アルケニアオンライン~昴のVRMMOゲームライフ。冒険生産なんでも楽しみます。
集う仲間たち
「急速に力が抜けていく……。やってくれたな、人間共!!」
憤怒の表情を浮かべ、敵意をむき出しにするゴブリンアーミー召喚術師。
その手には黒い光を放つことのなくなった黒い石が握られていた。
「来るがいい、下僕共よ!!」
ゴブリンアーミー召喚術師が杖を振り上げると、その前方に魔法陣が描かれ始める。
やがてそこからは、緑色の小鬼たちが姿を現した。
数は五十体ほどが召喚されているが、ちょっと前までと比べると、召喚術師は明らかに弱体化しているのが見て取れた。
「下僕共よ、わしが一旦離れるまで奴らの足止めをしろ!!」
「ゲギャー!!」
このままでは不利と考えたのか、ゴブリンたちを召喚した、ゴブリンアーミー召喚術師は命令だけ与えてすぐさま村から距離を取っていく。
命令を守るかのように、新たに補充されたゴブリンアーミーは近接武器を手に持って襲い掛かってきた。
力を失ってもこれほどの数を召喚できるとは、やはりレイドボスは侮れない。
「おっと、危ないな。でも、雑魚共に用はないんだ! スピカのためにもお前らには消えてもらわなきゃいけない!!」
俺は倒れたスピカをコノハちゃんたちに任せて一人ゴブリンアーミーの群れに立ち向かう。
一対多の戦いは何度も経験してきた。
だから、今度も同じことを繰り返すだけだ。
「俺のとっておきを見せてやる! 【アクセラレーション】」
レベル20から取得できる自己強化魔術だ。
通常の1.5倍で動くことが可能になるこの魔術は、時間と共にMPを消費していく。
オンオフの切り替えは任意なので状況に応じて使うことができるのがポイントだ。
「リーン! 魔力強化を頼む!」
「任せて~! 【ウィズダムマジック】」
リーンの魔術により、俺の知恵が強化される。
知恵、つまりINTなどの上昇により、魔力が上がる仕組みだ。
魔力値は高ければ高いほど魔術の威力が増し、詠唱も速くなりMPの回復速度も上がっていく。
俺は魔術師、つまり魔力が生命線だ。
ベータテストでも魔術で戦い抜いてきた俺には、この程度の数は慣らしにもならない。
「アモス、さっさと来い! 『全てを焼き尽くす紅蓮の炎よ、我が敵を焼き尽くせ! 【プロミネンス】』」
プロミネンス自体は中級の火系魔術だ。
効果範囲が広く、ダメージも大きいので一発かます時には大いに重宝する。
だが、魔術を構成・展開するまでの時間が長く、隙が大きいのもあり、敵を前にした状態で使うことは困難だった。
その欠点を補うのが【アクセラレータ】【ウィズダムマジック】だ。
この二つを組み合わせることで、魔術の構成する時間と展開する時間を大幅に短縮できる。
スキルや術の組み合わせで効果を上げたり、早く発動させることができるのがこのゲームの特徴でもある。
伊達に暇な時にこっそり魔術の研究や試運転はやっていないからな。
「そうら、燃えろ! 『紅蓮の槍よ、相手を穿て!!【フレアランス】』」
次に俺が生成したのは、紅蓮の炎に包まれた大きな槍だ。
本当は炎の剣を出したいところだけど、今の『魔術師』職とレベルでは、研究できるものが限られてしまうので出すことはできない。
俺の次なる職業は『大魔術師』だ。
放たれた紅蓮の槍はプロミネンスによって熱された大地に突き刺さり、さらに火力を上げて炎上してしまう。
あんまり派手にやると、村に被害が出てしまうからな。
村から離れたゴブリンアーミー召喚術師を俺たちは追う。
「ぐぅぅぅぅしつこいやつめ。貴様、なぜそこまで高威力の魔術を連発できるのだ!?」
「お前に教えてやる義理はない。さっさと倒れろ!!」
「ぐふふふふふ。威勢のいい人間よ。だが、お前一人でどうなるというのだ? 石の力がなくとも、お前一人など簡単に『一人じゃないさ。俺達がいるぜ』なにい!?」
「とう! 俺様到着っと!! さあて、このゴリアテ様が援軍に来たからにはもう大丈夫だぜ!」
「馬鹿やってないでとっとと突っ込みな!」
