを一人で決めない!アシュレイに、みんなに心配をかけない!」
アルトがそう言うとアシュレイはアルトのことをゆっくりと抱き締めた。
「バカ・・・今回のことは許してあげるから絶対に戻ってきて」
「ああ、必ずだ。絶対に無事に戻ってきてみせる」
「うん、約束だよ?」
「約束だ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その後アシュレイと別れた俺は風呂に入って昼食を取った。
「無事アシュレイ様とは和解したみたいですね。」
「なんだ、リリスも知ってたのか。まあな。」
「よかったです。これで次は私のお説教に移れますね」
「へ?」
その後一時間は部屋で正座の状態で説教をされた。
アルトは大通りの端を歩いていた。
「人に頼れ・・・か。はぁ、あいつ5年間で頭良くなりやがって。いや、昔からあんなんだったか?うん、あんなんだったな」
アルトは頭の後ろに手を回し空を見る。
太陽がほとんど沈んでいて反対側からは月が出始めている。
アルトは道の裏に入って魔力を練って飛行魔法を発動して空に浮かんだ。
「俺はこの手で守りたいだけなんだ。この世界を、どこにいても直ぐに助けられるくらい強くなって、どんな敵でも倒せるくらい強くなって・・・・・・間違ってると思うか?」
「それは人に聞くべきことではないと思います。ただ私でしたらこう思いますね。ああ、この人はなんて傲慢なんだ・・・と」
俺の独り言のようなつぶやきに答えた声があった。それは【絶剣】のメンバーの《支配》のアドミレアだ。
「お前がそんなことを思うとはな。」
「あれだけ個性豊かな人々の中にいれば私だって感情が芽生えます。」
「ほほう、その感情に聞きたい。俺はどうしたらいい?」
「私に聞かないでください。それはマスターの考えることでは?」
「はは、それもそうか。」
「ええ、」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
沈黙が訪れる。最初に沈黙を破ったのはアルトだった。
「アドミレア、あいつらに連絡してくれ。明後日には行く。準備をしておいてくれってな」
「了解しました。彼らはどうしますか?」
「今は自分のことで忙しい。各自で判断してくれ。」
「分かりました。失礼します」
そう言うとアドミレアはその場から転移して消えた。
「俺が悪いことはわかってる。けど他にどうすりゃいんだよ。」
アルトは考えるが月が頭の上に登ってきても答えは出てこなかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
結局アルトが帰ってきたのは日が昇ってすぐだった。アルトが屋敷の扉を開けるとリリスが迎えてくれた。
「お帰りなさいませ。アルト様」
「ああ、ただいま。ごめん待ってたか?」
「いえ、アドミレアさんからお話を伺っていたので大丈夫です。それよりもどうなされますか?朝ご飯にしますか?」
「ああ、準備をお願いできるか?風呂に入ってくるよ」
「かしこまりました」
リリスが去っていくのを見て俺は自分の部屋に戻る。
「・・・・・・行ってみるか」
アルトは部屋を出てアシュレイの部屋に向かった。アシュレイの部屋はすぐ近くで数十秒で着いた。
「ふぅ・・・アシュレイいるか?」
ノックをしてみるが反応はない。しかし気配はある。
「勝手だと思うが聞いて欲しい。まずは謝らせてくれ。済まなかった。俺は何も考えてなかった。そのせいでアシュレイ達を傷つけていた。本当にごめん。それと今日の会議で俺達がガムスタシアに乗り込むことが決まった。これも勝手にやってしまったことだ。本当に済まなかった。ハドルフさん達も無理やり納得させて事実から逃げていた。けど一日考えて思ったんだ。このまま俺が一人でやって行ってもいつかは絶対に躓いていたと思う。アシュレイに昨日言われて、ハドラーにも言われて思ったんだ。俺は傲慢だったんだ。5年前勝手に出ていって全部勝手にやって一人出来るから俺は特別な存在だ、俺にできないことは無い、俺さえ行動をすればみんなが幸せになる、俺が全員を幸せに出来るんだって。そう思っていたんだ。けどそれは違った、アシュレイのことを泣かせてしまっているし、みんなに心配を掛けていた。そして多分これからも同じことを繰り返してしまうかもしれない。だからお願いがあるんだ。もし俺が同じようなことをしてしようとした時は殴ってでも止めて欲しい。俺は一人じゃ生きていけない。こんな言葉もアシュレイにとって気休めにもならないかもしれない。けど聞いて欲しいんだ。本当に済まなかった」
俺は頭を下げた。アシュレイは聞いていないかもしれない。頭を下げているのも知らないかもしれない。けどそれでも言わなきゃ行けないと思ったから。
しばらくしてもアシュレイは出てこなかった。
「・・・やっぱり・・・ダメだよな・・・・・・」
俺が立ち去ろうとしたその時扉が開いた。
「アシュレイ・・・」
「・・・繰り返しちゃうかもじゃなくてもうこんなことはしないって誓って。」
「あ、ああ!俺は誓う!神に、アシュレイに、自分自身に!自分勝手なことはしない!大事なことを一人で決めない!アシュレイに、みんなに心配をかけない!」
アルトがそう言うとアシュレイはアルトのことをゆっくりと抱き締めた。
「バカ・・・今回のことは許してあげるから絶対に戻ってきて」
「ああ、必ずだ。絶対に無事に戻ってきてみせる」
「うん、約束だよ?」
「約束だ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その後アシュレイと別れた俺は風呂に入って昼食を取った。
「無事アシュレイ様とは和解したみたいですね。」
「なんだ、リリスも知ってたのか。まあな。」
「よかったです。これで次は私のお説教に移れますね」
「へ?」
その後一時間は部屋で正座の状態で説教をされた。
コメント