漆黒王の英雄譚
第43話 こういう時に限って事件が起こります。
そしてさらに1ヶ月が経った。
今日は隣国リュシュトベルト帝国の第三皇女が来る日だ。
この日までに既にレイチェルも入れて4人で随分と仲良くなった。
逆に朝から晩まで王城にいることが多く、アシュレイから構ってアピールが凄い。
「そろそろ行かないとな」
俺はアシュレイの膝の上に座りながらそういった。
「そうだね」
今日は皇帝達が来るということで俺達貴族は王城に呼ばれている。
王城でのパーティは夕方からだがクロスフィード家は少し早く来てくれとハドルフさんに呼ばれている。
俺達は馬車で王城に向かうとセバスさんが迎えてくれた。
「ようこそお越しくださいました。アシュレイ王女殿下、アルベルト様」
「久しぶりね。みんなの様子はどう?」
「皆様お元気でございます」
「そう、よかったわ」
アシュレイはセバスさんと一言二言話すとセバスさんの目は俺の方に向いた。
「毎回ありがとうございます。セバスさん」
「いえいえ、ハドルフ様からは皆様の迎えを命じられておりますし、王族のお客様なのです。疎かには出来ません。それにアルト様はアシュレイ様とご婚約されている方、それこそ疎かにはできませんから」
「ありがとうございます」
俺達はセバスさんに案内された部屋に入ると既に親父達がいた。
「お、来たか」
「おいっす。お待たせ、久しぶり」
「元気だったかい?」
「もちろんだよ。」
もちろんこの場にいるのはクロスフィード家の全員だ。
少し話しているとセバスさんが入ってきた。
「皆様、ハドルフ王太子殿下がお呼びです。ご案内させていただいてもよろしいでしょうか」
「もちろんです」
親父が返事をすると全員で移動する。
大きな扉の前・・・と言っても王城の扉はほとんどが大きいのであまり区別は着いていない。
着いた扉の前に来るとセバスさんは中の人たちに声をかけた。
「皆様、クロスフィード伯爵とその御家族が参りました。よろしいでしょうか」
「入ってくれ」
セバスさんが扉を開けると中には王家のみんながいた。
「よく来てくれた」
「いや、問題ないさ。」
ハドルフさんと親父が話をする。
「それよりもそろそろ来る頃か?」
「うん、あと30分もせずに来ると思う。」
「そうか」
「アルペリーニが国境付近まで迎えに行ってるからそろそろのはず」
そんなふうに話をしているとセバスさんが再びやってきた。
「リュシュトベルト帝国皇帝陛下とその御一行が王都の東大門にご到着なされました」
「分かった。これから向かう」
どうやら帝国の人達が着いたようだ。
この部屋にいる全員で部屋を出て王城の入口に向かう。
「親父、皇帝陛下ってどんな人なの?」
「んーまぁ、すげぇ強えよ」
「そんなに?」
「学院時代じゃ当時のアルペリーニが1勝も出来なかったからな。」
「そ、そんな人がいるんだ・・・」
「いや、今はどうか分からねぇよ?あいつも剣王の所に弟子入りしてかなり扱いてもらったみたいだし、俺もあれからさらに強くなったからな」
「へぇ、」
戦ったらどうなるかな?ちょっと気になってきた。
「それよりもお前は皇女様の方を頼んだぞ」
「わかってるよ。と言っても基本的には俺は何もしねぇよ。ペルシアとかレイラの奴が張り切ってたからな。アイツらがほとんどやってくれるだろ。ハドラーと俺は基本的には手出ししない。まあ、どうせ2人のことだからなんか失敗して俺達が手を出すことになるさ」
「お願いだから国際問題になるような事はしないでくれよ?」
「何したらそんなことになるんだよ。」
「お前が皇女様に手を出したりとか、皇女様に手を出したりとか、手を出したりとか・・・・・・・・・」
「今日のパーティは参加しなくていいよね?親父は」
と言って俺は笑顔で親父に聞く。
「え?いや、ダメだろ参加しなきゃ。」
「大丈夫大丈夫、ヴァイス兄さんが代理で出てくれるよ」
「・・・・・・すみませんでした。」
「次言ったらぶっ飛ばす」
そんなこんなで俺達は王城の出入口を出て、皇帝達を迎えに来た。
「さっき報告があったのでもうすぐ到着すると思います」
「分かった」
セバスさんがそう言ってから10分程だった頃。
「少し遅くないか?」
「そうですね。まあ、多少の誤差でしょう。」
「そうか」
と、セバスさんや親父達は言っているが・・・・・・
(なんだろ・・・すごく嫌な予感がする・・・・・・)
アルトは勘だけでそう思っていた。
そしてその勘はとても正しい物だった。
フィーナ姉さんが疲れたのか眠たそうに欠伸をした頃事件は起こった。
王都の南西側で王城の壁の中からでも分かるほどの大爆発が起こったのだ。
「な!なんだ?!」
「一体何が!」
みんなが狼狽える中、エルヴィンは冷静に直ぐに周りにいた騎士達に命令をした。
「騎士達よ!今すぐ全員を安全なところへ!それと部隊長はいるか!」
「は!ここに」
