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強襲! 猫又凛音! それとゴブリンアーミー討伐戦前編
「飛行隊、攻撃開始!!」
合図と共に一斉に飛び上がる烏天狗たち。
そのまま上空を一周し、イーグルダイブの要領でゴブリンアーミーたちに斬りこんでいく。
途中、ゴブリンアーミーアーチャーたちから放たれる矢を綺麗にかわしながらそのまま突撃してはゴブリンアーミーたちを蹂躙、烏天狗たちが斬り払うたびにゴブリンアーミーたちの体が宙に舞っていた。
その光景は、猛禽類の漁のようだとボクは感じていた。
「いいぞいいぞー! 重戦士隊はゴブリンアーミーたちに向かってシールドを構えたまま押し込め!!」
「おう!!!!」
勇ましい声と共に、たくさんの重戦士隊がラージシールドやカイトシールドなどを構えたままゴブリンアーミー戦士たちに向かって突き進んでいく。
「ゲギャァァァァ!!」
「なんの!」
飛び掛かるゴブリンアーミー戦士の戦斧が重戦士たちに襲い掛かる。
しかし、さすがは重戦士といったところで、難なくその攻撃を受けきると、無防備なその体を群れの中に押し込んでいく。
「伊達に前衛はやってないぜ! 舐めるなよ小鬼共が!!」
勇ましい重戦士の男性が中指を突き立て、ゴブリンアーミーたちを挑発する。
ゴブリンアーミーたちはそれが挑発と分かるようで、いきり立つと再び武器を振りかぶって前衛集団に襲い掛かっていく。
この光景は何度見たことだろうか。
その度に押し返され、弾かれ、そして上空から攻撃を受けて絶命していく。
同時に、回復のエフェクトが前衛集団を癒していく。
完全なワンサイドゲームだった。
「アーク兄、なんでこんなことになってるのさ!? というか何で烏天狗たちは飛べるの?」
「あー、それはだな【ファイアストーム】えっと、【飛翔】っていうスキルが有翼種にはあるらしいんだ。詳しくは直接聞いてみてくれ!【アクアストーム】」
アーク兄は援護攻撃魔術を発動しながらボクの問いに答えてくれた。
どうやら【飛翔】というスキルがあるおかげで飛べているようだ。
うらやましい……。
「【五行刻印比和火行二段:火炎陣】」
迫りくるゴブリンたちに五行スキルで応戦するボク。
足元から噴き出す火柱にゴブリンアーミーの前衛たちは慌てふためき後ろを詰まらせる。
同時に、逃げ切れなかったゴブリンアーミーの体を炎がまとわりつき、暑さで暴れると他のゴブリンアーミーにも燃え移っていく。
その場は地獄絵図のような光景となった。
なんでこうなっているのかというと、ボクたちが辿り着いた時まで遡る。
**********************
「んで、この人数なんなの?」
そこには何人のプレイヤーがいるのだろうか。
ざっと見ても五十名以上はいる気がする。
たしかに馬車がたくさん走っていたり、徒歩の人などもたくさんいたけど、まさかみんなここが目的地だとは思わなかった。
旅は現実ではなかなかできないけど、ゲームの世界でならいくらでもできる。
だから徒歩の人たちも楽しみながら旅しているんだなと思っていたらこれだ。
「ゴブリン召喚術師が見つかったんだ。それも三つの野営地で」
「うわっ、緊急クエスト出てたの!? 気が付かなかったよ」
「まぁそういうわけだ。それで朝方報告聞いた後、フレがこの辺りで怪しいゴブリン見かけたってメッセージ送ってきたのを思い出してさ。それで手すきなマイアだけ連れて急いでやって来たってわけ」
緊急クエストは事後発行だったようで、先にプレイヤーたちがゴブリンアーミー達を発見、観察していたらしい。
精霊ギルドは近辺しか調べてないのだが、それにも理由があるらしく、ここまでは手が回っていなかったようだ。
執事のルードヴィヒさんは伝手を頼って、精霊ギルドの管轄範囲外から情報を仕入れていたようだ。
それが朝のルードヴィヒさんの報告というわけだった。
「にしても良く集まったね? お休みの人も多いのかな?」
ざっと見た感じ、学生だけでなく大人の男性や女性も集まっていた。
色んな年齢のプレイヤーが一堂に会するのは、なんだか新鮮だ。
しかも、みんな同じ目的で集まっているのだからなおさらだった。
「そりゃ今は社会人も夏休みだぞ? 一番人多い時期だろ。まぁそれが助けになってるわけだから感謝しないとな」
考えてみればお盆休みあたりは社会人の人もお休みなんだった。
中学生であるボクには実感がわかないけど、お母さんの会社に出入りしているアーク兄ならよく知っている光景なのだろう。
ボクは変化を解いて妖狐の姿になって、やがてくる戦いの準備をすることにした。
「いよう、アークトゥルス! 美人さんに美少女、たくさん連れてるお前はハーレムマスターかぁ?」
「うるさいぞ? ネモ」
「はっはっは、睨むな睨むな! 俺様がいるからには安心してこの場を任せろ! もう段取りは決めてある。今回の目玉は有翼種だ」
ネモと言われた人物は豪快な笑い方をする大柄な男性で、鋭利な槍を所持している。
浅黒い肌に角刈りの黒髪、顔はやや四角く見えるのは角刈りのせいだろうか?
