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じゃくまる

アンデッド襲撃

 現れたスケルトンの数は二十体。
 ボクも参加した方がいいんだろうけど、ここはあえてみんなに任せてしまおう。

「いくにゃー!!」

 音緒が先に駆け出し、スケルトンたちを挑発しにかかる。
 ほかの人はその場から動かず、音緒が戻ってくるのを待っていた。
 襲ってくるのを待つよりも先に潰してしまおうと考えたようだ。
 悪手かどうかはわからないけどね。

 音緒の接近に気が付いたスケルトンは、剣を持ったタイプがほかの者に指示を出し、接近する音緒に対処しようとしていた。

「こいつら、連携するのかにゃ!?」
「脳みそ無くても知恵はあるってこと? 変わってるね」
「援護する。『大地の精霊よ、力を貸してほしい。【アースシェル】』」

 フィルさんがそう唱えると、ボクたちを半透明の土が覆ってきた。
 物理防御を高める術みたいだ。

「この汚染地帯では精霊の力が弱い。地下なら別かもしれないけど、ここではこれが精一杯」
「大丈夫、ありがとう! フィルさん」
「にゃにゃー!! 火の魔術とか大っ嫌いにゃ~!!」

 音緒の叫び声を聞いて、その方向を見てみると、近寄る音緒に向けてスケルトンの魔術師タイプが炎の魔術を放っていた。
 火の玉のようなものなので、おそらくファイアーボールだろう。

「音緒様! 『水の膜よ、彼の者を炎より守れ! 【スピリットウォーターコート】』」

 ミアの術が発動し、火の球に襲われていた音緒の体を水の膜がまとわりつくように包み込む。
 直後、避けきれなかった一発が音緒に直撃。
 しかし、水の膜のおかげかダメージらしいダメージは入らなかった。

「ミアちゃん、ありがとにゃ!! これでチリチリを恐れずにツッコめるにゃ!!」

 音緒に火の魔術が聞かなかったことに怒ったのか、魔術師のスケルトンは再び火の魔術を連続で使用する。
 どうやら数で押そうとしているようだ。
 直後、剣を持ったスケルトンの指示で、複数の槍を持ったスケルトンが避ける音緒の隙を突くために前へと飛び出した。
 少し遅れて斧を持ったタイプも飛び出し、さらに音緒を抑え込もうと圧力をかけていく。

「うわわ、これは釣れ過ぎにゃ!! 戻るから援護欲しいにゃ!!」

 前衛タイプ十体ほどを引き連れた音緒がボクたちの方へと戻ってくる。
 後ろからは火の玉が複数降り注ぎ、音緒の行く手を阻むが、音緒はこれをきれいに回避。
 ついでとばかりに、槍タイプの攻撃も上手い具合にかわしつつ、ボクたちの元へとたどり着いた。

「好機。『風の精霊、力を貸して。唸れ風の刃【ウィンドスラスト】』」

 音緒が引き連れて来たスケルトンたちをフィルさんの精霊術が襲う。
 複数の風の刃がスケルトンたちに直撃し、数体の首を吹き飛ばす。
 首を吹き飛ばされたスケルトンはそのまま倒れ、後続に踏まれていく。
 ガシャガシャうるさい音が鳴る中、スケルトンたちはどんどん前に出てくる。

「一気に全部倒せないのが難点。数で攻められると押し切られる」
「私が行きます。『水よ、彼の者を切り裂け【スピリットウォーターーカッター】』」

 ミアが水の術で鉈くらいの大きさの刃を生み出す。
 水の刃はそのままスケルトンたちに向かい、首や胴体を切り裂き行動不能にしていく。
 崩れ落ちた槍を持ったスケルトンを踏み越え、後続の斧を持ったスケルトンが突っ込んでいく。
 それに対応するのは、くるりと反転した音緒だった。

「いっくにゃ~!! 斧は一撃は強いけど攻撃直後は無防備にゃ。素早い盗賊なら余裕にゃ」

 音緒は巧みに攻撃をかわしながら、攻撃直後の隙を狙って短剣による攻撃を繰り返していく。
 斬りつけられた斧を持ったスケルトンはむきになったかのように、音緒を執拗に狙って斧を振り下ろしていく。
 しかし、そのどれもが当たらず、反撃を受けたスケルトンは数を減らしていく。
 そして最後の斧を持ったスケルトンが倒れると、剣を持ったスケルトンがこっちに向かってくるのが見えた。

「まだかにゃ?」
「もうちょっと!! 妖力丸まずいし苦いし、すぐに次が飲めないんだよね。やっぱり甘めのポーションタイプを作った方がいいよこれ……」

 ボク自身のSPはもう少しで回復できるけど、回復しきる前に妖力丸の効果が切れてしまう。
 そのため、次を飲まなければいけないんだけど、なかなか体が受け付けないのだ。
 この時間がものすっごく歯がゆい。