「仕方ないな。相変わらずカリーナはツッコミが厳しいな」
「援軍ってお前らだったのか」
ゴリアテたちが屋敷を間借りしていることはスピカから聞いていたし、何度か会うこともあった。
まぁ一緒に戦うのはだいぶ久しぶりではあるのだけど。
「こんにちはわ、ゴリアテさん、カリーナさん、シルさん、アイルさん、マックスさん」
「よっ」
「応援に来たからには大船に乗ったつもりでいてね?」
「こんちわ~」
「こんにちわ、リーンさん」
「こんにちわ」
リーンがあいさつすると、ゴリアテ、カリーナ、シル、アイル、マックスの順であいさつを返してきた。
ここにいる人間は、音緒ちゃんを除いて全員屋敷居候組だ。
ちょくちょく会うことがあるので、知らない中ではない。
さらにいえば、ゴリアテたちとは古い付き合いでもあった。
「スピカちゃんはどうして倒れてるの?」
「えっ!? ちょっと!?」
「大変、すぐ行きます」
「落ち着け、まずは敵をけん制しつつ情報収集だ」
「なら、俺の出番だな。スピカのお嬢ちゃんを見て来てやってくれ!」
カリーナとシル、そしてアイルは共にスピカの様子を確認しにいく。
この場に残ったのは、俺とゴリアテ、そしてマックスだ。
「ええいくそ。雑魚が増えたところでどうにもならぬわ!! 下僕共よ、来い!!」
再び取り巻きのゴブリンアーミーを召喚していく。
また出てきた数は五十体ほどだ。
どうやら石の力での強化がないと、これが限界のようだ。
それでも残敵は五十以上存在しているわけだが……。
「下僕共、時間を稼げ! わしは更なる召喚を行う。死守せよ!!」
「ギャーギャー!!」
「ゲギャギャー!!」
ゴブリンアーミーたちは、召喚主であるゴブリンアーミー召喚術師を守るべく、果敢に攻めかかってきた。
いくら弱いとはいっても、同じ数をひたすらに召喚され続けてはたまらない。
雑魚は殲滅できるが、ゴリ押すためにはもう一手ほしいところだが……。
「アークトゥルス! 雑魚は任せる! 俺は本体を狙う!!」
「共にやりましょう、アークトゥルス。召喚の合間に何度かはリーダーがダメージを与えてくれるはずです。ゴリ押すには物足りないですが……」
「私もやるからね~!」
リーンも一緒に殲滅作業に加わる。
これで魔術師は三人だ。
「手数ならあたしの出番にゃ! スピカをいじめたやつは許さないにゃ!」
「弓でならいける。やる」
「弓のことなら私にも任せてほしいわね」
「アイルの援護はあたしに任せてよ! スピカちゃんの様子はアイルに任せてやって!」
音緒ちゃん、コノハちゃん、そしてカリーナが援護に加わる。
シルとアイルにはスピカを見ていてもらおう。
「はぁはぁ、遅れた……。お兄ちゃん、来たよ!」
「おっ? マイアか。あっちはどうなった?」
遅れてマイアが、息を切らせながらやってきた。
マイアが来たということは、ハイオーク勢のほうはそろそろカタが着く頃か。
「うん、もうそろそろいい感じ。援軍にももう少しで来られそう」
戦いの最中、ゴブリンやハイオークたちは村の仲間で結構入り込んでしまっていた。
幸い村人などのNPCは寸前で避難が完了していたので、家々が壊されたりする程度の被害はあるのだが……。
十五人のハイオーク戦士とゴブリンアーミーたちを相手にしていたレイド本隊は、あらかた残敵掃討を終えているようだ。
なら、あとは時間を稼ぐだけか。
とはいえど、レイド本隊との距離はそんなに離れているわけではない。
レイド本隊はまだ見える位置にいるので数百メートル程度離れたくらいだろうか……。
とはいえ、こっちに来るまでにはやはり時間がかかってしまうだろう。
「でも、さすがにハイオーク戦士たちも強くて、みんなMPとかぎりぎりみたいなの。もしかしたら休んでからくるかもしれないから」
「仕方ないか。ハイオーク戦士って本当に強いよなぁ」
「いくぞ!」
不意にゴリアテの声が聞こえてくる。
どうやら突撃していったようだ。
あいつは戦士じゃなくてバーサーカーなんじゃないか?
