アルケニアオンライン~昴のVRMMOゲームライフ。冒険生産なんでも楽しみます。
鍛冶屋への贈り物と猫と音緒
宝物庫から手に入れた武具類はまだ使うことはできない。
一応調べた限りでは封印されていると出ているけど、封印されていても装備できるのか、好奇心から試してみた。
その結果、封印されているこの武具類は装備しようとするとずっしりと重くなり、疲労がどんどん蓄積していくことがわかった。
それはまるで拒否しているかのようだった。
「にゃ~。ただの革製防具なはずなのに、何で鉄の鎧のように重いのかにゃ? 理解不能にゃ」
新しい革製防具ということで大喜びだった音緒だけど、使えないことが分かると目に見えて落ち込み、テンションが著しく下がってしまっていた。
「にゃーにゃー」
「にゃーにゃーうるさいよ~? へこむよりも解除方法見つけようよ。でないといつまで経っても装備できないじゃん」
「わかってるのにゃ。でも目の前に欲しいものがあるのにお預け状態は辛いのにゃ」
そういえば、ボクって貰いものをそのまま使ってるから自分の装備についてちゃんと考えてなかったっけ。
実際、今までのボクは何かでもらったものをそのまま装備していた。
自分で武器防具を見に行って、試着したりしてなかったな~ということに気が付いてしまったのだ。
「考えてみると、ボクは自分の装備選んでこなかったなぁ」
ボクのつぶやきを聞いて、音緒が不思議そうな顔をしてこんなことを言ってきた。
「え? 何言ってるにゃ? スピカにゃんたちの職業の装備なんて街の武器屋とかで扱ってないにゃ。武蔵屋敷かそういうものを作ってくれるところじゃないと手に入らないから当たり前にゃ」
「えぇ!? そうなのか……。通りでどこにもないわけだ……」
選ぶ選ばない以前に、武蔵国系の武具を装備しているボクたちには選択肢がなかったようだ。
「RPGの醍醐味は……?」
「新大陸に移動するのを楽しみにしていればいいのにゃ。そういう楽しみもRPGにはあるからにゃ」
実際、一般的なRPGにはAという街からCという街まで、ほとんど売っているものが変わらない時がある。
下手すると一地方まるごと同じことも有り得るしね。
でもそういう時、ちょっと離れた山奥の村とかに行くとすごいものが売ってることあると思う。
なので、ボク個人としてはマタンガの集落の鍛冶屋さんには期待しているのだ。
「お次は鎚を渡しに行くんだけど、問題はこれがほしいのかがわからないってこと。要らなそうならボクの為に使うことにするけど」
ボクがエダムさんに渡すのは、ダンジョンで見つけた白い金属製の鎚だ。
実は鍛冶知識があるせいかはわからないけど、この鎚を持ってると不思議と鍛冶をしたくなるのだ。
「ふぅん? 変わった鎚にゃ。職人なら喜ぶ気がするにゃ」
「だよねだよね! よ~し、これでボクもいよいよ鍛冶についてスキルゲットできるかな!?」
別に学ばなくても自力で学習することは可能だ。
でもその場合、ナイフとかから作り始めるだろうから、どうしても習熟するまでに時間がかかってしまう。
「というわけでレッツゴー!!」
**************
「なんだ、また来たのか?」
「失礼なやつにゃ!」
「こら、音緒? そういうこと言っちゃだめだよ?」
「にゃうぅ」
エダムさんの歯に衣着せぬ発言に、音緒が噛みつくものの、ボクはそれを制してエダムさんと向き合う。
「お酒はないですけど面白いもの見つけたので、持ってきました」
そういうと、ボクは白い金属製の鎚を取り出した。
「!? お前さん、それをどこで手に入れた!?」
目玉が飛び出しそうな勢いで目を見開くエダムさん。
その手はプルプルと震えている。
「ええっと、ダンジョンで手に入れました。近くによくわからない鉱石も一緒にありましたよ? これです」
不思議な色合い、白みがかった石に虹色で描かれた模様のようなものが入った不思議な石だ。
鉱石と断言したけど、合ってるのかな?
