【Vease:Day】〜VRMMOだけして、稼ぎたい‼︎ 〜
《第一章》第8話『初めての冒険』
〜西暦2045年10月1日AM10:58〜
《王城帝国郊外 西》
〜ヘーゲル草原〜
俺達はあの後、薬屋や商店で最低限のアイテムを買い、西側の門へ向かい、だだっ広い草原へと足を運んでいた。
「うわぁ、これがヘーゲル草原か〜。めちゃくちゃ広い草原だな〜。」
俺は辺りを見回し、その景色を堪能していた。すると、俺は「忘れるところだった」と言ってオプションを開いた。
「うーんっ、これだ!。まずはアラーム設定をしてっと…」
俺が何故、アラーム設定をするかというのも、このVease:Dayでは1日が、現実世界の4時間となっており、昼が2時間、夕方が30分、夜が1時間30分と区切られている。そして夜になるにつれて魔物達のlvがあがり、強い魔物達が多くなるという。
ちなみに今このVease:Dayはリリース日…つまり今日10月1日から1ヶ月間は昼の時間が多くなり、2時間から3時間になり、夕方が15分、夜が45分となっている。
(えーとっ、確か、朝の9:00にリリース開始したから、昼の時間帯がPM12:00までってことか。PM12:00にアラーム設定しといてっと…、これでOKだな。一応ウサ丸にも伝えてるけど、職業聞いたらガッチガチの戦闘狂だったからな〜、そのうち夜に戦闘したいとか言いだすんじゃないか?大丈夫かな〜…)
人の心配をよそにウサ丸は目を輝かせながら、辺りを見渡していた。
「ん〜〜!ひゃっほーぃ!!」
ズサァァァァ
ウサ丸は草原に来てから終始テンションが高く、走り回ったり、スライディングなどしていた。
(いや、子供か!大丈夫かよアイツ…はぁ……まぁ気持ちはわからなくもないけど…。それに実際、やりたい(スライディング)俺もいるし…)
俺は気持ち良さそうな草原に寝転がりたいと、体がウズウズしたが、バカっぽそうに見られるのは嫌なので、我慢した。するとウサ丸がそんな俺を見て、からかうように煽ってきた。
「おやおや、リュウさ〜ん、なぜそんなところで突っ立ってるんですか?」
ピクッ
「いや、、別に、お前が子供だな〜って思って見てただけだ。」
俺は少し目元がヒクついたが、ウサ丸にマウント気味に返事をした。だが、ウサ丸は珍しく、意にも返さずにまた煽ってきた。
「へぇ〜そうですか〜、私はまだコ・ド・モ、でぇすか〜!!でも…こーんな気持ちいぃぃぃーーーーフカフカの草原で寝転がらないなんてもったいないですよぉ〜〜」
ゴロゴロッゴロゴロッゴロゴロッゴロゴロッ
ウサ丸は俺の目の前でわざとらしく、ゴロゴロと草原で寝転がっている。(う、うらやましぃ)ウサ丸は、俺の方を見ながら、勝ち誇るように笑った。
「アハッアハハハハッ、アハハハハハハッ」
(チッ、なんてやつだ、ワザと見せびらかしやがって!!……ダメだっ、もう我慢できねぇ!!)
