暗黒騎士物語
魔姫双影2
「魔王に似ている。なるほど、お前がポレンだな。クロキから話を聞いている。クロキの妻のクーナだ、よろしく頼むぞ」
クーナは妻の部分をものすごく強調してポレンに言う。
美少女の放つ強烈な威圧感にポレンは圧倒されてしまう。
この威圧感は母親であるモーナ以来であった。
圧倒されたポレンは何となく鼻で笑われて、見下されているような感じがした。
しかし、それはポレンがそう感じただけだ。
なぜならクーナは特にポレンに興味がないのだから。
(こんな美少女がすぐ近くにいるのは何だかいやだなあ……)
ポレンはクーナと自身を比べてしまう。
ポレンは魔王の娘。いわばナルゴルのお姫様だ。
どんなに醜くても、みんながちやほやしてくれる。
だからこそ中々気付かなかった。
いかに自身が醜いかを。
エリオスの神々を魔法の映像で見た時の衝撃はすごかった。
そこにいる美しい男神達。
彼らは敵だけど、ポレンはその姿に夢中になった。
だから隠れて眺めていた。
今でもゴブリンの女王ダティエから貰ったエリオスの殿方達の裸画はポレンの宝物である。
そして、何時の日だっただろうか?
たまたま、彼らと並んで映っている女神達の映像を見ている時だった。
ポレンは気付いてしまったのである。
「私ってすごいブスじゃん? どう見てもブタじゃん」と。
気付いたポレンは荒れてしまい、「今まで可愛いと思ってやった数々の行動はどう考えても黒歴史なんですけど――!!! 死ね!! 死ね!! 私死ね!!!」と何度も部屋で悶えた。
ポレンにとって自身がブサイクと気付く前に取った行動は悶えて転がりたくなるほど恥ずかしかった。
久しぶりにエリオスの女神達を超える美少女であるクーナを見た事でポレンは思い出してしまう。
「あの殿下? 大丈夫ですか? もしかしてクーナの言葉で?」
急にポレンが突然悶えはじめたので、クロキは心配そうな声を出す。
(うう、クロキ先生にこんな綺麗な奥さんがいるとは思わなかったよ~)
ポレンは心の中で泣く。
そのクロキの横でクーナは冷たい視線でポレンを見ている。
これほどの美少女なら当然の態度だろうとポレンは思えた。
ポレンもこれだけ美少女なら髪を縦にまいて「おほほほほほ」と仰け反りながら笑って他者を見下したり、優雅に蜂蜜に付けた揚げ菓子を食べながら「蜂蜜が足りなくってよ!!」と言って、傲慢に怒ったりしていただろう。
「いえ、違いますクロキ先生。奥さんのせいじゃないです……」
ポレンは心の中で泣きながら、何とか平静を装って立ち上がる。
「そ、それは良かった。それからクーナ。同じ女の子同士なんだし、できれば仲良くしてあげて」
クロキは不安そうにクーナに言う。
クロキが言うとクーナはポレンをまじまじと見つめる。
綺麗な瞳で見つめられてポレンは逃げ出したくなる。
ポレンは一緒に横に立っても良いのだろうかと考えてしまう。
そもそも、この美少女にすごく嫌がられるかもしれなかった。
「こいつと仲良く? ああ、別に構わないぞ」
しかし、ポレンの心配をよそにクーナはあっさりと了承する。
「えっ? 本当に私と仲良くしてくれるのですか?」
「ああ。クロキの頼みだからな。仕方がない」
クーナはポレンの前に立つ。
ポレンの身長はクーナの胸ぐらいしかない。
そのため近づかれるとポヨンと突き出た胸が目の前に来る。
(すっごい強烈!! こいつは、とってもエロいで~!!)