アーク兄の肩をバンバン叩きながら何かを話している。
「あ~、そういうわけか。了解だ。というわけでエレクトラ、ケラエノ、ちょっと」
「なになに?」
「どうしました?」
二人はアーク兄に呼ばれ、ネモさんと一緒に相談し始めた。
すると、ぞろぞろと他の烏天狗たちも集まってきて、みんなで何かを決め合っていく。
「うわっ、こんなに烏天狗いたんだ!? てか、エレクトラたちは何で飛べたのか教えてくれないなぁ……」
エレクトラたちだけ飛べるとかずるくないかい?
ボクだって一回くらい飛んでみたいんだよ。
現実でも飛んでるのは、鳥か飛行機か虫か烏天狗くらいだよ。
あと、ビニール袋とかさ……。
「お姉ちゃん、まだ言ってる。後で聞けばいいじゃない?そうそう、さっき面白い人見つけたよ?」
「んん? 面白い人?」
「うん、そう。ほら、そこに」
「美味しそうなふわふわ尻尾みっけたにゃー!! がぶりっ」
「いったぁぁぁぁい!! なに!? なんなの!?」
マイアの話を聞いていると、不意に尻尾に痛みを感じたのでボクは慌てて振り向いた。
変化を解いて準備していたらこれだ! 誰だよ、ボクの尻尾かじったやつは!
「およ? むむむむむ? すばるん?」
「げっ、凛音!?」
「凛音ちゃん、やっほ~」
「あ~! ミナちゃんやっほ~にゃ!」
「もう、ここではマイアだよ?」
「ごめんにゃ、私は音緒だにゃ。すばるんは~、すぴかにゃんか」
「にゃーにゃーうるさいよ凛……じゃなかった、音緒」
ボクの尻尾にかみついてきたのは、猫又の凛音、ゲーム内ネーム音緒だった。
なんでだか、いつもボクの尻尾にかみついてくるからなぁ……。
「にゃーにゃー言ってるのはキャラ付けにゃ。ここでは猫獣人ってことで通してるにゃ。ほら、二股に分かれた尻尾がプリティーでしょ? この尻尾の先にリボンを付けるのがおしゃれなんだにゃ。スピカにゃんの尻尾には塩胡椒が良さそうだにゃ~」
じゅるりっと音を立てて涎をすする音緒。
ボクの尻尾に塩胡椒しても美味しくはならないからね!!
「大体なんでいつもボクの尻尾にかみつくのさ? 犬のにかみついてよ」
「嫌にゃ。犬は犬臭いにゃ。スピカにゃんの尻尾はいい香りでもふもふしてるからかじってて楽しいにゃ」
悪びれない音緒は、ボクのふわふわな尻尾から目を離そうとしなかった。
ボクの尻尾は最大のピンチを迎えているのかもしれない!
「お~い、作戦始まるぞ? 説明するからこいよ」
ちょうどタイミングよく、アーク兄からお呼びがかかった。
これから対ゴブリンアーミー戦が始まるんだ。
「むむぅ、時間切れにゃ。私も一緒するから一緒に戦おうにゃ! よろしくにゃ」
「むぅ。仕方ないなぁ。よろしく音緒」
「よろしくね、音緒ちゃん!」
カレンさんたちは近くにいたフレンドと話し込んでいるため、今この場にはいなかったけど、合流した時にカレンさんたちに音緒を紹介すると、その猫耳をなでさすって感触を楽しんでいた。
当然音緒は嫌がり、コノハちゃんは謎の対抗心を燃やしていた。
猫又と山猫の知られざる戦いが始まるのだろうか!?