俺は誘惑に負け、フッカフカッの草原に向かってダイブした。
「クッ………クッソーーー!!どうとでも言いやがれ!!こんちくしょうがぁぁぁぁ!」
後日ウサ丸はその時、俺のダイブがスローモーションに見えたと言う。
ズサァァァ
俺は見事に、ヘッドスライディング決め、寝転がった。
ゴロゴロッゴロゴロッゴロゴロッゴロゴロッ
「あっは〜気持ちいぃ〜、まるで高級ベッドのような感触やで〜〜!」
ニヤッ
「ハッァ?!」
ウサ丸は俺に向けてニタァと笑って見せた。俺はその時、人生で初めて敗北というのを味あわされた…。(※過剰に演出しております)
「クッ、俺の負けだ!煮るなり焼くなり好きにしてくれ!!」
俺は草原の上でoTLの体制になり、ウサ丸に対し負けを認めた。そしてウサ丸は、そんな俺を慰めるように、肩にポンッと手を置いた。
「フッ、そんなことしないさ、だって…こんな草原見たら、人間誰しもゴロゴロしたくなるよぉ、なるお、るぉ、ぉぅ。(※エコーです)」
「はぁっ、はぁ、ぁ。(※これもエコーです)」
俺はその言葉に共感し、一緒にゴロゴロしまくった。
「アハハッ〜、やっぱりこんなに気持ちのいい自然のベッドがあれば、誰でもゴロゴロしたくなるよ〜」
ウサ丸は気持ちよさそうにゴロゴロしながら、言った。俺も同調するようにゴロゴロしながら言い放つ。
「そうだな〜…どうでもよくなる気持ちよさだな〜。」
「あぁ!分かるかも〜。一歩も動きたくないって感じ〜」
「「はぁ〜幸せだなぁ〜」」
俺達は草原で寝転がり続けた。だが、突如草原の草むらから、地面を抉るほどの衝撃が走った。
バキバキバキバキッドゴーン
「「えっ」」
俺達は衝撃が起こった方向を見ると、そこには雑木林の方から出たと思われる緑の魔物達、つまり『緑鬼』軍団が俺達めがけて向かって来た。
「ギゴッギヒャーッ!!!」
「なんだ?!早速、魔物が現れやがった!」
俺は驚きながらも、体を即座に起こした。するとウサ丸は、すでに戦闘態勢へと入っており、『緑鬼』達を見る目はまるでゲームを楽しむ子供のように輝かせていた。
「はぁ〜☆やっっっとモンスターが来たー!!よっしゃぁ!!1人残らず斬り裂いてやるから覚悟しろぉい!!」
ウサ丸は、掛け声と共に、背負っていた斧を持った。
(うわー、楽しんでんな〜こいつ…。まぁ…でも、気持ちは分からなくはないな!)
俺もランスを手に取りウサ丸と一緒に魔物を狩っていく。
「ハハッ♪」
ズバンッ
「ギッ」 パリンッ
ウサ丸は先頭にいた『緑鬼』に一撃をいれ、見事に倒していく。だが、そのすぐ後方にいた3匹の『緑鬼』が一斉に飛びかかる。
バッ
「「「ギィッ」」」
すると、ウサ丸はニヤッと笑いながら、斧を横一閃に薙ぎ払った。
ブォンッ
その斧の一撃は、同時に『緑鬼』達を襲った。
「ギヒャッ」「キッ」「キギョッ」
パリンッ パリンッ パリンッ
「アハッ☆」
ウサ丸は圧倒的な物理攻撃力による斧の一振りで、『緑鬼』達を一撃で倒した。すると、ウサ丸は脱兎のごとく、戦場を駆け回り次々に攻撃を仕掛けていった。
(うわぁ、スゲェな〜あいつ。あの斧、もう使いこなしてるよ。ハハッ…俺も負けてらんないなぁ!)
「【属性付与】、陽!!」
ボゥッ
俺はランスの攻撃力をカサ増しするため、スキル【属性付与】を陽属性でランスに施す。そのランスは太陽のように燃えさかった。
「ギギギーッ」
「?!」
突如、1体の『中緑鬼』が俺めがけて襲いかかってきた。
「フンッ」
ガキンッ
「ギギッ!?」
俺は襲いかかってきた『中緑鬼』の攻撃を、軽くいなしてランスで反撃をする。
「オラッ!」
ズリュッ
「ギヒャッ?!」
ランスの一撃が『中緑鬼』の胸を貫いた。だが、威力が足りないのかまだゴブリンは息をしていた。俺はそれを見て、『中緑鬼』を刺したまま魔法を放った。
「【火球】!×4」
ボボボボゥ
ランスの側面にある4つの穴から火球が現れ、そのまま『中緑鬼』に放たれる。
ボンッボンッボンッボンッ
「……キィ…ヒ…ャッ」パリンッ
「よっしゃ!上手くいったぞ!」
俺は『中緑鬼』を仕留めることに成功し、俺はその余韻でガッツポーズをとった。だがその瞬間に、後方から『巨躯緑鬼』が棍棒で襲いかかってきた。
「ギゴォッーー」
ブンッ
(あっ、ヤベッ?!油断した!)