ポレンはクーナの胸に目を奪われてしまう。
「ん? どうした? クーナの胸を眺めて?」
ポレンの様子にクーナは首を傾げる。
「いえ、何でもないです。あのどうしたら、そんなエロカワ美少女になれるのですかっ? どうやれば?こんなぽよんぽよんな体になれるの?」
「はあ? クーナが可愛いのは生まれつきだ。それに努力もしている。だから、クーナが可愛い美少女なのは当たり前だぞ」
その言葉にポレンは衝撃を受ける。
「元から可愛いのに努力をしているのですか?」
「当たり前だ! クロキを見てみろ! 元から強いのにさらに努力をしている!!」
クーナに言われてポレンはクロキの日頃の姿を思い出す。
(そういえばクロキ先生はこの航海中でも剣の練習を欠かさずしていたような気がする。クロキ先生はあんなに強いのに、さらに練習をしていた。私は自分から剣を習いたいと言っておきながら食べてばかりだったような気がする)
ポレンは元々剣に興味があったわけではなかったから気にしなかった。
この美少女であるクーナの言葉がポレンの胸に刺さる。
「そうですか……。さらに努力を……。私も努力すれば美少女になれますか?」
ポレンはおそるおそる尋ねる。
「さあな。しかし、何もしないなら、そのままに決まっているぞ」
そのクーナの当たり前に指摘にポレンの頭がぐわんぐわんと鳴る。
「確かに……、何もしないのならそのままですよね。あの……。私にもその努力とやらを教えてくれませんか? 師匠~」
ポレンは涙目になりながらしがみつく。
「な!? 何だ!! お前は!!」
ポレンに抱き着かれクーナは慌てた声を出す。
「お願いです~。どうやったらそんな大きな胸になれるのですか~?」
「それは! クロキに大きくしてもらっているからだ! ちょっと離せ! 何とかしてくれクロキ!! とんでもない力だぞ!」
クーナはクロキに助けを求める。
しかし、クロキは険しい表情で違う方向を見ている。
ポレンとクーナはクロキの様子を見る。
「どうしたのだ? クロキ? 何かあったのか?」
クーナに呼ばれたクロキはポレンの方を見る。
「緊急事態です殿下。どうやら勇者達が近くに来ているようです」
◆
クロキに魔法の連絡が来たのは、つい今しがただ。
アケロン山脈の上空をワイバーンに乗り飛んでいた暗黒騎士が勇者の仲間であるシロネを発見したのだ。
もし、レイジ達も一緒で、御菓子の城を見に来たのであればダティエが危ないだろう。
「クーナ! ダティエ殿に連絡をして! 急いで退避するようにと!!」
クロキは説明するとクーナに指示を出す。
「駄目だぞ。クロキ。連絡が取れない。おそらく結界が張られている。これでは転移もできないだろうな」
しかし、クーナは首を振って答える。
クロキはそれを聞いて「何てこったい!!」と天を仰ぐ。
クロキは正直に言うとダティエは苦手だ。
しかし、仲間である以上は助けに行くべきだろう。
「そう……。それじゃあ助けに行かないと……。申し訳ございません。殿下。自分は行きます」
クロキはポレンに礼をする。
「待ってください! クロキ先生! ダティエが危ないのですか?!!」
突然ポレンが大声を出す。
「ポレン殿下はダティエ殿の事を知っているのですか?」
「はい。ダティエからは良く絵を貰っています。今度また新作の絵をくれるそうです」
クロキは少し驚く。
ダティエとポレンに絵画の趣味があったとは思わなかった。
(どんな絵なのだろう?)
クロキも綺麗な絵が好きだったりするので、どんな絵なのか興味を持つ。
「絵か。そういえばダティエの奴が沢山の絵を城に持ち込んでいたな。もしかして新作の絵もあるかもしれないな」
「そんな!!!!」
クーナの言葉によっぽど楽しみにしていたのだろうかポレンは絶望した顔をする。
「殿下。ダティエ殿を助けるついでに、可能ならその新作も回収します。どのような絵なのですか?」
「えっと。それは……」
クロキが聞くとポレンの顔から滝のような汗が流れ落ちる。
どういう事だろうかとクロキは首を傾げる。
「それなら、それっぽい絵を片っ端から持って帰りましょうか? 殿下?」
「い、いえ! それは駄目ですっ! そうだ! 先生! 私も連れて行って下さい! 私もダティエを助けたいんです! だから一緒に行くよ! ぷーちゃん!!」
「まあ、殿下が行くなら。一緒に行くのさ」
ポレンがとんでもない事を言い出す。
(そういえば殿下はセルキー達を救ったように自身を慕う者を放っておけない性格だったな。それは王者として素晴らしい事だと思うけど、大丈夫だろうか?)
