漆黒王の英雄譚
第30話 親として、王国騎士として
俺は2週間ぶりに屋敷に帰ってきた。
「アルト様、身体は大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫。」
俺は屋敷の門の前に立っていた。
隣にはリリスがいる。
他の家族には既に帰ってもらっていた。
「ただいま」
「おかえりなさい!アルト君」
「ただいまエルザ母さん。みんなは?」
「フィーナとヴァイスは学院に行ってるわ。レオ君とアル君は部屋にいる。リンゼちゃんはシルちゃんとお買い物に行ってるわ。」
「あの二人は?」
「・・・まだ部屋に」
「そっか、リリス。俺は上に行ってくるからエルザ母さんと下にいてくれ」
「大丈夫ですか?」
「ああ、ちょっと話してくるだけだよ」
「わかりました。無茶はしないでください」
「わかってる」
エルザ母さんとリリスが離れたのを確認して俺はアイリス母さんの部屋に向かう。
「アイリス母さん、ただいま」
返事がない。まるで屍のようだ・・・じゃなくて!
「はいるよ」
扉は簡単に空いた。部屋に母さんの影はない。ベットには布団で包まれている影はあるが・・・・・・
「アイリス母さん・・・」
「来ないで・・・」
「なんで?」
「あなたに・・・」
「合わせる顔がない?」
「・・・うん」
毛布にくるまったまま話す。
「俺は怒っていると思う?」
「・・・・・・」
「俺はあの時別の場所にいたから母さん達がどんな状況だったのかは知らない。」
「けど、母さん達を逃がしたのは俺だ。俺が1人で戦う選択をした。」
「アルトは私達を守ろうとしたのに私はただエルに縋ることしか出来なかった。それも自分達の命を優先させて」
「そうだね。けど、俺は死んでない。今ここに生きている。」
「・・・・・・」
「これで俺が死んでたらやり直しはない。けど、俺は生きているし危機は去ったんだ。何も失っていないならばやり直しはいくらでも出来る。次はみんなで戦おう。」
「いいの?こんな親で・・・」
「親って言うのがまだどんなものかは俺もわからない。けど、俺は母さんが親がいい」
そう言うとアイリス母さんはゆっくりとその毛布をおろした。
恐らくあれからお風呂にも入っていないのだろう。服も乱れて汚れている。
顔も泣いているので目元が腫れていた。
「綺麗な顔が台無しですよ?」
そう言って俺はハンカチで顔を拭いてあげる。
「ごめんね、アルト」
アイリス母さんはそう言って俺を抱きしめた。
「大丈夫だよ。俺も不安にさせてごめん」
しばらく抱き合ったあと母さんは風呂に入ってくると言って部屋を出た。
「さて、あとはあのクソ親父か・・・」
俺は部屋を移動して親父の部屋の前に立った。
「親父、入るぞ」
もちろん勝手に開ける。
女性には優しくするが、親父にはこんなもんでいい。
中は暴れていたのか随分と散らばっていた。
部屋の隅で親父が体育座りしている。
随分とやつれているな。
「何やってんだ?」
「・・・俺はお前に合わせる顔がない・・・」
「はぁ、それアイリス母さんも言ってたから。分かってるよ。で?親父はここで何をしているわけ?」
「・・・・・・」
「後悔してるってか?自分の王国騎士としての仕事もせずに?父親としての仕事もせずに?」
「・・・・・・」
はぁ、だんまりか。
「確かに親父は父親失格だな」
「っ!!」
「息子が1人で戦っているというのに親父は何も出来ずに助けにも行かなかった。そうだろ?」
「ああ、だから・・・」
「けど、王国騎士としてのエルヴィン・クロスフィード副団長としての選択は正しかった。危険な場所から家族を、親友を、城にいる人間を、王家も助けた。王国騎士としての働きはいいじゃねえか。立派な王国騎士だよ」
「それとこれとは・・・」
「ああ、違うだろうな。その代わり親父は父親としての役目を果たさなかった。」
親父はずっと下を向いたままだ。
「いつまで逃げてんだ?」
「あんたはいつまでそうやって下を見て!後ろを見て!過去を後悔するんだよ!!」
「起こってしまった事はもうやり直せない。過去はもうやり直せないんだ。だったら!その失敗を活かして!次はそんなことがないように!行動して!前を見ろ!いつまでもうじうじうじうじしてんじゃねえよ!!」
親父はビクリと震える。
「俺はもう戦えない。魔力回路がヤバくて身体強化も出来ない。もし次家族が同じようなことになったら、誰が家族を守るんだよ。親父しかいねぇだろ。」
そう言って俺は部屋を出た。
下の部屋に行くとエルザ母さんとリリスが紅茶を飲んで待っていた。
「お待たせ」
「お疲れ様。さっきアイリスさんがお風呂に行ったよ。無事に立ち直れたみたいだね」
「うん。」
「エル君は大丈夫かな・・・」
エルザ母さんは心配そうな顔をする。
「話はしたけど・・・あとは本人次第って所かな。」
「そう・・・」
「大丈夫だよ。親父は強いから」
「そうね」
そう、あとは本人次第なのだ。
これは自分で乗り越えるしかない。
どうでしょう。あまりこういう話は得意ではないので勝手に解釈してくれると嬉しいです
「アルト様、身体は大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫。」
俺は屋敷の門の前に立っていた。
隣にはリリスがいる。
他の家族には既に帰ってもらっていた。
「ただいま」
「おかえりなさい!アルト君」
「ただいまエルザ母さん。みんなは?」
「フィーナとヴァイスは学院に行ってるわ。レオ君とアル君は部屋にいる。リンゼちゃんはシルちゃんとお買い物に行ってるわ。」
「あの二人は?」
「・・・まだ部屋に」
「そっか、リリス。俺は上に行ってくるからエルザ母さんと下にいてくれ」
「大丈夫ですか?」
「ああ、ちょっと話してくるだけだよ」
「わかりました。無茶はしないでください」
「わかってる」
エルザ母さんとリリスが離れたのを確認して俺はアイリス母さんの部屋に向かう。
「アイリス母さん、ただいま」
返事がない。まるで屍のようだ・・・じゃなくて!