俺は咄嗟に防御体制に入った。するとウサ丸が『巨躯緑鬼』の背後から勢いよく斧で攻撃する。
「【岩破斬】オォー!」
 
ズバンッ
すると『巨躯緑鬼』が雄叫びをあげて、片膝をつかせた。
「ゴギャァー」
ズシィィンッ
その衝撃で地面が抉れて、『巨躯緑鬼』の体制が崩れた。そして、ウサ丸は「今だ!」と言わんばかりに空高く跳び、体を縦方向にひねり、一回転するとそのまま回りだし、もう一度技能を繰り出した。
「【岩破斬】オォォー!」
ズバッ
「えっ?!」
だが、『巨躯緑鬼』は振り向き様にその攻撃を左腕で受けきり、さらには、右手に持っていた棍棒を横から薙ぐように攻撃をしてきた。
「ギゴゥッ」
ブンッ
「ヤバッ!!」
ウサ丸は攻撃をなるべく受けない様に体を丸め、防御体制に入った。
バコーンッ
「ッ?!」
ウサ丸は攻撃をもろに受け、地面に叩きつけられた。
ドゴーンッ
「…イテテテッ、モロに入っちゃったな…。」
ウサ丸は頭を抑えながら、ムクッと上半身を起き上がらせた。だが、その隙を見逃すまいと『巨躯緑鬼』が攻撃を仕掛ける。
「ゴゴッーー!!」
「げっ。」
『巨躯緑鬼』がウサ丸を追撃するために、棍棒を振り下ろす。
ズリュッ
「ゴガッ?!」
俺はウサ丸のピンチを察して、『巨躯緑鬼』の背後をランスで貫いた。
「【火球】!x4」
ボンッボンッボンッボンッ
俺は『巨躯緑鬼』に【火球】を浴びせた。だが、まだ『巨躯緑鬼』が倒される様子はない。
「ゴッ!」
ブンッブンッ
『巨躯緑鬼』は俺を振り落とすように振り向き、棍棒を振り回した。俺は刺していたランスを抜き、離れるように着地する。
シュタッ
「クソッ。まだ倒れねぇのかよ。HPありすぎるだろ、アイツ!」
「ギゴゴウゥッ」
『巨躯緑鬼』は心なしか、俺の方を睨んでいるように見えた。すると、『巨躯緑鬼』は雄叫びをあげた。
「ギゴゥッーーーーー!!」
「っ?!」
ビリビリッ
その雄叫びは辺りの大気を震わせるのを感じるほど、響いた。するとその雄叫びに呼応するように『緑鬼』達が俺に襲いかかってきた。
「ギギッ!!」
「なっ?!」
ガキンッ
俺は咄嗟にランスで攻撃を受け、蹴りをいれて『緑鬼』を離し、ランスで攻撃をする。
「おりゃっ!」
ズリュッ
「ギィッ?!」
だがウサ丸のように一撃で倒すことは出来ず、『緑鬼』は刺されたランスを自分で抜き、俺から離れた。
「キィッ!!」
ズッ
「なっ?!クソッ、威力が足りなかったか。」
だが、この数瞬の内に俺を『緑鬼』達が取り囲んでいた。
(まずい…コイツらは、2〜3体で一斉に襲いかかってくる。1体を一撃で倒さないと対応が遅れて、攻撃を受けてしまう。こりゃ、常に【属性付与】かけて威力をカサ増ししないとダメだ。)
「【属性付与】、空!!」
ビュゥンッ
俺は即座に対応すべく、吹っ飛ばす効果がある空属性をランスに付与した。すると、『緑鬼』達が俺に一斉に襲いかかってきた。
「ギィ!!」「ギヤッ!!」「キィッ!!」
(クソッ、早速仕掛けてきやがった。)
ガキンッ カンッ ズリュッ
俺は、必死になって四方からくる攻撃を捌きつつ、隙を見てはランスで吹っ飛ばしその場をしのいだ。
(にしても、こりゃ分が悪い!!…まさかあの雄叫びは、他の『緑鬼』達に命令する咆哮的なヤツなのか?)