「第二部隊長のヒューズか。俺はここを離れることが出来ない。アルペリーニがいるから大丈夫だと思うが、念の為合流して護衛をしてくれ」
「了解しました!行くぞ!」
指示をされたヒューズという男は第2部隊を率いてアルペリーニのところへ向かった。
そんな中セバスは焦ったようにエルヴィンに話しかけた。
「エルヴィン殿!あの方向はコキュートスの方向です!」
「なっ!!」
コキュートス・・・・・・それはこの国のA級から特S級までの犯罪者を収容する収容所である。しかし、その存在は秘匿され通常の犯罪者収容所の地下深くに造られている。なぜ秘匿されているか。それは収容されている犯罪者達があまりにも危険であり、且つ、組織だっている犯罪者の仲間が助けに来ることを防ぐためである。しかもその存在は本当に極限られた人間しか知らない超極秘特別収容所なのだ。
その存在を副団長になった時前任から聞いたエルヴィンは驚きを隠せない。
「上にある地下収容所だけだったらいいんだが、もしコキュートスまで破られていたら・・・・・・」
「万が一にもないと信じたいですが、あそこは特殊な犯罪者ばかりが今います、何があってもおかしくない・・・・・・」
「そうですね・・・・・・」
どうしたものかと悩んでいるとエルヴィンの後ろから声がかけられた。
「エルヴィン殿、ここは拙者らに任せよ」
「カリュミリア騎士団長・・・・・・」
エルヴィンに話しかけた男はエルヴィンと同じ位の身長で赤い髪を後ろに束ねキリッとした目をした人だった。
カリュミリア・ハーディア。彼は第三騎士団騎士団長・・・要するに近衛騎士団の団長だ。彼は刀という極東にある国の武器と剣術を使って戦う剣士である。
今までもずっと近衛兵の中にいたがあまり登場する機会がなかった。
極東の国由来とされる道着、袴を来ている。
「分かりました。ここは頼みます」
「うむ、お主の妻子もしっかりと守りきろう。」
「お願いします」
そう言うとエルヴィンは深呼吸をして第一騎士団員に命じた。
「第一騎士団員は全員俺についてこい!これから爆発があった方に向かう!遅れた奴は第一騎士団名物のワイバーン狩りだ!」
「「「「おおっ!」」」」
エルヴィン達第一騎士団は王城から飛び出し爆発のあった南西側に向かった。
アイリス達は全員一度王城の中へ入った。
そして第三騎士団の団員に囲まれながら安全な場所へ向かう。
そしてはたとアシュレイは気がついた。
「あれ?アルト君は?」
その場にいた全員が動きを止める。
みんなどこを探してもアルトの姿は見つけられなかった。
今日は隣国リュシュトベルト帝国の第三皇女が来る日だ。
この日までに既にレイチェルも入れて4人で随分と仲良くなった。
逆に朝から晩まで王城にいることが多く、アシュレイから構ってアピールが凄い。
「そろそろ行かないとな」
俺はアシュレイの膝の上に座りながらそういった。
「そうだね」
今日は皇帝達が来るということで俺達貴族は王城に呼ばれている。
王城でのパーティは夕方からだがクロスフィード家は少し早く来てくれとハドルフさんに呼ばれている。
俺達は馬車で王城に向かうとセバスさんが迎えてくれた。
「ようこそお越しくださいました。アシュレイ王女殿下、アルベルト様」
「久しぶりね。みんなの様子はどう?」
「皆様お元気でございます」
「そう、よかったわ」
アシュレイはセバスさんと一言二言話すとセバスさんの目は俺の方に向いた。
「毎回ありがとうございます。セバスさん」
「いえいえ、ハドルフ様からは皆様の迎えを命じられておりますし、王族のお客様なのです。疎かには出来ません。それにアルト様はアシュレイ様とご婚約されている方、それこそ疎かにはできませんから」
「ありがとうございます」
俺達はセバスさんに案内された部屋に入ると既に親父達がいた。
「お、来たか」
「おいっす。お待たせ、久しぶり」
「元気だったかい?」
「もちろんだよ。」
もちろんこの場にいるのはクロスフィード家の全員だ。
少し話しているとセバスさんが入ってきた。
「皆様、ハドルフ王太子殿下がお呼びです。ご案内させていただいてもよろしいでしょうか」
「もちろんです」
親父が返事をすると全員で移動する。
大きな扉の前・・・と言っても王城の扉はほとんどが大きいのであまり区別は着いていない。
着いた扉の前に来るとセバスさんは中の人たちに声をかけた。
「皆様、クロスフィード伯爵とその御家族が参りました。よろしいでしょうか」
「入ってくれ」
セバスさんが扉を開けると中には王家のみんながいた。
「よく来てくれた」
「いや、問題ないさ。」
ハドルフさんと親父が話をする。
「それよりもそろそろ来る頃か?」
「うん、あと30分もせずに来ると思う。」
「そうか」
「アルペリーニが国境付近まで迎えに行ってるからそろそろのはず」
そんなふうに話をしているとセバスさんが再びやってきた。
「リュシュトベルト帝国皇帝陛下とその御一行が王都の東大門にご到着なされました」