「残りの敵は少ないですから、落ち着いてください。とは言いましても、汚染地域だと強化されるのでしょうか? 骨のくせに思ったより強いですね」
「骨のある敵って感じかにゃ?」
「ギルティ」
「音緒、見損なったよ」
「音緒様、それはさすがに……」
「待つにゃ、ギャグじゃないにゃ!!」
「がっかりでございます。音緒様」
「やめるにゃ!! 憐れむ目で見るにゃ!!」

 音緒の渾身のダジャレは不発に終わり、場を凍らせただけだった。
 いっそ火の魔術で尻尾に火をつけてあげればいいんじゃないかな?
 そう思っていると、魔術師のスケルトンから火球が数発飛んできた。
 色々な意味で援護射撃なような気がする。

「ところでルーナ、あの骨たちの名前ってわかる?」
「はい、スピカ様。スケルトンファイターにスケルトンランサー、スケルトンアックスマンにスケルトンマジシャンです。結界内より幾分強くなっていますので、ご注意ください」
「了解。音緒、スケルトンファイターが来てるから、それだけでも防いでおいて。たぶんそれくらいで溜まるから」
「了解にゃ。剣相手ってのは結構面倒だけど仕方ないにゃ」

 ボクの指示に音緒は軽く頷き、スケルトンファイターに近づいていく。
 スケルトンファイターは素早く剣を振るうので、盗賊職でも簡単に接近はできない。
 でも、盗賊職はスキルを覚えて行けばどんどん強く便利になっていくので、これは今だけの苦労だろうけどね。
 そうしている間にも、音緒は一体のスケルトンファイターの剣を弾き飛ばして、首に短剣を突き立てていた。

「遅いにゃ! 次行くにゃ」

 倒れたスケルトンファイターの首を胴体から切断すると、迫りくる次のスケルトン目がけて飛び出していく。
 それを援護するように、ミアとフィルさんの援護射撃が飛び、ルーナがその援護をする。
 ルーナの戦闘用武装はまだ召喚できていないため、回復支援や補助魔術支援くらいしかできることがない。

「これで最後にゃ!!」

 音緒が最後のスケルトンファイターを倒すと、スケルトンマジシャンたちに向かっていった。
 しかし、スケルトンマジシャンたちは巧みに接近を妨害したり、ダメージを軽減する魔術を使い、連携していく。
 さすがに五体の魔術師が集まれば、お互いに補い合いうようになるようだ。

「にゃっ! しつこいにゃ!! ダメージ通らないし、つらいにゃ。マジシャンってこんなに厄介なのかにゃ?」
「これはひどい。たしかに魔術師はお互いを補い合う術も心得ている場合が多い。集団戦闘や戦争などではいつだって魔術師が切り札だったり要だったりしていたらしい。幸い回復しないから、時間をかければ倒せる」
「こちらの魔術も上手い具合に防御されてしまい、ダメージが増えませんね。あのマジックシールドが嫌です」

 物理攻撃は【シールド】や【アースアーマー】といった魔術で防御力を上げて耐えるのが一般的で、魔術攻撃は【マジックシールド】や【エレメンタルシールド】で軽減するのが一般的だ。
 しかも相手は魔術師、元々の魔術防御力も高いときた。
 汚染の影響である程度強化もされているようで、はっきりいってかなり強くなっている。
 でも、それもここまでだ。

「よしきた!! いっくよ~!! 【反転結界陣】」

 なんとかSPも回復し、術を発動することができるようになった。
 すぐさま最後の反転結界陣を起動、五か所の反転結界陣と連鎖反応を起こし、反転小結界が発動する。
 直後、ものすっごい勢いでMPとSPががっつり減っていき、ちょっと気持ち悪くなる。
 
 地上からは光が溢れ、汚染されていた土壌や腐ったような木々の表面がはがれていく。
 光は天空まで届き、どんよりとしていた空が一気に中心から吹き飛ばされて青空が広がっていく。
 そして中心から溢れた光はどんどん広がり、やがては村全体を包み込んでいった。

「にゃああああああ!! まぶしいにゃああああ!!」

 敵と戦闘中だった音緒は目を開けたままだったらしく、目を抑えながら地面を転がっていく。
 ちなみに、スケルトンマジシャンはというと、光が溢れたと同時にその身を崩していき、光の柱に飲み込まれて消えてしまった。
 
 こうして村は浄化され、汚染によって強化されていたアンデッドたちは蒸発して消えてしまった。
 あとに残ったのは、崩れた家屋とぼろぼろの道だけだ。

「いや~、強敵でしたね」

 ボクは一仕事終えたので地面にぺたんと座り込みながらそう言った。

「にゃああああああああ~!!」

 音緒は未だに目を抑えながら転がっている。

「事前に目を閉じていてよかった。音緒は迂闊」
「私も事前に対処していたので問題はありませんでした」
「サングラス常備していてよかったですよ。ほんと」
「いつの間にそんなの持ってたのさ」

 音緒以外はみんな対処済みだった。
 しかし、サングラスはどこから出したんだろう?
 ボクはそれが一番気になるんだけど……。
 ボクたちはアリエスさんへの報告を後回しにし、浄化された村から見える青空をずっと見ていた。

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