クロキは少し不安になる。
何しろレイジ達と戦う事になる可能性もある。
レイジはクラ―ケンよりもはるかに危険だ。
魔王の御子を危ない目にあわせるわけにはいかなかった。
「殿下。ダティエ殿を心配する気持ちはわかりますが、危険です。安全な所で待っていて下さい」
クロキは再びポレンに頭を下げる。
「良いのではないか。クロキ。連れて行ってやっても。それから、もちろんクーナも行くぞ」
クーナがさも当然と言う顔をする。
「クロキ先生! お願いします! 連れて行って下さい!!」
ポレンが真剣な目をして言う。
(きっとダティエを助けたいのだろう。これじゃあ連れて行かないわけには行かなさそうだ)
クロキは溜息を吐く。
「仕方がないか、わかりました殿下。それじゃあクーナ? 危なかったら、ポレン殿下を連れて逃げるんだよ。まずは自分達の身の安全を考えるんだよ」
「わかったぞ。クロキ。もちろん危なかったらクロキも連れて逃げる」
クーナがそう言うとクロキは困った顔をする。
クロキとしては自身を置いて逃げて欲しいのだが、クーナは聞きそうにない。
「はあ、それじゃあ、行こうか」
「わかったぞ。クロキ」
「はい!! クロキ先生! それからよろしくお願いします! クーナ師匠!!」
クロキはそう言ってグロリアスに乗ると、クーナとポレンとプチナが後に続く。
「本当に行くのさ? 殿下? 危険かもしれないのさ?」
「大丈夫だよ。ぷーちゃん。クロキ先生がいるから。それよりも、何とか先生の目に入る前に絵を回収するよ。ぷーちゃん」
「はあ……。わかったのさ。殿下」
クロキの後ろでポレン達が何やら相談している。
しかし、今は急ぐべきだった。
クロキ達は急ぎ御菓子の城へと戻るのだった。
◆
クロキと共にグロリアスの背に乗ったクーナは御菓子の城へと戻る。
(失敗だったな。まさか、こんなに早く気付くとは)
クーナはクロキと勇者達を戦わせるつもりはなかった。
もっともクロキは強いから危ない目に会う事はないだろう。
どんな相手もクロキには敵わないに決まっているのである。
クーナは先回りしてダティエが余計な事を喋らないように釘を刺すつもりである。
そもそもダティエを助ける必要があるとは思えない。
何より今御菓子の城にはヘルカートがいる。
沼地の大魔女と呼ばれる、あの女がたやすく勇者にやられるとはクーナには思えなかった。
だから、ダティエの心配はしていない。
ダティエは少し痛い目をみた方が良いとクーナは思っている。
ダティエの持っているいかがわしい絵画の中にはクロキの絵もあった。
もちろん、クーナはクロキの分は処分しておいた。
あれを見たらクロキも不快に思うだろう。クロキを不快させる者は死ねばよいとクーナは思っている。
だから、ダティエを残してクロキに勇者達が近づいている事を隠したのだ。
うかつだったのは暗黒騎士の警戒網にシロネが引っかかった事だ。
おかげでクロキに知られてしまったのである。
面倒くさい事になったとクーナは思うのだった。
★★★★★★★★★★★★後書き★★★★★★★★★★★★
自分の文章力に絶望する毎日だったりします。
うまく書けないや……。
それでも書き続けようと思います。
「カクヨム」でも読んで下さると嬉しいです。
クーナは妻の部分をものすごく強調してポレンに言う。
美少女の放つ強烈な威圧感にポレンは圧倒されてしまう。
この威圧感は母親であるモーナ以来であった。
圧倒されたポレンは何となく鼻で笑われて、見下されているような感じがした。
しかし、それはポレンがそう感じただけだ。
なぜならクーナは特にポレンに興味がないのだから。
(こんな美少女がすぐ近くにいるのは何だかいやだなあ……)
ポレンはクーナと自身を比べてしまう。
ポレンは魔王の娘。いわばナルゴルのお姫様だ。
どんなに醜くても、みんながちやほやしてくれる。
だからこそ中々気付かなかった。
いかに自身が醜いかを。
エリオスの神々を魔法の映像で見た時の衝撃はすごかった。
そこにいる美しい男神達。
彼らは敵だけど、ポレンはその姿に夢中になった。
だから隠れて眺めていた。
今でもゴブリンの女王ダティエから貰ったエリオスの殿方達の裸画はポレンの宝物である。
そして、何時の日だっただろうか?
