漆黒王の英雄譚
第9話 家族
エルヴィン達は森の中を走っていると血で出来た道があるのを発見した。
「これは・・・血だな。」
「まさか・・・」
「いや、これは魔物の血だろう。ほら、そこに転がっている」
エルヴィンは近くに転がっている魔物の死体に目を向ける。
「それにこれは子供の足跡ですね。まだ出来て間もない跡です」
「ということはアルトの可能性が高いな」
「けど、どうやってこんなことを……あの子はまだ授与の儀をしたばかりの5歳児なのよ?」
「わからん。けどあの子は昔から謎の多い子だった。力を隠していたとしても不思議ではない。まだ近くにいるはずだ、この後を追うぞ!」
エルヴィン達は森の奥へと続く血の道を辿って行った。
その途中にはいくつもの魔物の死体が転がっている。
「これを1人でやったというのか?」
「本当にアルトなのかしら?」
「他の魔物の仕業だとしたらこの足跡はどう見ても子供の人間の足跡だ。説明がつかん。」
「そうよね」
「もう夕暮だ。太陽が見えなくなったら本当に終わりだ。スピードをあげるぞ!」
「はい!」
エルヴィン達はさらにスピードを上げアルトを追い始めた。
アルベルトsideーー
「見つけた・・・さあ、俺を殺してくれ……ッ!」
アルベルトは自分に狙いを定めているスターワーウルフと対峙する。
しばらく睨み合いが続いた後先に動いたのはスターワーウルフだった。
「ウオォォォォォォォォォォォンンン!!!!」
甲高く雄叫びを上げアルトに向かって突っ込んでくる。
アルトはそれを左に避けすれ違いざまに攻撃しようとするが、狼の右腕が振るわれモロにくらってしまい吹っ飛ぶ。
「がっはっ!!」
「グルルルルルルゥゥゥゥ!!!!」
しかし、狼はアルトに休みを与えない。
吹っ飛んで気にぶつかったアルトに追撃を食らわせる。
そして右腕が振るわれるのを何とか避けるが・・・・・・
「アアァァ!!!」
左眼を抉られてしまった。
ドロドロと血が流れるのを感じる。
激痛に襲われ倒れそうになった所を右側からの突然の衝撃で吹き飛ばされる。
衝撃が来た瞬間嫌な音がしたから折れているだろう。
吹き飛ばされたアルトは木にぶつかることは無く、そのまま地面に激突して仰向けになる。
右眼だけになった視界に双月が映る。
(左眼はもう終わりだな・・・・・・右腕も動かせない……左腕もヒビがいくつか入ってる。)
今のアルトはまさに満身創痍という状況でその場からもう動くことは難しかった。
そのアルトに向かって勝利を確信した狼はゆっくりと近づいてくる。
(下校中に神獣に殺されこの世界に転生してしまうたった2年。この2年は楽しかったなぁ……)
狼は既に1歩、2歩と近づいている。
(せっかくタクロス様に生き返らせてもらったのにここで終わりか……申し訳ないなぁ……)
狼がアルトのすぐ近くまでやってきた。
アルトにトドメを刺すために右足を上げる。
(もっと……もっと……生きたかったなぁ…………)
最後に残された右眼から涙が流れる。
そして目をつぶり狼が右足を振り下ろすのを待つ。
……
…………?
待てどもその衝撃は来なかった。
目を開けると狼は倒れていて槍が刺さっている。
そして、 槍を投げたのは……
「アァァルトぉぉ!!!!」
アルトを追いかけて来たエルヴィンだった。
エルヴィンsideーー
俺達が血の道を走っているとだんだんと新しいまだ乾燥していない血が所々にあった。
それらを走り抜けると突然…………
ーーーウオォォォォォォォォォォォンンン!!!!
「ッ!ゼーダ!この辺でいちばん強い魔物はなんだ!」
「この辺だったらまだスターワーウルフかと思われます!」
「今のはスターワーウルフだろう!警戒の雄叫びだ!この魔物の死体がアルトがやったとすればスターワーウルフが警戒するのもうなずける!すぐに行くぞ!」
「ええ!!」
すぐに雄叫びの下方向に向かう。
少し走ると少し開けた場所が見えた。
ちょうど真ん中ら辺にスターワーウルフがいる。その足元には幼い人間の子供らしき影もある。右手は折れ血が至る所から出ているがエルヴィン達はアルトだと確信した。
そしてスターワーウルフはトドメを刺すためなのか右足を上げた。
「オラァッ!」
エルヴィンは自分の槍を思いっきり投げ付ける。
それにスターワーウルフは気づくのが遅れて脳を貫通して即死した。
そして……
「アァァルトぉぉ!!!!」
アルベルトsideーー
(あれは……親父?それに母さん……ゼーダさん達までいる。どうしてこんな所に……まさか俺を助けに?そんなはずはない……俺はあんたらの子供じゃないんだぞ?)