俺はそんなことを頭に巡らせながら、戦闘をしていると不意打ち気味に『緑鬼』の攻撃をくらう。
ズシャッ
「っ?!クソッ!うっとおしいなぁ!!」
ブサッ
「【風玉】!」
ズザザンッ
「ギャッ」 パリンッ
「ハァハァ、キリねぇなこりゃ。」
数匹の『緑鬼』は倒したが、まだたくさんの『緑鬼』が俺を取り囲むように攻撃を仕掛けようとする。
(クッ!こりゃキツイなぁ。『緑鬼』達の連携自体はそんなできてないことがまだ救いだな…。つうか、これウサ丸の方がうまく捌けんだろ…何してんだ、ウサ丸は?)
俺はそう思い、ウサ丸のいた『巨躯緑鬼』の方へと目を向けた。すると、ウサ丸はまだ『巨躯緑鬼』と戦闘を行っていた。
「つうか、『巨躯緑鬼』2体になってねぇか?こりゃヤベェな…。マジ笑えない状況になってきたよ…」
俺は弱音を吐きながらも、『緑鬼』達との戦闘を終わらそうと必死に戦った。だが、次から次へと『緑鬼』達が補充されてきており、倒しても倒しても減らない状況になった。
(こりゃ、ヤバイ。このままズルズルと時間が過ぎて、夜になっちまう。この状況下では確実に死ぬ!)
俺はそう思い、アイテム屋で買った煙玉を取り出し、ウサ丸に合図を送った。
「おい!!ウサ丸ー!!このままじゃ夜になっちまう!一旦退却だっ!!」
「へっ?!まだ『巨躯緑鬼』倒せてないんだけど!!」
「ゴチャゴチャ言うなっ!!今は引くことを優先しろ!!このままだと、コイツらに足止めくらってジリ貧になっていくのは見え見えだ!!分かったら、お前も煙玉出せっ!!」
「……分かったわよ!!」
ウサ丸はアイテムの入った鞄から煙玉を取り出し、俺の掛け声と共に煙玉を地面に投げつけた。
「いくぞっ!!せーのっ!!」
ボワンッ
「ギィ?!」「ギゴッ?」
『緑鬼』達は煙玉のおかげで、鼻と目が効かなくなり俺達を見失った。その隙に俺達は戦線を離脱した。
〈第一章 第8話 完〉
《王城帝国郊外 西》
〜ヘーゲル草原〜
俺達はあの後、薬屋や商店で最低限のアイテムを買い、西側の門へ向かい、だだっ広い草原へと足を運んでいた。
「うわぁ、これがヘーゲル草原か〜。めちゃくちゃ広い草原だな〜。」
俺は辺りを見回し、その景色を堪能していた。すると、俺は「忘れるところだった」と言ってオプションを開いた。
「うーんっ、これだ!。まずはアラーム設定をしてっと…」
俺が何故、アラーム設定をするかというのも、このVease:Dayでは1日が、現実世界の4時間となっており、昼が2時間、夕方が30分、夜が1時間30分と区切られている。そして夜になるにつれて魔物達のlvがあがり、強い魔物達が多くなるという。
ちなみに今このVease:Dayはリリース日…つまり今日10月1日から1ヶ月間は昼の時間が多くなり、2時間から3時間になり、夕方が15分、夜が45分となっている。
(えーとっ、確か、朝の9:00にリリース開始したから、昼の時間帯がPM12:00までってことか。PM12:00にアラーム設定しといてっと…、これでOKだな。一応ウサ丸にも伝えてるけど、職業聞いたらガッチガチの戦闘狂だったからな〜、そのうち夜に戦闘したいとか言いだすんじゃないか?大丈夫かな〜…)
人の心配をよそにウサ丸は目を輝かせながら、辺りを見渡していた。
「ん〜〜!ひゃっほーぃ!!」
ズサァァァァ
ウサ丸は草原に来てから終始テンションが高く、走り回ったり、スライディングなどしていた。
(いや、子供か!大丈夫かよアイツ…はぁ……まぁ気持ちはわからなくもないけど…。それに実際、やりたい(スライディング)俺もいるし…)
俺は気持ち良さそうな草原に寝転がりたいと、体がウズウズしたが、バカっぽそうに見られるのは嫌なので、我慢した。するとウサ丸がそんな俺を見て、からかうように煽ってきた。
「おやおや、リュウさ〜ん、なぜそんなところで突っ立ってるんですか?」
ピクッ
「いや、、別に、お前が子供だな〜って思って見てただけだ。」
俺は少し目元がヒクついたが、ウサ丸にマウント気味に返事をした。だが、ウサ丸は珍しく、意にも返さずにまた煽ってきた。
「へぇ〜そうですか〜、私はまだコ・ド・モ、でぇすか〜!!でも…こーんな気持ちいぃぃぃーーーーフカフカの草原で寝転がらないなんてもったいないですよぉ〜〜」
ゴロゴロッゴロゴロッゴロゴロッゴロゴロッ
ウサ丸は俺の目の前でわざとらしく、ゴロゴロと草原で寝転がっている。(う、うらやましぃ)ウサ丸は、俺の方を見ながら、勝ち誇るように笑った。
「アハッアハハハハッ、アハハハハハハッ」
(チッ、なんてやつだ、ワザと見せびらかしやがって!!……ダメだっ、もう我慢できねぇ!!)