たまたま、彼らと並んで映っている女神達の映像を見ている時だった。
ポレンは気付いてしまったのである。
「私ってすごいブスじゃん? どう見てもブタじゃん」と。
気付いたポレンは荒れてしまい、「今まで可愛いと思ってやった数々の行動はどう考えても黒歴史なんですけど――!!! 死ね!! 死ね!! 私死ね!!!」と何度も部屋で悶えた。
ポレンにとって自身がブサイクと気付く前に取った行動は悶えて転がりたくなるほど恥ずかしかった。
久しぶりにエリオスの女神達を超える美少女であるクーナを見た事でポレンは思い出してしまう。
「あの殿下? 大丈夫ですか? もしかしてクーナの言葉で?」
急にポレンが突然悶えはじめたので、クロキは心配そうな声を出す。
(うう、クロキ先生にこんな綺麗な奥さんがいるとは思わなかったよ~)
ポレンは心の中で泣く。
そのクロキの横でクーナは冷たい視線でポレンを見ている。
これほどの美少女なら当然の態度だろうとポレンは思えた。
ポレンもこれだけ美少女なら髪を縦にまいて「おほほほほほ」と仰け反りながら笑って他者を見下したり、優雅に蜂蜜に付けた揚げ菓子を食べながら「蜂蜜が足りなくってよ!!」と言って、傲慢に怒ったりしていただろう。
「いえ、違いますクロキ先生。奥さんのせいじゃないです……」
ポレンは心の中で泣きながら、何とか平静を装って立ち上がる。
「そ、それは良かった。それからクーナ。同じ女の子同士なんだし、できれば仲良くしてあげて」
クロキは不安そうにクーナに言う。
クロキが言うとクーナはポレンをまじまじと見つめる。
綺麗な瞳で見つめられてポレンは逃げ出したくなる。
ポレンは一緒に横に立っても良いのだろうかと考えてしまう。
そもそも、この美少女にすごく嫌がられるかもしれなかった。
「こいつと仲良く? ああ、別に構わないぞ」
しかし、ポレンの心配をよそにクーナはあっさりと了承する。
「えっ? 本当に私と仲良くしてくれるのですか?」
「ああ。クロキの頼みだからな。仕方がない」
クーナはポレンの前に立つ。
ポレンの身長はクーナの胸ぐらいしかない。
そのため近づかれるとポヨンと突き出た胸が目の前に来る。
(すっごい強烈!! こいつは、とってもエロいで~!!)
