アルケニアオンライン~昴のVRMMOゲームライフ。冒険生産なんでも楽しみます。
お風呂後のドタバタ騒ぎ
お風呂からあがって一息つく。
ゲーム内でもやはりお風呂はいいもので、「入浴してる!!」という感覚がたしかにあるのだ。
もうすでに何回か入浴というものは経験しているものの、やっぱり不思議に思うことは多い。
特に体の描写についてだけど、細かく描写されているというか、本物と変わらないというか、とにかくないものがないのだ。
一応このゲーム、ジェンダー的な理由がない場合は男女あべこべにキャラクターを生成することはできない。
つまり、いわゆるなりきりプレイができないのだ。
「のう、スピカや。本当に着てくれるのじゃろうな?」
隣で服を着替えているお婆ちゃんがボクの方を見ながら二回目の質問をしてくる。
ちなみに一回目はお風呂の中だった。
「着るってば。もう用意されてるし……。ていうか、お婆ちゃんは何でワンピースを着てるの?」
隣を見ると、お婆ちゃんはいつもの和服ではなく白いワンピースを着ていた。
「たまにはと思ってのぅ。いつもは和装じゃからこういう時に着てみるのもありかと思ってのぅ」
今もまだ小さいままのお婆ちゃん。
なぜかボクと同じサイズになることが楽しいらしく、しばらくはこのままでいたいとのこと。
「もふもふが二本。滾る」
「わわっ、まだ着替えてるんだってば!」
「これ、やめぬか! 猫は苦手じゃ……」
「これは参加するしかないのにゃ!」
ボクとお婆ちゃんに群がるコノハちゃんと音緒。
二人の猫娘は楽しそうに太い尻尾にじゃれついていた。
「コノハ、もう猫みたいになっちゃったわねぇ」
リーンさんが頬に手を当て、困ったようにそう言う。
当のコノハちゃんはそれはもう猫じゃらしに食いつく猫の如く尻尾と戯れていた。
「あはは、VRの悪い面ってところかもしれないね。でも、現実のコノハちゃんに影響がないんだからまだいい方じゃない?」
「カレン、他人事のように言わないでよ……。でも、コノハの場合はスピカちゃんに対してだけだから、まだいいのかもしれないけど……」
「コノハちゃん、お姉ちゃん大好きだからしょうがないですよ。なんでこんなに気に入ってるのかは不明だけど、まぁ好かれるのはいいことだと思いますし」
カレンさんもマイアもあまり気にしてはいないようだ。
むしろ、ボクの状況のほうを気にしてはいるようだけど。
「あはははは、スピカ、素っ裸で転がってる! スクショ撮ろうよ!」
「だめよ、エレクトラ。それに誰かが裸の時や薄着の時はスクリーンショット機能は有効にならないように設定されているわ」
「つまり、見える分あたしたちの方が有利ってこと?」
「何と競い合ってるのよ……」
まじまじとボクの痴態を見ては大喜びしているエレクトラ。
絶対後で叩く。
ケラエノはそんな姉に呆れているようで、ため息ばかりついている。
でも、時々ボクの方をちらちら見るのは止めてほしい……。
「いい加減、服着させてよ!!」
ボクはいつまで素っ裸で転がされていればいいんだ!!
「ひぃひぃ、妾が悪かったのじゃ。もう尻尾ばかり攻めるのは止めてほしいのじゃ……」
猫娘二人の攻撃に、あの強力なお婆ちゃんが屈服した。
それは、狐に猫が勝った瞬間だった。
「あんたたち、本当に元気だね。まぁあたしは羽根の手入れが出来てご機嫌だから文句はないけどさ」
そう言って羽根に布を押し当てて水気を吸っているのは烏天狗のクラマさんだ。
ちなみに本来の種族は大天狗らしいけど、ここにはまだ大天狗なるものは存在していないため、暫定烏天狗として登録されている。
「尻尾の手入れさせてもらって幸せでしたぁ」
「アイル、尻尾の触り方がいやらしかったよね」
「だって、あんなに大きくて太いもふもふしたもの、触るだけでどきどきしない? シルにはわからないかな?」
「わ、わかるわけないでしょ!?」
「まぁまぁ落ち着きなって。にしてもこの大浴場広いわよね。みんなで入れちゃうんだから」
女性陣全員で入浴したわけだけど、それでも全員入れるほどの広さがあった。
何でこんなに大きなお風呂を作ったんだろうか?
「ねぇ、カルナさん。なんでこんなにお風呂大きいんですか?」
更衣室の入り口では、メイド長のカルナさんが待機していた。
基本的にルードヴィヒさんもカルナさんも、家主であるボクのお付きのような状態になっている。
「はい、お嬢様。このお屋敷は部屋数こそ他のお屋敷には劣りますが、その分設備に力を入れております。冒険もされるということを念頭に置いたため、倉庫や浴場などは大きめの物を用意しております。また、修練施設なども完備されております」
この屋敷は設備重視ということが分かっただけでも十分だと思う。
結構税金も高くなると思うんだけど、どうやらゴルドさんの計らいで補助金が出ているようだ。
冒険と依頼、頑張ろう……!!