「大丈夫か!アルト!!」
「アルト!!」
「アルト様!」
エルヴィンやアイリスは倒れているアルトに駆け寄る。
「そんな……!アルト!しっかりして!」
「どうして……なんでこんな所に……俺は……あんたらの子供じゃないのに!なんで……」
アルトの眼から涙が溢れる。
「こんのぉ!馬鹿野郎がァァ!」
エルヴィンの怒鳴り声が森中に響いた。
「お前が俺達の息子じゃない?!そんなわけないだろ!どうして俺達と血が繋がってないないなんて知ったか知らねぇがなあ!血の繋がりだけが親子の証じゃねぇだろうがァ!」
エルヴィンの涙がアルトの頬に落ちる。
アイリスはゼーダや他に連れてきた騎士と共にアルトの傷の手当をしながら声を上げる。
「私達はねぇ!あなたを自分の息子だと思ってなかった事なんて1度もない!ずっとあなたを拾った時からずっと!息子だと思って大切に育てて来たわ!」
アイリスも涙を流す。
ーーー血の繋がりだけが親子の証じゃない・・・
アルベルトの頭にはその言葉が響いた。
それと同時に涙が溢れる。
「・・・ごめん・・・なさい……ごめんな……さい……ごめんなさぁい!!!!」
気がつけばアルトは泣きながら謝っていた。
「私達だけじゃないわ。あなたはエルゼやシルクの息子でもあるのよ。みんな大切にあなたを育ててきたわ。だから私たちが親じゃないなんて・・・・・・言わないで?」
「かあ……さん」
アルトは改めて実感した。
自分が愛されて育ってきたことを・・・
「これは・・・血だな。」
「まさか・・・」
「いや、これは魔物の血だろう。ほら、そこに転がっている」
エルヴィンは近くに転がっている魔物の死体に目を向ける。
「それにこれは子供の足跡ですね。まだ出来て間もない跡です」
「ということはアルトの可能性が高いな」
「けど、どうやってこんなことを……あの子はまだ授与の儀をしたばかりの5歳児なのよ?」
「わからん。けどあの子は昔から謎の多い子だった。力を隠していたとしても不思議ではない。まだ近くにいるはずだ、この後を追うぞ!」
エルヴィン達は森の奥へと続く血の道を辿って行った。
その途中にはいくつもの魔物の死体が転がっている。
「これを1人でやったというのか?」
「本当にアルトなのかしら?」
「他の魔物の仕業だとしたらこの足跡はどう見ても子供の人間の足跡だ。説明がつかん。」
「そうよね」
「もう夕暮だ。太陽が見えなくなったら本当に終わりだ。スピードをあげるぞ!」
「はい!」
エルヴィン達はさらにスピードを上げアルトを追い始めた。
アルベルトsideーー
「見つけた・・・さあ、俺を殺してくれ……ッ!」
アルベルトは自分に狙いを定めているスターワーウルフと対峙する。
しばらく睨み合いが続いた後先に動いたのはスターワーウルフだった。
「ウオォォォォォォォォォォォンンン!!!!」
甲高く雄叫びを上げアルトに向かって突っ込んでくる。
アルトはそれを左に避けすれ違いざまに攻撃しようとするが、狼の右腕が振るわれモロにくらってしまい吹っ飛ぶ。
「がっはっ!!」
「グルルルルルルゥゥゥゥ!!!!」
しかし、狼はアルトに休みを与えない。
吹っ飛んで気にぶつかったアルトに追撃を食らわせる。
そして右腕が振るわれるのを何とか避けるが・・・・・・
「アアァァ!!!」
左眼を抉られてしまった。
ドロドロと血が流れるのを感じる。
激痛に襲われ倒れそうになった所を右側からの突然の衝撃で吹き飛ばされる。
衝撃が来た瞬間嫌な音がしたから折れているだろう。
吹き飛ばされたアルトは木にぶつかることは無く、そのまま地面に激突して仰向けになる。
右眼だけになった視界に双月が映る。
(左眼はもう終わりだな・・・・・・右腕も動かせない……左腕もヒビがいくつか入ってる。)
今のアルトはまさに満身創痍という状況でその場からもう動くことは難しかった。
そのアルトに向かって勝利を確信した狼はゆっくりと近づいてくる。
(下校中に神獣に殺されこの世界に転生してしまうたった2年。この2年は楽しかったなぁ……)
狼は既に1歩、2歩と近づいている。
(せっかくタクロス様に生き返らせてもらったのにここで終わりか……申し訳ないなぁ……)
狼がアルトのすぐ近くまでやってきた。
アルトにトドメを刺すために右足を上げる。
(もっと……もっと……生きたかったなぁ…………)
最後に残された右眼から涙が流れる。
そして目をつぶり狼が右足を振り下ろすのを待つ。
……
…………?
