アルケニアオンライン~昴のVRMMOゲームライフ。冒険生産なんでも楽しみます。
ドタバタレイド戦
現在ボクたちは、ネモさん率いるレイド主力隊の一員として戦っている。
他二か所については定点観察部隊が配置されており、動きがあり次第分隊してでも行動を阻止することになっている。
「さすがにゴブリンアーミー合計三百体は多くないか? どんだけ召喚するんだよ、ゴブリンアーミー召喚術師はさ」
アーク兄が隣にいるボクにそうぼやく。
アーク兄の言う通り、たしかに多すぎると思うんだ。
それでもレイドを組んでいるためこちらの力も強くなっており、数発の範囲攻撃でまとめてある程度倒せるまでにはなっている。
『レイド』とは、強大なボスなどに対抗する数パーティーをまとめて連結できる『連合』機能を持っている大きな戦闘集団だ。
アルケニアオンラインのレイドは、初期で百人までまとめることができ、連合システムの効果により全員に指示が聞こえるようになっている。
まさに魔法のようなチートシステムだが、一昔前などは連合チャットなどで同じようなシステムがあったというので、文字か音声かの違いがあるくらいで馴染みのあるシステムなのかもしれない。
ちなみに余談だが、支給されている端末にはチャットログ機能があり、操作することで遡って音声を再生することも可能だ。
このチャットログ機能の使い方は色々で、指示の記録や情報の記録、ハラスメント発生時のチャットログの提出などに役に立つ。
すでに何人かはこの機能によりハラスメント対象として処罰されているようだ。
まぁ、現実と変わらない容姿である以上、そういうのは起きるのだから仕方ないのかもしれない。
アルケニアオンラインの非汚染地域は、基本的にNonPvPであり、『決闘』や闘技場での戦闘以外ではお互いにPKをすることができないようになっている。
『PK』とはプレイヤーキルの略であり、いわゆる殺人のこと。
NonPvPが基本なせいか、そういうのが好きな層には受けが悪いようだ。
ただし、そういう時こそ煽りたがりな人が出てくるもので、そういう『煽り』についても、ひどい場合にはハラスメントとして報告ができるようになっている。
これがアルケニアオンラインにおける、チャットログ機能だ。
「でも魔術師や道士たちのおかげで、雑魚処理はなんとかなってるよね」
「そうだな~。レイド結成時はフレンドリーファイアがないってのは有り難いけどさ、ヌルゲーって言われそうだよな」
「あはは……」
賛否両論ある機能として、リアルを追及しているのにレイドなどの乱戦時にフレンドリーファイアしないのはおかしくないか? というものがある。
『フレンドリーファイア』とは、味方を攻撃に巻き込むことで、通常パーティーやソロ時には適用されているシステムだ。
レイドなど大規模戦闘時には、この機能が無効化されているようだ。
「【五行刻印比和火行三段:業火炎陣】」
火の気を三段積み上げ、場の火の属性を上げていく。
任意の発動だが、ここぞという時にその火の気を力として解放する。
瞬く間に火炎陣よりも大きな炎の柱が生み出され、ゴブリンアーミーたちを焼き尽くしていく。
「うわぁ、パーティーの時より威力高くない? びっくりだよ」
「さすがレイドだけあって、能力値の上昇がすごいことになっているなぁ」
レイドにはもう一つ特徴がある。
それは、それぞれのプレイヤーが所持する『所属しているプレイヤーの能力上昇バフ』が全体にかかる点だ。
一番能力値の高いものが適用され、重複可能なものは重複され、能力が大幅に向上していく。
