漆黒王の英雄譚
第6話 授与の儀(1)
俺がこの世界に転生してさらに2年が経ち俺は5歳になった。
そしてこの世界において5歳というのは特別な年齢でもある。
この世界は剣と魔法の世界だ。人が武器や魔法を用いて敵と戦う。
そして敵とは人間だけではない。
魔物という人外の生物も存在するのだ。
魔物の力は大きく1匹で国が滅んだ歴史もある程なのだ。
そしてそんな魔物達が蔓延る世界において魔物に狙われやすいのは女や子供なのである。よくある例が女は繁殖用に子供は食料になどということもある。
だから、この世界では5歳まで生きることが出来るというのはとてもめでたいことなのだ。そしてさらにめでたいことが授与の儀である。
授与の儀とは神様たち、つまりタクロス様達十二神からステータスというものを授与される。
そこで加護という神からの祝福も頂くのだ。
その加護によってその者の人生は決まると言っても良い。
加護の強度によって手に入るスキルも違うし効果も違う。
わかりやすい例だと商業神の加護を貰うと鑑定とアイテムボックスのスキルを獲得出来る。
ただし加護は十二神のみではない。
例えば龍神という神がいる。龍神は十二神を最上級神として上級神に当たる。この龍神の加護は竜魔法というスキルを獲得出来る。しかし最も特徴的なのは竜人族という種族が多く持っている。だからこそ竜人族は竜魔法が使えると言っても過言ではないのだ。
他にも精霊神の加護はエルフのほとんどが持っている加護だ。
商業神の加護を受ければほとんどの人は商人へとなる。
大抵の人は1つから2つ。3つや4つもあるとかなり凄いことらしい。
そして今日。俺は親父とアイリス母さんと3人で馬車に乗ってそのステータスと加護を貰いに街の教会まで向かっている。
「母さん。どんな加護が貰えるかな」
「どうかしらね。けどアルトはいい子だから絶対にいい加護を貰えるわ」
と言いながらアイリス母さんは俺の髪を綺麗な指で梳く。アイリス母さんは撫でるのが上手い。これが結構気持ちいいのだ。
「そうだな。俺とアイリスの息子だ。絶対にいい加護を貰えるだろう」
というのは俺とアイリス母さんの前に座る親父だ。
「そうね。創造神様の加護を貰えちゃったりして!」
「それはすごいな!帰ったらパーティだ!」
「あはは、まだ貰ったわけじゃないんだから。もしかしたら貰えない可能性もあるんだから先に盛り上がらないでよね」
「おっとそうだったな。けど縁起でもないことを言うんじゃないぞ。まあ、もし加護がなくても絶対にそんなことはさせないからな」
この世界で加護が貰えなかったらそれは神から祝福されていない忌子と言われる。
忌子は邪教徒とも呼ばれ迫害や虐めの対象となってしまうのだ。
「ありがとう。父さん」
俺は心の中では親父と呼んでいるが今のところは父さんと呼んでいる。
だって5歳の子供が自分の父親のことを親父なんて言ったらなんだコイツって感じだろ?まあ、一人称は俺のままだけどな。
「あら、そろそろ着いたみたいね。」
「お、ほんとだな。アルト。あれがこの街、サルージャの教会だぞ」
窓から外を除く。
すると馬車のすぐ近くに真っ白な神殿のような建物があった。
「すっげぇ綺麗だな」
「だなぁ。いつ見てもそう思うぞ。俺もここでステータスと加護を授かったんだ。」
「あ、そうだ。父さんのステータス見せてよ。どんな感じなの?」
「まあ、いいか。けどアルト。ステータスを聞くというのは女性にあなたのスリーサイズを教えてくれと言っているのと同じだからな。気をつけるんだぞ……いたっ!いてっ!」
「もうあなたは!何を子供に教えているの!けど人によっては機嫌を悪くする人やそれが失礼に当たる人がいるわ。本当に気をつけなさい。」
「は、はい……」
アイリス母さんは親父の頭を叩いてこっちを向きながら笑顔でそういった。
親父は後ろから叩かれたので自分の膝に頭をぶつけて痛がってる。
正直馬鹿だと思った。けどここは心優しい5歳児。
「父さん大丈夫?」
