漆黒王の英雄譚
第49話 その後
その後俺達はハドラーとペルシアの部屋でお菓子を食べたり、お茶を飲んだりしていた。ハドラーは特に何も無かったかのように接してくれていたので、気が楽になった。
しばらくするとセバスさんがやってきた。
「アルベルト様、ハドルフ王太子殿下がいつでも構わないとのことです」
「あ、分かりました。それじゃあそろそろ帰るよ。その前にハドルフさんと少し話してくるけど」
「あらそう。それじゃあまたね」
「今日はありがとうございました。」
「・・・・・・」
エミリア様は少し俺になれてくれたみたいでぺこりと無言で頭を下げた。
「こっちこそありがとう。」
「それじゃあまたな。ハドラー」
「うん。またね」
俺は部屋を出ると息を大きくはいた。
「出ていかれるおつもりですか?」
「・・・?」
セバスさんが言ったことを理解出来ずに悩む、
「いえ、アルベルト様は賢いお方です。先を見て行動されています。だからこそ私は心配です。いつか1人になってしまうと。近々旅にでも出るおつもりですか?」
「・・・!なんでそれを・・・」
「年の功と言うやつですかね、この歳になるとそういうものが見えてくるのですよ。」
「そうなんですか。まあ、そうですね。」
やっぱり鋭いな。この人は・・・・・・
「私は止めはしませんが、一つだけ忠告を。人生とは酒と同じです。飲んでも構いませんが、飲まれては行けません。」
「・・・?」
「まだ分かりませんか。そのうちわかるようになります。さて、着きましたね」
気がつくとハドルフさんの執務室の前にいた。
「ハドルフ王太子殿下、アルベルト様がいらっしゃりました。」
「入ってくれ」
「失礼します」
セバスさんが扉を開けてくれたので俺は中に入る。
「よく来たね、アルト君。どうしたんだい?今日はハドラー達と遊んでると聞いたが。」
「もう終わりました。今日はご相談があって来た所存です」
俺が真剣そうに話し始めると、ハドルフさんも姿勢を正して話を聞いた。
俺はハドラーにもした話を1部変えながら話をして、最終的に資金提供をして欲しいと頼んだ。
「アルト君が国のためにそこまで考えてくれていることはとても嬉しいと思う。むしろ、未来の若葉が育ってきてくれてバンザイという所だろう。しかし、アルト君は焦りすぎてるんじゃないのか?」
「それは・・・・・・」
「君はまだ5歳だ。そこまで考えなくてもいいと私は思うんだ。君はどうかな?」
「俺は・・・確かに焦ってるかもしれません」
「そうか。・・・なら・・・・・・」
「けど、俺は決めたんです。お願いします。至近を提供してくれませんか?」
俺は立ち上がって腰から折って頭を下げる。ハドルフさんはしばらくその様子を見ていたが、根負けしたようで仕方がないと切り出した。
「わかった。資金は出そう。どれくらい必要なんだい?」
「とりあえず考えている分では親父が言っていた場所には一年必要ということでしたので、食材なんかは自分で用意しようと思ってるんですが、それ以外のものを考えると」
「そうか、特に魔力を必要とするものは今のアルトくんに使えないからね」
「はい。だから、馬車を貸してもらいたいんです。」
「なるほど、馬車で旅をするつもりなんだね?」
「はい。馬でもいいかと思ったんですけど、国境などを抜ける時にそれだけでは怪しまれてしまうので、商人なんかになれればいいと思ってるんです」
「けどアルト君まだ5歳だよ?商業ギルドにも登録できないのにどうやってやるんだい?」
「それは俺の契約精霊が商業ギルドに登録させているで、俺はその付き添い的な立場でいればいいと思ってます」
「ふむ。わかった。それなら金貨20枚渡そう」
「にじゅ!そんなにいいんですか?!」
「これは私のポケットマネーから出ているからね、国は関係ないよ。さすがに国としてお金を出すことは出来ない。しかし、義理とはいえ息子の頼みだ。私が奮発しよう」
そうハドルフさんは笑顔で言ってくれた。
「ありがとうございます!」
俺は頭を下げて王城を出ていった。
〜〜〜〜〜〜一週間後〜〜〜〜〜〜〜
それから一週間後の早朝まだ誰も起きていないような時間に俺の姿は門の外にあった。道の脇には馬車を止めてあり一緒にいるのはリヒトとウェルティスだけだ。このことはリリスにも言っていないし、親父にも言っていない。
俺の格好は完全に旅人の姿になっていていつでも旅に出る支度は出来ていた。
「まだ短い期間だけど色んなことがあったな。何だか懐かしく感じるや」
まだ朝の冷たい風が吹き、俺の息が白く吐き出される。
「それじゃあ行ってきます。」
俺は外套のフードを被って馬車の方へ戻った。
「出してくれ」
「いいんですか?」
「何がだ?」
「いえ、それでは出発します」
御者はリヒトが行うことになっている。俺とウェンティスは荷台に乗ってゆっくりと過ごすことにした。
ガタゴトと馬車は進みだんだんと王都の壁は遠くなっていく。