合図と共に一斉に飛び上がる烏天狗たち。
そのまま上空を一周し、イーグルダイブの要領でゴブリンアーミーたちに斬りこんでいく。
途中、ゴブリンアーミーアーチャーたちから放たれる矢を綺麗にかわしながらそのまま突撃してはゴブリンアーミーたちを蹂躙、烏天狗たちが斬り払うたびにゴブリンアーミーたちの体が宙に舞っていた。
その光景は、猛禽類の漁のようだとボクは感じていた。
「いいぞいいぞー! 重戦士隊はゴブリンアーミーたちに向かってシールドを構えたまま押し込め!!」
「おう!!!!」
勇ましい声と共に、たくさんの重戦士隊がラージシールドやカイトシールドなどを構えたままゴブリンアーミー戦士たちに向かって突き進んでいく。
「ゲギャァァァァ!!」
「なんの!」
飛び掛かるゴブリンアーミー戦士の戦斧が重戦士たちに襲い掛かる。
しかし、さすがは重戦士といったところで、難なくその攻撃を受けきると、無防備なその体を群れの中に押し込んでいく。
「伊達に前衛はやってないぜ! 舐めるなよ小鬼共が!!」
勇ましい重戦士の男性が中指を突き立て、ゴブリンアーミーたちを挑発する。
ゴブリンアーミーたちはそれが挑発と分かるようで、いきり立つと再び武器を振りかぶって前衛集団に襲い掛かっていく。
この光景は何度見たことだろうか。
その度に押し返され、弾かれ、そして上空から攻撃を受けて絶命していく。
同時に、回復のエフェクトが前衛集団を癒していく。
完全なワンサイドゲームだった。
「アーク兄、なんでこんなことになってるのさ!? というか何で烏天狗たちは飛べるの?」
「あー、それはだな【ファイアストーム】えっと、【飛翔】っていうスキルが有翼種にはあるらしいんだ。詳しくは直接聞いてみてくれ!【アクアストーム】」
アーク兄は援護攻撃魔術を発動しながらボクの問いに答えてくれた。
どうやら【飛翔】というスキルがあるおかげで飛べているようだ。
うらやましい……。
「【五行刻印比和火行二段:火炎陣】」
迫りくるゴブリンたちに五行スキルで応戦するボク。
足元から噴き出す火柱にゴブリンアーミーの前衛たちは慌てふためき後ろを詰まらせる。
同時に、逃げ切れなかったゴブリンアーミーの体を炎がまとわりつき、暑さで暴れると他のゴブリンアーミーにも燃え移っていく。
その場は地獄絵図のような光景となった。
なんでこうなっているのかというと、ボクたちが辿り着いた時まで遡る。
**********************
「んで、この人数なんなの?」
そこには何人のプレイヤーがいるのだろうか。
ざっと見ても五十名以上はいる気がする。
たしかに馬車がたくさん走っていたり、徒歩の人などもたくさんいたけど、まさかみんなここが目的地だとは思わなかった。
旅は現実ではなかなかできないけど、ゲームの世界でならいくらでもできる。
だから徒歩の人たちも楽しみながら旅しているんだなと思っていたらこれだ。
「ゴブリン召喚術師が見つかったんだ。それも三つの野営地で」
「うわっ、緊急クエスト出てたの!? 気が付かなかったよ」
「まぁそういうわけだ。それで朝方報告聞いた後、フレがこの辺りで怪しいゴブリン見かけたってメッセージ送ってきたのを思い出してさ。それで手すきなマイアだけ連れて急いでやって来たってわけ」
緊急クエストは事後発行だったようで、先にプレイヤーたちがゴブリンアーミー達を発見、観察していたらしい。
精霊ギルドは近辺しか調べてないのだが、それにも理由があるらしく、ここまでは手が回っていなかったようだ。
執事のルードヴィヒさんは伝手を頼って、精霊ギルドの管轄範囲外から情報を仕入れていたようだ。
それが朝のルードヴィヒさんの報告というわけだった。
「にしても良く集まったね? お休みの人も多いのかな?」
ざっと見た感じ、学生だけでなく大人の男性や女性も集まっていた。
色んな年齢のプレイヤーが一堂に会するのは、なんだか新鮮だ。
しかも、みんな同じ目的で集まっているのだからなおさらだった。
「そりゃ今は社会人も夏休みだぞ? 一番人多い時期だろ。まぁそれが助けになってるわけだから感謝しないとな」
考えてみればお盆休みあたりは社会人の人もお休みなんだった。
中学生であるボクには実感がわかないけど、お母さんの会社に出入りしているアーク兄ならよく知っている光景なのだろう。
ボクは変化を解いて妖狐の姿になって、やがてくる戦いの準備をすることにした。
「いよう、アークトゥルス! 美人さんに美少女、たくさん連れてるお前はハーレムマスターかぁ?」
「うるさいぞ? ネモ」
「はっはっは、睨むな睨むな! 俺様がいるからには安心してこの場を任せろ! もう段取りは決めてある。今回の目玉は有翼種だ」
ネモと言われた人物は豪快な笑い方をする大柄な男性で、鋭利な槍を所持している。
浅黒い肌に角刈りの黒髪、顔はやや四角く見えるのは角刈りのせいだろうか?
