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じゃくまる

八坂家の日常

『新着メッセージがあります』
「んん? なんだろう?」

 新たな妖狐族と出会った日から翌日、現実世界での予定をこなしていると、端末上にそんなメッセージがポップアップしてきた。
 現在ボクは遅めの海に行くための準備をしている。
 大事な毛を保護するためのものはぬらりひょんさんのお店で購入済みなので、あとは忘れないようにするだけだ。
 音緒や美影たちについては連絡済み、このはちゃんたちについてはミナが連絡済みだ。
 
「え~っとなになに? ルーナからか」
『スピカ様へ。
 現在アルケニアではスピカ様が開発された『反転小結界』が広まりつつあります。
 すでに複数人の陰陽師見習いたちが五人一組で浄化に当たっており、浄化範囲を少しずつ広げています。
 メルヴェイユ様のお話ですと、浄化の範囲次第で絆の要塞戦が楽になるということです。
 このお話はすでに一般公開されており、聖堂では神の啓示として市民にも通達されています。
 それと別件ですが、アリエスタ村のことがプレイヤーたちに知れ渡りまして、プレイヤーたちの新たなる拠点として人気になっています。
 そんなアリエスタ村ですが、プレイヤーたちによる農地開拓部隊が組織され、浄化を行いながら農地開拓を行うという強硬手段が取られています。
 これにより、少しずつですが食糧問題やアリエスタ村の現状が回復するでしょう。
 それとですが、精霊樹の存在が確認されたことにより、精霊術師たちにも良い傾向があるようです。
 特に召喚術師は新しい力を得られそうで、プレイヤーたちによる研究班が現在研究を行っています。
 最後ですが、アリエスタ村の地上に移住者が増えました。
 そして商店が開業しました。
 現在はこんなところになります』
「ふぅん。プレイヤーが多いと色々と進行は早いんだね」

 恐るべしプレイヤーたち。
 というか『農地開拓部隊』とか『研究班』ってなにさ!?
 いや、時々お兄ちゃんがそんな人たちがいると言っていたのは知っていたけど、まさかここでそんな人たちの話を聞くとは思わなかった。
 まぁでも、漁業が好きで沖に出てるプレイヤーもいるっていうし、本当に不思議だよね、人間種って……。
 ボクたちは逆にのんびりしすぎるせいか、こういう行動力については驚かされてばかりだ。
 だから人間種の文明発展って早いんだろうね。

「絆の要塞についても運営側ではまだ日時が発表されていないし。先行してる人たちが周囲の戦力を排除してるとは聞くんだけどねぇ」

 ボクたちが知らない場所でだけど、プレイヤーたちのうち最も先行している人たちは、すでに絆の要塞周辺に陣地を築いているらしい。
 物流の流れができつつあり、そこまでの街道が整備され始めているようだ。
 本当に動きが早い。

「それにしても、アリエスタ村が復興されはじめてるのはいいことかもなぁ」

 アリエスさんは今頃大忙しだろう。
 でも、またアリエスタ村に行く時にはもっと村が拡大してるかもしれないと思うと、楽しみで仕方ない。

「ふぁ~。とりあえずリビングいこっと……」

 ボクは眠い目をこすりながら、自宅のリビングへとむかった。

「あっ、お姉ちゃんおはよ~」
「ミナ、おはよう」
「おはよう、昴」
「お兄ちゃんおはよう」

 ミナとお兄ちゃんはリビングのソファーに座ってテレビを見ていた。
 ボクはそんな二人をちらっと見ながら近寄り、とりあえずお兄ちゃんへとダイブを敢行する。

「ダ~イブ」
「おわっ!? こら、昴!?」
「ん~。落ち着く」
「もう、お姉ちゃんたら。そんなことするなら私はお姉ちゃんの尻尾をもふるんだからね!!」
「んにょお!? いきなりはびくっとしたよ!?」

 賢人お兄ちゃんに抱き着いて胸に顔を埋めてる僕が言えた義理じゃないけど、いきなり尻尾をもふられるのはかなりびっくりする。
 ボクの尻尾は敏感なんだから大事に扱うべきだと思う。

「えへへ、ごめんね? お姉ちゃん」

 ミナはそう言いながらボクの尻尾を全身を使ってもふってくる。

「昴もミナも落ち着けって……」
「あわわわわわ」
「あっ、ごめんなさい」

 ボクがお兄ちゃんに抱き着き頬ずりし、ミナがボクの尻尾をもふるという謎の構図に、さすがのお兄ちゃんからもクレームがついた。
 うん、人には見せられない酷い構図だったように思える。
 反省……。

「昴もミナも仲良いことはいいけど、あまり賢人を困らせてはいけないよ?」

 軽く賢人お兄ちゃんに怒られたところで、キッチンからお父さんが出てきた。
 お父さんの手にはたくさんのお稲荷さんが積まれた大皿が乗っている。

「お稲荷さん……」
「あぁ、そうだよ。そこのお皿の稲荷のいくつかは母上にお裾分けするから、少しは残しておくんだよ?」
「は~い」

 お父さんはそう言うと、大皿をテーブルの上に置いてキッチンへと戻っていく。
 ボクはさっそくお皿にお稲荷さんをいくつか載せると、さっそく食べ始めた。

「うまうま」
「お父さん、料理上手だよね~」
「だよね~。賢人お兄ちゃんも上手だけど、一番はやっぱりお父さんだよね~」
「わかる」
「さすがに俺でも、父さんにはまだ勝てないよ」

 賢人お兄ちゃんは苦笑しながらそう言うけど、結構いい線いってると思う。
 むしろ、ボクが家族の中で一番料理ができない気がするんだけどね。
 ミナも地味に料理上手だしさ……。

「お姉ちゃん、箱入り娘になる前に料理できるようになろうね?」
「ぐぬぬ。前よりは出来るようになったよね!?」
「簡単なのだけはね?」

 うちの妹に勝ててる部分が毛艶しかないんですが!?
 毛並みなら誰にも負けないという自負はあるけど、そもそもその時点で間違ってるような気がしなくもない。

「むぅ。ちょっとずつは出来るようになってみせるから、覚えてろー!!」
「楽しみにしてるよ、お姉ちゃん?」
「おう。俺も昴の料理楽しみにしてるぞ? 昴は経験不足だけど料理に変なことしないから、安心して食べられるんだよなぁ」
「それはわかるかも。別にまずいわけじゃないんだよね。下手なだけで」
「そうそう」
「下手下手うるさいよ!?」

 みんなして下手下手と、容赦なさすぎないかな? ボクの家族は……。

「最近一緒にゲーム出来てなかったから、今度ゲーム内でも料理のレシピ教えてあげるぞ?」
「私もお姉ちゃんとやりたいのに、このはちゃんの宿題の残り手伝わされてて入れないから困るんだよね。なんか最近お姉ちゃん頑張ってるって聞くし」
「そうそう! つい最近なんて村を一つ救っちゃったんだから!!」
「おぉ~。すごい!」
「やるなぁ。さすが自慢の妹だ」
「えっへん」

 最近ゲームばっかりになっていたけど、人に認められたのはなんだか久しぶりな気がする。
 現実でもやらなければいけないことは多いけど、ゲームのほうもどんどん探索して行かなきゃなぁ……。

「そういえば海に行く予定決まったよ、お姉ちゃん」
「海か……」

 どうやら、このはちゃんの忘れられていた宿題が一段落つくようだ。
 いよいよ海か……。
 ボクは海でどう過ごそうかな。

 もうすぐ行くことになる海のことを考え、ボクは若干憂鬱になるのだった。 

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