俺はその壁が見えなくなるまでその壁を眺め続けた。
第1章幼年期編[完]
しばらくするとセバスさんがやってきた。
「アルベルト様、ハドルフ王太子殿下がいつでも構わないとのことです」
「あ、分かりました。それじゃあそろそろ帰るよ。その前にハドルフさんと少し話してくるけど」
「あらそう。それじゃあまたね」
「今日はありがとうございました。」
「・・・・・・」
エミリア様は少し俺になれてくれたみたいでぺこりと無言で頭を下げた。
「こっちこそありがとう。」
「それじゃあまたな。ハドラー」
「うん。またね」
俺は部屋を出ると息を大きくはいた。
「出ていかれるおつもりですか?」
「・・・?」
セバスさんが言ったことを理解出来ずに悩む、
「いえ、アルベルト様は賢いお方です。先を見て行動されています。だからこそ私は心配です。いつか1人になってしまうと。近々旅にでも出るおつもりですか?」
「・・・!なんでそれを・・・」
「年の功と言うやつですかね、この歳になるとそういうものが見えてくるのですよ。」
「そうなんですか。まあ、そうですね。」
やっぱり鋭いな。この人は・・・・・・
「私は止めはしませんが、一つだけ忠告を。人生とは酒と同じです。飲んでも構いませんが、飲まれては行けません。」
「・・・?」
「まだ分かりませんか。そのうちわかるようになります。さて、着きましたね」
気がつくとハドルフさんの執務室の前にいた。
「ハドルフ王太子殿下、アルベルト様がいらっしゃりました。」
「入ってくれ」
「失礼します」
セバスさんが扉を開けてくれたので俺は中に入る。
「よく来たね、アルト君。どうしたんだい?今日はハドラー達と遊んでると聞いたが。」
「もう終わりました。今日はご相談があって来た所存です」
俺が真剣そうに話し始めると、ハドルフさんも姿勢を正して話を聞いた。
俺はハドラーにもした話を1部変えながら話をして、最終的に資金提供をして欲しいと頼んだ。
「アルト君が国のためにそこまで考えてくれていることはとても嬉しいと思う。むしろ、未来の若葉が育ってきてくれてバンザイという所だろう。しかし、アルト君は焦りすぎてるんじゃないのか?」
「それは・・・・・・」
「君はまだ5歳だ。そこまで考えなくてもいいと私は思うんだ。君はどうかな?」
「俺は・・・確かに焦ってるかもしれません」
「そうか。・・・なら・・・・・・」
「けど、俺は決めたんです。お願いします。至近を提供してくれませんか?」
俺は立ち上がって腰から折って頭を下げる。ハドルフさんはしばらくその様子を見ていたが、根負けしたようで仕方がないと切り出した。
「わかった。資金は出そう。どれくらい必要なんだい?」
「とりあえず考えている分では親父が言っていた場所には一年必要ということでしたので、食材なんかは自分で用意しようと思ってるんですが、それ以外のものを考えると」
「そうか、特に魔力を必要とするものは今のアルトくんに使えないからね」
「はい。だから、馬車を貸してもらいたいんです。」
「なるほど、馬車で旅をするつもりなんだね?」
「はい。馬でもいいかと思ったんですけど、国境などを抜ける時にそれだけでは怪しまれてしまうので、商人なんかになれればいいと思ってるんです」
「けどアルト君まだ5歳だよ?商業ギルドにも登録できないのにどうやってやるんだい?」
「それは俺の契約精霊が商業ギルドに登録させているで、俺はその付き添い的な立場でいればいいと思ってます」
「ふむ。わかった。それなら金貨20枚渡そう」
「にじゅ!そんなにいいんですか?!」
「これは私のポケットマネーから出ているからね、国は関係ないよ。さすがに国としてお金を出すことは出来ない。しかし、義理とはいえ息子の頼みだ。私が奮発しよう」
そうハドルフさんは笑顔で言ってくれた。
「ありがとうございます!」
俺は頭を下げて王城を出ていった。
〜〜〜〜〜〜一週間後〜〜〜〜〜〜〜
それから一週間後の早朝まだ誰も起きていないような時間に俺の姿は門の外にあった。道の脇には馬車を止めてあり一緒にいるのはリヒトとウェルティスだけだ。このことはリリスにも言っていないし、親父にも言っていない。
俺の格好は完全に旅人の姿になっていていつでも旅に出る支度は出来ていた。
「まだ短い期間だけど色んなことがあったな。何だか懐かしく感じるや」
まだ朝の冷たい風が吹き、俺の息が白く吐き出される。
「それじゃあ行ってきます。」
俺は外套のフードを被って馬車の方へ戻った。
「出してくれ」
「いいんですか?」
「何がだ?」
「いえ、それでは出発します」
御者はリヒトが行うことになっている。俺とウェンティスは荷台に乗ってゆっくりと過ごすことにした。
ガタゴトと馬車は進みだんだんと王都の壁は遠くなっていく。
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コメント
華羅朱
至近では無く資金なのでは?