そのため、レイド時の火力は通常パーティーでは見られないレベルにまで高まっていくのだ。
言い換えれば、そうしなければいけないほど強いレイドボスも存在しているということだ。
「【ライトニングストーム】」
放たれた稲妻を纏う嵐が戦場のゴブリンアーミーたちを貫いていく。
ライトニングストームを間近で見たのは初めてだけど、音がうるさくて耳の良いボクには苦手な攻撃方法だった。
正直辛い……。
「あはは、ごめんなさいスピカちゃん。耳抑えちゃったね~」
「もう、リーンさんいきなりはびっくりするよ」
ライトニングストームを放ったのはリーンさんだ。
ボクの横で謝りながらも次の魔術の行使に移っている。
「お姉ちゃん、烏天狗が結構いるけど、こんなにいたなんて知らなかったよね」
「たしかにね~。というか妖狐とかもいるなんてボクですら知らなかったよ。たぶん純粋な妖種じゃなくてゲーム内限定の妖狐なんだと思うけどね」
この場で空に舞い上がって攻撃している烏天狗は十人ほどで、妖狐も若干名存在しているのを確認できた。
しかも、術師系ではなく前衛系の妖狐族だ。
他にも獣人やエルフ、ドワーフなどもいるので色々な種族が一堂に会するお祭り会場となっていた。
「にひひ~、地べたを這うきつねちゃん? 元気してた~?」
「こらエレクトラ?」
「えへへ、ごめんごめん」
「むぅ、何しに来たんだよ? エレクトラ」
上空から羽ばたきながら降りてきたのはエレクトラとケラエノの烏天狗コンビだった。
楽しそうに空を飛びながら敵を攻撃していたのに、何で降りて来たんだろう?
「や~、ここでの【飛翔】って制限時間付きでさ、自由に飛べないんだよね。今は制限時間の回復待ちってとこ」
「【飛翔】スキルを強化するか、補助装備の羽根強化装備を着ければいいらしいんですけど、お高いみたいで今は無理ですね」
「ふぅん。飛べて楽しそうだけど案外不便なんだね」
自由気ままに飛んでいるように見えた烏天狗たち。
でもその実情は制限事項ばかりで不自由だったようだ。
「さっき凛音見たんだけど、まだいるの?」
「そういえばいましたね。スピカの尻尾をかんでたのですぐわかりましたけど」
「あぁ、それなら――『あぁ~! 鳥にゃ~!!』いたね」
ボクたちが噂をしていると、凛音もとい、音緒の声が聞こえてきた。
音緒はエレクトラたちを見ると、必ず第一声は鳥と呼ぶ。
「凛音ちゃん、こんにちわ」
「よっ、凛音」
「違うにゃ、音緒にゃ」
「眼の色と髪の色変えたのね? クリーム色じゃなくて桃色になってる」
「ふふん、おしゃれにしたんだにゃ。現実で桃色は結構痛いのにゃ」
音緒は案外現実的な子だった。
現実の音緒=凛音はショートボブのヘアスタイルで少し大きめで好奇心旺盛そうな青い瞳、クリーム色の髪の毛をした小柄な女の子なのだが、ここではほとんどの見た目は変わらず、髪色が桃色になっており、眼の色はエメラルドグリーンになっていた。
「ふぅん? でもちんちくりんな胸は相変わらずかな」
エレクトラは音緒の胸を見ながら軽くそう言った。
それに対して音緒は両手を上げながら「脱ぐと結構あるにゃ! さわるとプニプニにゃ!」と言って抗議していた。
「この中で一番ないのは、スピカにゃんにゃ」
「!?」
戦闘中だというのにしゃべっているボクたちは地味に迷惑だろうなと思ったので、自分の仕事しようとしていたところ、まさかの音緒からの口撃にボクは軽くダメージを受けてしまった。
性別決まってまだ二週間くらいだけど、その言葉はなんだかすごく心を抉ってきたよ!?
