【Vease:Day】〜VRMMOだけして、稼ぎたい‼︎ 〜

土谷優

《第一章》 第7話 『相棒』

〜西暦2045年10月1日AM10:40〜

《ドワーフ工房》
〜作業場〜

カンッカンッカンッカンッ


「ふぅ、やっとパーツが全部できた…。一日に武器2つ作るのって結構くるな…」


俺は作業場で、汗を拭いながら武器を作っていた。というのもウサ丸が武器保管庫で納得のいく武器が見つからなかったため、デンゼルが半ば強引に俺が作るハメになり、今こうしてせっせと武器作りに勤しんでいるわけだ。


(はぁ、なんで俺がウサ丸あいつのために作らなきゃならないんだ!こうなったら、めぇいっぱい金をふんだくってやる。)


俺はそんなことを頭の中で巡らせながら作業に勤しんだ。ちなみにウサ丸は、俺が武器を作っている間に、壊した棚を直したらしい。そして今、現在。


「へぇ〜、こうやって作るのか〜。なんかプラモデルみたいだな。」

「うーむ…、それにしても、最初から思っとったが、すごいパーツの数じゃのぅ…」

俺の後ろでウサ丸とデンゼルが覗きこむように観察していた。どうやら、棚の修復作業が終わり、暇なのでこっちに来たらしい。


「……つうか、あの〜、後ろでジーッと見られ続けるのって、スッゲェ気が散るんだけど、やめてもらえる?」

「あっ、大丈夫!大丈夫!邪魔んなんないようにここでじっとしてるから!」


ウサ丸は悪気はないよって言いたげな態度で応じる。


(いや、次の工程めっちゃ集中しなきゃいけないから、できればジロジロ見ないで頂きたいんですけど……)


俺は心の中で少し不満を漏らしたが、気にせず作ることに決めた。俺は集中力を高め、いざパーツを組み立てようとしたその時、デンゼルが俺に口を挟んできた。


「なぁリュウよ、ちょっと質問してええかのぅ?」

「えっ!、何?!今すごく大事なところなんだけど!!」


俺は金槌を振り下ろす直前で話しかけられたため、手を振りかざした状態で止まり、少し滑稽な姿になった。だがデンゼルはそんなことも意に介さず言葉を続ける。


「何故お前さんはそんなにパーツを多く作るんじゃ?」


デンゼルは不思議でならないと言わんばかりに俺へ質問をぶつけた。


「…何故って、そりゃぁ…」


俺がデンゼルの質問に答えようとした時、俺の話を遮るように、ウサ丸は何が何やら分かんないと言う感じで、デンゼルに話しかけた。


「??どういうことなの?リュウが作ってる武器って普通じゃないの?」


するとデンゼルが、ウサ丸の質問に対して答えた。


「…そうじゃ、普通とはかなりかけ離れておる。大体武器のパーツ数は3つがセオリーなんじゃ。それに対し、リュウが作るもんはそれ以上のパーツ数を使用しとる。ついさっき、リュウが作ったランスだって、パーツ数だけで言えば6つは使用しとんるじゃよ!」

「う〜ん…でもパーツ数の違いってよくわからないんだけど、何かいけないの?」


するとデンゼルはウサ丸にも分かりやすいように、説明をした。


「よいか?まず基本について説明をするぞ!まず武器を作るために必要な段階は全部で3つあるんじゃ。

1:インゴット作り
加工性を高め、石の特性を掛け合わせることにより、より強靭な材質へと変化させるための作業。
2:武器のパーツの形成
主に武器の持ち手となる柄の部分、攻撃となる刃の部分、そしてそれを繋ぐつばの部分と合計3つのパーツをそれぞれ形成する作業。
3:パーツの接合
組み立てたパーツをそれぞれ繋ぐ作業。これを完了すると武器の完成となる。

これにもあるように、パーツの形成では、柄、刃、鍔と3つの部分に区切って作成をする。それに対しリュウはそのセオリーを度外視したパーツを作り、武器を作るんじゃよ。」

「へぇ〜。じゃあリュウの作る武器って結構変わってるんだな。」

(なんか、勝手に武器作り講座が始まったんだけど…。まぁいいか、その間にちゃっちゃとやっちまおう。) 


