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漆黒王の英雄譚

夜叉神

第18話 王都到着


翌日早朝に屋敷を出て王都へ向かった。
メンバーは俺、エルヴィン、シルク、アイリス、アルヴィン、レオナード、執事のゼーダ、俺専属のメイドリリス、その他兄弟の専属メイド2人。
合計10人。多い。
地球でも10人なら車二台で行くところだ。
今回用意した馬車は3台。周りには護衛の騎士が20人いる。
領地から王都までは1週間と4日。

途中いくつかの街と他貴族の領地を通過しながら王都へ向かった。


そして異世界転生でテンプレの王都への途中で王女様と公爵家令嬢を助けてそのままいい感じに王都に行ったら爵位をもらってさらにふたりと婚約をするということはなかった。

そう。本当に何も無かった。
この一週間半は盗賊に襲われることも、魔物に襲われることもなく超スムーズに王都へ向かっている。

「親父・・・つまんない」

「そんな事言われてもなぁ。今日中には王都に着く予定なんだからもう少し待ってろ」

「なんか魔物とか盗賊とか出ないの?」

「出てこられても困るが・・・確かに何も無いとつまらないな。下級ドラゴン程度なら俺一人でも倒せるし、その範囲でなんか出てこないかなぁ?」

普段ならこれがフラグとなって直ぐにそれらが現れたりするのだが、こんな時に限ってフラグが立たなかった。

「最近はずっと親父と模擬戦ばっかだから飽きてきたし、旅の途中じゃ満足な料理出来ないし。そう言えば親父魔力量増えたな」

「突然だな。まあそうか?まだまだ伸びしろがあってことだな」

通常ならば魔力量は歳を取るにつれて増えていき、20歳から30歳の間に全盛期が来ると言われている。親父の今の年齢は35。
少しすぎているが、まだ伸びしろがあったようだ。
と言うより親父の魔力はかなりある。槍なんか使わないで魔法使いになった方が良かったんじゃないかと言うほどあるのだ。
まあ、ならなかったのには理由があるのだが。

「そう言えばアルトからは魔力をそんなに感じないな。抑えてるのか?」

「ああ、まだ抑えた切れてないから少し盛れてるけどやっとここまで抑えられるようになったんだ。」

「俺も抑えてるつもりだったんだがな。なかなか難しいもんだ。お、ほれ見てみろ。王都の外壁が見えてきたぞ」

馬車の窓から外を見てみると王都を囲んでいるのであろう外壁が見えてきた。
まだまだ遠いがかなり大きく見える。
ということは近くで見たら余程大きいのだろう。

「王都に着いてからの予定は?」

「今日は屋敷に帰って旅の疲れをとる。明日は王城に行くことになってる。」

「王城か・・・確か、王太子様の子供も同い年なんだっけ?」

「そうだ。名前は確かハドラー王子とペルシア王女だったな。」

「ハドラーとペルシアね。どんな子なんだろう。」

「さあな。最近は俺もハドルフとは手紙でしかやり取りしてないからあったことないんだよ。」

「戦えるかな?」

「そんなわけないだろう。お前が特別なんだよ。てか5歳で俺と同レベルの戦いができるってどうなんだよ・・・」

「神の気まぐれって奴かもな」

「それで済んだらいいんだか。そう言えば明日はハドルフの子供達だけじゃないからな?」

「え?違うの?」

「アニーの・・・アルペリーニの所ともう1家族、ファフリア子爵のところが来る。」

「ファフリア子爵?」

「レイテンス・ファフリア。俺たち4人は学生時代からの付き合いでな。明日は久しぶりに会えるからハドルフ主催の小さなパーティだ。」

「それって正装する必要あり?」

「どっちだと思う?」

「・・・・・・」

貴族や王家が主催するパーティや食事会などは正装でしっかりとした服装をしなければならない。理由はほかの貴族に舐められない為だそうだ。ならば今回も・・・

「あり」

「ブッブーーー!残念でした。明日はある程度の服装で楽な格好で大丈夫ですぅ!」

「ちっ」

「あ!今舌打ちしたな?!お前は明日正装な!」

「は?!やだよ!なんで俺だけ正装なんだよ」

「だって舌打ちしただろ?」

「あれは決して答えに対する反応がとてもうざくて反射的に出てしまったのではなく、答えが間違っていたことに舌打ちしたんです」

「お前それもう俺に対して舌打ちしたって言ってるようなもんだろ」

「さて、なんの事だか」

「ぐぬぬぬぬ」

「ふぬぬぬぬ」


と馬鹿なことでいがみ合っている2人をみてアイリスとアルヴィンは笑っていた。

「お父さん子供みたいですね」

「そうね。5歳児と口喧嘩して引き分けなんて貴族いないと思うわ」

「けどアルトも凄いです。この前のことから何だかすごく変わりました」

「まあアルトにも色々あるのよ。」

「気になります・・・」

「そのうち教えてくれるんじゃない?」

「そうだといいです」

アルトとは真逆でとても丁寧な言葉遣いをするアルヴィンはちょっと人見知りな部分がある。
息子2人と自分の旦那を見て微笑むアイリスであった。


それから3時間ほどした頃ついにアルト達クロスフィード家の馬車が王都の貴族達が出入りをする門に着いた。

「貴族証を見せていただけますか?」

「えっとこれだな。」

「・・・ありがとうございます。お疲れ様です、エルヴィン副団長」

「ああ、お前達も仕事頑張れよ」

「は!」

検問所を通ると王都の街並みが見えてくる。

「おお!!!これが王都か!」

「これは凄いですね!」

アルトとアルヴィンは初めて見る王都に心を動かされる。
道は綺麗に舗装されていて正面には王城であろうまるでカリオ○トロの城のような綺麗な城があった。


「凄いだろ?10年前の戦争で一時期は酷かったんだが、この10年で過去最高とも言えるほどに戻ったんだ」

「そんなに酷かったのですか?」

「ああ・・・まあ、その話はまた今度にしよう。とりあえず屋敷に行こうか」

「屋敷には確かエルゼ母さん達がいるんだよね?」

「そうだぞ。」

「兄上達と仲良くできるかな・・・」

「大丈夫だよ。アル兄さん。親父の子供だから皆似たようなもんでしょ」

「けどなぁ・・・」

「あいつらか・・・」

「何か問題でもあるの?」

「あいつだけって訳では無いが・・・まあ、着いてからのお楽しみってことにしておこう・・・」

「まあいいや。確か、ヴァイス兄さんが12でフィーナ姉さんが14か・・・リンゼ姉さんも今年から学院でしょ?」


「そうだぞ。去年それで王都に戻ってきたからな。それにしても時が経つのは早いなぁ」

「そうねぇ。この子達がこんなに大きくなっちゃうんだから。私も歳をとったわ」

(いやいや、アイリス母さんまだピッチピチじゃない・・・)

そんなことを思いながらアルトは王都の景色を楽しんだのだった。


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