「むぐぐ……」
「ほら、みんな援護急いで」
「「「「は~い」」」」
ボクは思わぬダメージに唸っていたが、アーク兄からの注意が飛んできたのでみんな揃って返事を返して持ち場に戻るのだった。
無駄にしゃべっててごめんなさい。
そうこうしているうちに、一体目のゴブリンアーミー召喚術師が討伐され、ドロップ品の報告が上がってきた。
回収は回収班にお任せし、ボクたちは次のポイントへと移動を開始したのだった。
他二か所については定点観察部隊が配置されており、動きがあり次第分隊してでも行動を阻止することになっている。
「さすがにゴブリンアーミー合計三百体は多くないか? どんだけ召喚するんだよ、ゴブリンアーミー召喚術師はさ」
アーク兄が隣にいるボクにそうぼやく。
アーク兄の言う通り、たしかに多すぎると思うんだ。
それでもレイドを組んでいるためこちらの力も強くなっており、数発の範囲攻撃でまとめてある程度倒せるまでにはなっている。
『レイド』とは、強大なボスなどに対抗する数パーティーをまとめて連結できる『連合』機能を持っている大きな戦闘集団だ。
アルケニアオンラインのレイドは、初期で百人までまとめることができ、連合システムの効果により全員に指示が聞こえるようになっている。
まさに魔法のようなチートシステムだが、一昔前などは連合チャットなどで同じようなシステムがあったというので、文字か音声かの違いがあるくらいで馴染みのあるシステムなのかもしれない。
ちなみに余談だが、支給されている端末にはチャットログ機能があり、操作することで遡って音声を再生することも可能だ。
このチャットログ機能の使い方は色々で、指示の記録や情報の記録、ハラスメント発生時のチャットログの提出などに役に立つ。
すでに何人かはこの機能によりハラスメント対象として処罰されているようだ。
まぁ、現実と変わらない容姿である以上、そういうのは起きるのだから仕方ないのかもしれない。
アルケニアオンラインの非汚染地域は、基本的にNonPvPであり、『決闘』や闘技場での戦闘以外ではお互いにPKをすることができないようになっている。
『PK』とはプレイヤーキルの略であり、いわゆる殺人のこと。
NonPvPが基本なせいか、そういうのが好きな層には受けが悪いようだ。
ただし、そういう時こそ煽りたがりな人が出てくるもので、そういう『煽り』についても、ひどい場合にはハラスメントとして報告ができるようになっている。
これがアルケニアオンラインにおける、チャットログ機能だ。
「でも魔術師や道士たちのおかげで、雑魚処理はなんとかなってるよね」
「そうだな~。レイド結成時はフレンドリーファイアがないってのは有り難いけどさ、ヌルゲーって言われそうだよな」
「あはは……」
賛否両論ある機能として、リアルを追及しているのにレイドなどの乱戦時にフレンドリーファイアしないのはおかしくないか? というものがある。
『フレンドリーファイア』とは、味方を攻撃に巻き込むことで、通常パーティーやソロ時には適用されているシステムだ。
レイドなど大規模戦闘時には、この機能が無効化されているようだ。
「【五行刻印比和火行三段:業火炎陣】」
火の気を三段積み上げ、場の火の属性を上げていく。
任意の発動だが、ここぞという時にその火の気を力として解放する。
瞬く間に火炎陣よりも大きな炎の柱が生み出され、ゴブリンアーミーたちを焼き尽くしていく。
「うわぁ、パーティーの時より威力高くない? びっくりだよ」
「さすがレイドだけあって、能力値の上昇がすごいことになっているなぁ」
レイドにはもう一つ特徴がある。
それは、それぞれのプレイヤーが所持する『所属しているプレイヤーの能力上昇バフ』が全体にかかる点だ。
一番能力値の高いものが適用され、重複可能なものは重複され、能力が大幅に向上していく。
そのため、レイド時の火力は通常パーティーでは見られないレベルにまで高まっていくのだ。