ポレンはクーナの胸に目を奪われてしまう。
「ん? どうした? クーナの胸を眺めて?」
ポレンの様子にクーナは首を傾げる。
「いえ、何でもないです。あのどうしたら、そんなエロカワ美少女になれるのですかっ? どうやれば?こんなぽよんぽよんな体になれるの?」
「はあ? クーナが可愛いのは生まれつきだ。それに努力もしている。だから、クーナが可愛い美少女なのは当たり前だぞ」
その言葉にポレンは衝撃を受ける。
「元から可愛いのに努力をしているのですか?」
「当たり前だ! クロキを見てみろ! 元から強いのにさらに努力をしている!!」
クーナに言われてポレンはクロキの日頃の姿を思い出す。
(そういえばクロキ先生はこの航海中でも剣の練習を欠かさずしていたような気がする。クロキ先生はあんなに強いのに、さらに練習をしていた。私は自分から剣を習いたいと言っておきながら食べてばかりだったような気がする)
ポレンは元々剣に興味があったわけではなかったから気にしなかった。
この美少女であるクーナの言葉がポレンの胸に刺さる。
「そうですか……。さらに努力を……。私も努力すれば美少女になれますか?」
ポレンはおそるおそる尋ねる。
「さあな。しかし、何もしないなら、そのままに決まっているぞ」
そのクーナの当たり前に指摘にポレンの頭がぐわんぐわんと鳴る。
「確かに……、何もしないのならそのままですよね。あの……。私にもその努力とやらを教えてくれませんか? 師匠~」
ポレンは涙目になりながらしがみつく。
「な!? 何だ!! お前は!!」
ポレンに抱き着かれクーナは慌てた声を出す。
「お願いです~。どうやったらそんな大きな胸になれるのですか~?」
「それは! クロキに大きくしてもらっているからだ! ちょっと離せ! 何とかしてくれクロキ!! とんでもない力だぞ!」
クーナはクロキに助けを求める。
しかし、クロキは険しい表情で違う方向を見ている。
ポレンとクーナはクロキの様子を見る。
「どうしたのだ? クロキ? 何かあったのか?」
クーナに呼ばれたクロキはポレンの方を見る。
「緊急事態です殿下。どうやら勇者達が近くに来ているようです」
◆
クロキに魔法の連絡が来たのは、つい今しがただ。
アケロン山脈の上空をワイバーンに乗り飛んでいた暗黒騎士が勇者の仲間であるシロネを発見したのだ。
もし、レイジ達も一緒で、御菓子の城を見に来たのであればダティエが危ないだろう。
「クーナ! ダティエ殿に連絡をして! 急いで退避するようにと!!」
クロキは説明するとクーナに指示を出す。
「駄目だぞ。クロキ。連絡が取れない。おそらく結界が張られている。これでは転移もできないだろうな」
しかし、クーナは首を振って答える。
クロキはそれを聞いて「何てこったい!!」と天を仰ぐ。
クロキは正直に言うとダティエは苦手だ。
しかし、仲間である以上は助けに行くべきだろう。
「そう……。それじゃあ助けに行かないと……。申し訳ございません。殿下。自分は行きます」
クロキはポレンに礼をする。
「待ってください! クロキ先生! ダティエが危ないのですか?!!」
突然ポレンが大声を出す。
「ポレン殿下はダティエ殿の事を知っているのですか?」
「はい。ダティエからは良く絵を貰っています。今度また新作の絵をくれるそうです」
クロキは少し驚く。
ダティエとポレンに絵画の趣味があったとは思わなかった。
(どんな絵なのだろう?)
クロキも綺麗な絵が好きだったりするので、どんな絵なのか興味を持つ。
「絵か。そういえばダティエの奴が沢山の絵を城に持ち込んでいたな。もしかして新作の絵もあるかもしれないな」
「そんな!!!!」
クーナの言葉によっぽど楽しみにしていたのだろうかポレンは絶望した顔をする。
「殿下。ダティエ殿を助けるついでに、可能ならその新作も回収します。どのような絵なのですか?」
「えっと。それは……」
クロキが聞くとポレンの顔から滝のような汗が流れ落ちる。
どういう事だろうかとクロキは首を傾げる。
「それなら、それっぽい絵を片っ端から持って帰りましょうか? 殿下?」
「い、いえ! それは駄目ですっ! そうだ! 先生! 私も連れて行って下さい! 私もダティエを助けたいんです! だから一緒に行くよ! ぷーちゃん!!」
「まあ、殿下が行くなら。一緒に行くのさ」
ポレンがとんでもない事を言い出す。
(そういえば殿下はセルキー達を救ったように自身を慕う者を放っておけない性格だったな。それは王者として素晴らしい事だと思うけど、大丈夫だろうか?)