「あ、ああ。大丈夫だ。アルトは優しいな。それで俺のステータスだったな。いいだろう、見せてやる。これが王国屈指の男のステータスだ。『ステータスオープン』!」
そう言うと親父の目の前に色の薄いプーレトのようなものが現れた。
「まずステータスを表示するとこんな感じでプレートが現れる。これに自分のステータスが乗っているんだ。自分だけで見たい時は『ステータス』、他人にも見せたい時は『ステータスオープン』と唱えると出せる。こっちに来て見ろ」
と言われ親父の横に座らせられステータスを見せられた。
名前: エルヴィン・クロスフィード
種族: 人族
位階: 62
能力: S-
-筋力 S
-体力 S
-知力 A
-敏速 S
-器用 S
-魔法行使力 A
  
魔法適性: 雷
スキル: 固有スキル【疾風迅雷】
耐性(常時): 属性魔法耐性、物理攻撃耐性
称号:現クロスフィード伯爵家当主、ベルマーレ王国第一騎士団副団長、王剣番号No.5
加護:武闘神の加護、雷神の加護
「これはどれくらいなの?やっぱり凄いの?」
「ええ。王国でも上位に入るんじゃないかしら?」
「上位に入らなければ副団長をやっていないよ。てか上位9名の中に入ってるのは確実でしょ」
「ふふふそうね。アルトもいいスキル貰えるといいわね。」
「うん!俺もいいスキル貰ったら強くなれるかな!」
「そうねぇ。けど聞いておきなさい。人の本当の強さはステータスじゃあ表せられないのよ」
ん?どういうことだろうか。その人の強さを表したものがステータスではないのか?
「人の本当の強さはまずその人の心で決まるの。いくら強くてもその人の心が弱ければその人はすぐに死んでしまうわ。逆に弱かったとしてもその人の心が強ければ、絶対にその人は強くなれる。そしてその次に必要なのが想い。守りたい、強くなりたい、見返したい……その想いを強く持つこと。その想いの分だけ人は前に進める。だから、人の強さはステータスだけでは測りきれない。」
・・・なるほど。つまり、実力があっても精神が成長していなければそいつは脆く儚い。たとえ貰ったスキルが弱くても、加護を貰えていなくても、諦めなければ前に進める。その想いが人を強くする。ということなのだろう。
「諦めたらそこで終わりよ」
アイリス母さん・・・・・・何故そのネタを知っているんだい・・・・・・?
けどまぁ、
「うん。何となくわかったよ俺もそう思う。」
「ふふふ。凄いわね。5歳なのにこんなに難しいことが分かるようになるなんて」
「まあ、アルトだからな。この子は頭がいい。」
そう言って親父はおの頭を撫でる。
ゴツゴツとした手が俺の頭を揺らした。
その後馬車を降りて教会に向かう。教会は馬車の中から見たように白い塗装でとても綺麗な外装で神殿とも言える建物だった。
門をくぐって扉まで歩いていると扉が開き中から1人の年寄りが出てきた。
「お待ちしておりました。クロスフィード卿。お久しぶりですな」
「お久しぶりです。ロゼッタさん。そんなに畏まらないでください。昔みたいに気楽に話してください」
「そうか。それではそうするかのぉ。随分と大きくなったではないか。その子が例の?」
「はい。アルトこっちに」
そう言って親父は手招きしてきたので歩いて横まで行った。
「息子のアルベルトです。」
「こんにちは。アルベルト・クロスフィードです。」
俺がそういうと優しそうに微笑み口を開く。
「ふぉふぉふぉ。礼儀正しい子供じゃの。エル坊とは大違いじゃ」
「ちょっ!ロゼッタさん、その呼び方はもうやめてくださいよ。」
お、おぉ、親父が遊ばれている。
しかも、頭が上がらない人物のようだ。
「アルト。この人はこの教会の司祭をしているロバートさんだ。俺の授与の儀もロバートさんにしてもらったんだ。」
「あれからもう30年ちょっとかのぉ。通りで老けるのが早いわけじゃ。さてと今日はアルベルト君の授与の儀じゃな?」
「はい。今日5歳になったので連れてきました。」