「はいるよ」
扉は簡単に空いた。部屋に母さんの影はない。ベットには布団で包まれている影はあるが・・・・・・
「アイリス母さん・・・」
「来ないで・・・」
「なんで?」
「あなたに・・・」
「合わせる顔がない?」
「・・・うん」
毛布にくるまったまま話す。
「俺は怒っていると思う?」
「・・・・・・」
「俺はあの時別の場所にいたから母さん達がどんな状況だったのかは知らない。」
「けど、母さん達を逃がしたのは俺だ。俺が1人で戦う選択をした。」
「アルトは私達を守ろうとしたのに私はただエルに縋ることしか出来なかった。それも自分達の命を優先させて」
「そうだね。けど、俺は死んでない。今ここに生きている。」
「・・・・・・」
「これで俺が死んでたらやり直しはない。けど、俺は生きているし危機は去ったんだ。何も失っていないならばやり直しはいくらでも出来る。次はみんなで戦おう。」
「いいの?こんな親で・・・」
「親って言うのがまだどんなものかは俺もわからない。けど、俺は母さんが親がいい」
そう言うとアイリス母さんはゆっくりとその毛布をおろした。
恐らくあれからお風呂にも入っていないのだろう。服も乱れて汚れている。
顔も泣いているので目元が腫れていた。
「綺麗な顔が台無しですよ?」
そう言って俺はハンカチで顔を拭いてあげる。
「ごめんね、アルト」
アイリス母さんはそう言って俺を抱きしめた。
「大丈夫だよ。俺も不安にさせてごめん」
しばらく抱き合ったあと母さんは風呂に入ってくると言って部屋を出た。
「さて、あとはあのクソ親父か・・・」
俺は部屋を移動して親父の部屋の前に立った。
「親父、入るぞ」
もちろん勝手に開ける。
女性には優しくするが、親父にはこんなもんでいい。
中は暴れていたのか随分と散らばっていた。
部屋の隅で親父が体育座りしている。
随分とやつれているな。
「何やってんだ?」
「・・・俺はお前に合わせる顔がない・・・」
「はぁ、それアイリス母さんも言ってたから。分かってるよ。で?親父はここで何をしているわけ?」
「・・・・・・」
「後悔してるってか?自分の王国騎士としての仕事もせずに?父親としての仕事もせずに?」
「・・・・・・」
はぁ、だんまりか。
「確かに親父は父親失格だな」
「っ!!」
「息子が1人で戦っているというのに親父は何も出来ずに助けにも行かなかった。そうだろ?」
「ああ、だから・・・」
「けど、王国騎士としてのエルヴィン・クロスフィード副団長としての選択は正しかった。危険な場所から家族を、親友を、城にいる人間を、王家も助けた。王国騎士としての働きはいいじゃねえか。立派な王国騎士だよ」
「それとこれとは・・・」
「ああ、違うだろうな。その代わり親父は父親としての役目を果たさなかった。」
親父はずっと下を向いたままだ。
「いつまで逃げてんだ?」
「あんたはいつまでそうやって下を見て!後ろを見て!過去を後悔するんだよ!!」
「起こってしまった事はもうやり直せない。過去はもうやり直せないんだ。だったら!その失敗を活かして!次はそんなことがないように!行動して!前を見ろ!いつまでもうじうじうじうじしてんじゃねえよ!!」
親父はビクリと震える。
「俺はもう戦えない。魔力回路がヤバくて身体強化も出来ない。もし次家族が同じようなことになったら、誰が家族を守るんだよ。親父しかいねぇだろ。」
そう言って俺は部屋を出た。
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「エル君は大丈夫かな・・・」
エルザ母さんは心配そうな顔をする。
「話はしたけど・・・あとは本人次第って所かな。」
「そう・・・」
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コメント
ノベルバユーザー438963
早く完全否定で治さないの?
ノベルバユーザー320104
なんかいろいろな異世界系の物語を掛け合わせたような感じで面白い