漆黒王の英雄譚
第5話 帰ってきたアルベルト
「俺はアルベルト。アルベルト・クロスフィードだ」
少年がそう答えた。
「アルト・・・なのか・・・?」
エルヴィンは信じられないような顔でアルベルトに問いかけた。
「ああ、ただいま、親父。留守にして悪かった」
「あ、ああ、あぁぁぁぁ!」
エルヴィンは武器を捨ててアルベルトに抱きついた。
「馬鹿野郎!心配したんだぞ!勝手にいなくなって、どこにもいなくて!ずっと探してたんだぞ!ずっと・・・ずっと・・・・・・!」
「ああ、済まなかった。もうこんなことはしないさ。」
アルトはトントンとエルヴィンの肩を叩くとエルヴィンは涙ぐんだ顔を上げた。
「今まで一体どこに・・・」
「今はそれどころじゃねえんだろ?ちょっと待っててくれ」
エルヴィンをその場に置いたまま、アルベルトは前に出る。
「おっさん達は帝国兵だな?」
「ああ、私はガムストロ帝国将軍ハチョップだ。」
ハチョップは毅然とした態度で答えた。
「投降するつもりは?」
「ない」
「このまま死にたいのか?」
「死ぬかもしれんな。しかし私達7人でかかれば3人くらいの犠牲で済むだろう」
そう言ってハチョップ達は武器を構えた。
「3人くらい・・・か。いいだろう、相手をしてやろう」
「アルト!そいつらは!」
「大丈夫さ。俺の強さは知ってるだろ?」
「しかし・・・」
そこにエルヴィンの肩を1人のフードの男が抑えた。
「大丈夫ですよ。エルヴィン様」
「あなたはリヒトさん!」
その男リヒトは笑顔のままそういった。
まさかと思いエルヴィンが後ろをむくと、そこにはフードを被ったままのフィゼルがいた。
「それではあなたはの言っていた組織とは・・・」
「おう、俺らのリーダーはあんたの息子アルベルトだよ」
フィゼルはにやりとした顔で言った。
「さて、どっからでもかかってこい。俺一人で相手してやる」
アルトは手をハチョップ達に向けてクイクイと動かす。よくあるこいやオラァのポーズだ。
「舐めるな!」
ハチョップが宝具を使って強化して一撃をアルトに放った。それと共にほかの将軍達もアルトに攻め込む。
そしてその刃はアルトには届かなかった。
「随分遅かったな」
「なん・・・だと・・・!」
ハチョップの結界で守られているはずの身体のど真ん中に大きく穴が空いていた。
それだけではなくほかの将軍も腕が無くなっていたり、斬撃痕があったりと全員が致命傷をおっていた。
「あの一瞬で我らを戦闘不能にする・・・と、は・・・お見事・・・」
将軍達はその場で倒れた。
「おっと、まだ死なれちゃ困る。聞きたいこともあるんだ。」
アルトが魔力を放出し、戦場全体に行き渡るのを確認すると、アルトは魔法を発動した。
「『癒しの雫』」
すると空は晴れているのに雨が降り出した。その雨を浴びた兵士達にすぐ変化が起きる。
「き、傷が回復した・・・!」
「あれ?俺死んでない」
どんどんと傷ついた王国兵達の傷が癒えていく。それだけでなく、
「俺の傷も治った。」
「俺のもだ」
「何だこの雨は・・・」
帝国兵ですらも回復していた。
そして驚くことに先程アルトに倒されたと思われた将軍達も回復していた。
そしてアルトは大声で言った。
「さて!帝国兵よ!お前達の将軍は倒された!降伏するならば命の保証はしよう!しかし!もし武器をとり戦おうとするならば容赦はしない!俺と俺の仲間が全力で殲滅させてもらう!」
俺の後ろで黄金の竜が威嚇する。
帝国軍は諦めたように武器を落として降参した。
「これで終わったな」
「どういうつもりだ?」
「ん?」
ハチョップ達は戦意を無くしてアルトに聞いた。
「何故私たちを助けたのだ?」
「まあいいか。理由は2つ、1つ目は将軍レベルならば捕虜として役立つから。2つ目は俺が聞きたいことがあったからだ」
「聞きたいこと?」
