隣人さんは魔術師?!~ネイウィザ~

こうや

恐怖の隣人さん

僕は今絶句している。
その理由は数分前に遡る。



「ここに連れて来られた理由・・・聞かないの?」
「・・・聞いて良いんですか?」
「良くないと言わないでしょ」
「じゃあ聞きます、何でここに連れてきたんですか?」
「それは・・・あなたに私の重大な秘密を知られたから」
「秘密って、留学生じゃないって事ですか?」
「まぁそれも有るんだけど・・・もっと重要な物よ」
「重要・・・」
(やっべぇ分かんねぇ。リブリーの口調から察するに俺はもう秘密を知っている?たが、そんなの知った覚えは・・・ん?そう言えば)



と絢太はリブリーの顔をじっと見る。
リブリーは少し戸惑っているが今は俺の戸惑いの方が大きい自信がある等とどうでもいい事を考えながら顔を見ていると何かが全身を走り抜ける。



(・・・そうか、あの違和感!リブリーを見る度に感じていた違和感!でも、それが何なんだ?)



と更に増えた謎に頭を抱えるがやはり答えは出てこない。
すると絢太はもう一度リブリーの顔を見つめる。



(違和感、違和感、違和感・・・作り物?いや、3Dホログラム、CG、絵、そんな感じか?限りなくと言うか完全にこの世界にどうかしているけどやっぱり違和感がある。)



リブリーが、まだ?と完全に煽って来ているので絢太はまだ答えに確信を持てないまま口を開く。



「か、顔に違和感があります、3DホログラムとかCGとか絵とかが完全にこの世界に同化している様な感覚です」
「ふ〜ん・・・ま、一般人にしちゃ上々かな」
「一般人?」
「・・・こっち」
「へ?」
(今度はなんだよ!)



リブリーに手を引かれ別の部屋に来た。
そこは先程の『女の子の部屋』という雰囲気から打って変わって、殺風景な部屋だ。
家具は何も無く証明は部屋の端々に置かれた豆電球だけ。
普通の蛍光灯より金が掛かりそうだが今は触れないでおこう。
部屋を見回すと絢太はまた違和感を感じた。



(・・・部屋の中心、座布団が置かれている場所に違和感がある。だけど、リブリーの顔の違和感とはまるで違う。リブリーの違和感はイメージで言うと白だ、害は無くただただ感じる小さな違和感。ただ、この違和感はリブリーのそれとは違う、むしろ真反対!イメージは黒、無害じゃない・・・完全に害がある!)



絢太はその違和感を見つめながら頭の中では【危険】【恐怖】【有害】などの言葉が連想されていった。
リブリーは固まっている絢太を不思議に思いながら部屋の中心に歩く。



(な!危険だ!近寄っちゃだめだ!くそ!声が出ない!リブリーが危ない!)
「ほら、起きなさい。客人よ」
(・・・誰に言ってるんだ?)



リブリーは先程から絢太が【恐怖】の違和感を感じている、誰も居ないはずの部屋の中心の座布団に話し掛ける。
そして、再び違和感が襲いかかる。
しかし、先程よりも強大で鋭い違和感が【恐怖】となって絢太を取り込もうとする。



「だらけてないで、早く起きなさい。」
(また違和感が!)


 
絢太の頭はある信号を出していた。
生物なら基本的に持っている本能が直接絢太に語りかける信号。
【逃げろ】
インパラがチーターから逃げる様に生物は基本自分の身の危険が迫るとその場から逃げると言う本能を持っている。
その本能が先程から出している信号。
【逃げろ】
しかし、絢太は蛇に睨まれた蛙の様に動けなくなっていた。



「もう、やっと起きた。客人よ」
「ほほう」
「?!」



何処からか聞こえる声、だが何処から聞こえるかは明確。
部屋の中心だ。
違和感に被せてくるドスの効いた声が響く。



「おい、小僧。こっちを見ろ」
「やめなさい、やっと素質がある子を見つけたんだからね!あんたのせいで今まで何人の人の記憶消したと思ってんの!」
(素質?記憶を消す?なんの話をしてるんだ?)
「娘、その小僧にわしの目を見させろ」
「え?」
「早くしろ」
「はいはい」



リブリーがこっちに近付いてくる。
そして、絢太の後ろに周り絢太の顔を持つ。
一生懸命絢太の顔を動かそうとするが恐怖で顔を上げられない絢太は全力で拒否をする。



「ちょっと、力抜いて・・・」
(震えてる?)



自分でも気づいていなかっただろうが絢太の体は冷や汗にまみれ、手足は震え、呼吸が荒くなっていた。



「・・・大丈夫よ」
(?!)



リブリーは絢太の顔から手を離し、後ろから抱擁する。
すると、絢太の震えは自然に止まり、呼吸も元に戻り、冷や汗は止まった。



(何故か・・・落ち着く)
「・・・よし、じゃあ力抜いてね」
「はい・・・」
(この人の近くに居ると違和感が怖くない)
「・・・じゃあ真っ直ぐ見て」
「はい・・・っ!」



分かる、俺は今から死ぬ。
何かが見える訳では無い、ただ違和感は明らかに俺の目を見ている。
俺を、睨み付けている。


 
「・・・っ!!」
「大丈夫、大丈夫よ」
「・・・・・・はい」
「娘、小僧をこっちに連れてこい」
「・・・動ける?」
「は、はい」
「大丈夫、一緒に居るよ」
「・・・うん」



リブリーは絢太を抱擁した状態で部屋の中心、違和感に歩いていく。
恐怖が無い訳では無いがそれよりもリブリーの抱擁の安心感の方が大きい。



「目をよく見せろ」
「・・・」



感じる、見られている。
本人が知らない心の奥底まで、細かく正確に見られている。
怖い、逃げたい、だけど、リブリーがいるから大丈夫。
そんな気持ちが渦巻く中で違和感が声を出す。



「こやつ、今すぐにでも『発動』出来るぞ。」
「へ?本当に?」
「あぁわしの目に狂いはない、なんなら今やってみろ」
「そうだね、ちょっとまっててね」
「あ、」



リブリーが抱擁をやめ、絢太から離れようとすると、絢太は5歳児が駄々をこねる様にリブリーの腕を掴んで離さない。



「じゃあ、一緒に行こっか」
「は、はい」



リブリーは腕を下ろし、絢太の手を握る。
抱擁より安心感は減ったもののやはり、リブリーが近くに居ると絢太の震えは確実に止まっていた。



「私がいいよって言ったら思いつくアルファベットをゆっくり1文字ずつ言ってね」
「・・・はい」



すると、リブリーは目を瞑り、何か呪文の様なものを唱え始めた。
黒い違和感は部屋中に蔓延し始め絢太のすぐ側までくる。
だが、不思議な事にその蔓延した違和感には恐怖心は感じずにただ、気持ちが悪いという事しか感じなかった。



「いいよ」
「・・・C・・・E・・・R・・・B・・・E・・・R・・・U・・・S・・・・・・っ!!!!」
「アスモデウス!解析!」
「いいや、解析する程でもないわい。こいつは化けるぞ」
「で、なんなのよ!」
「・・・・・・」

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