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じゃくまる

第29話 スピカの行動と街の人との関係


 ご飯を食べ終わって早速ログイン。
 眼を開けてみると、ボクに抱き着くようにしてコノハちゃんが眠っていたのが見えた。

「コノハちゃんはまだ食事中かな? そういえば、ミアはどこだろう」
 がっちりとボクに抱き着くようにして眠っているコノハちゃんを何とか外し、ミアを探しにテントの外へと出る。

「あっ、お帰りなさい、ご主人様」
 テントを出てすぐの場所にミアがいた。
 そのミアは何やら草を集めて身体に取り込んでいる。

「ミアは何してるの?」
 人型のミアは、わざわざ口から食べ物を摂取するようにして草を身体に取り込んでいく。

「はい、ポーション作りをしていました。ご主人様も錬金術をそのうち覚えるとフィルさんから聞いていましたので、今のうちに中間素材などを製作しておこうかと」
 そう言うと、ペーストになった草だったものを掌から出して、瓶へと入れていく。
 口から取り込み、身体で加工し手のひらから排出する。
 なんというか、見た目に配慮したように感じてしまう。

「口から出したら、扱いたくないかと思いまして」
 そう言いつつ、ミアはせっせとペーストを生み出しては瓶に詰めていくという作業を繰り返していく。
 なんとなくその様子を見ていたけど、どことなく楽しそうに感じていた。
 きっとミアは作りだす、生み出すという行為が好きなのだろう。

「ミアはモノづくり好き?」
 ボクがそう問いかけると、ミアは作業の手を止めてボクの方に顔を向ける。

「はい、知識を得てからというもの、何かを作る、生み出すという行為に楽しみを感じています。元はただの知性のないスライムです。進化して、アルケミアスライムになってからというもの、色々な薬を作り出すのが楽しくて仕方ありません」
 ミアはにっこりと微笑むと、ボクに一本の薬を差し出す。

「ご主人様との出会いを記念して作った万能薬です。洞窟を隠れながら旅して、色々な物を集めて作りました。大切なご主人様ですから、万能薬の一本くらいはと」
 万能薬、それはどんな貴族すらも高いお金を出して探し求めるという万病の特効薬。
 これ一本で大きな屋敷が買えるという話すらあるものだ。
 ボクはこの話をマーサさんとフィルさんから聞いて知っていた。

「いいの? これだけですごい価値があるよ?」
 本当に貰っていいものかわからないけど、再度ミアに確認する。

「はい、もちろんです。今日ほどアルケミアスライムであったことを感謝したことはありません」
 ミアは本当に嬉しそうにそう言った。

「ご主人様にお聞きしたかったのですが、なぜ街の方はご主人様にああまで優しいのですか? 私にすら彼らは優しくしてくれました。そして必ずと言っていいほど、「スピカちゃんの仲間なら」と言っていました」
 ミアは本当に不思議そうに首を傾げながらボクに質問してきた。
 そっか、その話してなかったんだっけ。

「ボクがこの世界に来たとき、最初は兄と一緒に冒険していたんだ。でも、兄もなんだかんだで忙しい人だから、ボク一人だけの時間が結構あったんだよ」
 ボクが話し始めると、ミアは興味深そうに頷きながら聞いてくれた。

「一番最初に無条件で優しく接してくれたのは、冒険者ギルドの受付嬢、アニスさんだ。彼女は何が気に入ったのかは分からないけど、ボクに最初から優しくしてくれていて、今もずっと変わっていない」
 一番最初はそう、アニスさんだった。
 色々と教えてもらったり、お世話してもらったっけ。

「それから、ギルドで街のお手伝い依頼を受けたんだ。この街に来るこの世界の冒険者は、みんな上昇志向が強いのか、討伐系の依頼ばかり受けて行ってしまい、街のお手伝い依頼はボク達のような異世界の冒険者か、街の孤児院の子供くらいしか受けてくれなかった。あっ、もちろん、おじさん冒険者も受けてくれていたよ?」
 その時、アニスさんは言っていたっけ。

「若い子ってせっかちだから、すぐに行動を起こしたがる。街の人の信頼を得るのも大切なのに」
 ボクはそれを聞いた時、おもむろに掲示板の方を見たんだっけ。

「まぁ、その時にね、同じ世界の人が掲示板を見ていたんだ。そしたらその人が、『このお手伝い依頼は受けてもいい依頼ですか?』って聞いていたんだ。その人はこの世界で製作集団を作りたいらしくて、街の人との交流方法を模索していたらしい」
 アニスさんの説明によると、こういう細かい依頼をこなしていくことで、街の人との距離は縮まると。
 そうしたら色々と便宜を図ってくれるのではないかと。

「それで、ご主人様もそういった依頼を?」
「うん、そう。それで、その人と一緒に街中で色々なお手伝いをしたんだ。最初は『仕方ない協力してやる』って感じだったのに、だんだんと『また来たのか、物好きめ』と言われるようになって、『ふん、焦らずゆっくりやれ』そう言われるようになり、『よく来たな、まぁゆっくりしていけ』って言われるようになったんだ」
 それからその人は時間が合わずにすれ違いになった。
 でも、暇な時間にログインしてからは用事があるまでずっとお手伝いし続けた。
 スキル熟練度もほしかったからね。

「それからかな? みんなが優しくなり始めて、気が付けばボクに出会えば挨拶してくれるようになったのは。今ではマーサさんの家に住み込むくらいだしね」
 ちょっとしたことだったと思う。
 でも、続けてきた結果、いつの間にか色々な物をくれるようになっていた。

「それで、みんな優しかったのですね」
 ミアは納得したように頷く。

「でも、ボクだけの力じゃないんだよ。その人も一緒にいてくれたし。それに、アニスさんもこっそり色々とみんなに吹き込んでくれてたみたいなんだ。だから、みんなの力のおかげだったんだよ」
 思えば、最初からアニスさんに気に入られていたところから広がっていったのかもしれない。
 ということは、一番の功労者はアニスさんなんじゃないだろうか。
 さすがアニスさんだ。

「さすがアニス様ですね。ただご主人様のストーカーが趣味な獣人かと思っていました」
 ミアは案外毒舌なのかもしれない。
 でも、アニスさんはそういうところがあるかもしれない……。

「否定したいけど、否定しきれない自分が悲しいよ」
 信頼してないわけじゃないですよ? アニスさん。
 ただ、隙あれば抱き着いて匂いを嗅ぐのは止めてほしい……。

「ただいま。あれ? 二人ともどうしたの?」
 ボクがそんなことを考えていると、テントからコノハちゃんが出てくる。
 どうやら用事は終わったみたいだ。

「街の人と仲良くなる方法を話してたんだよ。そうだ、コノハちゃんにも教えてあげるよ」
 ボクはそう言うと、コノハちゃんにミアにした話と同じことを話した。

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