「ああ、まあ、それは今後の尋問の時にでも聞くさ」
それよりも、とアルベルトは振り返る。
そこにはアイリスとアシュレイ、クラウディアの姿があった。
「アルト君・・・なんだよね?」
「うん。」
「・・・!」
アシュレイは涙を流しながらアルトに抱きついた。
「なんで勝手にいなくなっちゃうの!すっごい心配したんだから!なんで5年間も帰ってこなかったのよ!凄い・・・凄い寂しかったんだよ?」
「ごめん。けど必要なことだったんだ。本当にごめん。」
「怪我はないんだよね?」
「うん。元気だよ」
「良かった・・・」
するとアシュレイはすぅすぅと寝息をたてて寝てしまった。
「疲れてたんだな」
アシュレイはクラウディアさんに預けて次はアイリス母さんと向き合う。
「元気でよかったわ」
「うん。母さんもごめんね。心配かけて」
「いいのよ。言いたいことはみんなアシュレイちゃんが言ってくれたし、無事に帰ってきてくれたんだから」
「ありがとう」
「けどこれからは絶対にそんなことはしないでね。」
「分かったよ」
俺はアイリス母さんと短く抱き合うと、近くにアルペリーニさんがやってきた。
「久しぶりだな。アルト君」
「お久しぶりです。アルペリーニさん。」
「大層な登場だったじゃないか」
「すみません。なんか偉そうに出てきちゃって」
「なぁに。構わないさ。君はこの戦いを収めた英雄なのだから」
そう言ってアルペリーニさんは手を差し出してくる。それに答えて俺達はがっちりと握手をした。
「さて、アルト。戻ろうか。5年ぶりの王都だろ?みんな随分と変わったからな」
「そうだね。あ、そう言えばエルドはさすがに入れないか」
「ん?エルド?ああ、そう言えばアルトはなんかのリーダーをやってるんだって?そのことも説明してくれ」
「もちろん、とりあえず今いる人たちには紹介しよう。俺が旅先で見つけた仲間達だ。エルド、人化してくれ」
『分かった』
すると黄金の竜が光って徐々に人の姿になって行った。そして光が収まった時そこには綺麗な金色の髪を持った女性がいた。
「紹介しよう。俺が作った組織【絶剣】のメンバーだ。今は別の事情で居ないメンバーも2人ほどいるけどそのうち戻ってくるはずだ。合計9人の組織になる。目的は・・・まあ、それはのちのちでいいか。これが旅先で見つけた仲間だ。みんな良い奴だから仲良くしてやってくれ」
「な、なんかいきなりすぎてよく分からないが・・・どうもアルトの父エルヴィンです。この国の第一騎士団副団長をしてます。よろしく」
「そしてさっき寝ちゃったのが俺の婚約者のアシュレイだ。一応この国のお姫様だ」
「ほほう、このおなごが主の嫁か!」
そういったのは先程まで竜だったエルドラドことエルドだった。
「なんか文句でもあるか?」
「なかなか可愛いおなごではいか!この調子で妾も抱いてくれると嬉しいんだがの」
「バカを言うな。それよりも早く戻ろう。5年ぶりだからどんなふうになってるか楽しみだ」
アルベルトは笑顔でそう言った。
「おお、お主のそのような顔が見れるとは・・・眼福じゃ」
「そんな所に悪いんだがアルト君。多分観光ができるのはもう少し先になると思う。」
「え、マジすかアルペリーニさん」
「うむ、マジだ。半年以上戦争をしてきて王都ギリギリまで責められたのだ。今は店ひとつやっとらん。それにアルト君にはこれから行うたくさんの会議や合わなくては行けない人が沢山いるだろう?」
「む、確かにそうか。はぁ、仕方が無い。久しぶりにゆっくり出来ると思ったんだけどなぁ」
「いつもゆっくりしてるじゃないですか。毎朝九時過ぎに起きるのは誰ですか?」
「うぐ、余計なことは言わなくていい、リヒト」
その場にいる者が笑いながら王都に戻って行った。
「やっと帰ってきた、ただいま」
『おかえり!』
アルトがそういうとみんなが迎えてくれたのだった。