「うむ。立ち話もあれじゃから中に入ろう。」
「はい」
そしてこの世界において5歳というのは特別な年齢でもある。
この世界は剣と魔法の世界だ。人が武器や魔法を用いて敵と戦う。
そして敵とは人間だけではない。
魔物という人外の生物も存在するのだ。
魔物の力は大きく1匹で国が滅んだ歴史もある程なのだ。
そしてそんな魔物達が蔓延る世界において魔物に狙われやすいのは女や子供なのである。よくある例が女は繁殖用に子供は食料になどということもある。
だから、この世界では5歳まで生きることが出来るというのはとてもめでたいことなのだ。そしてさらにめでたいことが授与の儀である。
授与の儀とは神様たち、つまりタクロス様達十二神からステータスというものを授与される。
そこで加護という神からの祝福も頂くのだ。
その加護によってその者の人生は決まると言っても良い。
加護の強度によって手に入るスキルも違うし効果も違う。
わかりやすい例だと商業神の加護を貰うと鑑定とアイテムボックスのスキルを獲得出来る。
ただし加護は十二神のみではない。
例えば龍神という神がいる。龍神は十二神を最上級神として上級神に当たる。この龍神の加護は竜魔法というスキルを獲得出来る。しかし最も特徴的なのは竜人族という種族が多く持っている。だからこそ竜人族は竜魔法が使えると言っても過言ではないのだ。
他にも精霊神の加護はエルフのほとんどが持っている加護だ。
商業神の加護を受ければほとんどの人は商人へとなる。
大抵の人は1つから2つ。3つや4つもあるとかなり凄いことらしい。
そして今日。俺は親父とアイリス母さんと3人で馬車に乗ってそのステータスと加護を貰いに街の教会まで向かっている。
「母さん。どんな加護が貰えるかな」
「どうかしらね。けどアルトはいい子だから絶対にいい加護を貰えるわ」
と言いながらアイリス母さんは俺の髪を綺麗な指で梳く。アイリス母さんは撫でるのが上手い。これが結構気持ちいいのだ。
「そうだな。俺とアイリスの息子だ。絶対にいい加護を貰えるだろう」
というのは俺とアイリス母さんの前に座る親父だ。
「そうね。創造神様の加護を貰えちゃったりして!」
「それはすごいな!帰ったらパーティだ!」
「あはは、まだ貰ったわけじゃないんだから。もしかしたら貰えない可能性もあるんだから先に盛り上がらないでよね」
「おっとそうだったな。けど縁起でもないことを言うんじゃないぞ。まあ、もし加護がなくても絶対にそんなことはさせないからな」
この世界で加護が貰えなかったらそれは神から祝福されていない忌子と言われる。
忌子は邪教徒とも呼ばれ迫害や虐めの対象となってしまうのだ。
「ありがとう。父さん」
俺は心の中では親父と呼んでいるが今のところは父さんと呼んでいる。
だって5歳の子供が自分の父親のことを親父なんて言ったらなんだコイツって感じだろ?まあ、一人称は俺のままだけどな。
「あら、そろそろ着いたみたいね。」
「お、ほんとだな。アルト。あれがこの街、サルージャの教会だぞ」
窓から外を除く。
すると馬車のすぐ近くに真っ白な神殿のような建物があった。
「すっげぇ綺麗だな」
「だなぁ。いつ見てもそう思うぞ。俺もここでステータスと加護を授かったんだ。」
「あ、そうだ。父さんのステータス見せてよ。どんな感じなの?」
「まあ、いいか。けどアルト。ステータスを聞くというのは女性にあなたのスリーサイズを教えてくれと言っているのと同じだからな。気をつけるんだぞ……いたっ!いてっ!」
「もうあなたは!何を子供に教えているの!けど人によっては機嫌を悪くする人やそれが失礼に当たる人がいるわ。本当に気をつけなさい。」
「は、はい……」
アイリス母さんは親父の頭を叩いてこっちを向きながら笑顔でそういった。
親父は後ろから叩かれたので自分の膝に頭をぶつけて痛がってる。
正直馬鹿だと思った。けどここは心優しい5歳児。
「父さん大丈夫?」
