自分だけの現実

双葉 理央

いつもの日常

春、七草才人(さえぐささいと)の通う私立旋律中学校の始業式が始まる三月二十日を迎えて才人は布団から体を起こす。
 日が登って少し経ったおよそ六時過ぎと言ったところだ。
今日から中学三年生になる才人は淡い期待と、少しのだるさ、そしてかなりの眠気に襲われながら登校の準備を始める。
 才人の家は学校から徒歩十五分と言ったところだ、学校には遅くとも八時二十分には着ければいいのだが、何故こんなにも早起きなのかと言うと、二つ下の妹と、三つ上の姉に朝ご飯の支度をしなければならないからだ。
両親は共働きで帰って来られない日が多く、家事当番は週替わりで交代でして行くと兄妹で決めたのだ。

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