アーク兄の肩をバンバン叩きながら何かを話している。
「あ~、そういうわけか。了解だ。というわけでエレクトラ、ケラエノ、ちょっと」
「なになに?」
「どうしました?」
二人はアーク兄に呼ばれ、ネモさんと一緒に相談し始めた。
すると、ぞろぞろと他の烏天狗たちも集まってきて、みんなで何かを決め合っていく。
「うわっ、こんなに烏天狗いたんだ!? てか、エレクトラたちは何で飛べたのか教えてくれないなぁ……」
エレクトラたちだけ飛べるとかずるくないかい?
ボクだって一回くらい飛んでみたいんだよ。
現実でも飛んでるのは、鳥か飛行機か虫か烏天狗くらいだよ。
あと、ビニール袋とかさ……。
「お姉ちゃん、まだ言ってる。後で聞けばいいじゃない?そうそう、さっき面白い人見つけたよ?」
「んん? 面白い人?」
「うん、そう。ほら、そこに」
「美味しそうなふわふわ尻尾みっけたにゃー!! がぶりっ」
「いったぁぁぁぁい!! なに!? なんなの!?」
マイアの話を聞いていると、不意に尻尾に痛みを感じたのでボクは慌てて振り向いた。
変化を解いて準備していたらこれだ! 誰だよ、ボクの尻尾かじったやつは!
「およ? むむむむむ? すばるん?」
「げっ、凛音!?」
「凛音ちゃん、やっほ~」
「あ~! ミナちゃんやっほ~にゃ!」
「もう、ここではマイアだよ?」
「ごめんにゃ、私は音緒だにゃ。すばるんは~、すぴかにゃんか」
「にゃーにゃーうるさいよ凛……じゃなかった、音緒」
ボクの尻尾にかみついてきたのは、猫又の凛音、ゲーム内ネーム音緒だった。
なんでだか、いつもボクの尻尾にかみついてくるからなぁ……。
「にゃーにゃー言ってるのはキャラ付けにゃ。ここでは猫獣人ってことで通してるにゃ。ほら、二股に分かれた尻尾がプリティーでしょ? この尻尾の先にリボンを付けるのがおしゃれなんだにゃ。スピカにゃんの尻尾には塩胡椒が良さそうだにゃ~」
じゅるりっと音を立てて涎をすする音緒。
ボクの尻尾に塩胡椒しても美味しくはならないからね!!
「大体なんでいつもボクの尻尾にかみつくのさ? 犬のにかみついてよ」
「嫌にゃ。犬は犬臭いにゃ。スピカにゃんの尻尾はいい香りでもふもふしてるからかじってて楽しいにゃ」
悪びれない音緒は、ボクのふわふわな尻尾から目を離そうとしなかった。
ボクの尻尾は最大のピンチを迎えているのかもしれない!
「お~い、作戦始まるぞ? 説明するからこいよ」
ちょうどタイミングよく、アーク兄からお呼びがかかった。
これから対ゴブリンアーミー戦が始まるんだ。
「むむぅ、時間切れにゃ。私も一緒するから一緒に戦おうにゃ! よろしくにゃ」
「むぅ。仕方ないなぁ。よろしく音緒」
「よろしくね、音緒ちゃん!」
カレンさんたちは近くにいたフレンドと話し込んでいるため、今この場にはいなかったけど、合流した時にカレンさんたちに音緒を紹介すると、その猫耳をなでさすって感触を楽しんでいた。
当然音緒は嫌がり、コノハちゃんは謎の対抗心を燃やしていた。
猫又と山猫の知られざる戦いが始まるのだろうか!?
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