俺は誘惑に負け、フッカフカッの草原に向かってダイブした。
「クッ………クッソーーー!!どうとでも言いやがれ!!こんちくしょうがぁぁぁぁ!」
後日ウサ丸はその時、俺のダイブがスローモーションに見えたと言う。
ズサァァァ
俺は見事に、ヘッドスライディング決め、寝転がった。
ゴロゴロッゴロゴロッゴロゴロッゴロゴロッ
「あっは〜気持ちいぃ〜、まるで高級ベッドのような感触やで〜〜!」
ニヤッ
「ハッァ?!」
ウサ丸は俺に向けてニタァと笑って見せた。俺はその時、人生で初めて敗北というのを味あわされた…。(※過剰に演出しております)
「クッ、俺の負けだ!煮るなり焼くなり好きにしてくれ!!」
俺は草原の上でoTLの体制になり、ウサ丸に対し負けを認めた。そしてウサ丸は、そんな俺を慰めるように、肩にポンッと手を置いた。
「フッ、そんなことしないさ、だって…こんな草原見たら、人間誰しもゴロゴロしたくなるよぉ、なるお、るぉ、ぉぅ。(※エコーです)」
「はぁっ、はぁ、ぁ。(※これもエコーです)」
俺はその言葉に共感し、一緒にゴロゴロしまくった。
「アハハッ〜、やっぱりこんなに気持ちのいい自然のベッドがあれば、誰でもゴロゴロしたくなるよ〜」
ウサ丸は気持ちよさそうにゴロゴロしながら、言った。俺も同調するようにゴロゴロしながら言い放つ。
「そうだな〜…どうでもよくなる気持ちよさだな〜。」
「あぁ!分かるかも〜。一歩も動きたくないって感じ〜」
「「はぁ〜幸せだなぁ〜」」
俺達は草原で寝転がり続けた。だが、突如草原の草むらから、地面を抉るほどの衝撃が走った。
バキバキバキバキッドゴーン
「「えっ」」
俺達は衝撃が起こった方向を見ると、そこには雑木林の方から出たと思われる緑の魔物達、つまり『緑鬼』軍団が俺達めがけて向かって来た。
「ギゴッギヒャーッ!!!」
「なんだ?!早速、魔物が現れやがった!」
俺は驚きながらも、体を即座に起こした。するとウサ丸は、すでに戦闘態勢へと入っており、『緑鬼』達を見る目はまるでゲームを楽しむ子供のように輝かせていた。
「はぁ〜☆やっっっとモンスターが来たー!!よっしゃぁ!!1人残らず斬り裂いてやるから覚悟しろぉい!!」
ウサ丸は、掛け声と共に、背負っていた斧を持った。
(うわー、楽しんでんな〜こいつ…。まぁ…でも、気持ちは分からなくはないな!)
