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じゃくまる

第40話 強襲、ハイオーク村


 ケイアンの案内でどんどん森の奥へと進んでいく。

「こっちです。もうすぐこの森のほぼ中心に着きます。そこにハイオークの村があります」
 ケイアンはボクの手を引きながらどんどん進んでいく。

「ねぇ、何でボクの手を引いてるのさ?」
 ずっと掴まれてるので、そろそろ手が痛い。

「あっ、ごめんなさい。お姉さんの側だと安心するからつい……」
 指摘されて慌ててケイアンは手を離した。

「あ、うん。それはそうと、何か気配を感じる」
 村の付近と思われる場所までやって来た時、何かの威圧感のようなものを感じた。
 この先に一体何が……。

「あっ、あれはバラカス! ハイオークの裏切り者です」
 ケイアンの指さした先には、一際大きな体の部族のような入れ墨をした男性がいた。
 
「坊主、あれが要塞を占領してるってやつか?」
 アモスさんが横にやってきて、ケイアンに問いかける。

「一派ではあります。兵糧や人員などの調達を行っている輸送隊の隊長です」
 ボク達が様子を窺っていると、バラカスと呼ばれた男性が大きな声を上げた。

「我らが将軍、『ゴディアス』の命により、お前らの中から要塞守備兵を徴兵しに来た! 応じなければ皆殺しだ!」
 バラカスはそう言うと、そっと片手を挙げる。
 すると、整列していた巨漢の男達がぞろぞろと進み出てきて、村の入り口に陣取ってしまう。

「さぁ、どうする? 人間共を滅亡させる契機だぞ? 我らハイオークこそが最強種であると、共に示さんか?」
 バラカスが脅すように、唆すように村の入り口でそう大声で伝える。

「バカを言うな、我らハイオーク族は力こそ抜きん出ているが、それ以外は弱い! 他の人間族の団結力を甘く見るでない!」
 その声に反論するように、大きな声が響く。
 
「父さん……」
 ケイアンが小さな声でそう呟くのが聞こえた。

「アーク兄、アモスさん」
 ボクが二人にそう伝えると、アモスさんは端末を指さした。

『現在の参加人数は100名か。思ったよりいるな。ハイオークの数は20人。バラカスというものを除いた数だ。念のために5人一組でハイオーク1人に当たるんだ。いいな? それでは、パーティー作成開始』
 総勢100名が20組のパーティーに分かれて戦うようだ。
 各々がさっそくパーティーを組み始めている。

「今確認したんだが、レベル15でないとこのクエストは受けられないようだ。なので、15未満は不参加だ」
 アーク兄がボク達にそう伝えてきた。
 おそらく、カレンさん達が来ない理由はそういことなんだろう。

「スピカ、いくつだ?」
「えっと、うん。15だ」
「俺も15だ。アモスは言うまでもない。あいつは20だ」
「俺の話す機会を奪うな! まぁ前衛なんでな。強く硬くなければ務まらん」
 アモスさんはそう言うと、フルプレートメイルの胸元をどんと叩く。
 頼もしい限りだ。

「ボクはアーク兄達と?」
「そうだ。回復は……。ちょうどいいやつがいないな」
「ううむ、そうか。さて、どうするか。俺達が最前線に出る予定だからな」
「そういえば、15か。あっ、そういえば」
 15になったら使えるようになると言われて渡されたものがあったんだ。

「ちょっとまっててね。えっと~、どこだっけ」
 インベントリを探すがどこにあるかすぐに見つからない。
 たしか、重要な物の中だっけ?

「早くしろよ? あまり時間がない」
 アモスさんがそう言った瞬間、村の方から大きな声が聞こえてきた。

「まだか! 来ないならば男共は強制的に徴兵させてもらうぞ!」
 バラカスがしびれを切らせたのか、村の奥に向かって大きな声でそう言った。

「お姉ちゃん……」
 不安そうなケイアンに済まないという気持ちで、インベントリを探す。
 普段整理してないから一回見ただけでそのままにしちゃうんだよなぁ。

「おい、まだか?」
 アモスさんが再度の催促をしてくる。

「まって、もうちょっと……。あった!」
 取り出したのは一枚の護符だ。
 お婆ちゃんに渡された護符なので、ちょうどいいから使ってみようと思ったのだ。

「もしお婆ちゃんの言うことが本当なら、きっと面白いことが起きるよ」
 ボクはその護符を天にかざした。
 奇しくも、時刻は夕方になっていた。

「護符? 召喚符のように見えるが……」
「スピカ……?」
 二人が不安そうにボクを見るがボクは止めない。
 もう発動は始まっていたし、止めることなんて出来ないからだ。

 護符は一瞬まばゆい光を放ち、燃え尽きる。

「誰だ!?」
 バラカスがこっちに気が付いた。
 やばい……。

「ちぃっ、気づかれたか! 総員、戦闘態勢」
 アモスさんがそう指示を出し、アーク兄が呪文の詠唱に入る。
 大規模魔術を使うつもりのようだ。

「まちや、ここは妾に任せるがよい」
 声がした方向を見ると、光の中から一人の女性が現れた。
 金髪の長い髪、紅い瞳、綺麗に整えられた狐耳と尻尾。
 まちがいない――。

「お婆ちゃん……」
 ボクがそう言うと、お婆ちゃんはにっこりと微笑む。

「あのハイオークは妾に任せて、そなた達は雑魚を叩くがよい」
 お婆ちゃんは好戦的な笑みを浮かべていた。
 あぁ、そうか。
 もうすぐ夜が来るのか。

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