好きな人には憑いて行きたい!

柚芽艿 歩夢

幽霊発見?!旧校舎探索 後編

そして放課後、僕らはあの旧校舎に集まった。
「お前ら、例のものは持ってきたか?」
「懐中電灯…だけで良かったよね?私携帯電話持ってきたけど」
「俺もだわ」
ムスーっとした顔で言った
「やっぱ疾風は乗り気じゃないな~」
お前らが無理やり連れてきたんだろ………
と、疾風は思った。
「ま、いいや、じゃ、行くぜ」
ギィィー
「木製の扉にしてはまだしっかりしてるな」
「やっぱり夕方だから中も暗いねー」
「あんま離れないようにしろよ、たまに全員いるか確認することにしよう」
「「ラジャー」」
「じゃ、進んでいくぞ」

~数分後〜

「疾風、花宮、ちゃんと付いてきてるか?」
「ああ」
「うん、大丈夫」
「なあ、もうやめにしねえか?やっぱ噂なんて信じない方がいいぜ渡辺、なんもないじゃないか」
と、強気な感じで言ってみたが内心はもう帰りたいの一心である。
「おいおい、まだ全然まわってないぜ、次はあの音楽室だ!」
「いぇーい」
なんでハイテンションなんだコイツら…
というかそういう時に出てくるんだよ…

~音楽室内~

「うわぁー、やっぱり肖像画って怖ー」
「動いてくるかもしれないこの感じがすげえよなぁー」
「はいはい、やっぱなんもないんだから早く帰ろ」
「やっぱ疾風は釣れねえなー、ま、お前がまさかこんなに怖がりだとはなぁー」
「ばっ、違ぇよ、今日はそのいつもより気分が悪いだけだ」
「いやいや苦しい嘘は身体に悪いぜー、俺ら1人除いて友達なんだから正直になれよ」
「誰を除いてるのよ…」
花宮が渡辺を睨む
「あーはいはいすいませーん」
「はいはい、じゃあ場が和んだところでもう帰りましょ」
「いや、おい!まだ話済んでねえよ」
「いーじゃんいーじゃん俺の事なんてそんなためになることないぜ?」
「俺が質問してたんだけどな…」
「もう二人とも喧嘩しないの、しかもこんな所で……きゃっ!」
「っなんだよ急に悲鳴あげて?!」
「今、ピアノから…音が…」
「聞こえたか?疾風」
「いや、別に…(汗)」
三人でピアノを見つめる。
その時初めて気づいた、もう外は夜になっていたこととこの旧校舎は妙にしずかすぎだったことだ。
「おい、やっぱしねぇじゃねえか」
「ホントにしたんだから!」
「ふーん」
「信じてないでしょ?」
「いやー、別にー」
「もういいよ!疾風君は信じてくれるでしょ……疾風君?」
俺はと言うと自分の中でお化けなんて嘘さを暗示のように何回も綴っていた。
「……おーい」
「え、あ、何?!」
「いや、呼んでるのに気づいてないから…」
「あ、ごめんごめん、で、何だっけ?」
「もう!二人とも私の事信じてないんでしょ!」
「いや、俺は……」
その時……
……………………………………ボーン……
今、ドの音かミの音だったかなんて関係ないが、確かに今、ピアノが鳴っただ……。
「きゃーーーー!!」
という悲鳴と共に花宮が音楽室から一目散に逃げ出した。
「お、おい!1人でどっかに行くな!」
渡辺が花宮の後を追って音楽室を出ていった。自分も気を失いそうな体を何とか動かし、渡辺達を追おうと思ったが、もう音楽室前の廊下には誰の姿も足音もなかった。だが、こんなところにいる方が嫌だったので二人が行ったと思う方向に走っていった……。

~数分後~

「はぁ…はぁ…急に走り出すなよ花宮」
「だってこんなところもう居たくないじゃん!!あーもーなんでこんな所に来たのかなぁ!」
ムカついてる…自分もノリノリだったくせに…。
「って、あれ、疾風君は?」
え…………?
俺は後ろを向いたが疾風の姿がない。
「マジかよ、あいつまだ中にいるのか?!」
「わ、私もうここに入りたくないよ!」
「じゃあここで待っとけ、俺が1人で探してくるから」
花宮は迷っている感じだったが、俺は再び旧校舎に足を向けた。その時、
「ねぇ、さすがに1人じゃ危なくない?」
と、隣でくっついてきたのは花宮であった。
「お前、外で待ってるんじゃないのかよ」
「だ、だって…、怖いんだもん…」
その時、花宮が少し可愛く見えた…なんでこんな時に………………。

〜その頃の疾風〜

くそっ、みんなどこに行ったんだよ…。
なんでこんな所にいなくちゃいけないんだ…。
やっぱり来なきゃ良かった…。中学校最後の1年間早々の出来事がこんなのって予想もしてなかったし嫌だわ!ま、今頃思ってももう遅いけど!と、思いながら俺は暗い廊下をただ一つのライトを照らしながら歩いていた………。
「しょうがない、出口を探すしかねぇか……」
だが、本当はここからが中学校最後の1年間を一気に塗り替える出来事になるとは、
まだ誰も知らなかった…。そう、それは彼女?でさえも……。



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