俺は気にせずパーツの接合の工程へと移る。その間にデンゼルはウサ丸に対して、俺の武器作りに関しての情報を少し興奮気味に話した。

「変わってるどころではないわい!異常な発想なんじゃよ!」

「何が異常なの?」

「いいか?まず、パーツを増やせば増やすほどそれに比例してパーツの接合が難しくなり、重量も増えると考えられておる。大体3つのパーツになったのも先人達が効率やバランスなども考慮した結果、今の形になっておるんじゃよ。こうも常識を破られるとなんというか……雷にでも打たれた思いじゃわい…」


デンゼルは頭を抱えるように、ショックを受けていた。


「なるほど〜、いわゆるカルチャーショック的なヤツね!」

(いや、カルチャーショックとかデンゼルよくわかってないから!てかさっきもプラモデルとか現実世界に関連すること言ってたな…こいつ。さっき保管庫で注意したばっかなのに、また口滑らせてやがる。)


俺は2人の会話を聞きながらも、黙々と作業を進めていた。するとウサ丸が思い出したように話した。


「ねぇねぇ、そういえばさっきのデンゼルの質問はどうなったの?答えてくれないの?」

(えっ。俺に振るの?てかっ、さっきあなたが、俺の答えを遮ってたよね!)


俺は心の中でツッコミをいれたが、デンゼルは「そうじゃった」と言いたげな顔をし、今度は教えてくれと言わんばかりにこっちを見てきた。俺はその様子を見てしょうがなく答えてやった。


「はぁ…、さっき2人で話し合ってたから答えられなかっただけで、別に答えないとかそんなんじゃないよ。」


それを聞いたデンゼルは、めちゃくちゃ前のめりになった。まるで、サンタさんからプレゼントを貰う子供のように…。


「では、教えて貰おうかのぅ!!」

「あっ、はぃ。……じゃあ今から説明しますね。」

「うむ。」 「うんうん。」


2人は俺の話しをまるで学校の生徒のように、聴いていた。


「まず俺はパーツ数と武器ステータスの関係を洗い出しました。最初に俺は基本的なランスをつくり、その後、今度は同じ基本的なランスを4つ、5つ、6つとパーツ数を分割したものをそれぞれ3つ作り、比べてみました。すると、パーツ数は重量には全く響かずむしろ、パーツ数が多い程にステータスが上昇していました。」

「!!なんと!じゃあ、最初に作ったランスはそのために作ったのか…。しかもパーツ数が多くても重量には全く響かんと…それは本当じゃろうな?」

「はい。本当です。多分重量は石の特性にもあるように重量比から換算されるもので、パーツ数が多いからといって同じ重量比であれば重量は変わることはないと言うことです。」

「なんと、これは世紀の新発見じゃぞ…」


デンゼルは髭を触りながら、「ほぉほぉ」と頷くように驚いていた。一方でウサ丸の頭上には、?がいっぱい並んでいる様子だった。俺はそれを見て、デンゼルだけに、さらに分かったことを伝える。


「あと、武器のHP耐久値は特性の耐久度から、AK攻撃力は硬度から来ていると思われます。加工性に関しては、武器作りの成功率に関わっていると見て、ほぼ間違いないでしょう。」

「ほぉ〜、なるほどな…。じゃあ武器につくスキルはどう説明をする?」

「それは多分、鉱石の本来持つポテンシャルがスキルという形で現れているだけだと考えます。」


デンゼルはこれを聞いたのち、「ちょっと確かめてくる」と言って、武器作りに向かった。その一方でウサ丸はお手上げ状態ですと言わんばかりな態度をとった。


「うーん、さっぱりわかんないや。とりあえず私のオノはめちゃくちゃ強くなる感じなの?」

「まぁ、強くするつもりだけど…、そのかわり金は頂くぞ!値段で言えば、30金貨は下らないと思えよ。」


俺は大事なことなので、ウサ丸に対して念をおしといた。


「おう!別に金は課金すればいいだけだしな。」

「えっ、あっ、うん。そうだよな〜課金すればいいだけだもんなー……ん?」

(でも1金貨(=100小金貨)の課金で500円はしたはず…。30金貨でも、お得なセットにしたところで9800円…1万は下らないぞ…。こいつ結構ボンボンなのか?それともただ知らないだけか?)