クロキは少し不安になる。
何しろレイジ達と戦う事になる可能性もある。
レイジはクラ―ケンよりもはるかに危険だ。
魔王の御子を危ない目にあわせるわけにはいかなかった。
「殿下。ダティエ殿を心配する気持ちはわかりますが、危険です。安全な所で待っていて下さい」
クロキは再びポレンに頭を下げる。
「良いのではないか。クロキ。連れて行ってやっても。それから、もちろんクーナも行くぞ」
クーナがさも当然と言う顔をする。
「クロキ先生! お願いします! 連れて行って下さい!!」
ポレンが真剣な目をして言う。
(きっとダティエを助けたいのだろう。これじゃあ連れて行かないわけには行かなさそうだ)
クロキは溜息を吐く。
「仕方がないか、わかりました殿下。それじゃあクーナ? 危なかったら、ポレン殿下を連れて逃げるんだよ。まずは自分達の身の安全を考えるんだよ」
「わかったぞ。クロキ。もちろん危なかったらクロキも連れて逃げる」
クーナがそう言うとクロキは困った顔をする。
クロキとしては自身を置いて逃げて欲しいのだが、クーナは聞きそうにない。
「はあ、それじゃあ、行こうか」
「わかったぞ。クロキ」
「はい!! クロキ先生! それからよろしくお願いします! クーナ師匠!!」
クロキはそう言ってグロリアスに乗ると、クーナとポレンとプチナが後に続く。
「本当に行くのさ? 殿下? 危険かもしれないのさ?」
「大丈夫だよ。ぷーちゃん。クロキ先生がいるから。それよりも、何とか先生の目に入る前に絵を回収するよ。ぷーちゃん」
「はあ……。わかったのさ。殿下」
クロキの後ろでポレン達が何やら相談している。
しかし、今は急ぐべきだった。
クロキ達は急ぎ御菓子の城へと戻るのだった。
◆
クロキと共にグロリアスの背に乗ったクーナは御菓子の城へと戻る。
(失敗だったな。まさか、こんなに早く気付くとは)
クーナはクロキと勇者達を戦わせるつもりはなかった。
もっともクロキは強いから危ない目に会う事はないだろう。
どんな相手もクロキには敵わないに決まっているのである。
クーナは先回りしてダティエが余計な事を喋らないように釘を刺すつもりである。
そもそもダティエを助ける必要があるとは思えない。
何より今御菓子の城にはヘルカートがいる。
沼地の大魔女と呼ばれる、あの女がたやすく勇者にやられるとはクーナには思えなかった。
だから、ダティエの心配はしていない。
ダティエは少し痛い目をみた方が良いとクーナは思っている。
ダティエの持っているいかがわしい絵画の中にはクロキの絵もあった。
もちろん、クーナはクロキの分は処分しておいた。
あれを見たらクロキも不快に思うだろう。クロキを不快させる者は死ねばよいとクーナは思っている。
だから、ダティエを残してクロキに勇者達が近づいている事を隠したのだ。
うかつだったのは暗黒騎士の警戒網にシロネが引っかかった事だ。
おかげでクロキに知られてしまったのである。
面倒くさい事になったとクーナは思うのだった。
★★★★★★★★★★★★後書き★★★★★★★★★★★★
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コメント
Kyonix
花粉:絵画のマスター
ダティエン:どんな絵ですか?
花粉:あなたはすでに私が話しているものを知っています... ( ͡≖ ͜ʖ ͡≖)
ダティエン:Hoooo、恐ろしい女の子。
花粉:私はあなたに期待しています。
デティエ:(͡ ~ ͜ʖ ͡ °)
眠気覚ましが足りない
更新お疲れ様です。
ファンタジー系の物語成分の補充方法は、完全に個々人で別れる事ですから、応援くらいしか言えることないですね。
頑張って下さい。
勇者達の動きがバレるところが、変更になってました。
シロネ、暗黒騎士の監視網に引っ掛かったということは多少でもナルゴルに入ったってことですかね?
クーナにとっても勇者側にとっても余計なことしてくれやがりました。
まぁ、そのせいであの男と戦うことになるのですから、ストーリー的には結果オーライなのでしょうか。
この後、なろう版と同じことがシロネに起こるなら、もう自業自得にしか見えませんよ。
ナットです。タイにいます。
I never thought Polen’s height would be about Kuna’s chest. She’s much smaller than I’ve thought.
Thank you for the chapter.
根崎タケル
更新しました。
ちょっと、書く力が落ちています。
良質なファンタジーな物語成分が足りないようです。
眠気覚ましが足りない様、誤字報告ありがとうございます。