少年がそう答えた。
「アルト・・・なのか・・・?」
エルヴィンは信じられないような顔でアルベルトに問いかけた。
「ああ、ただいま、親父。留守にして悪かった」
「あ、ああ、あぁぁぁぁ!」
エルヴィンは武器を捨ててアルベルトに抱きついた。
「馬鹿野郎!心配したんだぞ!勝手にいなくなって、どこにもいなくて!ずっと探してたんだぞ!ずっと・・・ずっと・・・・・・!」
「ああ、済まなかった。もうこんなことはしないさ。」
アルトはトントンとエルヴィンの肩を叩くとエルヴィンは涙ぐんだ顔を上げた。
「今まで一体どこに・・・」
「今はそれどころじゃねえんだろ?ちょっと待っててくれ」
エルヴィンをその場に置いたまま、アルベルトは前に出る。
「おっさん達は帝国兵だな?」
「ああ、私はガムストロ帝国将軍ハチョップだ。」
ハチョップは毅然とした態度で答えた。
「投降するつもりは?」
「ない」
「このまま死にたいのか?」
「死ぬかもしれんな。しかし私達7人でかかれば3人くらいの犠牲で済むだろう」
そう言ってハチョップ達は武器を構えた。
「3人くらい・・・か。いいだろう、相手をしてやろう」
「アルト!そいつらは!」
「大丈夫さ。俺の強さは知ってるだろ?」
「しかし・・・」
そこにエルヴィンの肩を1人のフードの男が抑えた。
「大丈夫ですよ。エルヴィン様」
「あなたはリヒトさん!」
その男リヒトは笑顔のままそういった。
まさかと思いエルヴィンが後ろをむくと、そこにはフードを被ったままのフィゼルがいた。
「それではあなたはの言っていた組織とは・・・」
「おう、俺らのリーダーはあんたの息子アルベルトだよ」
フィゼルはにやりとした顔で言った。
「さて、どっからでもかかってこい。俺一人で相手してやる」
アルトは手をハチョップ達に向けてクイクイと動かす。よくあるこいやオラァのポーズだ。
「舐めるな!」
ハチョップが宝具を使って強化して一撃をアルトに放った。それと共にほかの将軍達もアルトに攻め込む。
そしてその刃はアルトには届かなかった。
「随分遅かったな」
「なん・・・だと・・・!」
ハチョップの結界で守られているはずの身体のど真ん中に大きく穴が空いていた。
それだけではなくほかの将軍も腕が無くなっていたり、斬撃痕があったりと全員が致命傷をおっていた。
「あの一瞬で我らを戦闘不能にする・・・と、は・・・お見事・・・」
将軍達はその場で倒れた。
「おっと、まだ死なれちゃ困る。聞きたいこともあるんだ。」
アルトが魔力を放出し、戦場全体に行き渡るのを確認すると、アルトは魔法を発動した。
「『癒しの雫』」
すると空は晴れているのに雨が降り出した。その雨を浴びた兵士達にすぐ変化が起きる。
「き、傷が回復した・・・!」
「あれ?俺死んでない」
どんどんと傷ついた王国兵達の傷が癒えていく。それだけでなく、
「俺の傷も治った。」
「俺のもだ」
「何だこの雨は・・・」
帝国兵ですらも回復していた。
そして驚くことに先程アルトに倒されたと思われた将軍達も回復していた。
そしてアルトは大声で言った。
「さて!帝国兵よ!お前達の将軍は倒された!降伏するならば命の保証はしよう!しかし!もし武器をとり戦おうとするならば容赦はしない!俺と俺の仲間が全力で殲滅させてもらう!」
俺の後ろで黄金の竜が威嚇する。
帝国軍は諦めたように武器を落として降参した。
「これで終わったな」
「どういうつもりだ?」
「ん?」
ハチョップ達は戦意を無くしてアルトに聞いた。
「何故私たちを助けたのだ?」
「まあいいか。理由は2つ、1つ目は将軍レベルならば捕虜として役立つから。2つ目は俺が聞きたいことがあったからだ」
「聞きたいこと?」
「ああ、まあ、それは今後の尋問の時にでも聞くさ」
それよりも、とアルベルトは振り返る。