俺は気になりウサ丸に課金のことについて質問してみた。


「お前…、30金貨を課金するには1万は下らないぞ。そんなに払えるのかよ。」


するとウサ丸はケロッとした顔で答えた。


「うん。払えるよ?」

(えっ?!即答かよ!!)

俺はその態度を見て、逆に心配になり、もう一回課金するのか聞いた。


「えっっと〜、1万って…結構するんじゃないのか?1万だぞ、1万!」

「まぁ、確かに結構するかもだけどさ…払えなくは無いよ。」


またウサ丸はケロッとした感じで返事をした。俺はそれを見て色々察した。

「あっ…そ、そうなんだ…。そうだよね!ハハッ、アハハハハッ(※棒読み)」

(そういえばこのゲーム300万近くしてたんだ〜。宝くじ当たったから、普通にプレイ出来てるけど、普通の人からしてみれば中々手ぇだせない品物だもんな…。そりゃこのVease:Dayゲームのプレイヤーは金に余裕がある奴に限られるわな。)

俺は納得した態度をとった。するとウサ丸は唐突に、慌てて購入に至るまでの自身の経緯を説明しはじめた。


「あっ、えぇ…えーと、実はさ!【DREAM】を買うために貯金してたんだけど、なんかの番組のプレゼント企画の抽選で、当たったんだよね〜。だからお金にはそこそこ余裕はあるわけよ!!別に金持ちとか、そんなんじゃないからな!」

「へぇ〜、そうなんだ。わかったわかった〜。(※棒読み)」

(何かやけに饒舌じょうぜつになったな。多分金持ちだって悟られたくないんだろうな…。)


俺はウサ丸に対して相槌をうった。するとウサ丸は話題を変えるように早く武器を完成させるように俺に命じた。


「てか、早く私のオノ完成させてよ〜!早く冒険に出かけたいの!!」


「あぁ、わりぃわりぃ。つい話しに夢中になっちまった。少しまってろ!すぐに終わらすからな。」


俺は急かされながらも、ウサ丸の武器を完成させた。




龍ノ斧ドラゴンアックス
レア度A 分類〈アックス
この斧は通常とは違い、柄だけで1.6mと非常に長く、斧の刃が左右対象に2つ付いている両刃斧デュアルアックスとなっている。
《ステータス》
重量[ヘビィクラス]・AK攻撃力740・HP耐久値1470・属性 無
〈スキル〉
【破壊耐性】lv9
HP耐久値へのダメージ90%downする。
【斬撃】lv7
斬属性の武器の攻撃力が7%up。
【重撃】lv3
武器によるクリティカル率が6%up。
《製作者》『リュウ』



「ほら、できたぞ!俺の鍛冶屋のlvも上がったから、普通よりも性能は格段にいいはずだ。」

「あぁ、サンキューねぇ。けど…『龍ノ斧ドラゴンアックス』って…、ププッ、厨二病かよ!」

イラッ


俺は怒りを抑えつつも、商売だからと割り切り、ウサ丸から30金貨を貰った。このVease:Dayゲームで初めての収入ということもあり、少し感動を覚えた。そんな俺を横目で見つつ、ウサ丸が俺にある提案をしてきた。


「…なぁ、これから一緒に…外出ねぇか?」

「えっ?今なんて?」


俺は貰った金貨に夢中で、よく聞こえてなかったので、もう一度聞き返した。するとウサ丸が少し不機嫌そうになりながらも、俺を誘った。


「ん〜〜もう!!一緒に…冒険に行こうって言ってるのよ!」

「お、おう。…分かった、一緒に冒険しに行こう!!というかそれがこのVease:Dayゲーム醍醐味だいごみだしな!」


俺は、いきなりの申し出にたじろぎながらも、一緒にパーティを組んで冒険へと出立することにした。



     〈第一章 第7話 完〉

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