【Vease:Day】〜VRMMOだけして、稼ぎたい‼︎ 〜

土谷優

《序章》『世界初のVRMMORPG』


〜西暦2044年 10月12日AM9:00〜
《東京都内 ネットカフェ『キューブ』》


「おはようございます…」

梶谷かじや君、おはよー。すまないけど少し待っててもらえないか?トイレに行きたくてね。」

「あっはい…わかりました。」

(事前にトイレ行けよな!店長だろがあんた!あ゛〜早くしてくんないかな〜。かえりて〜。)



俺の名前は梶谷かじや龍一りゅういち。都内でネットカフェの夜勤をしながら生活をしているフリーターだ。

俺の朝は、店長を迎えることから始まる。
AM0:00に出勤し、AM9:00に帰宅……。帰っても1人寂しくカップ麺をすする。言わばバイト中心の生活だ。

そんな当たり障りのない淡々と過ぎて行く毎日。たまの楽しみといえば帰りに買うロト6くらいだ

それがこの間…



「まじかよ……。ヤベェ。マジで当たっちゃったよ。2等!」 ︎


嬉しすぎて俺はその場で思わず天を仰いだ。1等じゃないのは悔しかったが、2等当たるだけでもバンバンザイだ。


「2等の金額はっと..。!!..1千万ちょいあるじゃねぇかよ!前の当選日は6百万ちょっとだったしな、運がやっと俺についてきたか…クゥ〜。こうしちゃいらんない。とりあえず換金とね」


さっそく俺は銀行に行き1千万を貰った。
貰った瞬間、その場で顔を叩きたくなったが、人の目があるので家に帰ってからするとして…。さて、本当に金が入っているかもう一度確かめたい。


(だけど俺の銀行に金額が反映されるのは明日からなんだよな〜。てか今日夜勤だし…。バイト休もうかな〜。)


なんて考えながら俺は家に着くと、疲れていたのかすぐに寝ついた。





〜西暦2044年10月13日AM9:30〜


ーーそして翌日。俺は結局バイトに行った。
さすがに夜勤の当日休みは申し訳ないと思い出勤した。そしてバイト終わりにすぐさまコンビニのATMへ寄り確認をした。


(ちゃんと入ってる!1千万入ってる!)


その時俺はめっちゃ興奮し、喜びのあまり何処かで遊びまくりたいという謎の衝動に駆られた。


(遊びたい!風俗行きたい!ピンサじゃなく高級な泡のヤツ!)


はなから見たら相当ヤバいヤツに見えただろう。それだけ興奮を抑えきれなかった。


(おっとっと…ダメだ。静まれぇ俺。これをどう使うかで今後の人生が決まる。)


まず俺は1千万でどれだけ生きていけるかを考えてみた。


(まず1千万じゃ今までの生活から抜け出しにくいな。ジリ貧になってまたこの生活に戻りそうだ。)




ーならばこの金をどうする?





(株に手を出すか?FXやってみるか?不動産運営とかやるのか?いやいや、そもそも俺にそんな知識がない…。いや、、まてよ。知識なきゃ学べばいいじゃん!)


そして俺はコンビニでノートを買いバイト先のネットカフェへ戻り、ブースを借りてPCパソコンで2時間ほど勉強を開始した。その結果……。


「俺には無理だ。」 


俺はPCに横たわるようにうなだれる。


(そもそも失敗するリスク高いんだよ。やったらやったで、失敗して散財…なんてなりそうだな。やらない方が俺の為になりそうだわ〜。ははは………はぁ…)


大きなため息をつく。こんな調子じゃ勉強がはかどらないと思い、気分転換に動画投稿サイトを閲覧することにした。そこで気になるものを発見した。


「ん?【天使あまつかグループ新製品発表会】のライブ配信?」




ーー〈天使グループ〉創業46年とまだ若いながらも、通信機器、運送業、農業にいたるまで様々な分野で活躍し、いまだに急成長をしている。言わずとしれた大企業様だ。
中でもAI事業は特に力を入れており、現在日本におけるAIは全てこの会社が担っていると言っても過言ではない。
それ故にこの会社の就活となるとエゲツない倍率になり、就職できただけで勝組確定とまで言われている。
なので、その会社に勤めている会社員を尊敬と嫌味をこめて通称天人あまんとと呼んだ。



(そういえば俺ここの会社に面接いったな〜。結局落ちたけど…。そのあと就職浪人になってまた受けて、結局就職できないまま大学辞めて…はぁ〜…。そんで今は24歳フリーター…。ははは…なんか泣けてくる…。)