ボクは決意も新たに、さっさと着替えを済ませる。
用意されたのは、ボクが武蔵屋敷で手に入れた巫女服一式だ。
「おぉ、これはこれは! さすが妾の孫よのぅ」
お婆ちゃんは大喜びだった。
何より尻尾の動きが大暴れの域に達している。
耳もぴこぴこと動き、全身から喜びのオーラを発している。
「素晴らしい。神。崇める」
コノハちゃんはついに単語しか話さなくなってしまった。
ただただボクの目の前で膝をついて手を合わせて祈りを捧げている。
現在のボクの状態は、内側に肌襦袢を着用し、白衣(しらぎぬ)という白い上着に緋袴(ひばかま)と呼ばれる緋色の袴を着用している。
足元は白足袋に浅沓(あさぐつ)と呼ばれる草履のような沓を履いている。
「青銀色の髪と巫女装束の組み合わせって、なんだか不思議な雰囲気ね」
リーンさんが率直な感想を言ってくる。
ボクは自身の姿が見えないので、なんともいえないが、リーンさんは言い過ぎではないだろうか?
「うん、これはいいわね。後で写真撮らせて?」
「あたしも撮るよ!」
「もう、エレクトラったら……。まぁ私も撮りますけど」
カレンさんもエレクトラもケラエノも、写真を撮らせてと言ってくる。
正直、そんなに撮らせて! と言われるとコスプレをしている気分になってくる。
「ユニットを組むのもありかもしれないにゃ。検討するにゃ」
音緒は端末を取り出すと、メモ機能を使って何かを入力していく。
ユニットってなんのこと?
「へぇ~、いいじゃない。あたしも手に入れようかしら」
「ぜひ!」
クラマさんの一言を聞き、ボクは力強く頷いた。
凛々しい女性であるクラマさんの巫女服姿なら、きっと様になるだろうし、とてもいいと思ったからだ。
「狐と巫女の相性の良さは素晴らしいと思います! 神官といってもメルヴェイユ様を崇めているわけではないので、スピカちゃんを崇めることにしようかしら」
「アイル、落ち着いて! かわいいのはわかるけど落ち着いて!」
「こうしてみると、案外悪くないものだよね。みんなでお揃いにするのもありかもしれないわね」
宗派を変えようとするアイルさんとそれを止めようとするシルさん。
そしてみんなの分を用意しかねないカリーナさん。
パーティーの女性たちはお風呂場の広めの脱衣所でわいわい騒ぎ続けるのだった。
ゲーム内でもやはりお風呂はいいもので、「入浴してる!!」という感覚がたしかにあるのだ。
もうすでに何回か入浴というものは経験しているものの、やっぱり不思議に思うことは多い。
特に体の描写についてだけど、細かく描写されているというか、本物と変わらないというか、とにかくないものがないのだ。
一応このゲーム、ジェンダー的な理由がない場合は男女あべこべにキャラクターを生成することはできない。
つまり、いわゆるなりきりプレイができないのだ。
「のう、スピカや。本当に着てくれるのじゃろうな?」
隣で服を着替えているお婆ちゃんがボクの方を見ながら二回目の質問をしてくる。
ちなみに一回目はお風呂の中だった。
「着るってば。もう用意されてるし……。ていうか、お婆ちゃんは何でワンピースを着てるの?」
隣を見ると、お婆ちゃんはいつもの和服ではなく白いワンピースを着ていた。
「たまにはと思ってのぅ。いつもは和装じゃからこういう時に着てみるのもありかと思ってのぅ」
今もまだ小さいままのお婆ちゃん。
なぜかボクと同じサイズになることが楽しいらしく、しばらくはこのままでいたいとのこと。
「もふもふが二本。滾る」
「わわっ、まだ着替えてるんだってば!」
「これ、やめぬか! 猫は苦手じゃ……」
「これは参加するしかないのにゃ!」
ボクとお婆ちゃんに群がるコノハちゃんと音緒。
二人の猫娘は楽しそうに太い尻尾にじゃれついていた。
「コノハ、もう猫みたいになっちゃったわねぇ」
リーンさんが頬に手を当て、困ったようにそう言う。
当のコノハちゃんはそれはもう猫じゃらしに食いつく猫の如く尻尾と戯れていた。
「あはは、VRの悪い面ってところかもしれないね。でも、現実のコノハちゃんに影響がないんだからまだいい方じゃない?」
「カレン、他人事のように言わないでよ……。でも、コノハの場合はスピカちゃんに対してだけだから、まだいいのかもしれないけど……」
「コノハちゃん、お姉ちゃん大好きだからしょうがないですよ。なんでこんなに気に入ってるのかは不明だけど、まぁ好かれるのはいいことだと思いますし」
カレンさんもマイアもあまり気にしてはいないようだ。
むしろ、ボクの状況のほうを気にしてはいるようだけど。
「あはははは、スピカ、素っ裸で転がってる! スクショ撮ろうよ!」
「だめよ、エレクトラ。それに誰かが裸の時や薄着の時はスクリーンショット機能は有効にならないように設定されているわ」
「つまり、見える分あたしたちの方が有利ってこと?」
「何と競い合ってるのよ……」
まじまじとボクの痴態を見ては大喜びしているエレクトラ。
絶対後で叩く。
ケラエノはそんな姉に呆れているようで、ため息ばかりついている。
でも、時々ボクの方をちらちら見るのは止めてほしい……。
「いい加減、服着させてよ!!」
ボクはいつまで素っ裸で転がされていればいいんだ!!