「分かった。これから向かう」
どうやら帝国の人達が着いたようだ。
この部屋にいる全員で部屋を出て王城の入口に向かう。
「親父、皇帝陛下ってどんな人なの?」
「んーまぁ、すげぇ強えよ」
「そんなに?」
「学院時代じゃ当時のアルペリーニが1勝も出来なかったからな。」
「そ、そんな人がいるんだ・・・」
「いや、今はどうか分からねぇよ?あいつも剣王の所に弟子入りしてかなり扱いてもらったみたいだし、俺もあれからさらに強くなったからな」
「へぇ、」
戦ったらどうなるかな?ちょっと気になってきた。
「それよりもお前は皇女様の方を頼んだぞ」
「わかってるよ。と言っても基本的には俺は何もしねぇよ。ペルシアとかレイラの奴が張り切ってたからな。アイツらがほとんどやってくれるだろ。ハドラーと俺は基本的には手出ししない。まあ、どうせ2人のことだからなんか失敗して俺達が手を出すことになるさ」
「お願いだから国際問題になるような事はしないでくれよ?」
「何したらそんなことになるんだよ。」
「お前が皇女様に手を出したりとか、皇女様に手を出したりとか、手を出したりとか・・・・・・・・・」
「今日のパーティは参加しなくていいよね?親父は」
と言って俺は笑顔で親父に聞く。
「え?いや、ダメだろ参加しなきゃ。」
「大丈夫大丈夫、ヴァイス兄さんが代理で出てくれるよ」
「・・・・・・すみませんでした。」
「次言ったらぶっ飛ばす」
そんなこんなで俺達は王城の出入口を出て、皇帝達を迎えに来た。
「さっき報告があったのでもうすぐ到着すると思います」
「分かった」
セバスさんがそう言ってから10分程だった頃。
「少し遅くないか?」
「そうですね。まあ、多少の誤差でしょう。」
「そうか」
と、セバスさんや親父達は言っているが・・・・・・
(なんだろ・・・すごく嫌な予感がする・・・・・・)
アルトは勘だけでそう思っていた。
そしてその勘はとても正しい物だった。
フィーナ姉さんが疲れたのか眠たそうに欠伸をした頃事件は起こった。
王都の南西側で王城の壁の中からでも分かるほどの大爆発が起こったのだ。
「な!なんだ?!」
「一体何が!」
みんなが狼狽える中、エルヴィンは冷静に直ぐに周りにいた騎士達に命令をした。
「騎士達よ!今すぐ全員を安全なところへ!それと部隊長はいるか!」
「は!ここに」
「第二部隊長のヒューズか。俺はここを離れることが出来ない。アルペリーニがいるから大丈夫だと思うが、念の為合流して護衛をしてくれ」
「了解しました!行くぞ!」
指示をされたヒューズという男は第2部隊を率いてアルペリーニのところへ向かった。
そんな中セバスは焦ったようにエルヴィンに話しかけた。
「エルヴィン殿!あの方向はコキュートスの方向です!」
「なっ!!」
コキュートス・・・・・・それはこの国のA級から特S級までの犯罪者を収容する収容所である。しかし、その存在は秘匿され通常の犯罪者収容所の地下深くに造られている。なぜ秘匿されているか。それは収容されている犯罪者達があまりにも危険であり、且つ、組織だっている犯罪者の仲間が助けに来ることを防ぐためである。しかもその存在は本当に極限られた人間しか知らない超極秘特別収容所なのだ。
その存在を副団長になった時前任から聞いたエルヴィンは驚きを隠せない。
「上にある地下収容所だけだったらいいんだが、もしコキュートスまで破られていたら・・・・・・」
「万が一にもないと信じたいですが、あそこは特殊な犯罪者ばかりが今います、何があってもおかしくない・・・・・・」
「そうですね・・・・・・」
どうしたものかと悩んでいるとエルヴィンの後ろから声がかけられた。
「エルヴィン殿、ここは拙者らに任せよ」
「カリュミリア騎士団長・・・・・・」
エルヴィンに話しかけた男はエルヴィンと同じ位の身長で赤い髪を後ろに束ねキリッとした目をした人だった。
カリュミリア・ハーディア。彼は第三騎士団騎士団長・・・要するに近衛騎士団の団長だ。彼は刀という極東にある国の武器と剣術を使って戦う剣士である。
今までもずっと近衛兵の中にいたがあまり登場する機会がなかった。
極東の国由来とされる道着、袴を来ている。
「分かりました。ここは頼みます」
「うむ、お主の妻子もしっかりと守りきろう。」
「お願いします」
そう言うとエルヴィンは深呼吸をして第一騎士団員に命じた。
「第一騎士団員は全員俺についてこい!これから爆発があった方に向かう!遅れた奴は第一騎士団名物のワイバーン狩りだ!」
「「「「おおっ!」」」」
エルヴィン達第一騎士団は王城から飛び出し爆発のあった南西側に向かった。
アイリス達は全員一度王城の中へ入った。
そして第三騎士団の団員に囲まれながら安全な場所へ向かう。
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