俺もランスを手に取りウサ丸と一緒に魔物を狩っていく。
「ハハッ♪」
ズバンッ
「ギッ」 パリンッ
ウサ丸は先頭にいた『緑鬼』に一撃をいれ、見事に倒していく。だが、そのすぐ後方にいた3匹の『緑鬼』が一斉に飛びかかる。
バッ
「「「ギィッ」」」
すると、ウサ丸はニヤッと笑いながら、斧を横一閃に薙ぎ払った。
ブォンッ
その斧の一撃は、同時に『緑鬼』達を襲った。
「ギヒャッ」「キッ」「キギョッ」
パリンッ パリンッ パリンッ
「アハッ☆」
ウサ丸は圧倒的な物理攻撃力による斧の一振りで、『緑鬼』達を一撃で倒した。すると、ウサ丸は脱兎のごとく、戦場を駆け回り次々に攻撃を仕掛けていった。
(うわぁ、スゲェな〜あいつ。あの斧、もう使いこなしてるよ。ハハッ…俺も負けてらんないなぁ!)
「【属性付与】、陽!!」
ボゥッ
俺はランスの攻撃力をカサ増しするため、スキル【属性付与】を陽属性でランスに施す。そのランスは太陽のように燃えさかった。
「ギギギーッ」
「?!」
突如、1体の『中緑鬼』が俺めがけて襲いかかってきた。
「フンッ」
ガキンッ
「ギギッ!?」
俺は襲いかかってきた『中緑鬼』の攻撃を、軽くいなしてランスで反撃をする。
「オラッ!」
ズリュッ
「ギヒャッ?!」
ランスの一撃が『中緑鬼』の胸を貫いた。だが、威力が足りないのかまだゴブリンは息をしていた。俺はそれを見て、『中緑鬼』を刺したまま魔法を放った。
「【火球】!×4」
ボボボボゥ
ランスの側面にある4つの穴から火球が現れ、そのまま『中緑鬼』に放たれる。
ボンッボンッボンッボンッ
「……キィ…ヒ…ャッ」パリンッ
「よっしゃ!上手くいったぞ!」
俺は『中緑鬼』を仕留めることに成功し、俺はその余韻でガッツポーズをとった。だがその瞬間に、後方から『巨躯緑鬼』が棍棒で襲いかかってきた。
「ギゴォッーー」
ブンッ
(あっ、ヤベッ?!油断した!)
俺は咄嗟に防御体制に入った。するとウサ丸が『巨躯緑鬼』の背後から勢いよく斧で攻撃する。
「【岩破斬】オォー!」
 
ズバンッ
すると『巨躯緑鬼』が雄叫びをあげて、片膝をつかせた。
「ゴギャァー」
ズシィィンッ
その衝撃で地面が抉れて、『巨躯緑鬼』の体制が崩れた。そして、ウサ丸は「今だ!」と言わんばかりに空高く跳び、体を縦方向にひねり、一回転するとそのまま回りだし、もう一度技能を繰り出した。
「【岩破斬】オォォー!」
ズバッ
「えっ?!」
だが、『巨躯緑鬼』は振り向き様にその攻撃を左腕で受けきり、さらには、右手に持っていた棍棒を横から薙ぐように攻撃をしてきた。
「ギゴゥッ」
ブンッ
「ヤバッ!!」
ウサ丸は攻撃をなるべく受けない様に体を丸め、防御体制に入った。
バコーンッ
「ッ?!」
ウサ丸は攻撃をもろに受け、地面に叩きつけられた。
ドゴーンッ
「…イテテテッ、モロに入っちゃったな…。」
ウサ丸は頭を抑えながら、ムクッと上半身を起き上がらせた。だが、その隙を見逃すまいと『巨躯緑鬼』が攻撃を仕掛ける。
「ゴゴッーー!!」
「げっ。」
『巨躯緑鬼』がウサ丸を追撃するために、棍棒を振り下ろす。
ズリュッ
「ゴガッ?!」
俺はウサ丸のピンチを察して、『巨躯緑鬼』の背後をランスで貫いた。
「【火球】!x4」
ボンッボンッボンッボンッ
俺は『巨躯緑鬼』に【火球】を浴びせた。だが、まだ『巨躯緑鬼』が倒される様子はない。
「ゴッ!」
ブンッブンッ
『巨躯緑鬼』は俺を振り落とすように振り向き、棍棒を振り回した。俺は刺していたランスを抜き、離れるように着地する。
シュタッ
「クソッ。まだ倒れねぇのかよ。HPありすぎるだろ、アイツ!」