言い換えれば、そうしなければいけないほど強いレイドボスも存在しているということだ。
「【ライトニングストーム】」
放たれた稲妻を纏う嵐が戦場のゴブリンアーミーたちを貫いていく。
ライトニングストームを間近で見たのは初めてだけど、音がうるさくて耳の良いボクには苦手な攻撃方法だった。
正直辛い……。
「あはは、ごめんなさいスピカちゃん。耳抑えちゃったね~」
「もう、リーンさんいきなりはびっくりするよ」
ライトニングストームを放ったのはリーンさんだ。
ボクの横で謝りながらも次の魔術の行使に移っている。
「お姉ちゃん、烏天狗が結構いるけど、こんなにいたなんて知らなかったよね」
「たしかにね~。というか妖狐とかもいるなんてボクですら知らなかったよ。たぶん純粋な妖種じゃなくてゲーム内限定の妖狐なんだと思うけどね」
この場で空に舞い上がって攻撃している烏天狗は十人ほどで、妖狐も若干名存在しているのを確認できた。
しかも、術師系ではなく前衛系の妖狐族だ。
他にも獣人やエルフ、ドワーフなどもいるので色々な種族が一堂に会するお祭り会場となっていた。
「にひひ~、地べたを這うきつねちゃん? 元気してた~?」
「こらエレクトラ?」
「えへへ、ごめんごめん」
「むぅ、何しに来たんだよ? エレクトラ」
上空から羽ばたきながら降りてきたのはエレクトラとケラエノの烏天狗コンビだった。
楽しそうに空を飛びながら敵を攻撃していたのに、何で降りて来たんだろう?
「や~、ここでの【飛翔】って制限時間付きでさ、自由に飛べないんだよね。今は制限時間の回復待ちってとこ」
「【飛翔】スキルを強化するか、補助装備の羽根強化装備を着ければいいらしいんですけど、お高いみたいで今は無理ですね」
「ふぅん。飛べて楽しそうだけど案外不便なんだね」
自由気ままに飛んでいるように見えた烏天狗たち。
でもその実情は制限事項ばかりで不自由だったようだ。
「さっき凛音見たんだけど、まだいるの?」
「そういえばいましたね。スピカの尻尾をかんでたのですぐわかりましたけど」
「あぁ、それなら――『あぁ~! 鳥にゃ~!!』いたね」
ボクたちが噂をしていると、凛音もとい、音緒の声が聞こえてきた。
音緒はエレクトラたちを見ると、必ず第一声は鳥と呼ぶ。
「凛音ちゃん、こんにちわ」
「よっ、凛音」
「違うにゃ、音緒にゃ」
「眼の色と髪の色変えたのね? クリーム色じゃなくて桃色になってる」
「ふふん、おしゃれにしたんだにゃ。現実で桃色は結構痛いのにゃ」
音緒は案外現実的な子だった。
現実の音緒=凛音はショートボブのヘアスタイルで少し大きめで好奇心旺盛そうな青い瞳、クリーム色の髪の毛をした小柄な女の子なのだが、ここではほとんどの見た目は変わらず、髪色が桃色になっており、眼の色はエメラルドグリーンになっていた。
「ふぅん? でもちんちくりんな胸は相変わらずかな」
エレクトラは音緒の胸を見ながら軽くそう言った。
それに対して音緒は両手を上げながら「脱ぐと結構あるにゃ! さわるとプニプニにゃ!」と言って抗議していた。
「この中で一番ないのは、スピカにゃんにゃ」
「!?」
戦闘中だというのにしゃべっているボクたちは地味に迷惑だろうなと思ったので、自分の仕事しようとしていたところ、まさかの音緒からの口撃にボクは軽くダメージを受けてしまった。
性別決まってまだ二週間くらいだけど、その言葉はなんだかすごく心を抉ってきたよ!?
「むぐぐ……」
「ほら、みんな援護急いで」
「「「「は~い」」」」
ボクは思わぬダメージに唸っていたが、アーク兄からの注意が飛んできたのでみんな揃って返事を返して持ち場に戻るのだった。
無駄にしゃべっててごめんなさい。
そうこうしているうちに、一体目のゴブリンアーミー召喚術師が討伐され、ドロップ品の報告が上がってきた。
回収は回収班にお任せし、ボクたちは次のポイントへと移動を開始したのだった。
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