「あ、ああ。大丈夫だ。アルトは優しいな。それで俺のステータスだったな。いいだろう、見せてやる。これが王国屈指の男のステータスだ。『ステータスオープン』!」
そう言うと親父の目の前に色の薄いプーレトのようなものが現れた。
「まずステータスを表示するとこんな感じでプレートが現れる。これに自分のステータスが乗っているんだ。自分だけで見たい時は『ステータス』、他人にも見せたい時は『ステータスオープン』と唱えると出せる。こっちに来て見ろ」
と言われ親父の横に座らせられステータスを見せられた。
名前: エルヴィン・クロスフィード
種族: 人族
位階: 62
能力: S-
-筋力 S
-体力 S
-知力 A
-敏速 S
-器用 S
-魔法行使力 A
  
魔法適性: 雷
スキル: 固有スキル【疾風迅雷】
耐性(常時): 属性魔法耐性、物理攻撃耐性
称号:現クロスフィード伯爵家当主、ベルマーレ王国第一騎士団副団長、王剣番号No.5
加護:武闘神の加護、雷神の加護
「これはどれくらいなの?やっぱり凄いの?」
「ええ。王国でも上位に入るんじゃないかしら?」
「上位に入らなければ副団長をやっていないよ。てか上位9名の中に入ってるのは確実でしょ」
「ふふふそうね。アルトもいいスキル貰えるといいわね。」
「うん!俺もいいスキル貰ったら強くなれるかな!」
「そうねぇ。けど聞いておきなさい。人の本当の強さはステータスじゃあ表せられないのよ」
ん?どういうことだろうか。その人の強さを表したものがステータスではないのか?
「人の本当の強さはまずその人の心で決まるの。いくら強くてもその人の心が弱ければその人はすぐに死んでしまうわ。逆に弱かったとしてもその人の心が強ければ、絶対にその人は強くなれる。そしてその次に必要なのが想い。守りたい、強くなりたい、見返したい……その想いを強く持つこと。その想いの分だけ人は前に進める。だから、人の強さはステータスだけでは測りきれない。」
・・・なるほど。つまり、実力があっても精神が成長していなければそいつは脆く儚い。たとえ貰ったスキルが弱くても、加護を貰えていなくても、諦めなければ前に進める。その想いが人を強くする。ということなのだろう。
「諦めたらそこで終わりよ」
アイリス母さん・・・・・・何故そのネタを知っているんだい・・・・・・?
けどまぁ、
「うん。何となくわかったよ俺もそう思う。」
「ふふふ。凄いわね。5歳なのにこんなに難しいことが分かるようになるなんて」
「まあ、アルトだからな。この子は頭がいい。」
そう言って親父はおの頭を撫でる。
ゴツゴツとした手が俺の頭を揺らした。
その後馬車を降りて教会に向かう。教会は馬車の中から見たように白い塗装でとても綺麗な外装で神殿とも言える建物だった。
門をくぐって扉まで歩いていると扉が開き中から1人の年寄りが出てきた。
「お待ちしておりました。クロスフィード卿。お久しぶりですな」
「お久しぶりです。ロゼッタさん。そんなに畏まらないでください。昔みたいに気楽に話してください」
「そうか。それではそうするかのぉ。随分と大きくなったではないか。その子が例の?」
「はい。アルトこっちに」
そう言って親父は手招きしてきたので歩いて横まで行った。
「息子のアルベルトです。」
「こんにちは。アルベルト・クロスフィードです。」
俺がそういうと優しそうに微笑み口を開く。
「ふぉふぉふぉ。礼儀正しい子供じゃの。エル坊とは大違いじゃ」
「ちょっ!ロゼッタさん、その呼び方はもうやめてくださいよ。」
お、おぉ、親父が遊ばれている。
しかも、頭が上がらない人物のようだ。
「アルト。この人はこの教会の司祭をしているロバートさんだ。俺の授与の儀もロバートさんにしてもらったんだ。」
「あれからもう30年ちょっとかのぉ。通りで老けるのが早いわけじゃ。さてと今日はアルベルト君の授与の儀じゃな?」
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