他愛もない僕の今日

東堂タカノ

3時限目 自己紹介

 入学式を終えて教室まで移動した僕たちは、各々の席についてその後の指示を待ち始めた。いったい誰が担任なのだろうそう思っていると、ここまで案内をしてくださった教員の人が教壇の所まで出てきた。あともう1人若い女性も伴ってきた。
「まあ薄々気づいているかもしれないが、俺がこのクラスの担任になる沼田ぬまだ正行まさゆきだ。字は、沼地の沼に田んぼの田。正しくを行くで、正行だ。よろしくな!」
 そう笑顔で沼田先生は言った。まさかの担任だった。クラスの様子を見ると何人かは気づいていたみたいだ。普通分からないと思うんだけどな〜。
「で、こちらが副担任の鹿島かしま先生だ。鹿島先生自己紹介お願いします」
「は、はい!副担任になりました、鹿島夢乃ゆめのです。え、えっと漢字は鹿の島に、ドリームの夢に乃木坂の乃です。よろしくお願いします!」
「と、元気な先生だ。俺はそんなだから鹿島先生には是非頑張って欲しいな」
「はい、頑張ります!」
 これは良いコンビになりそうな気がする。沼田先生はマイペースって感じで、鹿島先生は元気があっていいな。鹿島先生は男子人気だけじゃなくて女子人気も出そうだな〜。クラスがざわついていると沼田先生がまた話し始めた。
「こっからは各クラスに進行が委ねられている。早く帰りたい奴もいると思うがもう少し付き合ってな。とりあえず自己紹介から始めるか」
 早速自己紹介か…。どんなこと言おうかな。みんなに合わせればいいかな?
「じゃあ早速始めるか。出席番号と名前、みんなにコメントは絶対言えよ〜。後は任せるわ。まずは1番の阿木から」
 そんな感じで自己紹介が始まった。