「しゃあない、援護いくぞ!」
「わかった」
「了解~」
「それじゃいってくるにゃ~」
「残りは無駄に硬いあのゴブリンだけ」
「本当に無駄にタフよね。油断しないでよね」
こうして最後の戦いが始まった。
今度こそ削り切って、あのゴブリンを倒さなければ、戦いは終わらない。
憤怒の表情を浮かべ、敵意をむき出しにするゴブリンアーミー召喚術師。
その手には黒い光を放つことのなくなった黒い石が握られていた。
「来るがいい、下僕共よ!!」
ゴブリンアーミー召喚術師が杖を振り上げると、その前方に魔法陣が描かれ始める。
やがてそこからは、緑色の小鬼たちが姿を現した。
数は五十体ほどが召喚されているが、ちょっと前までと比べると、召喚術師は明らかに弱体化しているのが見て取れた。
「下僕共よ、わしが一旦離れるまで奴らの足止めをしろ!!」
「ゲギャー!!」
このままでは不利と考えたのか、ゴブリンたちを召喚した、ゴブリンアーミー召喚術師は命令だけ与えてすぐさま村から距離を取っていく。
命令を守るかのように、新たに補充されたゴブリンアーミーは近接武器を手に持って襲い掛かってきた。
力を失ってもこれほどの数を召喚できるとは、やはりレイドボスは侮れない。
「おっと、危ないな。でも、雑魚共に用はないんだ! スピカのためにもお前らには消えてもらわなきゃいけない!!」
俺は倒れたスピカをコノハちゃんたちに任せて一人ゴブリンアーミーの群れに立ち向かう。
一対多の戦いは何度も経験してきた。
だから、今度も同じことを繰り返すだけだ。
「俺のとっておきを見せてやる! 【アクセラレーション】」
レベル20から取得できる自己強化魔術だ。
通常の1.5倍で動くことが可能になるこの魔術は、時間と共にMPを消費していく。
オンオフの切り替えは任意なので状況に応じて使うことができるのがポイントだ。
「リーン! 魔力強化を頼む!」
「任せて~! 【ウィズダムマジック】」
リーンの魔術により、俺の知恵が強化される。
知恵、つまりINTなどの上昇により、魔力が上がる仕組みだ。
魔力値は高ければ高いほど魔術の威力が増し、詠唱も速くなりMPの回復速度も上がっていく。
俺は魔術師、つまり魔力が生命線だ。
ベータテストでも魔術で戦い抜いてきた俺には、この程度の数は慣らしにもならない。
「アモス、さっさと来い! 『全てを焼き尽くす紅蓮の炎よ、我が敵を焼き尽くせ! 【プロミネンス】』」
プロミネンス自体は中級の火系魔術だ。
効果範囲が広く、ダメージも大きいので一発かます時には大いに重宝する。
だが、魔術を構成・展開するまでの時間が長く、隙が大きいのもあり、敵を前にした状態で使うことは困難だった。
その欠点を補うのが【アクセラレータ】【ウィズダムマジック】だ。
この二つを組み合わせることで、魔術の構成する時間と展開する時間を大幅に短縮できる。
スキルや術の組み合わせで効果を上げたり、早く発動させることができるのがこのゲームの特徴でもある。
伊達に暇な時にこっそり魔術の研究や試運転はやっていないからな。
「そうら、燃えろ! 『紅蓮の槍よ、相手を穿て!!【フレアランス】』」
次に俺が生成したのは、紅蓮の炎に包まれた大きな槍だ。
本当は炎の剣を出したいところだけど、今の『魔術師』職とレベルでは、研究できるものが限られてしまうので出すことはできない。
俺の次なる職業は『大魔術師』だ。
放たれた紅蓮の槍はプロミネンスによって熱された大地に突き刺さり、さらに火力を上げて炎上してしまう。
あんまり派手にやると、村に被害が出てしまうからな。
村から離れたゴブリンアーミー召喚術師を俺たちは追う。
「ぐぅぅぅぅしつこいやつめ。貴様、なぜそこまで高威力の魔術を連発できるのだ!?」
「お前に教えてやる義理はない。さっさと倒れろ!!」
「ぐふふふふふ。威勢のいい人間よ。だが、お前一人でどうなるというのだ? 石の力がなくとも、お前一人など簡単に『一人じゃないさ。俺達がいるぜ』なにい!?」
「とう! 俺様到着っと!! さあて、このゴリアテ様が援軍に来たからにはもう大丈夫だぜ!」
「馬鹿やってないでとっとと突っ込みな!」
「仕方ないな。相変わらずカリーナはツッコミが厳しいな」
「援軍ってお前らだったのか」