そこにはアイリスとアシュレイ、クラウディアの姿があった。
「アルト君・・・なんだよね?」
「うん。」
「・・・!」
アシュレイは涙を流しながらアルトに抱きついた。
「なんで勝手にいなくなっちゃうの!すっごい心配したんだから!なんで5年間も帰ってこなかったのよ!凄い・・・凄い寂しかったんだよ?」
「ごめん。けど必要なことだったんだ。本当にごめん。」
「怪我はないんだよね?」
「うん。元気だよ」
「良かった・・・」
するとアシュレイはすぅすぅと寝息をたてて寝てしまった。
「疲れてたんだな」
アシュレイはクラウディアさんに預けて次はアイリス母さんと向き合う。
「元気でよかったわ」
「うん。母さんもごめんね。心配かけて」
「いいのよ。言いたいことはみんなアシュレイちゃんが言ってくれたし、無事に帰ってきてくれたんだから」
「ありがとう」
「けどこれからは絶対にそんなことはしないでね。」
「分かったよ」
俺はアイリス母さんと短く抱き合うと、近くにアルペリーニさんがやってきた。
「久しぶりだな。アルト君」
「お久しぶりです。アルペリーニさん。」
「大層な登場だったじゃないか」
「すみません。なんか偉そうに出てきちゃって」
「なぁに。構わないさ。君はこの戦いを収めた英雄なのだから」
そう言ってアルペリーニさんは手を差し出してくる。それに答えて俺達はがっちりと握手をした。
「さて、アルト。戻ろうか。5年ぶりの王都だろ?みんな随分と変わったからな」
「そうだね。あ、そう言えばエルドはさすがに入れないか」
「ん?エルド?ああ、そう言えばアルトはなんかのリーダーをやってるんだって?そのことも説明してくれ」
「もちろん、とりあえず今いる人たちには紹介しよう。俺が旅先で見つけた仲間達だ。エルド、人化してくれ」
『分かった』
すると黄金の竜が光って徐々に人の姿になって行った。そして光が収まった時そこには綺麗な金色の髪を持った女性がいた。
「紹介しよう。俺が作った組織【絶剣】のメンバーだ。今は別の事情で居ないメンバーも2人ほどいるけどそのうち戻ってくるはずだ。合計9人の組織になる。目的は・・・まあ、それはのちのちでいいか。これが旅先で見つけた仲間だ。みんな良い奴だから仲良くしてやってくれ」
「な、なんかいきなりすぎてよく分からないが・・・どうもアルトの父エルヴィンです。この国の第一騎士団副団長をしてます。よろしく」
「そしてさっき寝ちゃったのが俺の婚約者のアシュレイだ。一応この国のお姫様だ」
「ほほう、このおなごが主の嫁か!」
そういったのは先程まで竜だったエルドラドことエルドだった。
「なんか文句でもあるか?」
「なかなか可愛いおなごではいか!この調子で妾も抱いてくれると嬉しいんだがの」
「バカを言うな。それよりも早く戻ろう。5年ぶりだからどんなふうになってるか楽しみだ」
アルベルトは笑顔でそう言った。
「おお、お主のそのような顔が見れるとは・・・眼福じゃ」
「そんな所に悪いんだがアルト君。多分観光ができるのはもう少し先になると思う。」
「え、マジすかアルペリーニさん」
「うむ、マジだ。半年以上戦争をしてきて王都ギリギリまで責められたのだ。今は店ひとつやっとらん。それにアルト君にはこれから行うたくさんの会議や合わなくては行けない人が沢山いるだろう?」
「む、確かにそうか。はぁ、仕方が無い。久しぶりにゆっくり出来ると思ったんだけどなぁ」
「いつもゆっくりしてるじゃないですか。毎朝九時過ぎに起きるのは誰ですか?」
「うぐ、余計なことは言わなくていい、リヒト」
その場にいる者が笑いながら王都に戻って行った。
「やっと帰ってきた、ただいま」
『おかえり!』
アルトがそういうとみんなが迎えてくれたのだった。
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