「神鉱結晶(しんこうけっしょう)だと!? 神の神殿くらいにしか生成されない特殊な鉱石だぞ!?」
驚くほどに食いつきが良いエダムさん。
たまたま見つけたものだけど、良いものみたいで良かった!
「その白い鎚は神鉱結晶で作られた鎚のようだな。伝え聞くところによると神鉱結晶で作られたものは手触りはなめらかなものの、硬さは金属のそれだという。しかし、今の俺には技術が足りない。すまんが、じっくり研究させてもらっていいか? 代わりと言っては何だが、初歩的な鍛冶技術を教えてやる」
「ぜひ! いくつか結晶もあるので、お持ちください」
そういうと、ボクはインベントリから一個の神鉱結晶を取り出して手渡した。
「すまんな。恩に着る。にしても大きさのわりに軽いとはなぁ。」
手渡された神鉱結晶を見ながら、エダムさんがそう呟く。
渡した神鉱結晶は一つ3センチほどの大きさがある。
重さはほとんどなく、羽根のような軽さだ。
でも、3センチのもの一つでは何も作れないだろう。
「う~ん……。どこかに同じようなものはないかな」
「さすがに俺も知らないな。もしたくさん手に入るようなら、その腰のものと同じものを作ってやろう。それまでは練習も兼ねて打ち続けてみるさ」
エダムさんの顔にはやる気が満ち溢れている。
やっぱり新しい道具を手に入れると、男性って輝くような笑顔をするよね。
おもちゃとかガジェットとか、そういうものが好きっていうか。
「私もいくつか見つけたらナイフ作ってもらおうかにゃ」
「おう、どんどんもってこい! やる気が出て来たぞ!!」
「あはは……」
「にゃはっ」
何にしてもエダムさんがやる気になって良かった。
そんなことを考えていたとき、不意にボクの端末が微振動しだした。
「ふぇっ!? びっくりしたぁ」
「にゃ? どうしたにゃ?」
「急に端末が微振動して……」
「緊急連絡かもにゃ。見てみるにゃ」
音緒の言葉を聞いて、ボクは自分の端末を見る。
『解禁! ルーナちゃんのお・へ・や』
端末に表示されたメッセージには、ただそれだけが書かれていた。
「にゃーにゃー、ルーナって誰にゃ?」
「あ~、最初に出会った天使?」
「物理的な天使かにゃ? 精神的天使かにゃ?」
「ええっと、ぶ、物理的?」
「にゃんだ、烏と一緒かにゃ。精神的天使兼物理的天使だったら勝負を挑んだんだけどにゃ~」
自称天使こと、偽アイドルの音緒は胸を張ってドヤ顔をしつつそう言った。
「で、そのルーナちゃんが何の用なのかにゃ?」
「さぁ? そういえば音緒の時はそういうのに出会った?」
「そう言えばいたにゃ。猫天使なる何かにゃ。猫又にケンカ売ってるのかと最初は思ったけどにゃ、アイドル目指すにはそれくらい必要かと思って黙って付き合うことにしたのにゃ」
どうやら、今のアイドル路線の根本原因は、その猫天使という子みたいだ。
名前は不明だけど、気になると言えば気になる。
「そういえば、音緒は誰のアイドルになりたいの? もしくはどの種に向けての?」
「当然全部にゃ!」
「野良猫にはよくケンカ売られてるのに?」
「うにゃ~……」
ボクの指摘に、音緒はしょんぼりしてしまった。
ここだけの話、音緒が猫の近くに行くと猫は寄ってくるのだ。
ただ、その猫たちは音緒に何か話しかけるように「にゃ~にゃ~」と目の前で鳴く。
その後、音緒が後ずさりしつつ何かを話しかけ「にゃ~にゃ~」言うと、一定確率で猫から攻撃を受ける。
結構そんなことを繰り返している気がする。
「ねぇ音緒。もしかして野良猫に嫌われてる?」
「そういうわけじゃないにゃ。ただあいつら、『俺の縄張りに入って来た新しい雌猫か? 俺のハーレムに加わるなら縄張りでの自由行動を許してやる。そうじゃないならさっさと失せな!』とか失礼なことを言うのにゃ。それで拒否すると、ああやって攻撃を受けるのにゃ。なんなのにゃ? 猫又舐められてるのかにゃ?」
そのことを思い出したのか、音緒はぷるぷると怒りに打ち震えていた。
なるほど、音緒はナンパされてたんだね。