ゴリアテたちが屋敷を間借りしていることはスピカから聞いていたし、何度か会うこともあった。
まぁ一緒に戦うのはだいぶ久しぶりではあるのだけど。
「こんにちはわ、ゴリアテさん、カリーナさん、シルさん、アイルさん、マックスさん」
「よっ」
「応援に来たからには大船に乗ったつもりでいてね?」
「こんちわ~」
「こんにちわ、リーンさん」
「こんにちわ」
リーンがあいさつすると、ゴリアテ、カリーナ、シル、アイル、マックスの順であいさつを返してきた。
ここにいる人間は、音緒ちゃんを除いて全員屋敷居候組だ。
ちょくちょく会うことがあるので、知らない中ではない。
さらにいえば、ゴリアテたちとは古い付き合いでもあった。
「スピカちゃんはどうして倒れてるの?」
「えっ!? ちょっと!?」
「大変、すぐ行きます」
「落ち着け、まずは敵をけん制しつつ情報収集だ」
「なら、俺の出番だな。スピカのお嬢ちゃんを見て来てやってくれ!」
カリーナとシル、そしてアイルは共にスピカの様子を確認しにいく。
この場に残ったのは、俺とゴリアテ、そしてマックスだ。
「ええいくそ。雑魚が増えたところでどうにもならぬわ!! 下僕共よ、来い!!」
再び取り巻きのゴブリンアーミーを召喚していく。
また出てきた数は五十体ほどだ。
どうやら石の力での強化がないと、これが限界のようだ。
それでも残敵は五十以上存在しているわけだが……。
「下僕共、時間を稼げ! わしは更なる召喚を行う。死守せよ!!」
「ギャーギャー!!」
「ゲギャギャー!!」
ゴブリンアーミーたちは、召喚主であるゴブリンアーミー召喚術師を守るべく、果敢に攻めかかってきた。
いくら弱いとはいっても、同じ数をひたすらに召喚され続けてはたまらない。
雑魚は殲滅できるが、ゴリ押すためにはもう一手ほしいところだが……。
「アークトゥルス! 雑魚は任せる! 俺は本体を狙う!!」
「共にやりましょう、アークトゥルス。召喚の合間に何度かはリーダーがダメージを与えてくれるはずです。ゴリ押すには物足りないですが……」
「私もやるからね~!」
リーンも一緒に殲滅作業に加わる。
これで魔術師は三人だ。
「手数ならあたしの出番にゃ! スピカをいじめたやつは許さないにゃ!」
「弓でならいける。やる」
「弓のことなら私にも任せてほしいわね」
「アイルの援護はあたしに任せてよ! スピカちゃんの様子はアイルに任せてやって!」
音緒ちゃん、コノハちゃん、そしてカリーナが援護に加わる。
シルとアイルにはスピカを見ていてもらおう。
「はぁはぁ、遅れた……。お兄ちゃん、来たよ!」
「おっ? マイアか。あっちはどうなった?」
遅れてマイアが、息を切らせながらやってきた。
マイアが来たということは、ハイオーク勢のほうはそろそろカタが着く頃か。
「うん、もうそろそろいい感じ。援軍にももう少しで来られそう」
戦いの最中、ゴブリンやハイオークたちは村の仲間で結構入り込んでしまっていた。
幸い村人などのNPCは寸前で避難が完了していたので、家々が壊されたりする程度の被害はあるのだが……。
十五人のハイオーク戦士とゴブリンアーミーたちを相手にしていたレイド本隊は、あらかた残敵掃討を終えているようだ。
なら、あとは時間を稼ぐだけか。
とはいえど、レイド本隊との距離はそんなに離れているわけではない。
レイド本隊はまだ見える位置にいるので数百メートル程度離れたくらいだろうか……。
とはいえ、こっちに来るまでにはやはり時間がかかってしまうだろう。
「でも、さすがにハイオーク戦士たちも強くて、みんなMPとかぎりぎりみたいなの。もしかしたら休んでからくるかもしれないから」
「仕方ないか。ハイオーク戦士って本当に強いよなぁ」
「いくぞ!」
不意にゴリアテの声が聞こえてくる。
どうやら突撃していったようだ。
あいつは戦士じゃなくてバーサーカーなんじゃないか?
「しゃあない、援護いくぞ!」
「わかった」
「了解~」
「それじゃいってくるにゃ~」
「残りは無駄に硬いあのゴブリンだけ」
「本当に無駄にタフよね。油断しないでよね」
こうして最後の戦いが始まった。
今度こそ削り切って、あのゴブリンを倒さなければ、戦いは終わらない。
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