「はい。えーと、1番の阿木あき美陽みよです。皆さんよろしくお願いします」
 阿木さんはそれだけ言うと席に座った。拍手が起こる。ちゃんと拍手が起こってくれるのは嬉しい。こんなものかな、僕はもう少し何か言おうかな?
「はいはーい!次はうちだね!阿澄あすみ志帆しほだよ!この通り元気だからみんな仲良くしよーねー。よろしく!みんなも自己紹介頑張ってこー!」
 元気な子だな〜。色々凄い。
「3番の伊東いとう勇太ゆうたです。内気なのでこの性格をなんとかしたいですね。皆さんよろしくお願いします」
 伊東くんは好感持てるな〜。仲良くできそうだ。
「4番の上原うえはらののかでーす。よろしく〜」
 それだけ?割とマイペースな子なんだろうな。
「初めまして、5番の江ヶ崎えがさき千尋ちひろです。これからが楽しみです。よろしくお願いしますね」
 しっかりした感じの子だ。女の子って感じがする。
「僕は6番の江上えがみ穂花ほのかだよ。アニメとか好きだから、好きな人はお話ししよーねー」
 そう江上さんは笑顔で言った。オタクって感じのしない子だ。今度話してみよう。
「7番の加賀かがももです。よろしくお願いします」
 加賀さんもおとなしい感じの子かな?
「グッモーニングッ!鹿乃かのれんです!もうちょっと盛り上げてこー、おー‼︎」
「おーい、お前は何番だー?」
「あ!8番です!」
 クラス内が笑いに包まれた。結構みんなの表情が和らいだ。ムードメーカーって感じかな。
「皆さんおはようございます。9番の九条くじょう清香きよかですわ。笑顔で過ごせたら幸いですわ。よろしくお願いしますね?」
 そう言って九条さんは鹿乃くんの方を見る。鹿乃くんは何か察したのか元気よく、
「おう!任せとけ!」
 と返事をした。早速鹿乃くんはクラスを盛り上げていく。この2人は結構気があうのではないだろうか。
「おはよう、みんな。10番の剣崎けんざき勇人ゆうとだ。僕も色々出来たらいいなと思っている。よろしく」
 キチッとした人だな。学級委員長とかやったらいいんじゃないかな?
「どうも、11番の小池こいけうみです。よろしく」
「次は私ね?12番のさくら灯里あかりよ。このクラスは雰囲気良さそうだがら良かったよ。みんな、よろしくね」
 そう言って彼女はクラスのみんなを見渡した。と、ここで出てくるのが、
「おう!よろしくな!」
 やっぱり鹿乃くんだ。鹿乃くんがいて良かったな〜。
「13番の志野しの智紀ともきです。本が好きです。読書をたくさんしてるかもしれませんがそれでも話しかけてくれたら嬉しいです。よろしくお願いします」
 へ〜読書好きなんだ。僕はあまり読まないんだよな〜。
「どうも〜14番の島村しまむら倫也ともやです。よろしく〜」
 島村くんは髪も染めていて、制服も着崩している。結構チャラけた子なんだな〜。悪い人ではなさそうだからいいかな。お、今度は碧くんの番か。
「15番の須恵すえあおいです。よく女の子見たいと言われますが男です。よろしくお願いします」
「あー男だったか〜。見る目がなかった〜」
 そう、また鹿乃くんが言った。鹿乃くん女の子だと思っていたんだ。みんなも同じみたいだ。男子の制服着ていると思うんだけど…。
 と、次は僕の番だ。僕は席を立つ。
「初めまして、16番の杉乃すぎのはるです。左目の涙黒子を目印にしてください。よろしくお願いします」
 そう言って席に座った。席に座ると前の席の碧くんと目が合った。
「緊張したよ。碧くんはどうだった?」
「僕も緊張したよ。みんなに女の子だと思われてたみたい。ちょっとショック…」
 僕が聞くと、碧くんは苦笑いしながらそう答えた。僕の次は誰だろう。そう思って僕は後ろを向く。
「17番の滝口たきぐちねねです。ゆいと一緒のクラスでよかったです。よろしくお願いします」
 しっかりした印象の子だな〜。座った彼女とも目が合い、何も言わないのは気まずいと思い僕は挨拶?をした。
「よろしくね、滝口さん」
「うん、よろしく…えーと…杉乃くん?」
「うん、杉乃だよ」
 そう挨拶を交わすと、次の人が席を立った。
「18番のたわら瑠衣るいです。よろしく」
 それだけ言うとすぐに座った。1番短かったかな?
 と、滝口さんから声をかけられた。
「次の子が唯だよ」
「そうなんだ」
 と、唯さんが席を立つ。
「19番の千生ちせゆいです。さっきねねちゃんが言っていたけど、私もねねちゃんと同じクラスで嬉しいです。皆さんよろしくお願いします」
 滝口さんと変わって唯さんはおっとりした雰囲気の子だ。2人は性格がお互い反対だから、仲が良く合っているんじゃないだろうか。
「20番の寺田てらだりゅうです。俺も、2人の幼馴染と同じクラスだから良かったよ。みんなよろしく頼む」
 幼馴染が2人いて、その2人とも同じクラスって凄いな。僕はそう言った人が居なかったから羨ましいな。
「21番の富樫とがし真紘まひろです。前の席の琉の幼馴染1号です。よろしくお願いします」
 幼馴染1号と名乗った富樫くん。さて、2号は誰だろう?
「22番の朋枝ともえゆきです。料理が好きです。最近はローストビーフを作りました。美味しかったです。よろしくお願いします」
 朋枝さんは料理が得意みたい。母さんも料理が好きだから気があうかもね。
「初めまして、23番中野なかの真桜まおです。よろしくお願いします」
 中野さんはおとなしそうな子だ。
「24番の新野にいのもえです。絵を描くのが好きです。美術部に入ろうかなと思ってます。よろしくお願いします」
 新野さんはもう部活決めているんだ。僕はまだだからな〜。
「25番の子島ねじま笑美えみです。みんなよろしくねー」
 子島さんは笑顔でそう言った。座ってからも子島さんはニコニコしている。笑顔の似合う子だ。見てるこっちまで笑顔になってくる気がする。
「26番の根室ねむろ恵梨香えりかです。皆さんが気になっていた、幼馴染2号です。どうぞよろしく」
 彼女が2号だった。幼馴染が男子1人と女子1人って面白い組み合わせだな〜。何かありそう…。
「27番の能田のだ実歩みほです。皆さまよろしくお願いします」
 そう言うと能田さんは茶色?のフチの眼鏡を押し上げた。眼鏡の所為なのか真面目な感じだ。少し堅そうな感じがする。
「28番の火野ひの一斗いちとです。運動するのが好きかな。中学はやってなかったけど、高校はテニスをしてみたいかな。みんなよろしく」
 火野くんは、元気ハツラツな感じ。テニスか、楽しそうだけど僕には荷が重いかな。
「どもっ!29番の伏見ふしみ大我たいがです!俺もスポーツが好きだな。特にサッカー!春休みから参加してるんだが、サッカー部にそのまま正式に入部するつもりだ。よろしく頼む!」
 なんだろうか、絵翔かいとと通ずるなにかを感じる。2人が騒いでる光景が目に浮かぶ。絡まれなければいいけど。
「30番の蛇野へびのそよかです。よろしくお願いしますね」
 ちょっとだけおどおどしている感じだ。でも、取っ付きにくそうではないから大丈夫かな?
「31番の辺麦へむぎしょうと言います。将棋とか囲碁が好きです。1番得意なのは将棋ですかね。皆さま何卒よろしくお願いします」
 和って雰囲気だ。和服とかが似合うと言ってもいいかな?落ち着いていて、しっかりした感じがする。
 次は穂榀さんの番だ。頑張って!
「初めまして皆さん。32番の穂榀ほしな澪凪みおなです。名字から分かるかもしれませんが、姉が生徒会長をやっています。私も姉に負けないように頑張ります。よろしくお願いしますね」
 男子だけじゃなくて女子も少し固まっている。やっぱり誰が見ても綺麗なんだな穂榀さんは。
「33番のまゆずみ雄一ゆういちです。美人の後だからか緊張してるよ。みんなよろしく頼む」
 僕からしたら黛くんも十分イケメンだけどな。雰囲気からしてイケメンって感じかな。
「34番の睦月むつき好実このみです。みんなよろしく〜」
 睦月さんはこのクラスでは少数の髪を染めている人だ。奇抜な色ではなく、茶髪だ。彼女はもう少し明るめの色でも似合うと思う。
「35番の芽吹めぶきゆうです。よろしくお願いします」
 そう言うと芽吹くんは腰を90度近くまで折り、頭を下げた。碧くんみたいなタイプで、おっとりした感じの子だ。
「36番の八神やがみ鈴華すずかよ。よろしく」
 八神さんも髪を染めていて、髪が少し赤く見える。ガッツリ赤ではなくて赤みがかった黒といった感じ。綺麗な髪をしている。
「37番の由井ゆい由佳ゆかです。後ろのりんのことで困ったことがあったら何でも言ってください。何とかします。よろしくお願いします」
「由佳ちゃんそれは酷いって〜。凛なにもしてないよ〜」
 由井さんが言うとすかさず凛さんが反論した。由井さんは凛さんの面倒をよく見ているみたい。凛さんは元気いっぱいみたいだから由井さん大変そうだ。
「みんな凛そんなに酷くないからね!えっと、38番の吉原よしはらりんです。みんな仲良くしてね〜よろしく〜」
 凛さんはそう、みんなの方を見て手を振る。鹿乃くんはしっかりと手を振り返す。この2人が一緒になると大変そうだな。次は蓮乗くんの番だ
「入学式の時点でみんな知ってると思うが、39番の蓮乗れんじょうきょうだ。よろしく。あの場は凄く緊張したからか、この場ではあまり緊張していない。繰り返しになるが、これからよろしく」
 うん、入学式で見た蓮乗くんと変わらず堂々としている。これから頼りになりそうだ。次の子で最後になる。
「40番の渡部わたべ伊織いおりです。食べるのが大好きです!皆さんよろしくお願いします」
 渡部さんは少しふっくらしている。食べるのが好きみたいだからそのせいかな?渡部さんが席に着くと、沼田先生が教壇の所まで出てきた。これで全員の自己紹介が終わった。次は今後について話すと言っていたな。
「よし!これで自己紹介も終わったな。次は今後についてなんだが…明日はまだ授業は始まらない。まだ、決めたりやらなければいけない事が残っているからな。ただ、明日から部活動が始まるところもある。仮入部はまだ先だが見学は出来るからな。見たいやつは見てけ。また、細かい話やらは明日にするわ。俺からは以上だな。鹿島先生は何かあります?」
「いえ、特には」
「つー訳だ。今日は以上だ。とりあえず、蓮乗挨拶よろしく」
「分かりました。起立」
「よし、じゃあな」
『ありがとうございました』