「ギゴゴウゥッ」
『巨躯緑鬼』は心なしか、俺の方を睨んでいるように見えた。すると、『巨躯緑鬼』は雄叫びをあげた。
「ギゴゥッーーーーー!!」
「っ?!」
ビリビリッ
その雄叫びは辺りの大気を震わせるのを感じるほど、響いた。するとその雄叫びに呼応するように『緑鬼』達が俺に襲いかかってきた。
「ギギッ!!」
「なっ?!」
ガキンッ
俺は咄嗟にランスで攻撃を受け、蹴りをいれて『緑鬼』を離し、ランスで攻撃をする。
「おりゃっ!」
ズリュッ
「ギィッ?!」
だがウサ丸のように一撃で倒すことは出来ず、『緑鬼』は刺されたランスを自分で抜き、俺から離れた。
「キィッ!!」
ズッ
「なっ?!クソッ、威力が足りなかったか。」
だが、この数瞬の内に俺を『緑鬼』達が取り囲んでいた。
(まずい…コイツらは、2〜3体で一斉に襲いかかってくる。1体を一撃で倒さないと対応が遅れて、攻撃を受けてしまう。こりゃ、常に【属性付与】かけて威力をカサ増ししないとダメだ。)
「【属性付与】、空!!」
ビュゥンッ
俺は即座に対応すべく、吹っ飛ばす効果がある空属性をランスに付与した。すると、『緑鬼』達が俺に一斉に襲いかかってきた。
「ギィ!!」「ギヤッ!!」「キィッ!!」
(クソッ、早速仕掛けてきやがった。)
ガキンッ カンッ ズリュッ
俺は、必死になって四方からくる攻撃を捌きつつ、隙を見てはランスで吹っ飛ばしその場をしのいだ。
(にしても、こりゃ分が悪い!!…まさかあの雄叫びは、他の『緑鬼』達に命令する咆哮的なヤツなのか?)
俺はそんなことを頭に巡らせながら、戦闘をしていると不意打ち気味に『緑鬼』の攻撃をくらう。
ズシャッ
「っ?!クソッ!うっとおしいなぁ!!」
ブサッ
「【風玉】!」
ズザザンッ
「ギャッ」 パリンッ
「ハァハァ、キリねぇなこりゃ。」
数匹の『緑鬼』は倒したが、まだたくさんの『緑鬼』が俺を取り囲むように攻撃を仕掛けようとする。
(クッ!こりゃキツイなぁ。『緑鬼』達の連携自体はそんなできてないことがまだ救いだな…。つうか、これウサ丸の方がうまく捌けんだろ…何してんだ、ウサ丸は?)
俺はそう思い、ウサ丸のいた『巨躯緑鬼』の方へと目を向けた。すると、ウサ丸はまだ『巨躯緑鬼』と戦闘を行っていた。
「つうか、『巨躯緑鬼』2体になってねぇか?こりゃヤベェな…。マジ笑えない状況になってきたよ…」
俺は弱音を吐きながらも、『緑鬼』達との戦闘を終わらそうと必死に戦った。だが、次から次へと『緑鬼』達が補充されてきており、倒しても倒しても減らない状況になった。
(こりゃ、ヤバイ。このままズルズルと時間が過ぎて、夜になっちまう。この状況下では確実に死ぬ!)
俺はそう思い、アイテム屋で買った煙玉を取り出し、ウサ丸に合図を送った。
「おい!!ウサ丸ー!!このままじゃ夜になっちまう!一旦退却だっ!!」
「へっ?!まだ『巨躯緑鬼』倒せてないんだけど!!」
「ゴチャゴチャ言うなっ!!今は引くことを優先しろ!!このままだと、コイツらに足止めくらってジリ貧になっていくのは見え見えだ!!分かったら、お前も煙玉出せっ!!」
「……分かったわよ!!」
ウサ丸はアイテムの入った鞄から煙玉を取り出し、俺の掛け声と共に煙玉を地面に投げつけた。
「いくぞっ!!せーのっ!!」
ボワンッ
「ギィ?!」「ギゴッ?」
『緑鬼』達は煙玉のおかげで、鼻と目が効かなくなり俺達を見失った。その隙に俺達は戦線を離脱した。
〈第一章 第8話 完〉
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