このままではネガティブな思考になってしまうと思い、気を紛らわすようにライブ配信を見ることに決めた。


「12時に配信スタートか…。もうそろそろだな」


ーーそして天使グループの新製品発表会がスタートした。ライブ配信が始まるとだだっ広いステージが画面に映し出され、そこには観客席があり、ぱっと見あらゆる人種の観客が見えた。
そしてステージ中央に1人の黒いスーツを着た男が立っていた。年齢は30代半ばか、ヒゲはきっちり整えており身なりからして天人だと理解できた。


「どうも皆さんお元気でしょうか?このライブ配信を見て頂き、まことに有難う御座います。私が誰だか気になる方もいらっしゃると思いますので、まずは自己紹介を。私は天使グループ代表取締役の天使 司あまつか つかさと申します。今回は天使グループ新製品発表会の司会進行を、私自ら勤めさせて頂きます。」


俺はそれを聴くなり目をギョッとさせて驚いた。何故なら天使グループの取締役代表は2044年の9月頃に97歳で亡くなったと言う一報があり、次は誰が就任するのかまだ発表されてなかったからだ


「今ここで発表するのかよ…。カッケええな〜」


こういう場で堂々と代表取締役ですと言えるなんて…。なんてスゴいんだろうと思い、俺は尊敬の念を向けた。そして代表取締役は何事も無かったように淡々と進行をこなしていく。


「早速ですが、まず新製品の発表を行う前に皆様方に見て頂きたいものが御座います。…ではご覧下さい。」


司会がそう言い終わると画面が切り替わりある映像が流れてきた。その映像はいわゆる剣と魔法のファンタジー世界のティザームービー、まぁゲームの予告映像が流れてきたわけだ。


そして一通り映像が終わりまたステージ画面へと戻った。


「今流れた映像は我社わがしゃが制作した【Vease:Dayヴァースデイ】と言うゲームで御座います。このゲームでは剣と魔法のファンタジー世界を皆様が自分自身で冒険をして、様々な種族やモンスターと交流を深めていくと言うストーリー構成になっております」


そして司会は続けざまに説明をした。


「おそらく皆様には【Vease:Day】の面白さがいまいち伝わっていないと思います。」

(まぁ…確かにどこにでもありそうな設定のゲームだしな〜。それに大型タイトルのゲームでもないし。)


そして代表取締役は手を差し伸べるように力強く語りかけてきた。


「そこで皆様に考えて頂きたい!例えばゲームの中にある料理が味わえたり、さらには鬱蒼うっそうしげる森の中を冒険したりと、実際には体験できないような感動体験をもし、体験できるとしたら、…面白くないですか?」


その話を聴いた瞬間俺は少しだけ前のめりになって画面を凝視した。


「えっまさか…VRMMO?」


そして代表取締役はしばらくしてから口をひらいた。


「…ちなみにこのゲームはソフトではなくゲーム機本体に内蔵されたものになります。そして今回の新製品というのは………世界初のVRMMORPGを可能としたゲーム機器【DREAMドリーム】です!」


掛け声と共に白い煙がステージ中央から吹き上がりせり上がりで今回の新製品【DREAM】が登場した。


「えっマジかよ!」


俺は思わず叫んでしまった。一応言うがここはネットカフェだ。結構恥ずかしい。そんな俺をよそに、【DREAM】の話が続く。


「皆さま。これを見て下さい。この機械が我が社が作り上げた【DREAM】でございます。」


【DREAM】はぱっと見ヘルメットにVR機器が付けてあるような形をしており、総称をヘッドギアと言う。そして代表取締役は実際に【DREAM】を手に取り、扱い方と機能の説明をした。


「まず、設置方法についてですが…」


話が長かったので、要約すると使用するにはまずベットに仰向けで寝そべり、頭に【DREAM】を装着して右耳のあたりにあるスイッチを押す。そうすることで、睡眠時に見る夢のような感覚でゲームをプレイするということらしい。


「…この商品は今から約一年後の発売を予定しております。それまで首を長〜くして、お待ちになってください!ではごきげんよう。」


司会がそう言うとライブ配信が終了した。


「ハハ…ハハハ……ヤベェよ。マジでヤベェよ!」


俺は心臓がバクバクしているのを理解した。心が踊ったとも言うべきか。そんな高揚感を体に纏わせながら俺は決心をする。


「絶対ぇ【DREAM】買ってやる!」


       〈序章プロローグ  完〉

「【Vease:Day】〜VRMMOだけして、稼ぎたい‼︎ 〜」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「SF」の人気作品

コメント

コメントを書く