 そんな感じで、終わってしまった。他のクラスもぼちぼち終わり始めている。この後どうしようか考えていると碧くんに声をかけられた。
「春くんコネクトやってる?やっていたら交換しないかい?」
 コネクトとは、SNSの一種で多くの人が利用していて、チャット形式で話をするものだ。
「うんいいよ。ID教えて」
「ちょっと待って…えーと、これだよ」
 そう碧くんはIDを表示させた画面を見せてきた。それを打ち込んで…。
「出来たね。碧くんはこれからどうするの?」
 気になったので僕は碧くんに聞いてみた。
「実は今からバイトの面接があって、1回家に帰ってからすぐに行くつもりだよ」
 この学校はアルバイトも禁止されてはいない。しかし、あまりに学業を疎かにするようだとアルバイトを辞めさせられるみたいだ。僕は部活の方を頑張るつもりだからアルバイトは考えていない。
「そうなんだ。碧くんは家近いの?」
「うん、今日も歩いて学校まで来たからね。バイト先も知り合いの所だから、面接って言っても実際は顔合わせに行くみたいな感じなんだけどね」
 そう言って碧くんは笑った。
「そう言う春くんはどうするんだい?」
「僕はこのまま帰るよ。一緒に来た友達は、春休みから参加していた部活の方から呼び出しがあるみたいで先に帰っていていいって言われているから」
「そうなんだ。春くんの家は遠いのかい?」
「少しね。梅ノうめのだからね。電車で来るつもり」
「そこそこあるね。途中まで一緒に帰らない?」
「いいよ。じゃあ行こうか」
 僕たちは席を立ち教室を出る。すると、ちょうど穂榀さんと一緒だった。
「穂榀さんはまた中野さんと帰るの?」
 僕はそう聞く。
「ええ、そうよ。2人は一緒に帰るの?」
「うん、そうだよ。またね」
「またね、穂榀さん」
 僕と碧くんは穂榀さんに挨拶をする。
「ええ、また明日2人とも」


 僕たちは穂榀さんと別れ、昇降口へと向かった。僕はスニーカーに、碧くんはローファーに履き替え、昇降口を出た。



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