猫に。
一応調べた限りでは封印されていると出ているけど、封印されていても装備できるのか、好奇心から試してみた。
その結果、封印されているこの武具類は装備しようとするとずっしりと重くなり、疲労がどんどん蓄積していくことがわかった。
それはまるで拒否しているかのようだった。
「にゃ~。ただの革製防具なはずなのに、何で鉄の鎧のように重いのかにゃ? 理解不能にゃ」
新しい革製防具ということで大喜びだった音緒だけど、使えないことが分かると目に見えて落ち込み、テンションが著しく下がってしまっていた。
「にゃーにゃー」
「にゃーにゃーうるさいよ~? へこむよりも解除方法見つけようよ。でないといつまで経っても装備できないじゃん」
「わかってるのにゃ。でも目の前に欲しいものがあるのにお預け状態は辛いのにゃ」
そういえば、ボクって貰いものをそのまま使ってるから自分の装備についてちゃんと考えてなかったっけ。
実際、今までのボクは何かでもらったものをそのまま装備していた。
自分で武器防具を見に行って、試着したりしてなかったな~ということに気が付いてしまったのだ。
「考えてみると、ボクは自分の装備選んでこなかったなぁ」
ボクのつぶやきを聞いて、音緒が不思議そうな顔をしてこんなことを言ってきた。
「え? 何言ってるにゃ? スピカにゃんたちの職業の装備なんて街の武器屋とかで扱ってないにゃ。武蔵屋敷かそういうものを作ってくれるところじゃないと手に入らないから当たり前にゃ」
「えぇ!? そうなのか……。通りでどこにもないわけだ……」
選ぶ選ばない以前に、武蔵国系の武具を装備しているボクたちには選択肢がなかったようだ。
「RPGの醍醐味は……?」
「新大陸に移動するのを楽しみにしていればいいのにゃ。そういう楽しみもRPGにはあるからにゃ」
実際、一般的なRPGにはAという街からCという街まで、ほとんど売っているものが変わらない時がある。
下手すると一地方まるごと同じことも有り得るしね。
でもそういう時、ちょっと離れた山奥の村とかに行くとすごいものが売ってることあると思う。
なので、ボク個人としてはマタンガの集落の鍛冶屋さんには期待しているのだ。
「お次は鎚を渡しに行くんだけど、問題はこれがほしいのかがわからないってこと。要らなそうならボクの為に使うことにするけど」
ボクがエダムさんに渡すのは、ダンジョンで見つけた白い金属製の鎚だ。
実は鍛冶知識があるせいかはわからないけど、この鎚を持ってると不思議と鍛冶をしたくなるのだ。
「ふぅん? 変わった鎚にゃ。職人なら喜ぶ気がするにゃ」
「だよねだよね! よ~し、これでボクもいよいよ鍛冶についてスキルゲットできるかな!?」
別に学ばなくても自力で学習することは可能だ。
でもその場合、ナイフとかから作り始めるだろうから、どうしても習熟するまでに時間がかかってしまう。
「というわけでレッツゴー!!」
**************
「なんだ、また来たのか?」
「失礼なやつにゃ!」
「こら、音緒? そういうこと言っちゃだめだよ?」
「にゃうぅ」
エダムさんの歯に衣着せぬ発言に、音緒が噛みつくものの、ボクはそれを制してエダムさんと向き合う。
「お酒はないですけど面白いもの見つけたので、持ってきました」
そういうと、ボクは白い金属製の鎚を取り出した。
「!? お前さん、それをどこで手に入れた!?」
目玉が飛び出しそうな勢いで目を見開くエダムさん。
その手はプルプルと震えている。
「ええっと、ダンジョンで手に入れました。近くによくわからない鉱石も一緒にありましたよ? これです」
不思議な色合い、白みがかった石に虹色で描かれた模様のようなものが入った不思議な石だ。
鉱石と断言したけど、合ってるのかな?
「神鉱結晶(しんこうけっしょう)だと!? 神の神殿くらいにしか生成されない特殊な鉱石だぞ!?」
驚くほどに食いつきが良いエダムさん。
たまたま見つけたものだけど、良いものみたいで良かった!
