漆黒王の英雄譚

黒鉄やまと

第24話 VS貴族

「ん?なんですかな?そのガキは。」

「私の旦那様よ」

「は?何を仰っているのですか?その餓鬼が旦那様などとくだらないことを言うのはおやめ下さい」

「ほんとだもん!」

「いいですから!さあ、私と決闘していただきます。」

そう言ってアシュレイ王女の腕を掴もうとした。

「それじゃあアルトと勝負して勝ったら私が相手してあげる。」

「そんな餓鬼が戦えるわけないでしょう!くだらないことを行ってないでさっさと行きますよ!」

それをさりげなく避けてアシュレイ様は俺に話しかけてくる。

「ねえ、アルト君。」

「・・・・・・」

「あれ?アルト君?」

正直意識がやばかった。
呼吸が出来ない。

「アルト君!大丈夫?」

直ぐにアシュレイ様が話してくれたからなんとか生き延びた。

「はぁ、はぁ、はぁ、すぅーーはぁーー。はい。大丈夫です。それでなんでしょう?」

俺は意識がとぎれとぎれで内容が聞こえてなかったのでよく覚えてない。

「アルト君はあの人たちに負けると思う?」

「ん?」

俺はやってきた貴族の子供たちの方を見てこういった。

「なんであれに負けるの?」

アシュレイ様はニヤリと期待していた言葉を聞いたかのような笑顔を見せ、後ろの子供たちは怒りに顔を真っ赤にした。

「なんだとこのガキが!いいでしょう!アシュレイ様の前に貴様をケチョンケチョンのくっちゃくっちゃにしてやる!」

「だそうよ?アルト君、どうするの?」

「いや、どうもこうも。何がどうなってるの?」

それから事情を聞いた俺はとてもめんどくさかった。

「ええぇ、なんで俺が・・・」

「ね?私の旦那様」

うぐ、それを可愛い笑顔で言われるときつい・・・

「はぁ、わかりましたよ。戦えばいいんですよね?」

「さっすがアルト君!大好き!それじゃあ貴方達も訓練場へいらっしゃい、アルト君が相手してくれるわ!」

「ふん!」

貴族の子供たちが俺にガンを飛ばしながら訓練場へ向かった。


訓練場の更衣室では俺に再び危機が訪れていた。

「だから!俺は1人で着替えられますって!」

「いいから、手伝ってあげるだけよ!ジュる!ちっちゃい子の体・・・!」

「怖い!怖いから!ぎゃあああああ」

やっぱり隅から隅まで見られて決闘前に満身創痍だった。

ついでにこの時クラウディア様も更衣室にいた。手で顔を隠しながら隙間から見ていたのを俺は見逃していない。


数分後俺は次は何も持たずに訓練場へ向かった。

審判はクラウディア様がしてくれるそうで、アシュレイ様は観客席で紅茶を飲んで見物していた。

俺の前には5人ほどの貴族の子供達が武器を持って立っている。

「アルト君は素手でいいのですか?」

「ええ、今回は魔法で済ませるつもりなんで」

「けど、一応でも・・・」

「クラウーー。アルト君は大丈夫だから、あいつらの心配をしてあげなさい!」

そんなに煽るなよ・・・

アシュレイ様の言葉を聞いた貴族の子供たちは怒りを露わにする。
そして俺に向かって強い殺気を飛ばしてきた。

「ええ、それでは決闘を始めます。ドモロスさん達が勝ったらアシュレイ様と決闘を。アルト君が勝ったらドモロスさん達はアシュレイ様には干渉しない。それでいいですね?」

「いいですよ」

「さっさと始めろ!」

というかドモロスって言うのか。随分怒ってるな・・・

「それでは・・・はじめ!」

「このクソガキがぁぁぁぁ!!!」

ドモロスとか言われたやつは凄いスピードで迫ってきた。それに呼応するようにほかの子供達も武器を持って俺におそいかかる。

「きゃあ!怖い!」

俺は煽った。
ついでに避けてる。

「このガキがァァァ!」

ちっ!ガキガキうるせぇな!
そんな君にこの言葉を送ろう!

「ねえ知ってる?弱い犬ほどよく吠えるって言うんだよ?」

「てんめぇぇぇぇ!!!」

「あははははは!!!」

再び襲いかかってきた。

そして5分後・・・・・・


「くそっ!なんで当たらねえんだ!」

ドモロス達は息が完全に上がっていて疲れている。
対する俺は全く息が上がっていない。あいつらの攻撃を手を使わずに移動だけで避けた。

「そろそろいいか。おい、」

「ああ?」

「正直俺は少しイラついてる。」

「それが、はぁ、どうしたんだよ!」

「だから少し八つ当たりさせてもらうぞ」

「は?」

俺は魔力を使った。

すると男達の周りに七つの魔方陣が現れる。

「な!なんだこれは!」

「俺が避けている間に貼らせてもらった。この魔法は俺もまだ使いこなせてなくてな?死ぬことはないと思うが・・・片腕くらいは持っていくことになるかもしれん」

「な、何を・・・」

「クラウディア様は離れていてください。巻き込まれますよ」

俺は端の方で見ていたクラウディアさんに声をかける。

「は、はぁ」

「それじゃあ・・・『7つの星は始まりの星にして終わりの星、聖なる導きは星の導き・・・星々の裁きを受けよ!』天体魔法!七星の罰裁!!」

その魔法が発動した。

天体魔法 七星の罰裁
天体魔法の上位魔法にあたる魔法だ。
七星とは北斗七星のことで魔法陣を北斗七星に見立てた魔法だ。

ものすごい勢いの爆発によって訓練場一帯に暴風が吹き荒れる。
そして土煙が晴れて男達がいた場所には・・・

「へえ、火傷で済んだんだ・・・」

俺が魔力を絞っていたのが幸いしたのか火傷で済まされていた。仕方が無いのでパーフェクトヒールをかけて全員治すとクラウディアさんとアシュレイ様が来た。

「さっすがアルト!!」

「うぶっ!」

そう言いながらアシュレイ様は俺の事を抱き締める。おメロン様が!息が!気持ちいけど!息が!

「あ、ごめんね」

「はあ、はあ、」

「気絶してますね。勝者アルト君です。しかしあの魔法は凄かったですね」

「天体魔法です」

「天体魔法?!伝説級の属性魔法じゃないですか!」

「そうなんですか?」

「ええ、国に一人の割合しか生まれないとされるほど超希少な属性なんです。他にも星座魔法や血液魔法なんかも伝説級に含まれます。なるほど・・・それならばアシュレイ王女様も負けたのに納得できます。」

「え?けど、アルト君が私に勝った時使ったのって違う魔法だったよね?なんか雷と炎じゃなかった?」

「基本属性の2つですね。けど、3属性も持っている人なんて国に3人ほどの割合ですよ?そんな訳・・・」

すみません。今14属性です。これからも増える予定です・・・

「まあいいでしょう。しかしこれで彼らもアシュレイ様につき回らなくなるでしょう」

「そうね。それよりもアルト君!私の部屋に行きましょう!」

「いや、そろそろ食事会の時間なんじゃ・・・」

「あ、そう言えばそうだったわね。仕方が無いわ。アルト君もいるから私も行く」

そう言って抱きしめてくる。
頭の上にあるメロンが柔らかい。

その後俺はアシュレイ王女に抱かれたまま戻ることになったのだが・・・・・・


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