待てどもその衝撃は来なかった。
目を開けると狼は倒れていて槍が刺さっている。
そして、 槍を投げたのは……
「アァァルトぉぉ!!!!」
アルトを追いかけて来たエルヴィンだった。
エルヴィンsideーー
俺達が血の道を走っているとだんだんと新しいまだ乾燥していない血が所々にあった。
それらを走り抜けると突然…………
ーーーウオォォォォォォォォォォォンンン!!!!
「ッ!ゼーダ!この辺でいちばん強い魔物はなんだ!」
「この辺だったらまだスターワーウルフかと思われます!」
「今のはスターワーウルフだろう!警戒の雄叫びだ!この魔物の死体がアルトがやったとすればスターワーウルフが警戒するのもうなずける!すぐに行くぞ!」
「ええ!!」
すぐに雄叫びの下方向に向かう。
少し走ると少し開けた場所が見えた。
ちょうど真ん中ら辺にスターワーウルフがいる。その足元には幼い人間の子供らしき影もある。右手は折れ血が至る所から出ているがエルヴィン達はアルトだと確信した。
そしてスターワーウルフはトドメを刺すためなのか右足を上げた。
「オラァッ!」
エルヴィンは自分の槍を思いっきり投げ付ける。
それにスターワーウルフは気づくのが遅れて脳を貫通して即死した。
そして……
「アァァルトぉぉ!!!!」
アルベルトsideーー
(あれは……親父?それに母さん……ゼーダさん達までいる。どうしてこんな所に……まさか俺を助けに?そんなはずはない……俺はあんたらの子供じゃないんだぞ?)
「大丈夫か!アルト!!」
「アルト!!」
「アルト様!」
エルヴィンやアイリスは倒れているアルトに駆け寄る。
「そんな……!アルト!しっかりして!」
「どうして……なんでこんな所に……俺は……あんたらの子供じゃないのに!なんで……」
アルトの眼から涙が溢れる。
「こんのぉ!馬鹿野郎がァァ!」
エルヴィンの怒鳴り声が森中に響いた。
「お前が俺達の息子じゃない?!そんなわけないだろ!どうして俺達と血が繋がってないないなんて知ったか知らねぇがなあ!血の繋がりだけが親子の証じゃねぇだろうがァ!」
エルヴィンの涙がアルトの頬に落ちる。
アイリスはゼーダや他に連れてきた騎士と共にアルトの傷の手当をしながら声を上げる。
「私達はねぇ!あなたを自分の息子だと思ってなかった事なんて1度もない!ずっとあなたを拾った時からずっと!息子だと思って大切に育てて来たわ!」
アイリスも涙を流す。
ーーー血の繋がりだけが親子の証じゃない・・・
アルベルトの頭にはその言葉が響いた。
それと同時に涙が溢れる。
「・・・ごめん・・・なさい……ごめんな……さい……ごめんなさぁい!!!!」
気がつけばアルトは泣きながら謝っていた。
「私達だけじゃないわ。あなたはエルゼやシルクの息子でもあるのよ。みんな大切にあなたを育ててきたわ。だから私たちが親じゃないなんて・・・・・・言わないで?」
「かあ……さん」
アルトは改めて実感した。
自分が愛されて育ってきたことを・・・
コメント
姉川京
夜叉神さんの作品本当に好きです!
(いくつか参考にしたいところもありました!)これからもお互い頑張りましょう!
引き続き僕の作品もよろしくお願いします!