「その白い鎚は神鉱結晶で作られた鎚のようだな。伝え聞くところによると神鉱結晶で作られたものは手触りはなめらかなものの、硬さは金属のそれだという。しかし、今の俺には技術が足りない。すまんが、じっくり研究させてもらっていいか? 代わりと言っては何だが、初歩的な鍛冶技術を教えてやる」
「ぜひ! いくつか結晶もあるので、お持ちください」
そういうと、ボクはインベントリから一個の神鉱結晶を取り出して手渡した。
「すまんな。恩に着る。にしても大きさのわりに軽いとはなぁ。」
手渡された神鉱結晶を見ながら、エダムさんがそう呟く。
渡した神鉱結晶は一つ3センチほどの大きさがある。
重さはほとんどなく、羽根のような軽さだ。
でも、3センチのもの一つでは何も作れないだろう。
「う~ん……。どこかに同じようなものはないかな」
「さすがに俺も知らないな。もしたくさん手に入るようなら、その腰のものと同じものを作ってやろう。それまでは練習も兼ねて打ち続けてみるさ」
エダムさんの顔にはやる気が満ち溢れている。
やっぱり新しい道具を手に入れると、男性って輝くような笑顔をするよね。
おもちゃとかガジェットとか、そういうものが好きっていうか。
「私もいくつか見つけたらナイフ作ってもらおうかにゃ」
「おう、どんどんもってこい! やる気が出て来たぞ!!」
「あはは……」
「にゃはっ」
何にしてもエダムさんがやる気になって良かった。
そんなことを考えていたとき、不意にボクの端末が微振動しだした。
「ふぇっ!? びっくりしたぁ」
「にゃ? どうしたにゃ?」
「急に端末が微振動して……」
「緊急連絡かもにゃ。見てみるにゃ」
音緒の言葉を聞いて、ボクは自分の端末を見る。
『解禁! ルーナちゃんのお・へ・や』
端末に表示されたメッセージには、ただそれだけが書かれていた。
「にゃーにゃー、ルーナって誰にゃ?」
「あ~、最初に出会った天使?」
「物理的な天使かにゃ? 精神的天使かにゃ?」
「ええっと、ぶ、物理的?」
「にゃんだ、烏と一緒かにゃ。精神的天使兼物理的天使だったら勝負を挑んだんだけどにゃ~」
自称天使こと、偽アイドルの音緒は胸を張ってドヤ顔をしつつそう言った。
「で、そのルーナちゃんが何の用なのかにゃ?」
「さぁ? そういえば音緒の時はそういうのに出会った?」
「そう言えばいたにゃ。猫天使なる何かにゃ。猫又にケンカ売ってるのかと最初は思ったけどにゃ、アイドル目指すにはそれくらい必要かと思って黙って付き合うことにしたのにゃ」
どうやら、今のアイドル路線の根本原因は、その猫天使という子みたいだ。
名前は不明だけど、気になると言えば気になる。
「そういえば、音緒は誰のアイドルになりたいの? もしくはどの種に向けての?」
「当然全部にゃ!」
「野良猫にはよくケンカ売られてるのに?」
「うにゃ~……」
ボクの指摘に、音緒はしょんぼりしてしまった。
ここだけの話、音緒が猫の近くに行くと猫は寄ってくるのだ。
ただ、その猫たちは音緒に何か話しかけるように「にゃ~にゃ~」と目の前で鳴く。
その後、音緒が後ずさりしつつ何かを話しかけ「にゃ~にゃ~」言うと、一定確率で猫から攻撃を受ける。
結構そんなことを繰り返している気がする。
「ねぇ音緒。もしかして野良猫に嫌われてる?」
「そういうわけじゃないにゃ。ただあいつら、『俺の縄張りに入って来た新しい雌猫か? 俺のハーレムに加わるなら縄張りでの自由行動を許してやる。そうじゃないならさっさと失せな!』とか失礼なことを言うのにゃ。それで拒否すると、ああやって攻撃を受けるのにゃ。なんなのにゃ? 猫又舐められてるのかにゃ?」
そのことを思い出したのか、音緒はぷるぷると怒りに打ち震えていた。
なるほど、音緒はナンパされてたんだね。
猫に。
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