「ひぃひぃ、妾が悪かったのじゃ。もう尻尾ばかり攻めるのは止めてほしいのじゃ……」
猫娘二人の攻撃に、あの強力なお婆ちゃんが屈服した。
それは、狐に猫が勝った瞬間だった。
「あんたたち、本当に元気だね。まぁあたしは羽根の手入れが出来てご機嫌だから文句はないけどさ」
そう言って羽根に布を押し当てて水気を吸っているのは烏天狗のクラマさんだ。
ちなみに本来の種族は大天狗らしいけど、ここにはまだ大天狗なるものは存在していないため、暫定烏天狗として登録されている。
「尻尾の手入れさせてもらって幸せでしたぁ」
「アイル、尻尾の触り方がいやらしかったよね」
「だって、あんなに大きくて太いもふもふしたもの、触るだけでどきどきしない? シルにはわからないかな?」
「わ、わかるわけないでしょ!?」
「まぁまぁ落ち着きなって。にしてもこの大浴場広いわよね。みんなで入れちゃうんだから」
女性陣全員で入浴したわけだけど、それでも全員入れるほどの広さがあった。
何でこんなに大きなお風呂を作ったんだろうか?
「ねぇ、カルナさん。なんでこんなにお風呂大きいんですか?」
更衣室の入り口では、メイド長のカルナさんが待機していた。
基本的にルードヴィヒさんもカルナさんも、家主であるボクのお付きのような状態になっている。
「はい、お嬢様。このお屋敷は部屋数こそ他のお屋敷には劣りますが、その分設備に力を入れております。冒険もされるということを念頭に置いたため、倉庫や浴場などは大きめの物を用意しております。また、修練施設なども完備されております」
この屋敷は設備重視ということが分かっただけでも十分だと思う。
結構税金も高くなると思うんだけど、どうやらゴルドさんの計らいで補助金が出ているようだ。
冒険と依頼、頑張ろう……!!
ボクは決意も新たに、さっさと着替えを済ませる。
用意されたのは、ボクが武蔵屋敷で手に入れた巫女服一式だ。
「おぉ、これはこれは! さすが妾の孫よのぅ」
お婆ちゃんは大喜びだった。
何より尻尾の動きが大暴れの域に達している。
耳もぴこぴこと動き、全身から喜びのオーラを発している。
「素晴らしい。神。崇める」
コノハちゃんはついに単語しか話さなくなってしまった。
ただただボクの目の前で膝をついて手を合わせて祈りを捧げている。
現在のボクの状態は、内側に肌襦袢を着用し、白衣(しらぎぬ)という白い上着に緋袴(ひばかま)と呼ばれる緋色の袴を着用している。
足元は白足袋に浅沓(あさぐつ)と呼ばれる草履のような沓を履いている。
「青銀色の髪と巫女装束の組み合わせって、なんだか不思議な雰囲気ね」
リーンさんが率直な感想を言ってくる。
ボクは自身の姿が見えないので、なんともいえないが、リーンさんは言い過ぎではないだろうか?
「うん、これはいいわね。後で写真撮らせて?」
「あたしも撮るよ!」
「もう、エレクトラったら……。まぁ私も撮りますけど」
カレンさんもエレクトラもケラエノも、写真を撮らせてと言ってくる。
正直、そんなに撮らせて! と言われるとコスプレをしている気分になってくる。
「ユニットを組むのもありかもしれないにゃ。検討するにゃ」
音緒は端末を取り出すと、メモ機能を使って何かを入力していく。
ユニットってなんのこと?
「へぇ~、いいじゃない。あたしも手に入れようかしら」
「ぜひ!」
クラマさんの一言を聞き、ボクは力強く頷いた。
凛々しい女性であるクラマさんの巫女服姿なら、きっと様になるだろうし、とてもいいと思ったからだ。
「狐と巫女の相性の良さは素晴らしいと思います! 神官といってもメルヴェイユ様を崇めているわけではないので、スピカちゃんを崇めることにしようかしら」
「アイル、落ち着いて! かわいいのはわかるけど落ち着いて!」
「こうしてみると、案外悪くないものだよね。みんなでお揃いにするのもありかもしれないわね」
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